IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七十二話~拉致りに来た?死ぬぞお前等~

「ふむ、訓練機の打鉄が第二形態移行するとは……………これは前代未聞ですな」

「ええ。ドイツの代表候補生相手にあの立ち回り、彼とペアを組んだ女子生徒もそうですが、彼等の実力の向上は止まることを知りませんな」

「それに、ブリュンヒルデの弟ですらも圧倒するとは……………常識外れ過ぎて腰が抜けるところでしたよ」

 

さて、場所を移して、此処はアリーナの外にある広場。

クラス対抗戦の時同様、簡易避難所として使われているこの広場には、観客席から逃げてきた生徒や各国の役人が避難していた。

そして避難してきた生徒や役人達は、屋外用モニターでアリーナの状況を見ていた。

 

VTシステムによって暴走したラウラのIS、シュヴァルツェア・レーゲンにより、狂夜がボロボロになる場面では、殆どの生徒が目を覆っていたが、途中から巻き返す様子を見て、全員が安堵の溜め息をつき、各々クラスの担任の指示に従い、寮へと戻っていった。

そんな中でも、国の役人達は未だに立ち尽くしたまま、狂夜の試合について話し合っていた。

 

ラウラとの試合までに狂夜が経た試合はたった1試合。だが、その1試合での相手は両方共専用機持ち、さらに片方は代表候補生。そんな相手に改造しただけの訓練機で挑み、はたまたペアを組んだペパロニと、IS乗りとしては前代未聞な挙動をして圧倒。

意表を突いて攻撃を仕掛けたシャルルの攻撃により、ペパロニは呆気なくダウンしたが、それでも狂夜は、打鉄に取り付けた追加装備を駆使して圧倒、また、瞬間移動で背後に回り込み、シャルルにはアサルトライフル『焔備』を喰らわせ、一夏には近接ブレード『葵』による攻撃であっさりと撃破、勝利を飾った。

 

ラウラとの試合でも、ペパロニが1人で箒を圧倒、狂夜もラウラ相手に有利に試合を進めた。

そして箒が撃破され、狂夜とペパロニvsラウラでの試合となる。

代表候補生とは言え、抜群のコンビネーションで攻めてくる2人には対応しきれず、ラウラは押される。

そして起こった、シュヴァルツェア・レーゲンの暴走。

 

突然の出来事に、観客席は瞬く間にパニックに陥り、逃げ出す生徒が非常口に殺到する。

途中で一夏と秋彦が現れ、暮桜擬きに襲い掛かろうとするも狂夜に阻まれ、箒を抱えたペパロニによって強制退出。

役人達からすれば、出来ればあのまま、織斑兄弟がどう立ち回るのかを見たかったが、あの様子からして大した事は出来ないだろうと予想を立て、ガッカリしていたのだ。

それに、狂夜も始めは暮桜擬きに押され気味で、さらには重症レベルの怪我を負う始末。

 

そして、誰もが狂夜の死を察した瞬間、狂夜は突然立ち上がり、銀色のオーラを撒き散らし、さらには打鉄を第二形態移行させ、瞬く間に暮桜擬きを撃破、ラウラを見事に救い出したのだ。

 

「織斑一夏が活躍するかと思われましたが、どうやら予想は外れたようですな」

「ええ。我々はどうやら、『後ろ楯の印象の強さ』に囚われすぎて、ある1つだけのものに注目しすぎ、彼等という存在を見落としていたようです」

「これは危ない。あんな掘り出し物を見逃すところでしたよ」

 

そう言いながら、彼等は場を後にした。

 

 

 

 

「……………さて、奴等は行ったな…………じゃあ、計画を始めようかな。『黄昏狂夜及び、専用機捕獲作戦』を」

 

去っていく役人達を見ながら、小柄で太った男が黒いスーツを着た男数名を引き連れ、下卑た笑みを浮かべていた。

 

それが、覇王と覇王神帝、そして、もう1人の逆鱗に触れることになるとも知らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ~ヤレヤレ、漸くあの忌々しいクソアマモドキを始末出来たぜ。さっさと飯食って寝てえや』

 

さて、あの忌々しいクソアマモドキをスクラップにした俺は、ボーデヴィッヒを抱き抱え、ピットへと戻ってきた。

未だに頭や腕からは血が出ているが、この際気にしない。

 

俺はピットに降り立つと、ボーデヴィッヒを一旦横たえ、様子を見た。

どうやら、あれから大して変わってはいないらしく、息はある。

 

俺は、取り敢えず安堵の溜め息をつき、《覇王の逆鱗》を解除する。

そして、俺は上白沢先生に通信を入れた。

 

「先生、聞こえますか?狂夜でs『黄昏君か!?無事だったんだな!』え、ええ…………」

 

最後まで言い切る間もなく、上白沢先生が大声で応答した。つか、スゲー声デカイ。

 

『い、今何処に居る!?ボーデヴィッヒは!?それに、黄昏君はどうだ!?怪我は!?』

「落ち着いてください。まず一つ一つ答えますと、今はピットに居ます。ボーデヴィッヒは気絶していますが無事ですよ。俺はまあ、少しばかりヤッちまいましたが」

『分かった!今からそちらに行く!動くんじゃないぞ!』

「りょ、りょーかいであります」

 

そう答えると、直ぐに通信が切れた。う~ん、この様子からして、多分先生は5分と経たずに来ますね、コリャ。

 

「じゃあ、一応ボーデヴィッヒの無事も確認出来たところで、俺はコイツのデータを見ながら待つとしますか」

 

俺はそう呟き、第二形態移行して打鉄のデータを調べる。

 

 

 

 

 

--高機動・火力特化型IS《レオパルト》--

 

 

操縦者、黄昏 狂夜

コア人格、葛城

 

SE 90000

 

武装

《銃火器リスト》

両非固定浮遊部位搭載型ミサイル×30発

2連装機関砲×2門

7,62mm機関銃×2挺

6砲身ガトリング砲×2門

Panzer rifle タイプ『レオパルト』

腕部展開型荷電粒子砲×2門

両非固定浮遊部位変形型レーザーキャノン×2門

 

《近接武装》

 

高周波ブレード『SSΩ』

チェーンソー

戦斧

ボルテックソード

鍵爪

 

 

 

 

 

 

うわー、コレマジでゴールドウィング並みのスペックだよ。エネルギーや武装はゴールドウィングより少ないとしても、それでも普通のISよりかは遥かに上のスペックじゃねえかよ。

ISなんざあっという間に潰しちまうぞコレ( ̄▽ ̄;)

 

後でコレ、カタログスペックに書かなきゃならねえんだよな?めんどくせ~。

 

 

「黄昏君!!」

 

お、そうこうしてる間に上白沢先生の到着だ。

 

「どもっス先生。あのクソアマモドキはちゃんと撃破してやりま…………うおっ!?」

 

撃破してやりましたよと言おうとしたが、それを言う前に、俺は上白沢先生に抱きつかれた。

 

それからまもなく、上白沢先生は泣き出してしまい、そのまま暫くの間、俺は上白沢先生に抱きつかれたままだったのだが、その状態は、救急箱を持ったまま上白沢先生を追いかけてきた八意先生が来るまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、貴方もかなり無茶するわね。そんなにボロボロになったのに…………」

「まあまあ、これも勲章ってヤツですよ」

「簡単に言うな、心配したんだぞ」

「それについてはマジでごめんなさい」

「山田先生と長谷川先生に言いつけようかしら?」

「勘弁してください」

 

さて、八意先生が駆けつけてから30分程経過し、漸く上白沢先生が落ち着きを取り戻したので、俺達はピットを後にし、寮へ向かおうとしていた。

 

八意先生が駆けつけてから、俺は問答無用で怪我の手当てをされ、頭と腕、足に包帯を巻かれた。あれぐらい前世では大概あったから、俺的には別に大したことではなかったのだが、取り敢えず長いものには巻かれろ的な雰囲気から、俺はされるがままになっていた。

 

特に目立った外傷が無かったボーデヴィッヒは八意先生がおぶり、代わりに上白沢先生が救急箱を持つ。

そして俺は、一応歩けなくはないため、自分の足で歩く。

無茶をした事への軽いお説教を受け、さらには山田先生と長谷川先生に言いつけるなんていう、ある意味親父以上に恐ろしい事を言われ、この場で土下座してやろうかと思いながらゲートから出ると、突然俺達は、黒いスーツを着た男数名に行く手を阻まれた。

 

 

「待っていたよ、黄昏狂夜君。さあ、我々と来てもらおうか」

 

行く手を阻む男達の中で、それなりにガタイの良さそうな男が前に出て言う。

他の男達も、何やら悪意に満ちた笑みを浮かべている。

俺は、それに態と気づいていない振りをして話し掛けた。

 

「はあ?なんで俺が見ず知らずのアンタ等と行かなきゃならねえんだよ?大体、行くって何処にだよ?」

「それについては答えられない。だが、君が来るのは決定事項だ。当然、君に拒否権は無い」

 

何言ってんだコイツ?つーか答えられないとか論外だろ。怪しさ全開だし。それって俺に、『疑ってください』って言ってるのと同じだぜ?

 

そう思っていると、ボーデヴィッヒをおぶったままの八意先生が前に出て言った。

 

「国関連の方なら、控え室の方でお待ちいただくか、お引き取り願うようにお伝えしたはずですが?」

「知らないね。直ぐに帰ってもらいたいなら、大人しく黄昏狂夜君を此方に引き渡すんだ。勿論、彼の専用機もね」

「申し訳ありませんが、我が学園では、そういった類いの件については全てお断りさせていただいております」

 

八意先生はそう言うが、相手側はかなり往生際が悪く、中々引き下がらない。

俺は溜め息をつきながら言った。

 

「因みに聞くが、誰の差し金だ?」

「僕だよ」

 

意外にも、あっさり返ってきた返答に半ば拍子抜けしつつ、俺は声のした方向を見る。其所には、男達と同じく黒いスーツを着た、小柄で太った男が下卑た笑みを浮かべながら立っていた。

 

「はじめまして、黄昏狂夜君。僕は差江塚 享二(さえづか きょうじ)、とある企業の社長だよ」

 

そう言いながら、享二という男は近づいてきながら言った。

 

「超難関の女子高でのハーレム生活を満喫しているところ悪いねえ。でも、これは僕、否、全世界の男性のためなんだ。世界中の男と、我が社の名誉のために、君はその命と専用機を捧げる。コレが君の運命なんだ、悪く思わないでね」

 

そう言って、男改めデブ野郎は、さらに笑みを下卑たものにさせる。

 

「ふざけないでよ!そんな理由で黄昏君を引き渡せと言うの!?人1人殺すなんて、それでも企業なの!?」

「五月蝿いなあ、女だからってイイ気になるなよ?ぽっと出企業の人間風情が…………どうやら、今の君達の立場を分からせないといけないみたいだねぇ」

 

何時もはクールな感じの八意先生でも、流石にコレには耐えかねたのか、いきり立って叫ぶ。すると、デブ野郎は八意先生を睨みながらそう言って、2人の男に何やら合図する。

すると、男2人は木の方へと走っていく。何をするつもりなのかと頭を捻っていると、男2人は何かを引き摺ってきた。

 

「う、うどんげ!?」

 

引き摺られてきた物の正体は、なんと鈴仙だった。

ロープでぐるぐる巻きに縛られ、口にはガムテープ。誘拐犯がよくやるやり方だな。ある意味在り来たり過ぎだ。

 

「今この場で、彼女に乱暴しても良いんだよ?それが嫌なら、大人しく彼を渡してくれないかな?」

 

うわー、こりゃヒデエや。

だかまあ、目の前で友人が酷い目に遭わされるのを見るのは目覚めが悪い。

そう思った俺は、ゆっくりと歩き出した。

 

デブ野郎の後ろで待機している、とある2人と目配せしながら。

 

「おやおや、意外と諦めが早いね。愚かにも抵抗するかと思ったけど」

 

それに気づいていないデブ野郎は、ニヤニヤと笑みを浮かべながら言った。

もうすぐ生きるか死ぬかの瀬戸際をさ迷うのに、呑気なヤツだな、コイツは。

 

「それは残念だったな…………ところでだが、今日のお前等は運が悪いぞ?最悪だ」

「は?」

 

俺かそう言うと、デブ野郎も他の男達も、訳が分からんとばかりに首を傾げる。

 

「君は何を言っているんだい?気でも狂ったか?」

「いいや、正気さ。俺は何時でも平常運転だからな…………さて、先ずはデブ野郎、テメエの運についてだが……………後方に注意」

「な、何を言っt(ガシッ)『おい、此方向けや豚以下のクソガキ』あ?」

 

さあ、始まりますよ皆さん。

 

いきなりクソガキ呼ばわりされた事が大層ムカついたらしく、デブ野郎は喧嘩腰になりながら振り向く。

其所に居たのは………………

 

『人の息子を勝手に殺そうとするったァ…………随分と身勝手な事してくれてンじゃねえかよ、ああ!?(ドゴシャアッ!!)』

「ゴバアッ!?」

 

全身から蒼い炎のようなオーラを撒き散らし、ただでさえ鋭い目に全開にまで引き出された怒気&殺気を含ませて睨み付け、デブ野郎が振り向いた瞬間、物凄い剣幕でデブ野郎の顔面にストレートパンチを喰らわせる我が父親、レーヴェ・ポルシェの姿があった。

 

「な、何だよお前は!?このガキの何d『黙れ』ガッ!?」

 

かなり吹っ飛ばされ、鼻血をダラダラと流しながら指差して叫ぶデブ野郎のどてっ腹に、親父は踵落としを喰らわせる。

 

「お、おい貴様!それ以上享二様に何かしようものなら、この女の命は無いぞ!!」

 

そう言って、1人の男がお袋の首にナイフを当てながら言う。

 

 

 

だが、その男は……………

 

「雑魚風情が気安く触れないでくれる?穢らわしい」

そう言いながら背後に回り込まれ、そのまま後頭部にストレートパンチを喰らい、倒された。

 

「フンッ!《ベルリンの撃滅姫》をナメるんじゃないわよ」

 

そう言いながら、お袋は倒れた男の腰から頭を踏みながら歩いてくる。

普段は人懐こそうな、年上のお姉さん的なオーラを出しているお袋だが、身内関連になると大抵こうなるんだよなあ………………可愛い見た目からは予想もつかない暴れっぷり、この様子から、お袋こと、イレーネ・ポルシェの2つ名が付けられたんだよな、親父によって。

 

おっと、親父が此方を向きやがった。俺の出番かねえ?

 

『さて、次はフェルディナンド、テメエがやる番だ。やってやりな』

 

どうやら正解のようだ。親父は殺しさえしなけりゃある程度なら見逃してくれる。

即ち、殺さない程度に暴れ回れってヤツだな。

 

「へいへい。待ってましたってなァ!」

 

俺はそう言って、再び《覇王の逆鱗》を発動させる。

 

『やられたらやり返す、徹底的にやり返す……………5000倍返しだ!!!』

 

そうして俺は、残ったゴミ共の後始末にかかった。

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