IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七十一話~ポルシェ一家の大集合!!2つの覚醒!!~

「また、この空間か………………クラス代表決定戦以来だよな、良く考えたら…………」

 

何も見えない、真っ暗な空間で頭や腕から血を流したままの状態で、打鉄を纏った俺は佇んでいた。

今更になって気づいたが、打鉄は最早大破状態だった。

背中に取り付けていた青竜刀や、足や胸元のホルスターに付けていた2丁拳銃は無くなって、打鉄の特徴的な部分とも言える、特徴的な非固定浮遊部位の盾は完全に壊され、綺麗サッパリ無くなっている。

 

他にも、腰を覆う装甲も殆どが砕け、所々擦りむけた、ISスーツ代わりの作業着のズボンが見え、其所からも足から出血している。

あ~あ、コレ消毒液染み込ませたガーゼ当てたらスゲー痛そう。いやや~、アレだけは勘弁してくれェ~(;つД`)

 

…………なんて呑気に言ってる場合じゃねえや。兎に角、此処は先ず何処なのか把握しねえと………

 

そう思った俺は、取り敢えず彼方此方を見渡す。

 

だが、見渡す限り真っ暗な空間で何かが見える訳もなく、収穫は無し。どうしたモンかねえ?

 

 

 

 

 

 

 

 

『~♪』

「(……………ん?歌?)」

 

どうしたものかと頭を悩ませていると、何処からか歌声が聞こえてきた。それも、何故か聞き覚えのある歌声が。

 

「おーい、誰か居るのか~?」

 

そう呼び掛けてみるが、反応は無し。だが、歌声が聞こえた以上、誰かが居るという事には間違いない。俺は声を頼りに、ゆっくりと歩き出した。

打鉄のセンサーにも、この先に何があるのかは映し出されない。センサーすらダメになるような空間なんてあったっけ?

そう思いながら、俺は歩き続ける。すると、まるで真っ暗闇のトンネルから出てきたかのように視界が明るくなる。

あまりの眩しさに一瞬目が眩んだが、いざ目を開けると、俺はそれまで歩き続けていた足を止めた。

 

俺の目の先に広がるのは、無造作に置かれた1つのデカイ岩と、それ以外は辺り一面野原だった。

目を凝らすと、岩の上と横に誰かが居る。

岩の上に居るのは女性で、横に居るのが男性のようだ。

 

俺は再び歩き出したが、相手側の直ぐ近くに来た瞬間、俺は足を止めた。

そして、男の後ろ姿にもしやと思いながら呟く。

 

「その後ろ姿に、その服……………もしかして……………親父か?」

 

そう呟くと、男はフッと鼻を鳴らし、振り向きながら言った。

 

「ヤレヤレ、テメエは父親の後ろ姿も忘れかけてやがるのか?フェルディナンド」

 

こんな荒っぽい言葉遣いをする者など、俺の知る限りではイワン以外に1人しか居ない。

 

我が父親、第1代《ドイツの帝王》にして、俺が消える頃には、《ドイツの覇王神帝》とまで呼ばれた男、レーヴェ・ポルシェだ。

髪型は俺と同じだが、色は銀髪で、イワンのように鋭い目をしている。

うん、間違いない。親父だ。

 

「親父が此処に居るってことは、お袋も?」

 

そう訊ねると、親父はコクりと頷き、目線だけを岩の方へと向けた。

俺も視線を向ける。

 

すると、さっきまで岩の上に腰掛けて歌っていた女性が此方の視線に気づいたのか、歌うのを止め、降りてきた。

 

白い服に赤色のスカート姿、黒と言うよりかは、紺色と呼んだ方が適切な色の髪を揺らし、人懐こそうな顔に笑みを浮かべながら、話し掛けてきた。

 

「久し振りね、フェルちゃん♪」

「お袋、流石にもう、その呼び方は止めてくれよ。俺ももうガキじゃねえんだぜ?」

 

俺はそう言いながら、俺がまだガキだった頃のように抱き締めてくるお袋に離れるように言う。

 

「もう、子供の頃はあんなに甘えてきたのに…………」

 

そう言ってブー垂れるお袋を一旦無視して、俺は親父に向き直った。

 

「そういや、なんで親父達がこの世界に居るんだ?」

「ああ、神様に頼んで、ちょっくら来させてもらったのさ。それにしてもお前、帝王があんなのに負けてどうするよ?流石にアレはねえぞ」

 

そう言って、親父はズボンのポケットから1発の銃弾を取り出し、煙草のように燻らせる。俺と親父、そしてイワンのお決まりのポーズだ。

 

「《第二次大戦の二本角》の一角、《ドイツの帝王》であるフェルディナンド・ポルシェが、あんな粘土野郎にやられかけたとか、元《ドイツの帝王》として恥ずかしいぞ俺は」

「それは悪うございやした~」

 

俺は不貞腐れたような態度を取りながら言った。親父はヤレヤレと首を振ると、別の方向を向いた。

 

「どったよ親父?」

「いや、お出座しだ」

 

そう親父が言うや否や、親父と俺の直ぐ傍の空間が光り始め、その中から桜花と氷華、そして葛城が現れた。

 

「お前等……………」

 

俺がそう呟くと、親父が此方を向き、3人の気持ちを代弁するかのように言った。

 

「さあてフェルディナンド、1つ質問に答えろ。お前はこれから…………………………どうする?」

 

親父のナイフのように鋭い目が、真っ直ぐに俺を見つめる。

 

どうする、か?そんなモン決まってる。

 

「勿論俺は、あの場に戻るさ。そして、あのクソったれた粘土野郎をぶっ潰して、中に取り込まれた戦友を助け出す!」

 

俺はそう言って、真っ向から親父を見返す。暫く睨み合いのような時間が流れる。そして、親父がフッと笑った。

 

「それでこそ、我が誇り高き息子、《ドイツの帝王》に相応しい返事だ………………よし!俺の力を貸してやろう。ちょうど、お前の成長段階はストップしかけてたからな。グッドタイミングってヤツだ」

 

そう親父が言うと、それに続くように葛城が前に出てきた。

 

「さあ、狂夜…………いいえ、フェルディナンド。私も覚醒の時を迎えたわ……………そう、第二形態移行(セカンドシフト)という名の覚醒のね!」

「さあ、行きましょうマスター!」

「今こそ逆転の時よ、主!」

「うおっしゃあ!」

 

そうして、俺は再び、眩い光に包まれた。それに加え、親父から力を与えられながら………………

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッと我に返ると、其所はアリーナだった。俺の目の前では、忌々しき粘土野郎が雪片を振り上げ、今にも俺目掛けて振り下ろそうとしている。

 

そして、雪片が振り下ろされる瞬間、俺は全身の気を高め、その気を一気に放出する。そして、その衝撃波で粘土野郎を吹っ飛ばした。

 

『あ~、良い具合だ……………親父の力っつーからどんなえげつねえモンかと思ったが流石は覇王神帝、その辺りの加減も完璧だぜ』

 

そう言いながら、俺は地面に片膝をついた状態から立ち上がる。頭や腕から血を流したままの状態は相変わらずだが、立ち上がった瞬間に一瞬グラついてからは、大して痛みも感じない。

 

そうしてる間にも、立ち上がった俺の周りを、渦を巻くように風が吹き上がる。

それによって揺らされる黒髪も、俺の気が高まるにつれ、黒髪から親父のような銀髪に変色していく。

身体中から、バチバチと蒼白いスパークが迸り、それはやがて、大破状態である打鉄にも移る。

地面は揺れ、アリーナの地面には亀裂が入り、上空では気流が乱れ、雲の流れが不安定になる。さらに、俺の周囲に何本もの雷が落ち始める。

打鉄のセンサーをチラリと見たところ、もうアリーナには俺と粘土野郎を除いて誰一人としてアリーナには居ないようだ。つまり、思い切り暴れてやれるという事だよな!

 

俺はその事への狂喜に飲まれそうになるのを何とか堪え、一旦深く息を吸う。

そして、1本の雷が一際大きな爆音をアリーナ一帯に響かせた瞬間…………ッ!

 

『ッ!ガァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!!』

 

全身に溜まっていた気を、俺は出し惜しみする事なく放出する。銀色のオーラを撒き散らしながら放出された気は衝撃波となり、其処ら一帯を薙ぎ払っていく。

粘土野郎も吹っ飛ばされ、アリーナの壁に勢い良く叩きつけられる。さらに、アリーナのシールドバリアですら破壊し、粉々に吹き飛ばす。

 

『2代目《ドイツの覇王》の喧嘩スキル、《覇王の逆鱗》だァ………………ド派手に暴れてやるから覚悟しとけやゴルァアッ!!!』

 

そう叫んだ瞬間、打鉄が眩い光を放つ。

さっきの戦闘で失われた装甲等も甦ったり、はたまた取っ払われたりしつつ、打鉄の姿が変わっていく。

 

形態移行前の、日本の武士のような雰囲気を感じさせるようなフォルムとはうって変わって、スマートなフォルムとなる。

深緑の装甲は黒っぽさを強くしたジャーマングレーに塗り替えられ、肩を守るような非固定浮遊部位の装甲は重装甲とばかりに増量され、前より少し高い位置に浮かぶ。鎧のような腰辺りの装甲は取っ払われ、肩の装甲とは反対に機敏そうな雰囲気を醸し出す。

いつぞやの勉強会のついでに見た、アメリカ代表操縦者の専用IS、《ファング・クエイク》とよく似た姿になっていた。

まあ、ファング・クエイクってのは膝辺りが膨らんでいたような気がするが、コイツはスマートな造りだな。そういったタイプは嫌いじゃない。

そして、右の非固定浮遊部位の装甲にはナチス・ドイツの鍵十字が書かれ、左の非固定浮遊部位の装甲には、迸る蒼白いスパークが描かれる。

 

打鉄から撒き散らされていた光が収まると、スクリーンに『第二形態移行完了』という文字が表示される。

 

『さあフェルディナンド、第二形態移行は終わったわ!思いっきり暴れてやりましょう!』『言われんでもそのつもりだ!』

 

そう言った途端、スクリーンにコイツのデータが表示される。

 

名前やらSEやら武装やら出てくるが、ええい、まどろっこしい!!

『取り敢えずブレードだ!それっぽいの寄越せ!!』

 

そう叫ぶと、右手にゴールドウィングのSSによく似た形だが、色が黒ではなく、機体色と同じジャーマングレーのブレードが展開される。

その剣は、俺が今も尚出し続けているオーラに呼応するかのように、銀色のオーラを放つ。

一体何がどうなってんのかは分からんが、取り敢えずは…………

 

『コイツで決めてやらァァァァアアアアアアッ!!!』

 

俺はそう叫びながらブレードを振りかぶり、そのままクソアマモドキ目掛けて突撃し、ブレードを振り下ろした。

 

すると、クソアマモドキのちょうど真ん中から切れ目が入り、中から気絶状態のボーデヴィッヒが現れる。

俺はボーデヴィッヒを抱き留め、ボコボコと音を立てながら形を戻そうとするクソアマモドキ目掛けて、右手に展開していたブレードを収納し、火力を上げた《DEAD BLAST》を放つ。

 

至近距離からの攻撃を喰らったクソアマモドキは壁に向かって吹っ飛ばされ、そのまま勢い良く叩きつけられる。

そして動きを止め、装甲やら何やらが殆どブッ壊れたボーデヴィッヒの専用機、シュヴァルツェア・レーゲンへと姿を変えた。

 

その中で1つ、鈍く光を放った装置のようなものを見つけ、俺はボーデヴィッヒを抱き留めたまま、その装置を拾い上げ、壁に叩きつけて破壊する。

 

『我が祖国よ、コレがフィクションで良かったな』

 

俺はそう呟き、瞬間移動でピットへと戻った。

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