IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第五十八話~何か妙な感じのする日常回~

「ぬあ~………………………眠いィ…………」

 

さて、部屋の窓から見える日の出の観賞を楽しんだ俺は、制服に着替えて学食に向かっている最中なのだが、あの話し合いからずっと起きっぱなしだった事のツケが今頃になって回ってきたのか、部屋から食堂に行くまで兎に角眠く、フラフラしながら歩いていた。

あの話し合いですっかり眠気は飛んでたから、1日ぐらい寝なくても大丈夫だろ、と半ば高を括っていたが、まさかこんな結果になるとは思いもしなかったぜ。

 

なんて思いながら、流石にフラフラ状態に耐えかねた俺は、入学当初はちょくちょく世話になっていた休憩スペースのソファーに座り、少し休むことにした。

そのままうつらうつらとしていた時、話し掛けてくる人が居た。

 

「あら、おはよう狂夜」

「おはようございます、狂夜」

「んあ…………………?」

 

寝ぼけ眼と言うよりは、ほぼ閉じている目を擦って何とか開け、自分に話し掛けてきた人物を視界に捉える。

 

「ああ………リーリスとユリエか……………よッス」

「どうしたの?凄く眠そうよ?」

 

眠さのあまりに目が開いたり閉じたりしながら挨拶すると、心配そうな顔をしたリーリスが顔を近づけてきた。

 

「ああ…………昨日は寝つけなくてな、全く寝てないんだわ」

 

俺はそう言って、またフラフラと体を揺らす。

 

「狂夜、今にも寝そうです」

 

ユリエも心配そうに言う。それを聞いた俺は欠伸を1つすると、重い腰を上げた。

 

「さあて……………取り敢えず食堂に行かねば…………飯抜きでの学校になっちまう…………二人も早めに食堂行っといた方が良いぜ」

 

俺はそう呟き、フラフラしながら歩き出した。

欠伸は何度も出る。眠い、兎に角眠い。

 

そんな調子でフラつきながら歩いていると、後ろから追ってきたリーリスが、いきなり俺の左腕にリーリスの右腕を絡めてきた。

 

「…………リーリス?」

 

左腕がふさがり、空いた右腕で今にも閉じそうな目を擦りながら、俺は左にいるリーリスの方を向いた。

リーリスは1度俺を見ると、少し顔を赤くしながら顔を逸らして言った。

 

「き、今日は特別よ。今のアンタの歩き方、フラつきまくりで危なっかしいから見てられないのよ」

 

そう言って、リーリスは顔を俯かせた。

普段何処と無く勝ち気なお嬢様的なキャラだったから、こんな感じで誰かを気遣うのには慣れてないんだろうな。

 

「…………ありがとさん」

「ッ!? べ、別にお礼を言われるようなことはしていないわよ………」

 

そう言って、リーリスは元から赤くなっている顔を、さらに赤く染め上げた。

それからリーリスは、絡めている腕に力を入れ、俺をリーリス側に引き寄せる。

 

「こ、コッチの方が、アンタを食堂に連れていきやすいでしょう?」

どうだろな?

 

等と考えていると、今度は、いつの間にか右隣に居たユリエが、ダラリと垂れ下がった右腕に、左腕を絡めてきた。

ユリエはこの3人の中では一番小柄だが、それでも俺の右腕に抱きついて、一向に離れようとしない。

 

「わ、私もお手伝いします………!」

 

そう言って、ユリエも俺に引っ付いてくる。何故かリーリスとユリエとの間でスパークが走っている。

この場で喧嘩だとかは流石に避けたいので、俺は歩きに支障が出ない程度に体を揺すり、二人の注意を引く。

そして、二人の視線が此方に向けられた時、俺は漸く覚めてきた目を開け、軽く微笑みながら言った。

 

「二人共、気を遣ってくれてありがとな。もう大丈夫だ」

 

そう言うと、二人は顔を真っ赤に染めた後、ゆっくりと腕を離した。

 

そうして俺達は食堂に辿り着き、3人で朝食を摂ることにしたが、途中からペパロニとアンチョビが加わり、何故かリーリスとユリエが不満げな顔をしていたが、何故だろうな?

そんな感じで、朝の時間は流れていった。

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなで俺達は教室の前にやって来た。リーリスとユリエは1組なので、一組の教室の前で別れ、俺、ペパロニ、アンチョビと言ったいつメンのメンバーで教室に足を踏み入れた。

 

「あ、おはよう黄昏君!」

「ん?ああ、おはようさん」

「き、今日も頑張ろうね?それじゃ!」

 

教室に入るや否や、クラスメートにいきなり話し掛けられた。まあ、入学当初みたいに見下した感じじゃないから良かったが……………それにしてもつくづく思ったのだが、あのクラス代表決定戦以降、他の生徒が俺に向けてくる視線が変わったような気がする。

何と言うか、かなり好意的って感じだ。

それに、まだ寝惚けながら食堂に向かっていた時だって、擦れ違った他の生徒も、何か俺に話し掛けようとしていたようにも見えたし。

う~ん、分からん。

 

「さあ、皆席につけ~。HRを始めるぞ~」

 

そう言って、上白沢先生と長谷川先生が教室に入ってきた。

上白沢先生は俺を見ると、少し顔を赤くしながらも微笑みかけてきた。多分、昨日の一件についてなのだろう。

俺もそれに微笑み返す。すると上白沢先生は、また顔を赤くした。

何か、他の生徒みたいな反応だな。

 

そんなことを重いながらも朝のHRが始まり、それから授業へと洒落込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キング・クリムゾン!と言わんばかりに……………

 

「午前の授業終了!ペパロニ、アンチョビ、学食行こうぜ!」

「おう!」

「それは良い。行こうか」

 

そうしていつメンのメンバーを誘う訳だが、今日は追加メンバーも誘うとしよう。

 

「美鈴、早苗、お前らも来るか?」

 

俺が呼ぶと、二人は嬉しそうに近づいてきた。

 

「はい!勿論です!」

「誘ってもらえるなんて、嬉しいです!」

 

スゲー喜びっぷりだなあ、なんでこんなにも嬉しそうなんだ?まあ、こんな反応してもらえるのは純粋に嬉しいんだが……………う~ん、分からん。

 

「んじゃ、取り敢えず行こうか」

 

一先ず学食に向かおうと思った俺の言葉を皮切りに、俺達は学食へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………んで、この状況どーなってんの?」

 

そんなこんなで学食に着いた俺達だが、俺は、俺が学食に足を踏み入れた瞬間、殆どの生徒に見られるという状況下にいた。

え、何コレ?滅茶苦茶気まずいんですけど。

 

「ホラホラ兄貴、ンな所でボサッと突っ立ってないで、早く飯食おうぜ!」

「あ、ああ」

 

先に並んでいるペパロニに呼ばれ、俺は訳の分からん視線に晒されながら、ペパロニ達が並んでいる列へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

「……………にしても、この視線の雨はマジで何だ?軽蔑的な視線じゃねえのは分かるんだが……………気まずくて食べにくいぜ」

 

食事中、俺はボソッと呟いた。

あれから昼食としておばちゃんに頼んだオムライスを受け取り、既に席を取っていたペパロニ達に混ざり、そのまま食べ始めたのだが、相変わらず、この視線の雨は止む気配を見せないのだ。

お茶を一口飲み、フウッと溜め息をつくと、俺とはちょうど反対側に座っているアンチョビが少し身を乗り出し、話を切り出してきた。

 

「なあ、狂夜。一応聞いておくが、お前はこの視線についての心当たりは全く無いんだな?」「ああ、そうだが」

 

そう答えると、アンチョビは乗り出していた体を戻し、腕を組んで言った。

 

「お前は知っていると思っていたのだが、知らないか……………」

「ああ、全くな。お前は知ってんのか?」

 

俺がそう尋ねると、アンチョビだけならず、ペパロニや美鈴、早苗までもが頷いた。それから言葉を続けてきたペパロニ曰く、『この学園の女子なら全員知ってる』だそうだ。

 

それでも分からず頭を捻っていると、溜め息混じりにアンチョビが話を切り出してきた。

 

「狂夜、先日のクラス対抗戦での無人機襲撃事件を覚えているよな?」

「ああ、あれは実験中の機体がバグって暴走したって話になったんだろ?」

 

そう返すと、今度はペパロニが話を続けた。

 

「兄貴、あのブリキ野郎共が来た時、アリーナのゲートが勝手に閉まって、生徒が閉じ込められたの知ってるだろ?」

「ああ、アレな。よぉーく覚えてるぜ、あの場に居たし」

 

そう返すと、ペパロニは話を続けた。

 

「だろ?んで、あの時の兄貴の姿がスッゲーカッコ良かったから、皆兄貴に惚れてんだよ♪」

 

そう言って、ペパロニは俺にウインクしてくる。

それにしても、まさかそんな事があったなんてな…………………ただ単にゲートを《帝王拳》でぶっ壊して、それからイワンとブリキ野郎共をスクラップにしてやっただけなんだがな。

 

「その時に兄貴、上白沢先生等を守ったろ?体張ってさ!」

「別に、そんな大袈裟なモンじゃねえんだがなあ……………」

 

あの集中砲火、大して痛くもなかったしな。イワンの技喰らったり戦車投げつけられた時の方が何倍も痛かったし。

前世での親父、まあ、レーヴェ・ポルシェってんだけど、親父からの攻撃は一番痛かったなあ~…………

なんせ、親父は俺の現段階での喧嘩スキル最強クラス、《帝王の覇気》のさらに上を行くし、俺が全力で拳や蹴りを繰り出しても、全部腕組みしながら避けるし。

俺が消えた頃にはかなり高齢な筈なのに、容姿は俺と大して変わらねえチート野郎だしな。

 

 

 

そんな事を考えていると、ペパロニが態とらしく咳払いして俺の注意を向け、言った。

 

「兎に角、そんな訳で皆、兄貴とお近づきになりたいって思ってるって訳さ」

 

そう言って、ペパロニは話を終えた。

 

その言葉に、学食の女子生徒のほぼ全員が顔を真っ赤にする中、俺はオムライス最後の一口を楽しんだ。

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