IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第四十四話~帝王死す!?いやいや、生きてますから~

「よお、イワン。久し振りだな」

「ああ、フェルディナンド。お前、全く変わってねえな」

 

6体の未確認機が、まるで唖然としているかのように動かない中、俺とイワンは、互いの再開を喜んでいた。

え?それにしてはテンション低い?昔からこうなんだよ、いーでそ、別に。

 

 

「んで、どうすんだコレ?」

「あ?」

突然言い出したイワンに、俺は間の抜けた声を出す。いや、だからなと言葉の出だしを付け加え、イワンは6体の未確認機を睨みながら言った。

 

「あの泥人形みてえなブリキ野郎共の始末だ」

 

そう言われ、俺は6体のブリキ野郎共を見やる。するとソイツ等は、一斉に武器を此方に向ける。てか、あの兎め………………そんだけ俺を殺してえのかよ……………!

 

「まあ、あれに人が居ねえなら、塵1つ残さず消し飛ばしてやらねえか?俺もそうだが、お前もそうしてえだろ?」

 

そう言って、イワンはまた、不適に笑った。

俺はゴールドウィングのセンサーを使い、6体のブリキ野郎共を調べる。

「生体反応無し………………アレ、無人機か」

「ほお~う?む・じ・ん・き、ねえ………………」

 

俺が呟いた『無人機』という単語に、イワンは獰猛な笑みを浮かべながら復唱する。

俺はゴールドウィングを解除し、手をボキボキ鳴らしながらイワンに言った。

 

「なあ、イワン。取り敢えず、3体だけ残して後は全滅してやろうぜ」

「ほう、ならば残り3体には、俺のやり方に付き合ってもらうぜ?」

「良いだろう」

 

そして俺達は、少しの間無人機共を睨み付け、どちらともなく飛び出した。

 

「でりゃァァァァァアアアアアアアアッ!!!」

「ダァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

俺は3体中2体の相手をする。

1体目には《帝王拳》を喰らわせ、次の1体には回し蹴りを喰らわせる。

イワンは、『鬼』という二つ名に相応しい剛腕の一振りで、ブリキ野郎を一撃で地面に叩き伏せる。

起き上がろうとするブリキ野郎の顔面を、イワンは思い切り踏みつける。すると、ソイツの顔面は地面にめり込み、アリーナの地面に3メートルぐらいの亀裂を刻み込む。

 

「ハッ!!たかが機械仕掛けのポンコツが鬼に勝てるとでも思ったか!?ブリキ野郎!」

 

イワン、スッゲー楽しんでやがる。まあ、かくいう俺も、実は結構楽しんでたりする。

 

『ーーーーーッ!!』

「ウワ!このクソブリキめが!」

 

俺がアイアンクローで、2体中の1体を止めていると、残った1体が拳を振るってきた。

おまけに、俺にアイアンクローされてるブリキ野郎が、あろうことかエネルギー砲を、上白沢先生達目掛けて撃とうとする。

「イワン!ブリキ野郎1体を機能停止させてやれ!」

「あいよ!」

 

俺はそう叫び、瞬間移動で上白沢先生達の前に立ち塞がる。

そして、ブリキ野郎はエネルギー砲をブッ放した。

 

「黄昏君!避けるんだ!」

 

上白沢先生はそう叫ぶが、俺は避けねえ。俺は『ナチスの死神』を発動させ、全身から黒いオーラを撒き散らす。そして、顔を少し下に向けながら片手を前に出した。

そのままオーラの一部を手に集め、それは黒い球体となる。

 

『俺の大切な人達を傷つけようとした貴様に与える判決は、《死刑》のみだ』

 

そうして俺は、手に溜めたオーラを光線状にして、一気に放出する。

 

『《DEAD…………………BLAST》!!』

 

そして放たれた黒い光線は、ブリキ野郎が放ったエネルギー砲に真っ正面からぶち当たり、暫くの押し合いの後、ブリキ野郎が放ったエネルギー砲を押し返しながら直進し、ブリキ野郎を文字通り、『跡形もなく』消し飛ばした。

その時に撒き散らされた眩い光が消えると、俺が放った《DEAD BLAST》の威力を物語るように、アリーナの地面の一部が抉れていて、ブリキ野郎が居た場所にはデカイクレーターが出来ていた。

 

「あらよっと!」

そうこうしてるうちに、イワンは残りの2体をブッ壊していた。

そのうちの1体からは、何やら白い、ドッヂボールで使うようボールのような大きさの球体が1個、コロコロと出てきた。

イワンはそれを掴み、暫くマジマジと見ていたが、やがて興味をなくしたのか、俺に投げ渡してきた。

俺は片手で受け取り、後ろに居る上白沢先生に投げ渡した。

 

……………その時だった。

 

「黄昏君!危ない!」

「あ?」

 

そう間の抜けた声を出した瞬間、俺は残していた3体のブリキ野郎共からの、集中砲火と言わんばかりのエネルギー砲を喰らった。

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!遅すぎたか!」

 

黄昏君にエネルギー砲が直撃し、立ち上る黒い煙を目の当たりにし、私、上白沢慧音は、目を覆いたくなるような気分だった。

まさか、黄昏君が、私達を庇って犠牲になるなんて……………!

これを束が知ったら、どうなるのだろうか?

そう思いながら、私は約2年前の事を思い出す。

 

 

 

 

あれはそう、私達が幻想郷から女尊男卑を無くすために、この外界に出てきて設立した八雲重工で、作戦会議をしていた時の事だった。

私達の八雲重工本社は、この学園から少し離れたところにある、比較的大きな島にある。

本社は島にあるので、もちろん外に出れば、砂浜へと出るのだが、その近くの海で何かが不時着したような凄い音がしたのだ。

 

私は、河城 にとり(かわしろ にとり)という発明好きな河童の少女と共に小型の船を出し、近海を調べてみると、何やらニンジンの形をした、ミサイルにも見えるようなロケットが、砂浜から20メートル程離れた場所に着水していたのだ。

小柄且つ、泳ぎの上手いにとりが船から降り、ニンジン型ロケットに近づく。ハッチと呼べるようなものが無いのか、ロケットの乗員は一向に出てこない。

業を煮やしたのか、にとりは大型の何かを持ち出し、ニンジン型ロケットを真っ二つにするかの如く切り開いた。

そして、中に居たのが束だった。

 

気絶している束を本社に連れ帰り、仮眠室で寝かせていた。

そして、束が目覚めた時の第一声が、

 

「……………私を殺して」

 

だった。

 

それから、束は錯乱したかのように暴れ出したので、永琳が作っていたらしい麻酔薬で再び眠らせた。

それから再び目覚めた束は、さっきと比べて大分落ち着いていたので、詳しく話を聞かせてもらった。

 

曰く、織斑春馬という、織斑先生の弟の一人が死んだそうだ。

彼は、所謂『比べられる子』という感じで、それなりの学力、身体能力はあったのだが、姉である織斑先生や、双子で生まれた弟、織斑一夏と織斑秋彦と比べれば劣るため、『織斑家の出来損ない』と呼ばれていたんだそうだ。

 

そしてその日、モンド・グロッソというISを用いた世界大会があり、それに出場した織斑先生の応援に、春馬君も行ったのだが、何者かによって拉致・監禁されたのだと言う。

誘拐グループは、春馬君を解放する見返りとして、織斑先生の棄権を要求。

だが、織斑先生の答えは拒否。それどころか、『そんな弟は居ない』とまで言って、一方的に電話を切ったのだ。

それを傍受していた束が怒り、現場に急行したのだが、其所で見たのは、燃え尽きた自動車、焼死体、春馬君のものだと思われる荷物ケース。そして、当時の専用機、暮桜を纏ったまま座り込む織斑先生の姿だったのだ。

 

それを見た束は織斑先生を問い詰めたが、見苦しい言い訳に嫌気が差し、そのまま織斑先生を見限ったというのだ。

だが、束自身も彼に冷たい態度をとった手前、彼が死んだ今、謝りようもなくなったため、そのまま海に落ちて自殺しようとした、というのだ。

 

それから何とか説得して思い止まらせ、束を八雲重工に引き入れたのだ。

 

それから約2年、春馬君と瓜二つの青年が、ISを動かしたという情報が入った。

それが黄昏君だ。

 

彼の顔を見た束は、『はる君が生きてた!』と大喜びしていた。私達としては、ただのそっくりさんとしか思えなかったが。

 

そして今、その彼は立ち上る黒い煙の中だ。

 

そもそもこの無人機達は、束が織斑先生や織斑兄弟、篠ノ之箒へのお仕置きとやらのために向かわせた筈。

それがまさか、対象外だった黄昏君をも攻撃し、挙げ句の果てに死なせてしまうとは……………

 

美鈴や早苗、鈴仙はショックで泣き叫び、長谷川先生や永琳は、あまりの事態に何も言えずにいる。

私達が応急措置をしていた、ユリエ・シグトゥーナやリーリス・ブリストルは、顔全体を手で覆っている。

 

私達の誰もが、黄昏君の死を悟った。

 

 

だが、それはあっさりと振り払われた。

 

 

突然、強風が吹き荒れ、先程まで立ち上っていた黒い煙が一瞬にして吹き飛ばされたのだ。

それと同時に眩い光が撒き散らされ、光が消えた時に私達が見たのは……………………

 

 

 

 

 

『少しは効いたぜ………………だが、俺の大切な人達を泣かせやがったんだ、覚悟は出来てンだろうなァ?クソブリキ野郎』

 

 

全身に燃え上がる炎のようなオーラを纏い、3体の無人機のエネルギー砲の直撃を受けたのが嘘のように、ISを纏ってもいないのに無傷で立っている黄昏君の姿だった。

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