IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七話~コレ、もしかしなくてもフラグじゃね?~

「お、お見苦しいところを…………」

「いやいや、別に良いって。むしろ、ああなるまでよく堪えたモンだぜ」

 

さて、女の子をチャラ男三人衆から無事に救出した俺は、さっきまで泣きじゃくる女の子を宥めていたのだ。一通り泣くと落ち着いたようで、次第に肩の上下も無くなっていった。

完全に落ち着いた時には、顔を真っ赤にしてたなあ。

まあ、今も尚顔は赤いけど。

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ。ツーリングは終わりだ。お前さんも、さっさと帰った方が良いぜ?でねえとまた、彼奴等みてえなバカに出会しちまうぞ」

 

俺はそう言うと立ち上がり、ズボンの右ポケットからゴールドウィングのイグニッションキーを取り出す。

そして、ゴールドウィングに跨がり、イグニッションキーを差し込む。

出発する時のように、スピードメーターやタコメーターの数値が光り、小さなモニターにゴールドウィングのエンブレムマークが映し出される。

そしてクラッチを操作し、エンジンをかける。

そしてアクセルを捻り、走り出そうとした時だった。

 

「ま、待ってください!」

 

女の子も立ち上がり、俺を呼び止めてきた。こうともなれば、流石に無視して帰るなんてことは出来ねえ。そのため、俺はせっかくかけたエンジンを切り、バイクから降りた。

 

「え、えっと、その……………た、助けてくれて、本当にありがとうございました!貴方が来てくれなかったら私、何をされていたか……………本当にありがとうございました!!」

 

そう叫ぶように言い、女の子は凄い勢いで頭を下げた。

今となっては、こんな風にちゃんと礼を述べたりするような女の子は少ない。

さっきチャラ男1号が言っていたように、今のご時世は女尊男卑。

そのため、男は女を助ける、若しくは女に何かしらの奉仕をするのが当たり前となり、礼すら言わない女が多い。そんな中で礼を言う彼女は、まともな女性なんだろうな。

 

「いやいや、別に良いって、フロイライン。アンタが無事で十分だから気にすんな」

「そ、そんな!気にしないなんて出来ません!何かお礼させてください!」

「んあ?いやいやいや、別に良いよ。そもそも礼目当てでお前さんを助けた訳じゃねえし」「で、でも!助けてもらったのに、何もお礼をしない訳にはいきません!」

 

困ったなあ~、段々と切迫し始めてるぞこの子。

俺としては特に用事とかは無いから構わねえが、この子の場合は別だ。何処に住んでるのか分からねえから、もし電車で来てるとかなら、終電の前に駅につれていかねばならん。

そう考えると、此処で道草食ってる暇はねえんだよなあ~。

 

「えっと、その……………取り敢えずは何処かでお話を………」

 

ヤベエ!話が妙な方向へと進み始めやがった!つーか話って、もう店とかは粗方閉まってるだろォが!

ん?そう言えば24時間開いてるレストランがあったような……………気のせいか。

まあ取り敢えず、今は話の流れを変えることが先決だ。

 

「あー、フロイラインよ。お前さん、家何処なんだ?もう夜遅いから送ってやるよ」

「ええ!?そんな!助けてもらって何のお礼もしていないのに、送ってもらうなんて出来ません!」

 

一応話は逸らしたが、一難去ってまた一難だ。一応ヘルメットは二つあるから大丈夫なんだが、女の子は拒否するばかりだ。此処は一つ、上手いこと言って納得してもらうか。

 

「まあ、アレだフロイライン。お前さんを家まで送らせてもらうのが、お前さんが俺に出来る礼になるんだぜ?」

「え?どういうことですか?」

 

よし、食いついてきた!って魚釣りか!

なんて一人突っ込みは置いといて……………

 

「今はこんな夜中だ。さっきのチャラ男共みてえな輩も居るだろ?せっかく助けたってのに、またヤられようモンなら目覚めが悪い。そん時こそ、俺はお前さんを守ってやれねえ。それに、守れたお前さんの笑顔が曇るなんてのは、マジで考えたくねえんだよ」

「っ!?」

 

そう言うと、女の子は顔を真っ赤に染め上げた。桜花みてえな反応するなあ。

 

「まあ、そういう訳で、此処は一つ、家まで送らせてくれねえか?」

「………は……はい………」

 

よっしゃ、成功!後はこの女の子を家まで送り届け、我が家へと帰り着けば大勝利!狂夜君大勝利って訳だ!

そうして内心喜びながら、俺はゴールドウィングのリアトランクからヘルメットを一つ取り出し、女の子に渡す。

女の子は顔を赤くしたままヘルメットを受け取り、着ける。俺は先にゴールドウィングに跨がり、エンジンをかける。その後、女の子がリアシートに乗ったのを確認し、俺は女の子に話し掛けた。

 

「ああ、聞き忘れてだがフロイライン、お前さん、家何処なんだ?」

「あ、そう言えば言っていませんでしたね、私の家、と言うより私、寮に住んでるんですけど、その寮がある所が………………」

 

そうして、女の子は場所を言うのだ。

 

「……………IS学園です」

 

 

 

……………マジで?

 

 

 

 

 

 

 

まあ、そんな訳で俺は、女の子をIS学園へと送り届けるべく、我が愛車を走らせていた。

その間は何を話すべきなのかは分からず、女の子も話しかけてくることがなかったので、終始無言で走らせ続けていた。

そのまま走り続けること20分、俺達を乗せたゴールドウィングのヘッドライトが、幾つかのボックスが横一列に並んでいるのを照らし出す。

 

「とうとう来ちまったんだな、IS学園に…………」

 

俺はそう呟きながら、ゴールドウィングの速度を徐々に落とす。そして、ちょうど真ん中のボックスへと滑り込んだ。ボックスの中に居る女性が怪訝そうに此方を見る。

俺は取り敢えず、ボックスの中に居る女性に話し掛けた。

 

「すみません、この学園の関係者をつれてきた者です」

俺が言うと、女性はボックスから身を乗り出し、リアシートに座る女の子を視界に捉えると、ボックスから出てきた。

 

「…………よくバイクのリアシートに乗ったまま眠れたものね……」

「………………へ?」

 

振り向くと、確かに女の子は、完全に此方にしなだれかかり、スヤスヤと寝息を立てている。マジでよく眠れたよな。

俺は、一旦女性を離れさせ、ゴールドウィングのエンジンを軽く吹かす。

4回程アクセルを煽ると、女の子が目を擦り擦り、起きた。

 

「ふわあ~、此処は?」

「IS学園だよ、つかフロイライン、お前さんよく、俺のバイクのリアシートで眠れたよな」

 

つか、ずっと腹に回されてる手がキツい。

 

「え?……………あ、あわわわ!?」

 

俺が言うと、女の子はあたふたしながらゴールドウィングから降りる。

 

「ご、ごめんなさい!助けてもらったのにお礼をしてないどころか、此処に送らせたのに私だけ眠るなんて!」

「ああ、いやいや、別に良いって。安心してたんだろ?」

「え、それはその……………」

 

そう言うと、女の子は指を弄り出す。コレは桜花も時たまやるんだよなあ。

 

「ま、そういう訳で、俺はそろそろおいとまするぜ。じゃあな」

俺はそう言って、ゴールドウィングの向きを変える。

 

「ま、待ってください!まだお名前を聞いていません!」

「別に知らなくてもイーだろ。通りすがりのバイク乗りだと思ってくれりゃ良いさ」

「な、なら!せめて顔だけでも!」

 

ヤバい、流石にソレは……………

そう考えていると、桜花が脳内に直接話し掛けてきた。

 

『顔ぐらいは良いと思いますよ?彼女等からすれば、マスターは『死んだ織斑春馬のそっくりさん』としか見られませんでしょうし』

「(まあ確かにそうだな………………そうするか)」

 

俺はそう答え、ゴールドウィングから降り、女の子の方を向き、ヘルメットの金具に手を掛けて言った。

 

「あんまり大したイケメンじゃねえぞ?ホレ」

 

俺はそう言って、ヘルメットを脱ぐ。すると、何時もの獣耳スタイルの髪型をした黒髪が外に出て、風に靡く。

それを見た女の子と女性は、まるで幽霊を見たかのような顔をしていた。まあ、無理もないか。一応俺、本人だし。

 

「まあ、一応言っておくが、俺は織斑春馬じゃねえからな?んじゃあなフロイライン。2度とチャラ男共に絡まれんじゃねえぞ~」

「え!?ちょ、ちょっと!?」

 

そうして俺は、ゴールドウィングを再び発進させ、我が家、黒澤解体所へと舞い戻った。

 

 

 

 

 

「……………んで、桜花さん?何時まで抱きついてるつもりかな?かな?」

「マスターは、あの女性を救出してから、ずっと彼女にばかり構っていました。私と"あの子"の気も知らず。だからこうして、足りなかった分甘えるのです」

「何じゃソリャ」

 

そうこうしつつも、俺は桜花と添い寝することになった。

それにしても、"あの子"?

一体何者なんだ?その、"あの子"とやらは?

俺は、そんな疑問を抱きつつも、甘えようとばかりに擦り寄ってくる桜花を抱き締め、抱き枕代わりにして眠りについた。

 

翌朝、顔を真っ赤にした桜花に、『責任を取ってもらいます!』とか叫ばれ、頭に?が幾つも浮かんだのは余談である。

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