IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七十六話~非常に疲れる日常だ~

「さて、彼奴まだ起きてるかなあ?」

購買で適当に菓子類を買った俺は、医務室の前に来ていた。理由は簡単、ボーデヴィッヒに会うためだ。

一応ドアをノックし、中に入る。

すると、体を起こして窓から外を眺めているボーデヴィッヒの姿が目に留まった。

 

「よお、まだ起きてたんだな」

 

そう声をかけると、ボーデヴィッヒが此方を向いた。

 

「何だ、お前か」

「オイオイ冷てえなあ、せっかく見舞いに来たってのに」

「冗談だ」

 

そう言って、ボーデヴィッヒは微笑んだ。

俺はボーデヴィッヒが寝てるベッドの近くに椅子を移動させ、其所に腰掛ける。

 

「調子はどうなんだ?見たところ外傷は無さそうだが」

「ああ、問題ない。まあ、今日一日は、絶対安静だそうだ」

「ま、そうなるわな」

 

俺はそう言いながら、購買で買ったおにぎりを取り出し、頬張る。

 

「私にはくれないのか?」

「うん、無理。コレの他に晩飯がない」

 

からかうように聞いてくるボーデヴィッヒに、俺はそう答える。

 

「さて、時に訊ねるがボーデヴィッヒ…………」

「何だ?」

「お前は何者だ?」

「…………」

 

そう問いかけると、ボーデヴィッヒは口を閉ざしてしまった。まあ、無理もないか。

どういう訳かコイツは、あのクソアマに矢鱈と心酔してる。あのVTシステムの騒動の時だって、コイツの専用機が暴走した時、形は現役時代のクソアマそのものになってたからな。

ヤレヤレ、我が祖国は滅茶苦茶な事を仕出かしてくれやがったな。これがフィクションで良かったぜ。

 

暫く沈黙状態が続いているが、未だに黙ったままだ。

 

「なら、質問を変えよう。お前は何になりたい?」

「…………分からん」

「そうか…………ならお前は、ラウラ・ボーデヴィッヒになれば良い」

 

俺がそう言うと、ボーデヴィッヒは此方を向いた。

 

「過去、お前に何があったのかは聞かねえよ。言いたくねえ事もあるだろうからな。だが、無理して誰かになりきろうとする必要はねえよ。お前はお前、ラウラ・ボーデヴィッヒというオリジナルの個体なんだ。この地球という箱を引っくり返しても、何から何までお前と全く同じな個体なんて出てこねえよ」

「…………そうか」

「ああ、そうだよ」

 

それだけ言って、俺は医務室を出ようとしたが、ボーデヴィッヒに呼び止められた。

 

「1つ聞かせてくれ。お前は、何故そんなにも強い?」

 

俺が強い、ねえ…………

 

「俺は強くねえよ。俺より強いヤツなんて、それなりに居る筈だからな。現に、俺の両親がそうだ。それに、俺が何故強いのかと聞かれても、どうも答えられねえな。友人との喧嘩修行に明け暮れてたら、いつの間にかこうなってただけだし」

 

そう言って、俺は医務室を出た。まだドアが開いているうちに、俺は最後の一言を言った。

 

「それからだが、お前の専用機の修理、手伝ってほしけりゃ何時でも3組の教室に来な」

 

そうして、医務室のドアが閉まり、俺は瞬間移動で部屋に帰り、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝……………

 

「授業ダル~い、サボりた~い、困った時の人頼み~!」

「朝っぱらから何訳の分からん事言ってんだよ兄貴」

「そうだぞ狂夜、もうすぐお休みで、それが明けたら直ぐに臨海学校があるんだ。それも終わったら直ぐに期末試験。サボってる暇なんて無いぞ」

「そうなんだけどさぁ………」

 

さて、寮の部屋を出ると、ちょうど通り掛かったペパロニとアンチョビの2人と会った俺は、いつメンのメンバーで食堂へと向かっていた。

 

「さあて食うぞ!昨日はおにぎり以外何も食ってねえからなァ!!」

「うへえ~、兄貴がアブナイ雰囲気出しちゃってるぜ」

「朝っぱらから食べ過ぎてダウンするなよ?ただでさえ頭と腕に包帯巻いてるんだからな」

「んな事分かってるって」

 

そう言いながら、辿り着いた食堂へと足を踏み入れた瞬間…………

 

『『『『『『た、黄昏君!!!』』』』』』

「ヘァア!?」

 

食堂に来ていた殆どの女子生徒が雪崩れ込んできた。いや、ちょい待て。マジで何事?

 

「き、昨日は大丈夫だったの!?」

「てか、怪我酷いよ!?」

「き、傷が痛むなら、私が看病するよ!?」

 

何やらごった返して訳が分からん。まあ、取り敢えず心配してくれてるようだ。

 

「いや、大丈夫だよ。お前さん等は良いのか?」

 

そう聞くと、特に問題はないらしく、生徒は首を横に振った。

避難が済んだ生徒から、寮の部屋へと戻されたらしい。

 

「そっかそっか。まあ、お前さん等が無事で良かったよ」

 

そう言うと、女子達は顔を真っ赤に染め上げた。

 

「あ~あ、兄貴がまたフラグ建てた~」

「はあ?何のこっちゃ?」

 

その問いに答えてくれる者は、誰1人として居なかった。

 

 

 

それから俺は、食堂にやって来た美鈴や早苗、そして鈴仙に抱きつかれ、暫く動けなかった。

3人共大泣きしていたが、中でも鈴仙の泣きっぷりは凄かった。まあ、人質に取られ、それを庇う形で俺が割って入ったからな。余程自責の念を感じてたんだろう。

その時点で既にボロボロにされてたんだけどネ…………( ̄▽ ̄;)

 

それから、あの馬鹿げた真似してくれやがったデブ野郎とその他大勢、ソイツ等を止めなかった政府のアホ共については、先ずデブ野郎とその他大勢をあの世行き一歩手前辺りまで徹底的にぶちのめし、政府については、経済的な大打撃を喰らわせてやったと伝えたのだが、それを聞いたペパロニが腹抱えて大爆笑してたよ。やれ『ざまあみやがれ!ギャハハハハハハッ!!』って、それはそれは大爆笑してたよ。

 

つーかペパロニ、爆笑してるけどお前がもしあの場に居たら、間違いなくデブ野郎とその他大勢のうち、数人は殺してるだろ。

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなありつつ教室にやって来た訳だが、教室に入っても、教室に居た生徒の反応が食堂に行った時と大して変わらず質問攻めにされ、若干疲れて机に突っ伏そうとしていた頃だった。

 

「失礼する。黄昏狂夜は居るか?」

 

まるで軍人のような言葉と共に、ボーデヴィッヒが教室に入ってきた。

 

「よお、もう動いて良いのか?」

「ああ。安静にしているのは昨夜一晩だけで良いんだそうだ」

「そりゃ良かったな」

 

俺はそう言って、机に腰掛ける。行儀は良くないが、この際だから許せ。

 

「お前の専用機についてはどうなんだ?俺、結構あのISをズタボロにしたぜ?」

「それなら問題ない、コアが辛うじて無事だったんだ。すまないが、また修理を手伝ってくれないか?」

「へいへい。手間賃取るけどな」

「お前が修理を手伝ってくれると言ったんじゃないか」

「冗談だよ、冗談」

 

ボーデヴィッヒが咎めるような目線を送ってくるが、俺は笑って流す。

 

「オイオイ兄貴、いつの間に仲良くなったんだ?」

「ん?知らねーよ。つかペパロニ、コイツお前の対戦相手だったんだぜ?」

「あ、ソーダッタネ」

「ぜってぇ忘れてたろ、お前」

「ナンノコトカナー?」

 

よし、今度鉄板ナポリタン奢らせてやる。勿論ペパロニの金でな。

今回ばかりは慈悲はねえぜ?

 

「ぐおっ!?何やらアタシの財布にピンチが訪れようとしている予感が…………ッ!?」

 

チッ!勘が鋭い奴だぜ。

 

 

そう思っていると、ボーデヴィッヒに袖を引かれた。

 

「おい、まだ話は終わってないぞ」

「あ、マジで?そりゃスマンな」

 

そう言いながら、俺はボーデヴィッヒの方を向いた。

 

「そ、それでだ……その……」

 

ん?何やらボーデヴィッヒが顔赤くしてるぞ?

 

「き、昨日は助けられたから、お礼をしに来たのだが……」

「礼?別に良いよそんなの。ありゃ緊急事態だったんだからさ。そんな気に病むこともねえよ」

「そういう訳にはいかん。お前は私の命の恩人なんだ、何かしらの礼をしなければならない」

「はあ…………」

「そういう訳でだ………ちょっと屈んでくれ」

「は?」

「だ、だから屈めと言ったんだ!」

ボーデヴィッヒは顔を真っ赤にしながら言う。

 

「まあ、別に良いけどさ。ホレ」

 

俺は机から立ち上がると、少し中腰になってボーデヴィッヒと身長を合わせる。

 

「あ、それから目を瞑れ。絶対に開けるな」

「?まあ良いけど」

 

そう言って、俺は目を瞑った。はて、コイツ何するつもりなんだ?

 

そう思っていると、俺の両方の頬を柔らかい何かが挟み、さらに口にしっとりした何かが押し付けられた。

 

「んーっ!?」

『『『『『『キャーーーーッ!!!』』』』』』

 

俺がもがくのと、クラスの女子達が悲鳴を上げるタイミングが重なった。

 

「あぁぁぁぁあああにきぃぃぃぃぃいいいっ!!!?」

 

ペパロニですらも大声を張り上げる。あ、こりゃ何されてるのか完全に分かりましたわ。

 

そして暫くの感触の後、その2つの柔らかい何かが離れた。俺がゆっくりと目を開けると、顔を真っ赤にしたボーデヴィッヒがフレームインした。

 

「お、お前は私の嫁にする!これは決定事項だ!異論は認めん!!」

「……………はあ?」

 

いきなり過ぎることに、俺は間の抜けた声を出してしまった。

 

つーか、いつの間にか廊下に、他のクラスの生徒(野次馬)が殺到していた。

 

その中に紛れていた簪と布仏さんは、不満そうに頬を膨らませ、山田先生も上白沢先生は顔を真っ赤にして硬直している。リーリスとユリエも、簪達同様に不満そうに頬を膨らませ、遅れてやって来た長谷川先生は、口パクで『浮気者』と伝えてくる。鈴仙も顔を真っ赤にしていた。

 

「「狂夜さん?」」

 

振り向くと、其所にはおぞましいオーラを撒き散らした美鈴と早苗が仁王立ちしていた。

 

あ、やべえ詰んだ……………\(^o^)/オワタ

 

 

 

 

 

その後暫くの間何があったのか、俺は今になっても、どうしても思い出せない。

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