IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第六十二話~本日は厄介dayである~

さて、何だかんだあって迎えた朝、俺はと言うと……………

 

「一体何がどうなってんだ?」

 

今置かれている状況に戸惑っています。

どのような状況かって?ああ、それはだな……………

 

「んぅ……………狂夜くぅん………」

「んっ…………黄昏………」

 

山田先生と長谷川先生に抱きつかれています。

 

つーかオイ、待て待て落ち着け、状況を見極めるんだフェルディナンド・ポルシェ。取り敢えずは、どうしてこうなってんだ?昨日、山田先生と長谷川先生とで思出話して、それから気づいたら消灯時間過ぎたから、2人のご厚意で泊めてもらうことになって、んで、寝る際に川の字になって寝ただけだった筈だろ?それだけで済むなら、目が覚めたら2人が両腕に抱きついて寝てる筈がないだろ?それから普通に起きるなり起こされるなりして、さっさと朝飯済ませて部屋に戻って、服とか着替えてから学校に行きゃ済むだけな筈ではないか。

 

つーか、何か『筈』って言葉使いまくりだなあ、この言葉中々便利だよな。使用範囲が広いっつーか応用が効くっつーか、もう慣れ親しんだ言葉だと思っていたが中々奥が深そうだなあ、今度辞典とかで引いてみようか中々面白そうだ。そういや辞書の語源って………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、取り敢えず落ち着こう。俺の精神面が大荒れ状態だ。

 

俺は深く深呼吸し、荒れ模様の精神を落ち着かせる。何とか静待ったので、俺は首を捻って部屋の時計を見る。

今は5時半か、起きるにはちょうど良さそうな時間だな。

 

「山田先生、長谷川先生、起きてください」

 

そう言って、俺は軽く体を揺する。両腕はホールドされているため、自分で揺れて、その振動で2人を起こすというやり方なんだが………………

 

「んぅ…………」

「あんっ………………」

 

駄目だコリャ\(^o^)/

 

結局、俺は二人が起きるまでの間、金縛り擬きの時間を味わう羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな訳でさ、大変だったんよ」

 

さて、あれから2人が起きたので、俺は2人が腕から離れた瞬間を狙って瞬間移動で俺の部屋に転移し、大急ぎで今日の制服に着替え、授業の用意を終わらせ、食堂に向かい、いつメンであるペパロニとアンチョビに、昨日の事について話していた。

 

 

「何か、傍から聞いてりゃかなり役得な話にしか聞こえねーんだがな……………」

「ああ、確かにそうだな」

「なんでだよ……………」

 

ペパロニやアンチョビに至っては、何故か役得だとか言い出した。

2人曰く、

 

『あの胸枕で眠るなんて、世界中でも兄貴(狂夜)にしか出来ない』

 

んだそうだ。

 

まあ、そもそも教員の部屋に一晩泊まるなんてこと自体が前代未聞だろうしな。

 

「まあ、ちゃっちゃと飯食って教室行こーぜ。グラウンド100周の刑にされちまうぞ」

「それは嫌だな。早く食べ終えるとしよう」

「そうッスね」

 

そうして俺達は食事のスピードを上げ、真っ先に食べ終えると教室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「お、おはよう黄昏君!」

「ああ、おはようさん」

「き、今日も頑張ろうね?」

「ああ、頑張ろうぜ」

 

教室に入ると、何人もの生徒が話し掛けてくる。それはそれで喜ばしい事なのだが、何故か皆、顔が赤くなっているのが気になるんだがな。

 

「おはようございます、狂夜さん」

「おお、美鈴。早苗もおはようさん」

「はい♪おはようございます」

 

自分の机に荷物を置いていると、美鈴や早苗も話し掛けてくる。

入学当初と比べたら、状況はかなり改善されたなとつくづく思うぜ。なんせまあ、美鈴や早苗は別にするとしても、当時の俺の味方なんざペパロニとアンチョビ、桜花、氷華、そして葛城、後は上白沢先生ぐらいだったもんな。あ、今考えたら結構味方居たんだな。

 

「さあ、皆席に着け~、HRを始めるぞ~」

 

そんなこんなしていると教室のドアが開き、上白沢先生と長谷川先生が入ってきた。長谷川先生は俺を視界に捉えると、誘惑するかのような色っぽい笑みを浮かべた。

 

あ、コレまた今度も何かしらやられるって感じだわ…………( ̄▽ ̄;)

まあ、別に長谷川先生は嫌いではないのだが、今のような笑みはどうも苦手だ。前世で親父やイワンとの喧嘩修行や遊びに明け暮れて、転生してからは桜花達の事にばっか構ってきたツケを此処で払う羽目になるとはね……………

 

そんなこんなありながらも、朝のHRが始まり、それから授業へと洒落込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「さあて、今日は特訓するか」

「おお?兄貴のやる気が上がってるような感じがするぜ」

「そう言えば、狂夜が特訓するなんてかなり久し振りな気がするなあ」

「言われてみりゃ、そうだな」

 

そんな感じで話をしながらも、俺、ペパロニ、アンチョビのいつメンメンバーは、第3アリーナへと向かっていた。

「ん?なあ兄貴、なんか慌ただしく走ってきてる連中がいるぜ?」

「あ?……………あ、ホントだ」

 

ペパロニ言われて振り向くと、1年と思われる女子三人が、バタバタと慌ただしく走ってきていた。

「第3アリーナで代表候補生2人と織斑君が、模擬戦やってるって!」

 

「模擬戦か……………何か嫌な予感がするな………急ぐか」

「「おう(そうだな)」」

そうして、俺達は瞬間移動で第3アリーナへと転移した。

 

 

 

 

 

 

「……………んで、何だよこの状況は?」

「さあ、私に聞かないでくれ」

「アタシにも聞かないでくれよ?状況が全く読み取れねえんだからさ」

 

第3アリーナに着いてからの俺達各々の第一声は、戸惑いを隠しきれないものだった。

俺達の視線の先には、地面に倒れ伏している織斑弟とオルコット、それから、その数メートル先で仁王立ちしているボーデヴィッヒの姿があった。

観客席側には、一般生徒に混じって織斑兄とデュノア、そして篠ノ之箒こと、モップ女が居る。

そう言えば、もうそろそろモップ女の呼び方ちゃんと決めないとな。

 

そんなことを考えていると、立ち上がったオルコットがレーザーライフルをボーデヴィッヒに向ける。

 

「こ、コレでも喰らいなさい!!」

 

オルコットが叫び、レーザーライフルをぶっ放すが、ボーデヴィッヒはあっさりと避けてしまう。

 

「フンッ、この程度の攻撃しか出来ない機体が第3世代型だと?笑わせる」

 

そう挑発気味にボーデヴィッヒが言うと、何時の間にか立ち上がっていた織斑弟が雪片を振りかぶり、雄叫びを上げながら突撃する。

ボーデヴィッヒはそれすら避けようともしない。そのままニヤリと口元を歪めて言った。

 

「貴様のそんな単調な攻撃など無駄だ。私と《シュヴァルツェア・レーゲン》の停止結界の前ではな!」

 

そうして、ボーデヴィッヒは右手を前に突き出す。すると、雪片を振りかぶって突撃していた織斑弟がボーデヴィッヒを斬りつけるスレスレの所で、まるで停止ボタンを押したビデオ映像のようにピタリと止まった。

 

「ありゃ、確かAICだったな……………」

 

動きを止められ、何とか抜け出そうとする織斑弟を眺めながら、俺はそう呟いた。

 

AICについては、この学園に入学する前に桜花と氷華に詰め込んでもらった知識の中にバッチリ残っていた。

 

《アクティブ・イナーシャル・キャンセラー》こと、AIC。《完全停止結界》とも呼ばれるソレは、漢字の読みの通りの意味で、対象とする物体の運動を止めることが出来るという、1vs1では反則レベルに役に立つ、ドイツ第三世代の特殊兵装だ。

 

だが、ソイツには致命的な弱点がある。それは、『対象とする物体に意識を集中させなければ、効果を維持できない』というものだ。そのため、相手が物量作戦で攻めてきたらおしまいだな。

 

トーナメントでは、出来れば当たりたくない相手だな……………

 

 

「酷い!あれじゃSEがもたないよ!」

「ん?」

 

突然聞こえたデュノアの悲鳴に近い声で、俺の意識が現実世界に戻ってきた。

 

「一体何が起き…………………ウッワー、ありゃヒデエや」

「ああ、流石のアタシでもあんだけ派手に潰そうッたぁ思わねえぜ」

「私もだ」

 

視線をアリーナへと向けた俺達は、そんな感想を溢す。

どうやら俺が色々と考え事をしてる間に試合の流れが進んだらしく、織斑弟とオルコットがワイヤーで絞められ、ボーデヴィッヒから一方的なワンサイドゲーム染みた攻撃を喰らっていた。

 

「クソッ!止めろラウラ!止めるんだ!!」

 

織斑兄がそう叫びながら、アリーナのシールドバリアをドンドンと殴り始める。

 

「……………………フッ」

 

織斑兄の声が聞こえたのか、ボーデヴィッヒは此方に視線を向け、不敵に笑った。

どうやら、彼奴は俺達を挑発しているらしい。

 

『やれるモンならやってみやがれよ』

 

みたいな感じでな。

ヤレヤレ、気乗りしねえが、状況が状況だし、あのガキのやってることは些か気に入らねえし、助けに行ってや「うおおおおおおおおおおっ!!」…………あ?

 

いきなり織斑兄の声が聞こえたかと思うと、織斑兄は白式を展開し、雪片でアリーナのシールドバリアをブッ壊し、中に突入していった。

 

「きゃあっ!?」

 

織斑兄がアリーナのシールドバリアをブッ壊した瞬間、観客席から女子生徒達の悲鳴が上がった。

織斑兄がシールドバリアを破壊した時、潰されたバリアの破片が宙を舞ったのだ。それらが細かいものだったら話は別だったかもしれんが、今回のはガラス窓の破片のようにデカく、さらに尖っている。アレが当たったら、少なくとも大怪我は免れない。

 

「ヤレヤレ、少しは回り見ろや、あのガキは………」

 

俺はそう呟き、ペパロニとアンチョビに少しばかり行ってくるとだけ言うと、瞬間移動で女子生徒達の真上に転移する。それから落下しようとしているバリアの破片に向かって、右手から火力を最小限に抑えた《DEAD BLAST》を放ち、破片を塵すら残さず消し飛ばした。

 

「さて、次はあのガキにお仕置きだな」

そう呟き、俺は再び瞬間移動を使い、アリーナの中に入っていった。

 

 

 

 

 

「グッ…………動かねえ…………ッ!」

 

瞬間移動で、今度はボーデヴィッヒの真上に転移してきた訳だが、俺は下の状況を見て呆れていた。

織斑兄が、織斑弟と同じやり方でボーデヴィッヒに捕まっていたのだ。つーか、さっき弟がやられてる場面見てたんだから学習しろやマジで。

 

「フンッ……………所詮は貴様も、其処らの有象無象の1つでしかなかったということか……………ならばもう、貴様に用は無い、消えろ!」

 

そう言って、ボーデヴィッヒがキャノン砲を織斑兄へと向ける。

そして砲弾が発射されようとした時、俺は又しても瞬間移動を使い、今度はボーデヴィッヒのキャノン砲に乗るように転移する。

 

「そこまでにしときやがれや、ガキ」

「貴様、何時の間n………(ガスッ!)…グアッ!?」

 

ボーデヴィッヒが言い終わる前に、俺は振り向いたボーデヴィッヒの顔面を蹴る。その拍子にボーデヴィッヒの集中力が切れ、AICの効果が消えた瞬間、俺はボーデヴィッヒの腹に回し蹴りを喰らわせ、アリーナの壁へと吹っ飛ばす。威力が強すぎたのか、ボーデヴィッヒは勢いよく、アリーナの壁に叩きつけられた。

 

「き……………貴様ァ!!」

 

完全にぶちギレたボーデヴィッヒは、織斑兄がぶち破った事によってできたシールドバリアの大穴と俺が一直線上に居るのも構わず、キャノン砲を撃とうとする。

 

「クソガキが…………『ナメんのもいい加減にしやがれや…………』」

 

俺はボーデヴィッヒの往生際の悪さにキレ、《ナチスの死神》を発動させる。そして瞬間移動でボーデヴィッヒの真横に移動し、キャノン砲をもぎ取った。

ベキャッ!ズドンッ!と嫌な音を立て、キャノン砲の砲身がボーデヴィッヒの機体から強制的に切り離される。

 

「な、何て事を……………!」

 

そう言いながら、ボーデヴィッヒは地面にヘタリ込むが、危機はまだ脱していない。俺がキャノン砲をもぎ取った時、あろうことか弾が暴発、撃ち出されたのだ。

当然、観客席からは悲鳴が上がる。

俺はキャノン砲の砲身を投げ捨て、瞬間移動で観客席側に転移し、砲弾を真っ正面から受け止めた。

 

後ろを向くと、呆然としている生徒が視界に映る。どうやら、皆怪我はしていないようだ。まあ、後で念のために怪我人は居ないか聞いてみようかな。

 

 

そうこうしてるうちに織斑千冬がやって来て、アリーナの惨状を見て溜め息をつきながら、学年別トーナメントまでの、一切の私闘の禁止と、事情聴取のため、織斑兄弟、ボーデヴィッヒ、オルコット、そして俺が呼び出された。

ヤレヤレと首を振りながら、歩き出した織斑千冬一行についていくべく、また瞬間移動を使おうとすると、突然話し掛けられた。

 

「あ、あの………黄昏君…………」

「ん?」

 

振り向くと、其所には女子生徒が4人立っていた。

 

「あ、その…………守ってくれて、ありがとう…………」

 

そう言って、4人は同時に頭を下げる。俺は軽く微笑んで言った。

 

「気にすんな。それよか、誰も怪我してないか?」

「ううん、大丈夫…………」

「そっか……………それなら良かった」

「「「「~~~ッ!?(ボフンッ!)」」」」

 

おろ?なんで皆一斉に顔真っ赤にしたんだ?

…………ま、いっか。

 

「じゃあ、呼び出し喰らってるから行くよ。じゃあな」

 

俺はそう言って、織斑千冬一行が今居る地点に瞬間移動で向かった。

 

 

 

 

 

 

それから、俺達はあれやこれやと聞かれたが、俺には大してお咎めはなかった。

さて、ボーデヴィッヒの機体ブッ壊しちまったからお詫びに修理手伝いに行こ。

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