IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中) 作:弐式水戦
「さて、次は何処に行くんだ?」
ユリエの服を買い終え、服屋から出た俺達だが、俺はユリエの服を買うこと以外には何も予定を聞かされていないため、その後どうするのかは全く知らんのだ。
「そうね………………どうせだからアンタの服も買いに行きましょうか」
「…………へ?」
唐突に、リーリスは俺の服を買いに行こうなんて言い出した。
つか、何故に俺まで?
「だってアンタ、寮でちょくちょく見かけたけど、大概服装はジャージか今着てる作業着ぐらいしか見たこと無いのよ。多分だけど、それしかないんじゃないの?普段着」
「ギクッ!」
図星を突かれ、俺はギクリと反応してしまう。つか、バレてたのか。今の段階で、俺がジャージか今着てる作業着ぐらいしか普段着がないってこと。
まあ、解体所にある俺の家には、後1着あるんだけどな。まあ、アレは桜花にあげたから実質的に、今持っている普段着は2着だけだな。
「別に俺、今のままの服装でも良いんだけどな。気に入ってるし」
「ナイ、狂夜もちゃんとした普段着を持つべきです」
「そうよ。また出掛ける時も作業着で行くつもり?ホラ、早く行くわよ」
別に新しい服は要らないと言ってみたのだが、二人はそれを許さない。結局俺は二人に手を引かれ、男性用の服屋へと引っ張られていった。
「結局買ってしまった」
「まあまあ、かなり似合っているんだから良いじゃない」
「ヤー、リーリスの言う通りです」
という訳で、俺は結局買ってしまった。
俺が買ったのは、まるでシ○ガ○山の○○ドみたいと言うよりかは、そのものとしか言い様の無い服だった。
「という訳だから、また私達と出掛ける日は、必ずこれを着てくること」
「あいよ」
それから俺達は、ブラブラレゾナンスの旅を楽しんだ。
「いやあ、中々充実した買い物だったわね」
「ヤー」
「だな」
フードコートにて遅めの昼食を食べながら、俺達はレゾナンスでの買い物の感想を言い合っていた。
リーリスはアクセサリー売り場、ユリエはペットショップが気に入ったらしい。
まあ、ブラブラ徘徊してた時、この二人は各々が気に入った場所で、一時間は動かなかったからな。
俺はまあ、ただ二人についていっただけなんだがな。
それからデザート頼んだりしたのだが、その時についてきた炭酸ジュースでユリエが酔うと言ったハプニングに見舞われたりして、帰宅するのが遅れてしまったのは余談である。
「いやあ、すっかり遅くなっちゃったわね」
レゾナンスを出て、モノレールの駅に向かうためにショッピング街を歩いていると、リーリスがそう言いながら、腕時計を見る。針は6時を指していた。
少し暗いのもあってか、俺達ぐらいの学生は少なくなり、代わりに大学生やサラリーマン辺りの年代の人が増え始めた。
中にはチャラチャラした感じの奴等も居る。
俺はそんな人等を見て、溜め息をついた。
「どうしたのよ狂夜、溜め息なんてついて」
横を歩いていたリーリスが心配そうに聞いてくる。
「いやな?この辺りの時間帯、こんな感じの通りを歩いていたら大概…………「や、やめてください!」…………あんな光景に遭遇するんよ」
俺はそう言って、右手でを顔に当て、左手の人指し指で前方を指差す。
「あんなって何…………………成る程、そういうことね」
怪訝そうな顔で聞いてくるリーリスだったが、俺が指差す方を見ると、大体察したようだ。
前方10メートル程先に、3人の男に道を塞がれている女の子が居る。背中辺りまで伸ばされた、ポニーテールとか言われてる髪型で、茶髪を持つ女の子だ。
てか、つくづく思うのだが、今のご時世女尊男卑思考に染まった女がスゲー多いから、下手なやり方したらあっさりと刑務所にぶちこまれて、暫くすればソッコーで社会的抹殺されるという未来を辿ることになるってのに、2月に緑色の髪の毛の女の子にセクハラしようとしていたアホ共もそうだが、よくこんな命知らずが居たもんだ。
悪い意味で尊敬するぜ。
そういや、あの子は今どうしてんのかねえ?元気にやっていれば良いんだが。
てか、山田先生があの時の女の子とスゲー被るんだよな。今度聞いてみるか。
「ホンット迷惑よね。ああいう感じの奴等よ?私やユリエをナンパしてくるような連中は」
なんて考えてると、リーリスがそう言って、汚物を見るような目で3人の男を見る。
ユリエも、表情こそ変えないものの、3人の男を見る目は正に絶対零度。まあ、かくいう俺も、そんな感じの目で3人を見ているんだけどな。
「仕方ねえ、邪魔だし迷惑だから退かすか。ユリエ」
「何ですか?」
「悪いが、暫くコレ持ってくれ」
俺はそう言って、ユリエに俺の服を入れた買い物袋を渡す。ユリエはそれを受け取り、首を傾げながら聞いてきた。
「何をするんですか?」
「まあ見てりゃ分かるさ、行こうぜ」
俺はそう言って歩き出す。ユリエとリーリスも後に続いてくる。
俺達が近づいていくにつれて、女の子と3人の言い争う声は大きくなってくる。
何とか、3人の中の2人の間に出来た僅かな隙間に体を捩じ込ませ、抜け出して逃げようとするも、それに気づいたもう一人が、腕を掴んで強引に引き止める。
「だからさあ、変なことしないから付き合えって言ってるだけだろォ?ちょっとぐらいイイじゃんか~」
「だから、私は急いでいるんです!放してください!」
そう叫び、女の子は掴まれた腕を思いきり振り払った。
だが、力が強すぎたせいか、振り払われた男の腕が、そのまま顔に当たる結果となった。
「オイオイ、何すんだよ?」
「こりゃマジで付き合ってもらわねえとな」
先に手ェ出したのは向こう側だってのに、なんて身勝手な連中なんだ。
通行人は巻き込まれたくないのか、大きく避けて歩き、皆、我関せずを貫いている。
警察ぐらいは呼んでやれよ。この町の人間はことなかれ主義者が多いんだな。
俺は溜め息をつき、足を進める。後ろに居るリーリスやユリエは、かなり不安そうな顔をしている。
俺は一旦立ち止まり、リーリスとユリエの方を向いて言った。
「リーリス、ユリエ、もしあのバカ3人組がお前らに何かしようとしやがったら、俺を置いて逃げろ。連中は俺が何とかする」
「え!?そんな無茶な!」
「狂夜、いくらなんでもそれは………………!」
二人は気でも狂ったかと言わんばかりに詰め寄ってくる。俺は笑って、二人の頭に手を置いた。
「安心しろ、俺はあんなアホ共に負ける程ヤワじゃねえ。大事な存在が傷つくことなく済むなら、どうなろうが構わねえよ。あの事件の時の俺は、その一心だったからな」
「「ッ!?」」
俺がそう言うと、二人は一気に顔を赤く染め上げた。
あ、因にだか、『あの事件』ってのはクラス対抗戦の時の無人機襲撃事件の事だからな?
俺は先に進み、アホ共へと近づく。リーリスとユリエに計画を話している最中に、あっち側も話が進んでいたらしい。アホ共のうちの一人が、女の子を俺が居る方へと突き飛ばしたのだ。
「ヤレヤレ、何がそんなに気に入らなかったのやら。つか、彼奴等精神は子供未満だな」
俺はそう呟きながら、突き飛ばされた女の子を受け止める。
「大丈夫か?」
「は、はい。何とか…………」
良し、どうやら怪我とかはしていないようだ。こうして受け止めてから思ったのだが、結構小柄な女の子だ。
声の感じから、少なくとも子供ではないだろう。
大体、高校生か大学生辺りかな?まあ、それはそれとして………………
「取り敢えずはフロイライン、俺の後ろに居ろ。絶対に守るから」
「ッ!?は、はい」
そうして、女の子は俺の後ろに隠れた。
「オイオイにーちゃん、お前の後ろに居る女の子二人にイイとこでも見せてえのかァ?無理無理!俺等の邪魔したお前は、この場で俺等にボコられて無様を晒す運命なんだよ。さァ、大人しく後ろの女の子を渡しやがれ。それから、よく見れば後ろの彼女等、中々イイ女じゃねえか、俺等にくれよ」
そう言って、一人が汚い笑みを浮かべながら近づいてくる。俺はそれを見て、鼻で笑ってから言った。
「愚かだな」
「あ?」
俺の一言に、俺に近づいてきた男(以降チャラ男1号)は歩みを止め、他二人も此方を見る。
「何が愚かなんだ?アア?」
「テメエの存在自体がじゃ、カス」
俺はそう言って、チャラ男1号に殺気をぶつける。全身からドス黒いオーラを撒き散らしながら、俺はチャラ男3人衆に言い放つ。
『ハエが止まるような速度と汚ェ手で、か弱い女の子に手ェ出そうとしたばかりか、今度は俺の大切なダチに手ェ出そうってか?………………………ふざけてんじゃねえぞクソガキ共』
「「「ッ!?」」」
俺が殺気混じりに言ったことに、チャラ男3人衆が怯んで後退りするが、リーダーみてえなチャラ男1号がでしゃばってきた。
「な、何だよ!別に俺等の勝手だろォが!大体、今時の女共はどいつもこいつもISIS五月蝿く喚いて!気に入らないことがありゃ直ぐ男に理不尽な濡れ衣着せやがって!だったら俺等も仕返しする権利ぐらいあるだろォが!」
「たかが女一人をヤったぐれェで何も変わらねえだろ!ギャーギャー言うんじゃねえよ!」「そうだそうだ!良いからさっさとその女を寄越しやがれ!今から俺等の遊び道具になるんだからよ!ついでに後ろの彼女等二人もだ!」
「ヒッ!?」
チャラ男3人衆は自棄を起こし、好き勝手に喚き始める。正直、聞くに耐えねえ。
コイツ等の勝手な考えで、この女の子が生涯癒えることのないデカイ傷を抱えて過ごさなきゃならねえってのか?
マジでフザけんな。
後ろに居る女の子は怯えて涙目になるし、リーリスとユリエは絶対零度の眼差しでチャラ男3人衆を睨み付ける。
「兎に角!その女3人を寄越しやがれェェェェェェエエエエエエエエッ!!!!」
チャラ男1号が飛び出し、続いて2号、3号って感じに飛び出してくる。チャラ男1号は俺に、残りの二人はリーリスとユリエの方へと向かっていく。
女の子は余程恐いのか、俺が着ている黒シャツをギュッと握る。
俺は手を後ろに回し、女の子の手を握る。
『大丈夫だ、さっきも言ったろ。絶対に守ってやる』
俺はそう言って女の子を抱き上げ、神速とも言えるような速さでで2号と3号を追い越し、リーリスとユリエの元へと向かう。二人各々に、俺の肩に掴まらせ、瞬間移動で寮へと転移した。
『ふう、此処まで来たら安心だな』
俺はそう言って、あのチャラ男1号が好き勝手に喚きやがった時辺りに、気づかぬ間に発動させていた『ナチスの死神』を解除し、オーラを抑える。
転移した場所は勿論、寮の俺の部屋です。桜花達はまたペパロニやアンチョビの部屋にいってるようだ。置き手紙がある。
「え、えーと………………ゆ、ユリエ?私達って一応、さっきまでショッピング街に居たって子とで合ってるわよね?」
「や、ヤー。それが学園の寮に居るなんて………………不思議です」
俺が瞬間移動のことを言ってなかったのもあるからか、リーリスとユリエは、突然変わった風景に戸惑っている。
「あ、あの………………此処は?」
戸惑っている二人を見ていると、俺が抱き抱えっぱなしの女の子が、此処は何処なのかを聞いてきた。
「ああ、此処は俺と、其所の二人が通っている学園の寮さ。これ以上あの場に居ても面倒だからな、此処に転移してきたって訳だ」
俺はそう言って、瞬間移動について簡単な説明をした。すると、いきなりリーリスとユリエが寄ってきて言った。
「それより狂夜?何時までその人をお姫様抱っこしてるつもり?」
「ヤー、早く下ろしてあげた方が良いのでは?」
「そ、そうだな……………(なんで不機嫌そうに言うんだよ)」
俺はそう言って、女の子を床に下ろした。
それから俺達は、女の子の話を聞いた。
話によると、女の子はとある旅館で働いており、買い出しに出てきて帰る際に絡まれたんだそうだ。そういや確かに、何か手提げ鞄持ってたもんな。
その後、俺は女の子改め女性から、何処の旅館で働いているのかを聞き、リーリスとユリエを一旦帰らせた後、女性が働いている旅館へと、瞬間移動で転移した。
「本当にありがとうございました」
「いえいえ、別に大したことはしていませんよ」
女性が働いているという旅館、花月荘に転移した俺達は、旅館の外で立っていた、この旅館の女将さんであるという金髪の美女(←コレ大事)にお礼を言われていた。
その女将さんが言うには、俺が助けたこの女性の帰りがやけに遅いので、心配になっていたんだと。
んで、女性がチャラ男に絡まれていたのを助けたことを女性が女将さんに言って、今、お礼を言われてるって訳だ。
「この子もそうですが、私達花月荘の女は何故か、買い出しに行く度に絡まれるので、今回のようなことは珍しくないんです。私も何度か絡まれましたから」
「あれま………………」
「まあ、気づいた人が警察を呼んでくださったので何とか済みましたが、今回はそうはいかなかったそうですね……………」
「そうみたいですね。まあ、目の前にこんな美人さんが居れば、絡んでくる輩も少なからず居るでしょうな」
「あらあら、褒めても何も出ませんわよ♪」
そう言って、女将さんは頬を赤く染める。横に居る女性も、顔を赤くしている。
5分程経ち、もう夜7時半になっていた。
「あら、もうこんな時間………………あの、よろしければ、お礼と言ってはなんですが、旅館の方で夕食でも如何です?今日は他のお客様もいらっしゃいませんし」
そう言って、女将さんが夕飯のお誘いをしてきた。
「いや、悪いですよ夕食なんて。それに俺も、そんな打算的な考えで彼女を助けた訳じゃありませんし」
「ですが、我々の従業員の窮地を救ってくれたお方に、何もお礼をしない訳には参りません」
参ったな、中々引き下がってくれん。旅館の料理をご馳走してくれるのはありがたいが、流石にそこまでしてもらう訳にはなぁ~…………………
「じゃあ、次来た時の『貸し』って事にしませんか?場所は覚えたから、また何時でも来れますし。取り敢えずは保留って事で」
俺がそう言うと、女将さんは暫く考えた後、了承してくれた。保留で手を打たないかと言った後、自分が学生であることを伝えたのが、意外な効力を持っていた。
「では、何時か必ず、来てくださいね?」
「分かりました。では、失礼します」
そう言って、俺は瞬間移動の用意をする。
「あ、あの!せめてお名前を……………!」
そんな声が聞こえた頃には、俺は既に、瞬間移動で転移していた。
「へぇ~、中々男を見せてくれるじゃねえかよ兄貴」
「ああ、良くやったぞ、狂夜」
寮の部屋に転移すると、其所にはペパロニとアンチョビ、そして桜花達3人が居た。
今日はどうやら、俺の部屋で夕食にするらしく、既に料理が並んでいた。夕食の最中、俺は5人に、今日あった事を話した。
リーリスとユリエの提案により、作業着とジャージに加え、新たに服を買ったことを伝えると、夕食が終わったら早速着てくれとせがまれ、俺は夕食後、俺は例の服に着替えた。
余談だが、今日俺が買った例の服は、自分的にはあんまり似合わないと思っていたが、意外と好評だった。