IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七十八話~風呂騒動と買い物の序章~

「へえー、これが男子の大浴場か~」

 

アリーナから一旦部屋に戻り、着替えを取った俺は、山田先生に案内され、大浴場へと来ていた。

見たところ、今この大浴場には俺1人しか来ていない、つまりは貸し切りだ。

 

山田先生曰く、織斑ツインズとデュノアには前もって知らされており、あの話し合いの翌日に入ったんだそうだ。

んで、俺に知らせるのがまだだったのもあり、今日は俺で貸し切りなんだとさ。

 

体を洗い、持ってきた大きめのタオルを畳んで頭に乗せ、ゆっくりと湯船に入ると、そのままグダーっと体を伸ばす。

「ふいー、貸し切りバンザーイ」

 

気持ちよさに寝そうになりながら、俺はそんな事を呟く。

この学園に入学したからは、ずっとシャワーだけだったからなあ、こうやって体を伸ばして入れる風呂は最高だ。

まあ、出来ればボーデヴィッヒの専用機の暴走事件解決の日に知らせてほしかったが、結果的にそれが、こんなにも贅沢できる事に繋がったんだから、この際どうだって良いや。

 

そんな事を考えながら、1人風呂を堪能していると、カラカラと、風呂場を繋ぐ戸が開けられる音がした。

 

「(ん?今日は俺1人での貸し切り風呂じゃなかったっけ?)」

 

俺はそう思いながら、湯気に包まれた戸の方を見る。

 

目を凝らすものの、湯気で視界がイマイチはっきりしない。シルエットが見えても、それが誰なのかまでは分からない。

そのため俺は、本来ならマナー違反だが、念のためだと自分に言い聞かせながら、頭に乗せていたタオルを腰に巻き、前方への警戒をする。

これが織斑ツインズやデュノアなら、『今日はお前等の日じゃねえだろ』の一言で片付けられるが、別の人となれば話は違ってくる。いや、まずそれは有り得ないとは思うが。

 

足音が近づいてくるにつれて、俺はゆっくりと後退する。いざとなれば瞬間移動で逃げようと思いつつ警戒を続けていると、突然声が聞こえた。

 

「そんなに警戒することはないだろう?」

声の高さからして山田先生ではないし、かと言ってクソアマでもない。上白沢先生かとも思ったが、声の雰囲気からしてこれも違う。八意先生でもなさそうだ。それに、勿論生徒の誰かでもない。

とすれば、俺の知る中で思い当たるのは、ただ1人…………

 

「長谷川先生ですか?」

 

そう聞くと、人が風呂に入った時の音が聞こえる。

 

「ああ、漸く分かったか」

どうやら正解のようだ。

 

「なんで来ているんですか?今日は俺1人での貸し切り風呂だった筈ですよ?」

 

そう言いながら、俺はゆっくりと長谷川先生に近づく。

長谷川先生は色っぽく笑って言った。

 

「そう冷たいことを言うな。それに、他にも来客が居るぞ?」

そう言って、長谷川先生は戸の方を指差して言った。

 

「ホラ、其所に居る3人共、入ってこい」

 

そう長谷川先生が言うと、ペチペチと濡れた足場を歩いてくる音が聞こえた。シルエットが近づいてくるにつれて、誰が来たのかが鮮明になっていく。

 

「お前等か………」

 

やって来たのは、桜花、氷華、そして葛城だった。

3人共、何処から持ち出してきたのか知らんが、バスタオルを巻き付けている。此処って何時から混浴風呂になったんだ?

「黄昏、この際だから彼女等も入れてやれ。この人数だからやりたい事がある」

「はあ…………まあ、別に構いませんけどね………おい3人共、おいで」

 

そう言うと、桜花がおずおずと聞いてきた。

 

「良いんですか?」

「オイオイ、タオル巻き付けるなんて入る気満々の様子じゃあ、その言葉には説得力の欠片もねえぜ?ホラ、早く来い。風邪引くぞ」

「は、はい!」

 

桜花は嬉しそうに返事を返す。氷華と葛城も、嬉しそうに桜花に続いて入ってくる。

3人が体を洗い始めようとすると、其所に長谷川先生の待ったが入った。

 

「待て、3人共」

「え?」

「何よ?」

 

長谷川先生の待ったに、体を洗おうとしていた桜花達が振り向く。

 

「この際だから、此処に居るメンバー全員で背中を流し合おう。私は前から、こういうのをやってみたかったんだ」

 

成る程、長谷川先生の言う『やりたい事』ってこれだったのか。

 

この場に1人だけ男が要るというのを除けば、中々良い提案だな。

そういや、俺って長谷川先生には、桜花達について詳しく話していなかったな。ならば、ここは1つ、俺は一旦退散して、桜花達と長谷川先生のスキンシップの場を設けるというのはどうだろう?

いくら桜花達とは長い付き合いであるとは言え、流石に背中の流し合いで男が1人居るというのは気まずい筈だ。

 

よし、取り敢えず退散しよう。

 

「じゃあ、俺は十分堪能したので、後は皆さんでごゆっくり~」

 

俺はそう言って立ち上がり、戸に向かおうと歩き出す。

よし、何とも自然な足運び!こんなにも自然な動きなら、流石の長谷川先生でも見逃してくれる………「訳がないだろう?」ですよねー\(^o^)/

 

俺が湯船から出ようとしたら、いつの間にか横に来ていた長谷川先生に腕を掴まれてしまった。

 

つか、然り気無く俺の考え読まないでくださいよ………

 

「大体の予想はついているが、念のために聞こう。何処へ行くつもりだ?」

「い、いやあ…………十分堪能したからそろそろ上がろうかなあ~、と思ったんですが…………」

「ほお~う?」

 

ヤベッ!長谷川先生が疑いの目を向けてきている!何とかせねば!!

 

「いや、ホラね?女の子同士で話したい事だってあるだろうから、そんな場所に俺みたいな男が居たって、邪魔にしかならないでしょう?」

「ふむ、それも一理あるな…………」

「確かに」

「出来れば主とも一緒に居たいけど………」

「こればかりにはねぇ………」

 

よっしゃ!このままいけば勝つる!

 

「という訳で、邪魔者であろう俺は、此処等で退散させていただこうと思いまして………じゃ、そゆことでー」

 

俺はそう言って、再び歩き出そうとするが、またしても長谷川先生に止められた。

 

「だが待て、黄昏。もう少し堪能していけ。背中の流し合いも、大人数の方が良いだろう」

 

うぐっ!そう言われると否定できない…………ッ!

 

「それに黄昏、お前はこの3人と、ほぼ毎晩一緒に寝ているのだろう?」

「ま、まあそうですが………」

「ならば、一緒に風呂に入る事ぐらい、何ともない筈だ」

待て、その理屈はおかしい。

 

「それに、私とも一緒に寝たではないか」

 

正確には、長谷川先生と山田先生、ですがね。

 

「教師と生徒、そして生徒の相棒との一纏めの交流をする絶好の機会ではないか。たまには、このような風呂の楽しみ方も、悪くはないだろう?」

「うーん、確かにそうですが…………」

 

そう言いつつも、俺としては出たい。別に長谷川先生が嫌いだとかではないし、桜花達との交流も出来るから中々良いとは思う。だが、桜花達3人はそれなりにスタイルが良いし、長谷川先生に至っては最早凶器レベルだ。流石に耐えきれる自信がない。

 

そう思っていると、長谷川先生が最終手段とばかりに、上目遣いで見上げてきた。

 

「なあ、良いだろう?」

「うぐっ…………」

 

これ以上の抵抗は、話をややこしくするだけか…………仕方ない。

 

「分かりました。居ますからそんな顔しないでください」

 

そうして結局、俺は背中の流し合いに参加することになった。

 

 

 

 

その最中、俺の背中を洗っていた長谷川先生が、あろうのとか胸で洗うという滅茶苦茶をしてきて、危うく意識が飛びかけたのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなありつつも迎えた翌日、今日は学校が休みというのもあり、俺は桜花達と共に、久々にレゾナンスへ行こうとしていた。と言っても、桜花達がレゾナンスに行くのは初めてだがな。

まあ、レゾナンスに行く理由は、臨海学校の水着を買うためだ。

俺も桜花達も持っていなかったのもあり、昨日風呂から上がって部屋で休んでる時に、臨海学校の話を出すと、俺も桜花達も水着を持っていないことを思い出し、今に至る。

因みに今の俺の服装は、かなり前にリーリスやユリエと共に、ユリエの服を買いに行った際、リーリス達に勧められて買った服だ。

ボーデヴィッヒの専用機の暴走事件により、普段着代わりの作業着が修理中であるため、この服を普段着として使っている。

 

「さてと、じゃあ行くか」

「「「はい(ええ)!」」」

 

俺が3人に声をかけると、3人は嬉しそうな表情を浮かべる。

そんなに水着を着てみたかったのだろうか?

 

そう思いつつ、いざ出発しようとした時だった。

 

「「「狂夜(さん)!」」」

「ん?よお、お前等もお出掛けか?」

 

美鈴、早苗、鈴仙の3人が声をかけてきた。

 

「これから、レゾナンスに行こうとしていたんです」

「臨海学校の水着を買いにね。そっちは?」

「俺達も同じさ」

 

奇遇にも、2つのグループの出掛ける目的は同じようだ。

 

「じゃあ、皆で買いに行きましょうよ、水着!」

 

目的が同じであるからか、早苗が一緒に行こうと提案してきた。

 

「俺は構わないぜ。お前等は?」

「私も異論はありません」

「同じく」

「狂夜と居られれば、それで十分よ♪」

「さ、さいですか………」

 

そう言って、葛城が俺の右腕に抱きついた。つーか葛城、お前この前は俺をフェルディナンドって呼んでたよな?

そうしてるうちにも、桜花と氷華が葛城を引き離そうとする。美鈴、早苗、鈴仙の3人も、何故か不満そうな表情を浮かべている。

 

「ま、まあ取り敢えずだ。行こうぜ」

 

そうして、4人グループから7人グループに増えた俺達は、レゾナンスへと向かうため、モノレールのある駅へと向かった。

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