IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第五十六話~実習と夜中の事件~

「では、各グループ訓練機を取りに来て、実習を始めなさい。機体は、打鉄4機と、ラファール・リヴァイヴ3機だ。はやいものがちなので、使いたい機体があるなら、早めに取りに来るんだぞ」

 

 

そう上白沢先生からの指示が飛び、俺のグループもどの機体を使うかを決める。

 

「んじゃ、打鉄かラファール・リヴァイヴで使いたい機体がある人は居るか?」

 

俺はグループの女子達に尋ねる。特にコレと言った好みなどはないらしく、比較的短めな話し合いの末、ラファール・リヴァイヴを使うことに決まった。

 

「あいよ。んじゃあ、取りに行ってくるからちょっと待ってろ」

俺はそう言って、ラファール・リヴァイヴを取るべく、山田先生と長谷川先生が立っている場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、ラファール・リヴァイヴですね?分かりました」

 

山田先生がそう言うと、長谷川先生が1番右端のカートを指差して言った。

 

「では、あのラファール・リヴァイヴを使え。それから………………」

 

そう言いかけ、長谷川先生は俺に近づいてきた。そして、俺の頭に手を置き、撫でながら言葉を続ける。

 

「お前のグループが、取りに来るのが1番早かったぞ。よくやった」

 

まあ、褒めてくれるのは純粋に嬉しいのだが……………

 

「そんなんで一々撫でないでくださいよ」

 

流石に高校生にもなってあの扱いは……………ねぇ?

 

俺はそう思いながら、長谷川先生の手を退ける。それを見た長谷川先生は、何故か微笑ましげな表情で言った。

 

「何だ、反抗期か?可愛い奴だな」

 

もうアンタ病院行ってこいや!頭ン中どーなってんのか見てもらってこい!

そうツッコミを入れたくなったが、それを何とか堪えて長谷川先生の前を通り過ぎる。そして山田先生の前を通り過ぎようとした時、山田先生に止められ、耳元で

 

「今日は手加減してくれてありがとう」

 

そう囁かれた。俺的には、まさか礼言われるなんて思いもしなかったので、取り敢えずはどういたしましてだけ言って、カートを押していった。

 

 

 

 

 

 

そんな訳で、ラファール・リヴァイヴを乗せたカートを押してきた俺は、早速実習を始めようとしていた。他のグループは、チラホラと使う機体を決めたらしく、ワラワラとカートを取りに行き始めている。

そう考えると、このグループは用意とかが早く済みそうだ。

 

「そんじゃ、出席番号順から、装着と起動、歩行までやろう。1番目は誰だ?」

「はいはいはーい!」

 

一際元気な声が聞こえた刹那、ショートヘアの女子生徒が現れた。

 

「1年1組、出席番号1番、相川清香!ハンドボール部です!趣味はスポーツ観戦と、ジョギングです!よろしくお願いします!」

 

そう言って、相川さんは右手を出してくる。それから相川さんの方を見ると、ニコニコしたまま此方を見ている。

 

これ、もしかして握手か?

 

そう思った俺は、取り敢えず相川さんの手を取った。

 

「ああ、此方こそよろしくな。んじゃあ、ISの装着から始めようか」

「はーい!」

 

そうして、相川さんはラファール・リヴァイヴのコックピットに乗り、装着する。起動も問題なし。

 

「よし、じゃあそのまま軽く歩いてみ」

 

そう指示を出すと、相川さんはゆっくりと歩き出した。少し動きはぎこちなかったが、それでも歩行については何の問題もなかった。

 

「よーし、んじゃあ、次の人に交代だ。お疲れさん」

 

そんな感じで、実習は進んでいった。美鈴や早苗のグループに入ったペパロニやアンチョビが一番スムーズに動かしていたんだが、あまりのスムーズさに皆ビックリしてたぜ。

 

そして残りも少なくなり、残りが布仏さんとユリエ、そしてリーリスだけになった時だった。

 

「黄昏君、終わったよ」

「あいよ。お疲れ矢田さん……………あ」

 

「?どうしたの?」

 

俺の視線の先には、立った状態で解除されたラファール・リヴァイヴがあった。

 

「あ~、皆やってたから言い忘れていたんだがコレ解除する時は少し屈んで解除しないと………「きょーちゃ~ん、届かない~。乗るのムリ~」……………こーなるんですよ」

 

俺がそう言って視線を向けた先には、ラファール・リヴァイヴを背に跳び跳ねながら、コックピットに届かないことをアピールする布仏さんの姿があった。

 

「ご、ゴメンね」

「いや、構わんさ。誰にでもミスはあるモンだから、あんま気落ちすんな」

 

俺はそう思言って励まし、ラファール・リヴァイヴへと近づいた。

確かにコレじゃあ、布仏さんも乗れねえわなあ。さて、どうしたものか…………

 

「何だ?何かトラブルでもあったのか?」

悩んでいると、其所に長谷川先生が現れた。俺が今の状況について説明すると、長谷川先生は暫く何かを考えるような仕草を見せた後、こう言った。

 

「仕方無い。黄昏、すまないがゴールドウィングか打鉄を出してくれ」

 

そう言われ、俺は久々に打鉄を展開する。

 

「んで、どうするんです?」

「勿論、お前が布仏を運ぶんだよ。コックピットまでな」

 

『『『『『エエーッ!!?』』』』』

「おー」

 

既に起動等を終え、見学に入っていた女子からの悲鳴が上がる中、布仏さんは間の抜けた声を出す。

まあ、また矢田さんに装着させて、屈ませるなんて回りくどいやり方するよりかは幾分かマシだもんな。

 

俺は布仏さんに近づき、方膝をついて布仏さんを受け止める態勢に入り、声をかける。

 

「んじゃあ、布仏さん。運ぶから落ちないように気を付けろよ?」

「はーい!」

 

そうして布仏さんは、腕を出している俺に体を預ける。今の体勢は、まあ所謂お姫様抱っこというヤツだな。まさか、俺がやる日が来ようとは思いもしなかったぜ。

 

俺は布仏さんを抱き抱え、PICを操作してゆっくりと地面から離れ、コックピットに乗せる。

 

「えへへ~、ありがとね、きょーちゃん」

「はいはい、どういたしまして」

 

俺はそう言って、空中に留まったまま打鉄を解除する。布仏さんをラファール・リヴァイヴのコックピットに乗せたため、地面から軽く2Mぐらいは浮いているが知ったこっちゃない。

俺は周囲が驚きの声を上げるのも構わず、地面に着地する。

 

「さあ、布仏さん。歩いてみ」

「ほ、ほ~い」

 

そうして、布仏さんも歩き出す。他の女子と比べてかなり上手く、動きに一切のぎこちなさが無かった。

こりゃ、ペパロニやアンチョビ並みに有望な逸材の誕生かな?

 

そうこうしてるうちに、布仏さんが歩行を終わらせた。

……………が!

 

「なァ~んで立ったまま解除しちゃってるのかなあ~?布仏さ~ん?」

「てひひ~。ごめんなさ~い☆」

 

ええい、可愛いなあコンチクショウ!

 

 

「狂夜、私にもお願いします」

「勿論、私にもね?」

 

ホント、どうしてこーなった?

 

俺はそう思いながら、山田先生や長谷川先生、美鈴や早苗に膨れっ面で睨まれながら、気まずい実習を進めていった。

運ぶ最中にリーリスが誘惑するかのように絡んできたが、取り敢えず流すことにした。

ユリエの場合?まあ布仏さん運ぶ時の感覚でいけば余裕でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

あー疲れた~。やっぱあんな実習は心臓に悪いぜ。

 

「マスター、お疲れ様でした」

「ホラ、私が膝枕してあげるから、此方来なさいよ、主」

「ちょっと氷華、抜け駆けしてんじゃないわよ」

 

そんなこんなで時間は流れ、今は夜。俺はベッドの用意を終わらせた後、校舎裏のベンチで寛いでいた。それから、桜花、氷華、葛城が座り、ベンチは少ししかスペースが残っていない状態になった。

 

今日は満月の日、季節は違うが、俺達黄昏ファミリーは、季節外れのお月見をしていた。

俺がのんびりと寛ぎ、桜花、氷華、葛城の3人が、何だかよく分からん言い争いを繰り広げる。

寮の部屋以外、こうして家族揃ってのんびりする時間など、無かったからな。

詰まる所、久々の家族での団欒だ。俺は忙しい学園生活で忘れかけていた、我が相棒達との時間を、コレでもかと言うほど満喫していた。

 

そうこうしてるうちに、消灯時間が近づいてくる。まあ、俺には瞬間移動があるので、別に消灯時間過ぎても平気なんだけどな。

もう暫くのんびりしていようと話をしていると、俺は何者かの気配を感じた。

横を見ると、どうやら3人も気づいているようだ。辺りを警戒している。

 

「3人共、戻れ」

 

俺がそう言うと、桜花達3人は、直ぐ様ヘッドフォンや籠手へと戻っていった。

そうしている間にも、その気配はどんどん近づいてくる。

 

俺は瞬間移動を使い、簪や布仏さんを罠に掛けるときにやったように、自販機と倉庫らしき建物の間に転移し、ちょうど真ん前にあるゴミ箱に身を隠す。

足音が未だに聞こえる。音からして、人数は一人。こんな消灯時間が迫っているこんな時間に、一体誰が出回っているのだろうかと、そんな興味が出てくる。

 

取り敢えず、学園の関係者であることには間違いない。俺は気配を消し、足音を立てないように瞬間移動でゴミ箱の前に転移する。

そして、相手にバレないように気をつけながら、自販機の影から顔を覗かせる。

其所で見たのは………………

 

 

「(………………上白沢先生?)」

 

そう、我等が1年3組担任、上白沢慧音先生だったのだ。

それを見た俺は、意外だと目を丸くした。別に上白沢先生の趣味がどうだとかではないが、まさか先生も、季節外れのお月見を楽しみにいているとは、何だか親近感が湧いてくる。

 

取り敢えず、俺は一家団欒とお月見を十分楽しんだので、寮の部屋に戻って寝ようかと思い、瞬間移動を使おうとした。

その時、事件は起こった。

 

「(オイオイオイ、何だよありゃあ?………………アレ………………上白沢先生……………なんだよな?)」

俺の視界が、姿が変わった上白沢先生を捉えた。

 

水色の髪の毛は緑色に変色し、何時も着ているドレスのような青い服も緑色に変わる。おまけに頭から二本の角が生える。

さらに、時折見掛けた灯籠のような形をした帽子が消え、代わりに角の片方にリボンが付けられる。

 

オイオイオイ、マジで何がどうなってんだ?こんなん転生前に出会った神様からも聞いてねえぞ!?

 

俺はそう思いながら、取り敢えず目の前に居るナニカが上白沢先生なのかを確認すべく、一歩踏み出そうとした、その時だった。

 

---バキッ!

 

「ヤベッ!」

「ッ!?」

 

踏み出した時に暗闇故に落ちていた枝に気づかず踏み折ってしまい、さらにはそれで声を出し、完全に気づかれてしまった。

 

「た………………黄昏君………なのか?」

 

はあ~あ、バレました\(^o^)/オワタ

 

ヤバイ、マジでどうしよう?((((;゜Д゜)))

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