IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中) 作:弐式水戦
さあ、午後の授業なんて無かったんやと言わんばかりに時間をすっ飛ばし、今は放課後。
俺は、前以てアリーナの使用許可を得ていたので、これからアリーナに向かい、久々の操縦訓練をしようとしていた。
ペパロニやアンチョビもやりたがっていたが、訓練機を予約した順番がまだ回ってこないらしく、観客席にて見物という流れになった。
それからアリーナに向かおうと教室を出て、いざ行かんと歩き出そうとしていると、突然、後ろから声を掛けられた。
「黄昏君、だよね?ちょっと良いかな?」
「あ?」
振り向くと、其所にはフランス君が人懐こそうな笑みを浮かべながら立っていた。改めて見ると、コイツ本当に男か?体つきは若干丸みを帯びているし、声も高すぎる。
怪しいと思いつつ、俺はフランス君に答えた。
「ああ、フランス君か。何か用か?」
「ふ、フランス君って………………まあ、確かに僕はフランスから来たんだけど……………」
そう言って、フランス君は苦笑いしつつ、名を名乗った。
どうやら名前はシャルル・デュノアというらしい。
「ふーん、デュノアな……………まあ良いや。んで、俺に何か用か?」
「うん、今から一夏達とアリーナで模擬戦をしようと思っているんだけど、出来れば、君も参加してくれないかな?」
そう言われ、俺は少し考える。操縦訓練は何時でも出来るにしても、問題はシャルル・デュノアという人間自体にある。
一般的目線で見れば、『中性的な顔立ちのプリンス』となるだろうが、此処はIS学園。
本来なら、女子生徒のみが入学する難関校、その中に、今では四人の男子生徒が在学している。
俺、織斑ツインズ、そしてデュノアだ。
そして、俺はデュノアに、ある疑問を抱いている。
勘の良い方々はお気づきだろうと思うが、先ず最初に、『男性適合者がフランスで見つかった等というニュース等が一切無い上、転入が遅すぎる』という事や、『明らかに体つきが女っぽい』という事だ。
さらに、普通は赤の他人にいきなり『模擬戦するからお前も来いよ』なんて言わない筈だ。もしかしたら、ゴールドウィングのデータを盗ろうとしている可能性が高い。
それらを踏まえると、俺はデュノアを完全には信頼できない。そのため俺は、お誘いを断ることにした。
「すまねえなデュノア、それを受けることは出来ねえ」
「ええ?な、なんで?」
俺が断ると、デュノアが何故か焦ったような表情で理由を聞いてくる。
「悪いんだが俺は今日、アリーナで操縦訓練をしようとしていたところだからな、今急いでるんだよ。また今度な」
俺はそう言って、デュノアに背を向け、歩き出そうとしたが、またしても、何者かによって、その足は止められた。
「そんな断り方はないんじゃないかな?」
振り向くと、其所には織斑ツインズがデュノアの傍に立っていた。
「シャルルは俺達と同じ男子なんだ、交流を深めようとは思わないのかよ?」
等々、ツインズはもっともらしそうな理由をつけ、俺を模擬戦に参加させようとするが、途中から飽きた俺は、『いい加減にしろ』と殺気混じりに睨みながら言って黙らせ、アリーナに向かった。
「ふう、大体はこんなモンか………………次は銃火器の練習でもすっか」
一通りの操縦訓練を終わらせた俺は、アリーナの壁に凭れ掛かり、次の練習の予定を立てていた。
そうしてるうちに織斑ツインズ達がアリーナに到着し、模擬戦を始めた。
結果は両方、デュノアの勝利。にしても操縦上手いなあ~。
それからデュノアは、織斑ツインズにライフルを貸し、射撃の練習をさせていた。
男子にしては、教え方が異常なまでに上手だ。ますます怪しい。
「ねえ、ちょっとアレ、ドイツの第三世代じゃない?」
「あ、ホントだ!なんで此処に?」
「本国では、まだトライアル段階だって聞いたんだけど……………」
デュノアへの不振を募らせていると、アリーナの観客席からいきなり聞こえた女子生徒の声に振り向こうとすると、必然的に視界に入るカタパルトの先端に、真っ黒のISが1機、仁王立ちしているのが見えた。
我が愛機、ゴールドウィングがISのコアネットワークによって出た相手の情報を映し出す。
《ドイツ第三世代型IS-シュヴァルツェア・レーゲン-》…………日本語に訳せば、『黒い雨』だな。
操縦者は、ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツ代表候補生で、ドイツ軍少佐らしい。
前世の俺より階級は一応下だな。多分俺、大将辺りまでいってた筈だし。
「………………織斑一夏、織斑秋彦」
「なんだよ」
敵意を隠すことなく呼ぶボーデヴィッヒに、織斑兄が答えるが、その声には、敵に話し掛けられたような感じで、警戒心等が丸分かりだ。織斑弟も、目を細めてボーデヴィッヒを睨んでいる。
「貴様等も専用機持ちとはな……………ならば話は早い、私と戦え」
「いやだ、理由がねえよ」
「いきなり兄さんや僕に平手打ちした君と、どうして戦わなければならないんだい?少なくとも僕等と君が戦う理由はないと思うんだけどね」
ボーデヴィッヒからの模擬戦の申し込みを、織斑ツインズは冷たい態度で突っぱねる。
つか、人には模擬戦知ろと言っといて、自分等だけそうするのかよ……………理不尽な世の中になったよな、全く。
「貴様等に無くとも、私にはある。さあ、戦え」
「別に今やらなくても良いんじゃないのか?もうすぐクラスリーグマッチがあるんだから、その時で」
そう織斑兄が言うと、ボーデヴィッヒは暫く考えるように目を閉じていたが、次の瞬間には目を見開き、大声で言った。
「あくまでも戦う気はないんだな……………ならば、戦わざるを得ないようにしてやる!」
そうしてボーデヴィッヒは、シュヴァルツェア・レーゲンでの特徴的武装である、右肩にある巨大なキャノン砲を織斑ツインズに向け、周囲の状況など構うことなく発砲した。
「ヤレヤレ、仕方ねえな………………」
俺はそう呟き、ゴールドウィングを展開していないまま、ボーデヴィッヒが放った放談の着弾が予想される地点に瞬間移動で転移し………………
「あらよっ」
砲弾を右手で受け止めた。
「なッ!?」
「「「ッ!?」」」
ボーデヴィッヒは勿論、織斑ツインズやデュノアまでが、驚愕に目を見開いている。まあ、さっき俺は、ISの武装に生身で喧嘩売るような真似したからな、こんな反応されるのも無理ねえや。
さてさて、ちょっくらお説教するか。
「貴様、黄昏狂夜だと言ったな!何故邪魔をs……「お前は何処見て文句言ってんだ?」なッ!?」
ボーデヴィッヒがキャンキャン吠えてる間に、俺は瞬間移動でボーデヴィッヒの専用機の、デカイキャノン砲に座っていた。
それに暫く、ボーデヴィッヒは驚愕のあまりに固まっていたが、次の瞬間には我に帰り、無理矢理俺を振り払う。振り払われた俺は、ボーデヴィッヒの真ん前に降り立つ。
ボーデヴィッヒは、そんな俺を指差し、叫ぶ。
「貴様、どうやって此処に来た!?答えろ!」
俺は、俺を指差して叫ぶボーデヴィッヒに、まあまあと言ってから言った。
「まあ、悪いんだけどさあ、ソイツを教える訳にはいかねえんだよねえ…………ちょっとした修行してその技を手に入れた者の専売特許だからさ」
「そんなもの知るか!良いから早く教えろ!」
俺の言う事に耳を貸さず、ボーデヴィッヒは早く教えろと喚き散らす。
なんかスゲームカついてきた。ちょっくら怒っても良いよね?
俺は軽く飛び上がると、デカイキャノン砲に回し蹴りを喰らわせる。
ベキャリという嫌な音を立てながら、デカイキャノンは前を向いた状態から、斜め後方を向いた状態になった。
いきなりの事に戸惑っているボーデヴィッヒの真ん前に転移し、浮き上がった状態で、俺は言った。
「下手な好奇心は、そのうち身を滅ぼすことになるぜ?ソイツをよぉーく覚えとけ」
「ヒッ!?」
言い終えた時に、少し目付きを鋭くして睨んだからか、ボーデヴィッヒは小さく悲鳴を上げ、2、3歩後退する。
俺はカタパルトに降り立ち、興が冷めたと独り言を溢し、瞬間移動の準備に入る。
「ま、待て!」
ボーデヴィッヒが止めようとするが、俺は再び睨んで黙らせる。
それにより、ボーデヴィッヒが動けなくなったのを確認してから、俺は言った。
「そうだ、ボーデヴィッヒ。もし、そのISのキャノン砲が壊れたりしていたら、俺の部屋に来い。ソイツを壊したのは俺だからな、修理ぐらいはやってやるぜ」
そう言って、俺はアリーナの更衣室に瞬間移動で転移し、制服に着替えると、そのまま寮への散歩に出掛けた。