IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中) 作:弐式水戦
さてさて、あれから俺は、眠気に身を任せて寝てしまったようで、目が覚めた時には既に、日が傾いていた。
横を見れば、未だに夢の中に居るMs.シグトゥーナが、スヤスヤと寝息を立てている。
出来ればもう少し寝かせてやりたいが、時間が時間なため、俺は軽く揺すって、Ms.シグトゥーナを起こした。
まあ、かなり寝惚けているので、俺がおんぶして行くことになったけどね。
そして今、俺はMs.シグトゥーナをおんぶしたまま、寮に戻ってきた。
「あら、狂夜じゃない。奇遇ね」
其所で俺は、Ms.ブリストルに会った。
汗かいてるのを見る限り、ISの練習でもしてたんかな?
「よお、Ms.ブリストル」
そう思いながら、俺は返事を返す。
ん?そう言えば………………
「なあ、Ms.ブリストル。Ms.シグトゥーナにも言えたことなんだが、二人共、怪我の方はもう良いんだな」
「ええ、軽い捻挫だったから、昨日は一日中安静にしてたのよ。それで八意先生に、もう動いても大丈夫って言われたのよ」
「ヘぇ~。んで、何の練習してたんだ?」
「勿論ISよ。いつか専用機を貰える代表候補生になるためにね」
話によれば、一応Ms.ブリストルはイギリス代表候補生ではあるが、専用機が無いらしい。
代表候補生になる時期や腕の良さが、オルコットよりも遅れていたのが理由だそうだ。んで、今は専用機を貰うべく、奮闘中なんだとさ。
「お前さんは努力家ですなあ。その目標に向けて頑張るって志は、俺も見習わねえとな」
「何よ、照れるじゃない」
そう言って、Ms.ブリストルは頬を赤く染める。案外可愛い。
「そ、そう言えばアンタ、なんでユリエをおんぶしてるのよ?」
「ああ、それはだな………………
~少年説明中~
………………という訳なのさ」
「ヘぇ~」
俺は、Ms.シグトゥーナと校舎裏でのんびりしていた時のことを話した。『帝王拳』や『宿命の砲火』、『帝王の覇気』をどうやったら出来るのか教えてくれと言われたりしたことを話したのだが、何故か二人で寝てしまったことを言うと、Ms.ブリストルは羨ましそうな表情をしていた。
何故だろうな?
そう思っていると、唐突にMs.ブリストルが口を開いた。
「そう言えばアンタ、なんで私やユリエを呼ぶ時は名字なのよ?おまけに、ご丁寧に『Ms.』まで付けて」
そう言うMs.ブリストルは頬を膨らませ、不満げな表情をしていた。
「何時もアンタと居る二人はあだ名で、八雲重工の二人は名前で呼んでるのに、私やユリエが名字じゃ、何か仲間外れみたいじゃない」
そう言って、Ms.ブリストルはプイッと顔を背けてしまった。
「リーリスの言う通りです」
「どわっ!?お前何時から起きてたんだ!?」
「リーリスが名前で呼ぶように言った辺りからです」
その辺りから起きてたなら、はよ言えや!
なんて言いたい気持ちを何とか抑え込み、俺は苦笑いで済ませた。
そうしてる間にも、Ms.シグトゥーナは俺の背中から降り、俺の前に立つ。
「私達も名前で呼んでください」
そう言われ、俺は少し考える。
この二人は女尊男卑思考に染まった奴じゃねえし、織斑ツインズのような奴等でもない。なら、別に名前で呼んでも良いかな。
「分かった。んじゃ、これからもよろしく頼むぜ。ユリエ、リーリス」
「「はい(ええ)♪」」
そう言う訳で、俺が名前で呼ぶ友達が、二人増えました。
「成る程、私達がペパロニ達と女子会してる間に、そんなことがあったのね……………」
「おまけに明日、彼女等とお出掛けとは、随分と親しい関係になったのですね、マスター」「さらに、ユリエ・シグトゥーナとやらとは、ベンチで一緒に寝たって言うじゃない」
その夜、俺は我が相棒達から尋問を受け、ペパロニやアンチョビの部屋に逃げようとしたのだが結局捕まり、その夜は3人に抱きつかれて寝ることになり、中々寝つけなかったことを、余談ながら記させていただこう。
さてさて、あの尋問と精神の拷問の夜から一夜明け、迎えた土曜日の朝、俺は朝早くに起きた。その理由は簡単だ。今日は朝早くに起きて、暫くぶりのツーリングをしようと思ったからだ。そんな訳で外出届を書いて、普段着となっている作業着に着替え、外出届を上白沢先生に提出する。
その時に、ちょうどユリエとリーリスの二人に会った。どうやら二人は何処かに出掛ける予定だったらしい。成る程と頷いて、そのまま出掛けようとしたのだが、ユリエとリーリスに引き止められ、何処に行くつもりなのかを聞かれた。
適当にツーリングすると答えると、何故かついて来ないかと誘われ、そのまま二人と一緒に出掛けることになった。
因みに、ユリエは制服、リーリスは水色のワンピースだった。
「んで、何処に行くんだ?」
学園を出て、モノレールに乗ったのだが、行き先を知らされていない俺は、何処に行くのかを尋ねた。
「駅前のショッピングモール『レゾナンス』よ」
へぇ~、そんな所があったんか、全く知らんかった。
「何か買ったりするのか?」
「ええ、ユリエの服をね」
聞けば、ユリエは私服をあまり持っておらず、部屋では大概、Yシャツと下着だけで過ごしているんだとか。
流石にそれでは、何時かは風邪を引きかねないと思ったリーリスが、以前から服を買いに行こうと、ユリエに提案していたんだそうだ。
「それで、アンタを誘ったって訳」
「いや、それでって言われてもなあ……………つか、そんなだったら俺じゃなくても、お前らの男友達でも誘えば良かったんじゃねえのか?」
俺はそう言ってみるが、リーリスは首を横に振りながら言った。
「嫌よ。と言うより他の男共、私達を自分達のアクセサリーか何かと勘違いしてるのよ?そんな奴等と一緒に買い物なんてしたくないわ」
「はぁ…………………」
まあ、リーリスやユリエは可愛いし、リーリスに至ってはイギリス代表候補生だ、そんな奴を彼女にしたいと思うような奴は腐る程居やがるだろうよ。
なんて考えていると、俺達を乗せたモノレールが駅に着く。
それから暫く、ショッピング街を歩いていたんだが、横を歩いていたユリエが唐突に口を開いた。
「その辺り、狂夜は良いですね」
「何が?」
「私達を、ありのままの姿で見てくれることですよ」
そう言って、ユリエは微笑んだ。
ああ、さっきの話のことか。まあ、自分をヨイショするための装飾品にされるよりかはマシって意味だろうな。
「さあ、見えてきたわよ」
そうリーリスが言い、デカイショッピングモールを指差す。
どうやらアレが、今日のお出掛けの目的地、レゾナンスだそうだ。余程楽しみにしていたのか、二人は歩く速度を上げていく。
「ショッピングモールなんて、行ったこともなかったな」
そんなことを呟きながら、俺は二人を追った。
「…………………ウワー、こりゃスゲエや」
先に進んだ二人に追い付き、レゾナンスに入った俺は、思わずそんな感想を口にする。
矢鱈と幅が広い道を挟むかのように、様々な店が並んでいる。服やアクセサリー、CDや本など、エトセトラエトセトラ…………………
「ホラ狂夜、早く行くわよ」
そう言って、リーリスはユリエの手を引いて、服屋へと向かった。
俺も置いてきぼりを喰らわないように、二人を追う。
服屋の前に着くと、俺は外で待ってると言ったのだが、二人に手を引かれ、服屋へと入った。
なんでも、男の意見も参考にしたいんだそうだ。
それから約1時間半、ユリエはリーリスと店員の着せ替え人形と化していた。
ユリエに似合いそうな服を見つけては、更衣室にユリエを放り込み、俺に意見を求めると言うことの繰り返しだったが、 結果的にユリエは、普段着として白の袖無しワンピース、黒の短い袖のついたワンピース。それから寝間着として、ピンクのパジャマを買っていった。
コレで一段落つき、後はレゾナンスをブラブラ徘徊するだけと思っていた俺だが、この後あんなことになろうとは、その時の俺には考えもつかなかった。