IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七十四話~疲れる話し合いだぜ~

さて、アリーナ出口での騒動も無事に片付き、親父とお袋も俺の家へと行ったため、俺は話し合いの場である部屋へとやって来た。

俺としては、そんな話し合いなどほったらかしにして寮に帰りたかったが、流石にそれは、後の面倒事を生みかねないと思い、ヤレヤレ気分でやって来た。

 

部屋の前に着くと、其所には上白沢先生が立っていた。意外にも、ペパロニが一緒だった。

 

「おお、黄昏君。来てくれたか」

「よっス兄貴、お疲れさん!!」

「ああ、ペパロニもお疲れさん。それと上白沢先生、出来れば俺、今から帰りたいんですけど」

 

俺がそう言うと、上白沢先生は苦笑いしながら言った。

 

「まあ、そう言わないでくれ。国のお偉いさんの相手をするのは、私でも大変なんだぞ?」「そうなんですけどね…………」

 

そんな会話を交わしながら、俺達は部屋へと入った。

まだお偉いさんは来ていないとの事で、俺は先生から、この話し合いでの簡単な説明を受けた。

この話し合いの目的は、ただ単に勧誘だそうだ。

国は日本、アメリカ、ロシア、イギリス、ドイツ、イタリア、中国、フランス等の主要国。それから国関連ではないが、上白沢先生の所属している八雲重工だ。

 

「ところで先生、お偉いさん共が何か嫌がらせしてきたら、取り敢えず半殺しにしても良いですか?」

「いきなり何物騒な事を言うんだ!?」

 

いや、親父から許可貰ったし……………ね?

 

「兄貴が壊れた!?」

 

いや、壊れてねえし…………( ̄▽ ̄;)

 

まあ、そんなこんなありつつもお偉いさん共が入ってきて、先ずは最近馬鹿やらかしまくりの日本からの勧誘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、やっと終わった」

「お疲れ様だな、黄昏君。黒澤もお疲れ様。それとだが黄昏君、後は八雲重工だぞ?」

「うえ~、飯食えるかな、俺」

「アハハハハ!!ドンマイだなあ兄貴!後で会おうぜ~!!」

「この薄情者~」

 

あれから長きに渡る話し合いという名の勧誘を終え、俺と上白沢先生は、寮へ戻るために部屋を出ていくペパロニを見送り、待機していた。

 

あの話し合いは何と言うか、口ではどう説明したら良いのか分からんが……………まあ何だ、普通に勧誘されてたよ。

 

 

先ず日本だが、それには久しぶりな気がする簪が同席した。今思い出したが、簪って日本代表候補生だったしね。

 

それでだが、日本の役人には、先ずは土下座で謝られた。

 

この学園に入学する前にもクソッタレたアホがやって来たのもあるが、今回も似たような事態になってしまったとか言ってたんだが、俺が一言、『俺が今回の学年別トーナメントで一回戦負けしたら、研究施設に問答無用で連行して被検体にすると言ったことについてはどうなんだ』と聞いてみたら、直ぐ様口を閉じて目を逸らしやがったよ。オイコラ、此方向けやって話だよね全く。

因みにその事を聞いたペパロニは、お偉いさんをスゲー目で睨み付けてたよ。

それからおずおずと『日本に帰属して、代表候補生にならないか?』とか聞いてきやがったが、俺はペパロニ共々『ふざけるなよ?』と声にドスを効かせながら言って、ソッコーで断った。

まあ、同席した簪的には、俺とペパロニが代表候補生になって、簪と一緒に国家代表への道を競い合うことを望んでいたらしいが、それにはスマンと断った。

スマン簪、お前に罪は無い。恨むなら政府の馬鹿共を恨んでくれ。

 

 

 

次はアメリカ。コレにはアメリカのお偉いさんと、アメリカ代表操縦者、イーリス・コーリングって人が同席した。

アメリカは黒人差別等の問題を解決した過去もあってか、俺をモルモットにすることに反対した、数少ない国なんだそうだ。因みに、反対したもう1つの国はロシアだとさ。

 

それでだが、そのイーリス・コーリングって人、実は過去、俺と会ったことがあるんですよ。

因みに会ったのは、俺がまだ織斑春馬だった頃、クソアマの応援のためにドイツに行った時だったな。

俺は然り気無く、その時の話を持ち出してみた。するとこの人、スッゲー露骨に反応してたんですよ。

まあ、その時の事なんてもう気にしてないんだけどね。

 

それから軽い世間話の後、勧誘を受けた。

お偉いさんやイーリス・コーリング曰く、俺やペパロニの常識外れの挙動を買い、是非とも帰属してほしいと言っていたが、やる気が無いと言って断った。

 

まあ、去り際にイーリス・コーリングが、『何時か会う時があったら勝負しろ』って言ってたので、『上等だよ』と答えといた。

 

 

それからイギリスだが、コレにはリーリスが同席した。

本来ならオルコットが同席する予定だったのだが、あのちょっとしたいざこざを聞いた上層部が、話がややこしくなるのを恐れ、それなりに仲の良いリーリスを同席させたんだとさ。

勧誘の内容は他の国と同じだった。リーリスの専用機云々の話だが、実力からしてまだ先になるんだそうだ。

そのため、取り敢えずISでも使える空中機動について教えるという約束をしておいた。

 

 

 

それから、この学園の生徒会長兼ロシア代表、更識楯無って人同席のロシア、特に同席無しのイタリア、鈴が同席した中国、ドイツ、フランス等からも勧誘を受けた。

 

 

 

 

 

 

そして今、俺と上白沢先生は、八雲重工から来る人の到着を待っている。

んで、同席するのは上白沢先生だとさ。まあ予想はしてたけど。

 

そして、そうこうしてるうちにドアがノックされた。

 

「どうぞ」

 

上白沢先生がそう言うと、ドアが開き、最後のお偉いさんが入ってきた。

 

「ハーイ、慧音。狂夜君も久しぶり」

「久しぶりだな、紫」

「お久しぶりです、紫さん。相変わらずお元気そうで」

 

俺たちの前に現れたのは、西洋風のドレスにナイトキャップをかぶった金髪ロングヘアの女性、八雲紫さんその人だ。

 

軽く挨拶を交わし、俺達は席についた。

 

 

 

それから話し合いが始まったのだが、最初のうちは軽い世間話だった。

 

やれ『学園生活はどう?』とか、『あれから何か変わりはなかった?』とかだ。

まあ、『あれ』ってのは多分、八雲重工のメンバーが普通の人間ではないということを聞いたことだろうな。

つか、まるで母親みたいなことを聞いてくるよね、この人。

 

「さて、じゃあ世間話もこれぐらいにして、話を始めましょうか」

 

そうして、紫さんが話を切り出してきた。

 

「単刀直入に言うわ……………黄昏狂夜君、我々八雲重工に所属する気はない?歓迎するわよ?」

 

本当に単刀直入に聞いてきたぞ。まあ、その方が話が分かりやすくて良いんだがな。

 

「そうですねぇ…………所属するとしたら、そちらは有力候補ですよ。『所属するとしたら』、ですけどね」

「じゃあ、今のところは来る気はないと?」

「まあ、そんな感じですね。話でしか聞いたことない企業だから、何されるか分かったモンじゃないし」

「貴方がウチの企業の事をどう思っているのかは知らないけど、少なくとも貴方をモルモットにする気はないわよ?現に1人、男性パイロットが居るもの」

「……………え、マジですか?」

「勿論」

 

マジかよ、ソイツはイイ事聞いたぜ。だが、それは俺を引き込むための嘘かもしれんから、そう易々と信用する訳には……………否、流石にそれはないか。スキマ妖怪である彼女なら、無理矢理にでも俺をどっかの研究所に落っことす事ぐらいあっさりと出来るしな。今までそれをしなかったなら、一応話を信じても良いのかもしれん。

 

「ふーむ、それを言われたら悩ましいですね。俺と同じく男性の適合者が居るなら、少なくとも気は楽だ」

「でしょう?」

「ですが、出来ればその人に会ってみたいですね。話を信じるかは、それから決めたいし」「あら、まだ完全に信用してくれてはいないみたいね?」

「すみませんねぇ。色々あって、『企業』って組織が中々信用出来ないんですよ」

 

そう苦笑いしながら答えると、紫さんもまた、苦笑いを浮かべた。

 

「まあ、貴方の事については、慧音からある程度は聞いているから、何故信用出来ないのかは聞かないわ」

「そうしてくれると、此方としてはありがたいですね」

 

そして、話が終わるのかと思ったら、不意に紫さんは、こんな事を聞いてきた。

 

「ところで狂夜君、貴方は……………篠ノ之束について、どう思ってる?」

「……………はい?」

 

この質問には驚いた。企業への勧誘から話は一転、話題がモップ女の姉にして、今の世界がこうなった全ての発端、篠ノ之束についての話にシフトチェンジしやがった。

 

「どう思ってるかと聞かれましても…………ねぇ?」

 

口ではそう言うが、内心では違う。

何だかんだ言っても、一応知り合いではあったからな。どのような人であるかは、端的には言えなくもない。

だが、個人的には言いたくない。あの女は親しい人間相手なら物凄いベタベタ引っ付いてくるが、それが他人となりゃ態度は一転しやがる。

赤の他人なら、その辺の石コロ程度にしか思わねえだろうよ。

 

まあ俺も、そんなにもぞんざいな扱いはされなかったが、クソアマや愚弟共、モップ女よりかは扱いは冷たかったな。完全に他人行儀だったし。

 

「狂夜君?」

 

おっと、変に沈黙状態になっちゃ怪しまれるな。何かそれらしい事言わねえと…………

 

「そうですねぇ…………別に何とも思っていませんよ?赤の他人だし、向こう側もそんな感じにしか思ってないでしょうし」

「そ、そう………………」

「……………」

 

ん?何故か知らんが、紫さんと上白沢先生の表情が曇ったぞ?

 

「あの、どうしました?」

「え?な、何でもないわよ?ねえ、慧音?」

「あ、ああ!何でもないとも!」

「そ、そうですか…………」

 

何か怪しい気がするのだが…………まあ良いや。

 

「じゃ、じゃあ!彼女がISを造った事についてはどう思う?」

「あ~、迷惑です」

「……………え?」

 

おっと、今の台詞では誤解を生みかねんな。

 

「め、迷惑?」

「まあね」

「ち、因みにその理由を教えてもらえる?」

 

お、その台詞は誤解を解くチャンス!

 

「まあ、アレですよ。ISって基本的に、女にしか扱えないんでしょう?それですよ、迷惑なのは。別に発想自体は良いと思いますよ?でもね、何も女にしか扱えないようにする必要はないでしょうに。お陰で俺をモルモットにしようとする連中が矢鱈と来やがりますからね。今日で2回目なんですよ?あのクソ共がやって来たのは」

「あらら…………」

「それに、前は『モルモットになれ』とかが書かれた手紙が矢鱈と舞い込んできましたよ。まあ、そんな手紙は問答無用で、中身見ずに燃やしてやりましたけど」

 

その言葉に、いきなり紫さんが反応した。

 

「ねえ狂夜君?その手紙って、『全部』燃やしたの?」

「ええ、『全部』燃やしましたよ?焼却炉に放り込んだりアリーナに持っていってゴールドウィングのミサイル一斉射撃を喰らわせたりして」

「そ、そう……………ハア」

 

あれ?なんで溜め息ついてんの?

 

いきなりの事に首を傾げていると、上白沢先生が耳打ちで伝えてきた。

 

「黄昏君、実は紫、君に手紙を出していたんだよ。クラス対抗戦の後にね」

「マジですか?」

「ああ」

 

上白沢先生曰く、あのクラス対抗戦における無人機襲撃事件で、俺が鈴仙や八意先生、上白沢先生と言った八雲重工のパイロットを守った事についてのお礼の手紙を書いて出していたらしいが、俺がその手紙を読んだという知らせが中々来ないから不安がっていたらしい。

つか、全く知らんかった。

 

「あー、その……………何かすいません。態々手紙出してくれてたとは知らず」

 

コレばかりには謝る他はない。その辺りについてはちゃんと見とくべきだったな。

 

「まあ、別に良いわ。恐らくだけど、他の企業からの手紙も纏めて処分したんでしょ?」

「ああ、ハイ」

「それなら仕方ないわ。それにしても他の企業め、やってくれたわね……………ッ!」

 

紫さんは、まるで苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。もう、何つーか…………すいません。

 

 

それから時間が過ぎ、紫さんは帰ることになった。

 

「それじゃあ狂夜君、八雲重工の件、良い返事を期待しているわ♪じゃあね~」

 

そう言って、紫さんは帰っていった。

 

「さあて、これで全ての話し合いが終了しましたね、先生」

 

俺はそう言って椅子から立ち上がり、伸びをする。だが、上白沢先生は中々立ち上がらなかった。

 

「先生、どうしました?ホラ、行きましょうよ。食堂閉まっちゃいますよ?」

 

そう呼び掛けるが、如何せん反応がない。はて、何か考え事か?

そう思っていると、上白沢先生は漸く口を動かした。

 

「いや、その…………実はだな…………」

「うん?」

 

俺は首を傾げつつも、再び椅子に腰掛け、上白沢先生の方を見る。

 

「最後に1つだけ、話し合いが残っているんだ……………」

「え、マジですか?」

 

上白沢先生が頷いた瞬間、部屋のドアが開き、山田先生に連れられて、3人の生徒が入ってきた。

 

「お前等は………」

 

入ってきた生徒は、織斑ツインズとデュノアだった。

 

「狂夜君、ご無事で何より…………と言いたい所なのですが……後1つの話し合い、お願いしても良いですか?」

「……………良いですよ」

 

そうして、最後の話し合いが始まった。ヤレヤレ、今日は食堂行けないかもしれねえな…………恨むぞお前等(# ゜Д゜)

 

そうしてついた溜め息は、俺と上白沢先生にしか聞こえなかった……………と、思いたいねぇ……

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