IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第五十二話~まあ、ある意味コレもデートかな?~

さて、長谷川先生をからかったら話がややこしくなり、なんやかんやで長谷川先生とデートすることになってしまった俺だが、バイクを走らせている今、俺はすごく悩んでいる。

理由は簡単、デートとは男女で何処かに出掛けたりするものらしいのだが、何処に行きゃ良いのか皆目検討もつかん。

昨日、リーリスとユリエとの3人で行ったレゾナンスも1つの候補としてありそうだが、今俺が、我が愛車を走らせている向きは、明らかにレゾナンスとは全くの別方向だ。今更Uターン出来るか。

俺はそう思いながら、とある場所へとバイクを走らせる。

IS学園の直ぐ近くにある海から段々と遠ざかり、内陸部の方へと進み、それから住宅街へと入っていく。

 

両サイドには、似たような形をしていながら、よく見れば微妙に違った形をした家が何件も立ち並んでいる。

そして、忌まわしき織斑家を通り過ぎ、それからさらに走らせること10分、俺は漸く、バイクを停めた。

 

「此処は?」

 

そう聞いてくる長谷川先生に、俺は何とも言えない気持ちで答えた。

 

「黒澤解体所、俺の家です」

「此処がか?」

 

そう言って、長谷川先生は信じられないと言わんばかりに目を丸くしていた。

まあ、無理もない。普通なら、どっかのマンションや一軒家で暮らしている筈なのに、解体所を家とする者が居るんだ、誰だって驚くだろうよ。

 

俺は、一旦長谷川先生にバイクから降りてもらい、解体所の中へとバイクを入れる。

山積みにされたスクラップによって作り出された迷路のような道を進み、俺達は一軒の小屋の前にやって来た。

俺はその隣にバイクを停め、家の鍵を開けようとするが、どうやら主任さんが居るのか、鍵は開いていた。

俺はドアを開け、長谷川先生を中に招き入れる。

 

「ただいま、主任さん」

「お邪魔します」

 

そう言って中に入り、居間に行くと、大阪で有名な舞台劇の番組、よ○○○新○劇が放送されており、それを見ている主任さんが此方を向いて言った。

 

「おー、おかえり狂夜君。元気そうで何よりだよ」

 

そう言って、主任さんは俺達にジュースを出した。暫く一服していると、主任さんがニヤニヤしながら話し掛けてきた。

 

「ところで狂夜君、君の隣に居る女の人は、もしかして彼女かい?」

「いえ、俺のクラスの副担任の先生ですよ」

「長谷川千里です」

俺がそう言うと、長谷川先生も軽く自己紹介する。

 

「これはこれは、何時も狂夜君がお世話になっています」

 

そうして、大人の会話が始まった。やれ学校ではどうしてるとか、兎に角主任さんが俺の親に見えるような会話だった。

 

 

 

 

 

「ふう~ッ!ご馳走さま~!」

「ご馳走さまでした」

「いやいや、お粗末様でした」

 

さて、俺達は先生を交えて我が家で昼食を摂るという、ドラマでよくありそうなシチュエーションでの昼食を体験した。

それから暫くのんびりと過ごし、今は午後2時だ。

 

「さあ、黄昏。デートを再開するぞ」

「ちょっと長谷川先生、主任さんも居るんですから堂々と言わんでくださいよ…………………」

 

そうして立ち上がった長谷川先生の一言で、何とかナアナアに出来そうになっていたデートを再開することになった。

バイクを停めてある簡易的なガレージに着くまで、主任さんに散々弄られながら歩いたんだが、かなり精神的にキツかったぜ。

それから主任さんと別れ、俺達はデートを再開した。

 

 

 

 

 

「さあ、次は何処に行くんだ?私は何処でも構わないぞ?狂夜と居れるならな」

 

バイクを走らせている最中も、長谷川先生からの誘惑は続いた。

何処に行く、か…………………そういや何処に行くか決めてなかったな。

 

そう思いながらバイクを走らせていると、前方に見覚えのある山が見えた。

 

「(お、あの山見るのも久し振りだな)…………よし、あの山に行きましょう。頂上からの眺めは中々のモンですからね」

 

そう言って、俺はバイクを走らせ、山へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう…………確かに、中々に良い眺めだな」

 

さて、頂上の駐車場にやって来た俺達は、ベンチの直ぐ隣にバイクを停め、頂上からの眺めを楽しんでいた。標高約千メートル程度の山から見る眺めも、それなりに良いものだった。

コレもデートと呼べるのかは分からんが、少なくとも楽しんではいるだろうと思い、俺はチラリと、長谷川先生の方を見る。

だが予想は外れ、何故か周囲を見回しながら少しばかり不満そうな顔をしていた。

 

「あ、あの……………もしかして、楽しくありませんでしたか?」

 

流石に不安になったので聞いてみると、長谷川先生は首を横に振って言った。

 

「景色は気に入ったのだが、出来れば二人きりで過ごしたい」

「はあ………………」

 

俺はそう言い、過去にこの山に来た時の事を思い出していた。

 

「(確か、この山には隠し穴的な場所があった筈………………あ!彼処だ!)」

 

俺は閃き、直ぐ様立ち上がってゴールドウィングを押し、長谷川先生を連れて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「どうです?俺が見つけた隠し穴は」

 

俺が長谷川先生を連れてきたのは、少し茂みの中を進んだところにある芝生のスペース。その中で一際目立つ大きな木。その影となっているスペースが、俺のお気に入りの場所だ。

まあ、茂みの中を進んだところにあるので、残念ながら眺めを見ることは出来ないがな。

 

「中々良い所ではないか、気に入ったぞ」

 

長谷川先生もご満悦のようだ。残りの時間を此処で過ごそうと提案すると、長谷川先生も乗り気で、あっさりと承諾された。

 

俺達は芝生に座り、木の根の辺りにもたれ掛かって過ごそうとしたのだが、俺が木に背を預けようとした時、長谷川先生に止められた。

 

「お前の枕はその木ではない、此処だ」

 

そう言って長谷川先生は、此処に頭を乗せろとばかりに膝をポンポンと叩く。所謂、膝枕をしようと言うのだ。

まあ、IS学園に入るまでの生活で、何度も桜花に膝枕してもらっていたから、される事自体には何の戸惑いもないのだが、その時、桜花が常に和服を着ていたから良かったのだが、先生の服装は、何時ものタイトスカートだ。流石に気まずいので断ろうとしたのだが、『デートなのだから構わないだろう?』と言い切られ、結局膝枕してもらうことになった。

 

人間という生き物は不思議なもので、たとえ慣れない空間に放り込まれても、暫くすればすんなり馴染んでしまうというように、俺もすっかり、膝枕を堪能するまでになってしまっていた。

おまけに、あまりの心地よさに眠気まで感じてしまう始末。なるべく眠いのがバレないようにしていたが、やはりと言うか何と言うか、結局はバレてしまった。

 

「何だ、眠いのか?ならば寝てしまえ。まだ3時にもなっていない、時間は十分ある」

 

そう言って、長谷川先生は俺の頭を撫でる。

それから、俺の記憶は暫く飛んでいる。恐らく、寝てしまったんだろうよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ヤレヤレ、やっと眠ったか」

 

狂夜がスヤスヤと寝息を立て始めたのを確認し、千里は茂みに向かって言った。

 

「さて、いい加減に出てきたらどうだ?」

 

千里が言うと、茂みがガサガサと揺れ、其所から一人の女性が現れた。

金髪のロングヘアを持ち、西洋風のドレスを着てナイトキャップをかぶり、薄い桃色の日傘を差した女性だった。

 

「あまり警戒しないでくださいな、別に貴女方に敵意はありませんわ」

 

女性はそう言いながら近づいてくると、千里の隣に腰かけ、狂夜の寝顔を覗き込んだ。

 

「慧音達から聞いたのよりは、随分とギャップがあるのね。試合の時は結構男を見せてくれたらしいけど………………彼の居るクラスの副担任として、その辺りはどうお考えなのですか?」「さあな…………………ところで、上白沢先生の事をよく知っているようだが、誰なんだ?」

「あら、コレは失礼」

 

そう言って、女性は千里の方を向いて言った。

 

「八雲重工社長、八雲 紫(やくも ゆかり)です」

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