IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

43 / 89
第四十二話~織斑一夏vs鳳鈴音!ンなモン飛ばして無人機!~

さてさて、簪を4組側のピットに無事に送り届けた俺は、3組のピットに戻った後、上白沢先生と長谷川先生から労いの言葉を受け取った後、上白沢先生から、次の試合で、此方側のピットを1組が使うということを知らされ、一人、アリーナの観客席へと向かうゲートの前で休憩していた。

其所には自販機や屋外モニターもあるため、たとえ観客席が満員になっていても、此処で見ることが出来るのだ。

と言っても、現在この場には、俺一人しか居ないんだけどな。

 

それで俺は、ゲートから出て直ぐの自販機で買ったジュース片手に、1組vs2組の試合を観戦することにした。

 

鈴の専用機は『甲龍《シェンロン》』というらしく、中国の第三世代型ISで、ゴールドウィングのように特殊兵装を積んでいるらしい。

曰く、近接型で燃費重視のISなんだとか。

 

んで、1組代表の織斑その1は白式。武装がブレオンというとんでもない機体なんですよ。

まあ、どうでも良いけどね。

 

そして試合は始まった。

試合は、やはり相手が代表候補生というのがあるのか、鈴が優位に立っていた。

2つの馬鹿デカイ刀(確か『双天牙月』とかいう、連結可能な青竜刀)をバトンみたいに振り回し、ソイツで織斑その1を攻撃していく。

消耗戦を避けようとしているのか、織斑その1は一旦鈴から距離を取るべく、離れようとする。

だが、あろうことか鈴は、それを見ても追いもしない。ただ、口元をニヤリと吊り上げただけだ。

何か秘策でもあるのかと考えた瞬間、織斑その1が、まるで見えない拳に殴り飛ばされたかのように、後方に吹っ飛ばされた。

どうやら、それが甲龍の特殊兵装らしい。

衝撃砲こと、『龍咆』。

肩にある、非固定浮遊部位にある、空間自体に圧力をかけてそれを砲身とし、衝撃を砲弾として撃ち出すという奴だそうだ。

しかもその龍咆、ほぼ全方位に撃てるため、死角なんて皆無に等しい。

ソイツを壊すなら、撃ち出すためのエネルギーを溜め、撃ち出す瞬間に強力な銃器で攻撃して、エネルギーを暴発させるぐらいしかない。

だが、奴の白式にあるのはブレード一本のみ、最早積みゲーだ。

だんだんと鈴に押され始め、そのまま勝負は鈴の勝利で終わるのではないかと、本気で思い始めた時だった。

 

 

 

突如、上空から野太いレーザーがアリーナのシールドバリアを突き破り、鈴と織斑その1の間をすり抜けて地面に着弾、爆音を撒き散らし、砂埃を上げた。

俺は暫く、モニターを見て唖然としていたが、取り敢えずアリーナの観客席へと向かう。

俺が中に入ると、突然ゲートが閉まった。恐らくだが、全てのゲートも同じように閉まっただろうな。何と無く、もうじきこの辺りに避難しようと逃げてくる生徒が殺到するという先が読めた俺は、ゴールドウィングのステルス機能(休憩中に積まれている事を知った)を使って姿を消し、忘れていた武空術を使って宙に浮いた。

 

そしたらどうだろう、予想は見事に的中。

物凄い勢いで走ってきた生徒で、ゲート前はごった返している。

 

『マスター!聞こえますか!?マスター!』

 

お、桜花からだ。

 

「よお、桜花。大丈夫だ、ちゃんと聞こえてらぁ。んで、一体何がどうなってやがんだ?ゲートは閉まるし、変なブリキ野郎がアリーナに居やがるし」

『私にもよく分かりませんが、あの未確認機がアリーナのシールドバリアを突き破り、現在、織斑一夏、凰鈴音の2名と交戦中です』

『それに、セキュリティやらがハッキングされて、ゲートが全部閉められてるわ』

「その声は氷華か。お前も無事だったんだな」

『私を誰だと思ってるの?それに、葛城だって無事よ。ペパロニとアンチョビもね』

 

どうやら、いつメンのメンバーは全員無事なようだ。

それから話に加わってきた葛城によると、今現在、いつメンのメンバーと八雲重工のパイロット達が、辛うじて開いていた避難口への避難誘導を行っているそうだ。だが、今俺が居るところからは離れており、ごった返してる生徒をその避難口へと誘導するには無理があるんだとか。んで、やむを得なくなったらゲートブッ壊してでも避難口の確保をしてくれ、だそうだ。

 

そんな訳で俺は、早速上白沢先生に通信を入れようとしたが、相手側も同じことを考えていたのか、俺がやるよりも早く、通信を入れてきた。

 

『黄昏君、無事か!?』

「ええ、今ゲート前にて待機中です」

『そうか。なら、君に頼みがある。避難口の確保をしてくれ!扉などは破壊しても構わない!責任は学園側が取るそうだ!』

「ちょうど良い、俺もその許可を貰おうとしていたんですよ。でも良いんですか?そんな面白そうなことやって」

『構わん!やってくれ!』

「Jawohl.」

 

そうして通信を切り、俺は視線を下へと向けた。

 

其所で見た光景は、少なくとも見ていて気持ちの良いものではなかった。

逃げてきた生徒がこぞってゲート前に群がり、泣き叫んでいる。

最早学年問わず、声を震わせながらゲートを叩いたり、はたまた座り込んで泣く生徒も居る。

 

まあ、俺は前世で軍人やってたし、イワンとの喧嘩では、戦車や戦闘機の残骸、砲弾までもが飛んでくる始末だったので大した恐怖はないが、泣き叫んでいる連中は、戦闘などの恐怖を知らない奴等ばかりだ。そりゃ泣き叫ぶのも無理ないか。

 

俺はゴールドウィングのステルス機能を解除し、辛うじて空いているスペースに降り立ち、ごった返す女子生徒の波を掻き分け掻き分け、最前列の真後ろにやって来た。

つか、全く気づかれなかったでごわす。

 

「ねえ!誰か開けてよ!」

 

こりゃ最早末期だ。先ず完全に泣いてるし………………取り敢えず退いてもらうか。

 

「おい、悪いがゲートから離れてくれねえか?」

「もう、何がどうなって……………………た、黄昏君!?」

 

何故そんなに驚かれんだよ?そんな影薄い?俺…………(´;ω;`)

 

そんな考えを何とか振り払い、俺はしゃがんで目線を合わせ、その女子生徒の頭を撫でながら言った。

 

「まあ、落ち着け。取り敢えずは其所から離れてくれ。出来ることがないか調べるから」

「は、はい…………」

 

漸く目の前がフリーになり、俺はゲートの前に立った。ゴールドウィングのセンサーやらを使って、鍵穴や電子制御のクラッキングが出来ないかを調べてみたが、何れもこれもダメ。

試しにゲートを軽く叩いてみる。

音の低さからしてかなり厚そうだが、マウスみたいな厚さではなさそうだ。アレ、装甲200mmは軽くあるような怪物だったからな。まあ、その分足トロいけど。

 

まあ、IS纏えば手っ取り早く終わるが、未確認機がその辺りを見ているかもしれんから、迂闊に展開は出来ない。

しゃあねえ、素手でブッ壊すか。

こちとらマウス片手で持ち上げて投げたり、装甲に素手で穴開けたりしたんだ。マウス以下のゲート壊せなくてどうすんだっての。

 

「よっしゃ!皆ゲートから離れろ!ちっとばかり手荒なことやるからアブねえぞ!それから、耳塞いで伏せろ!」

 

そう声を張り上げると、女子生徒は段々後退し、訳の分からんままに耳を塞ぎ、伏せる。

 

今、俺と女子軍最前列の距離は3メートル程離れている。まあ、こんだけ離れたら大丈夫かな。

 

さて、始めましょうか。

 

「すうううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………」

 

俺は大きく息を吸い、全身の気を高めていく。『将校の気位』などを発動する時のように、俺の周りを渦巻くように風が吹き上がり、獣耳のようなヘアスタイルをした俺の髪を揺らす。

半透明な赤いオーラが見え始めるが、まだ気を溜める。全身から蒼白いスパークが迸り、吹き上がる風が強まる。

さあ、解禁の時が来たようだ!

 

『ガアアアアアアアアアアアアッ!!!!!』

 

俺は溜めていた気を一気に放出し、全身に真っ赤なオーラを纏う。

現段階で最強クラスの喧嘩スキル、『帝王の覇気』だ。

 

「あ………………あぁ…………」

「た……………黄昏君………………なの……?」

 

後ろで顔のみ前を向いていた女子から、そんな言葉が飛ぶ。

まあ、コレ発動したのはクラス代表決定戦の時だけだったし、そりゃそうなるか。

 

俺は後ろを向き、安心させようと軽く微笑み、言った。

 

『ああ、紛れもなく、黄昏狂夜本人だ。取り敢えずお前ら、アブねえから伏せてろ。今からこのゲートを潰す』

「そ、そんなこと出来るの!?」

「と言うか、黄昏君が怪我しちゃうよ!」

怪我、ねえ………………まあ、心配してくれんのはありがてえや。

 

『心配してくれてありがとよ、だが大丈夫だ。こんなモン潰したぐらいでヘバる程、俺はヤワじゃねえよ。今の俺がやるべきことは、お前らを安全な場所へ行かせる事だ。自分の怪我とか考えてられるか』

 

そう言うと、女子生徒は顔を真っ赤にした。あれ?何か変なこと言ったか?まあ良いや。

 

先ずはゴールドウィングのセンサーで、向かい側に人が居ないことを確認する。

それから1メートル程離れて腰を落とし、右手に拳を作り、それを大きく振りかぶる。

そして短い助走区間を利用して勢いをつけ、ゲートの中央部目掛けて振りかぶった右手を砲弾の如く振るった。

 

『《帝王拳》!!!』

 

そうして振るわれた拳は、物凄い轟音と共にゲートに巨大なクレーターを作った。

拳が当たった部分には、くっきりと跡がついている。てか、責任は学園側が取るんだよな?

もう知らないよ?ブッ壊しちゃうよ?止めるなら今だよ?

なんて思いつつ、俺はもう一発、《帝王拳》を喰らわせてやった。

今度は、完全にゲートを吹っ飛ばした。4メートル程吹っ飛んだ後、物凄い轟音と共に地面に叩きつけられたゲートは、俺が拳をぶつけた部分から、ベキャリと弧を描くようにしてひん曲がっていた。

 

『ふう、2発で吹っ飛ぶたァ………………脆いな』

 

俺はそう呟き、呆然としてる女子達に向かって言った。

 

『さあ、お前ら!ゲート吹っ飛ばして避難口の確保しといたぞ!さっさと逃げな!』

 

そう言うと、我に帰った女子達が次々に出ていく。中には何度も頭を下げながら出ていく女子も居た。

 

そして俺は、避難口1ヶ所確保と通信を入れ、瞬間移動でアリーナへと転移した。

あのブリキ野郎を木っ端微塵に吹き飛ばしてやらなきゃならんからなあ!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告