IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第七十九話~臨海学校前のお披露目タイムだそうだ~

という訳で、新たに美鈴、早苗、鈴仙の3人をメンバーに加えた俺達は、モノレールに乗って、駅まで来ていた。

 

服装は普通の筈だから目立たないだろうと踏んでいたが、特殊な模様(ナチス・ドイツの鍵十字や『帝』の文字)がペイントされたヘッドフォンや籠手、さらには一緒に歩いている女子陣により、かなり目立っていた。

一応レゾナンスに来るのは2回目なのだが、久しぶりに来たのもあってか、大型ショッピングモール特有の雰囲気に圧倒されるような感じがする。

 

「大きいですね~、こんな所に来るのは初めてですよ」

 

そう言って、美鈴が感嘆の溜め息をつき、鈴仙も同じような反応をしていた。

まあ、この2人は幻想郷で暮らしてたんだから、そんな反応するのも無理はないか。

「私が住んでいた地域にも、似たようなショッピングモールはあったんですけど………やっぱりレゾナンスは大きいですね~」

 

そう言えば、早苗は元々此方側の世界の人間だったな。

 

等と思いながらも、俺達はレゾナンスへと向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

「前にも来たことがあるとは言え、やっぱデケエなあ~」

 

レゾナンスに入り、周囲を見渡しながら、俺はそんな感想を溢した。

やはりと言うか何と言うか、広いの一言に尽きる。

 

「そう言えばマスター、この前はリーリス・ブリストルとユリエ・シグトゥーナとで来ていましたよね?」

 

過去の嫌な思い出を蒸し返したかのように、桜花が不満そうな顔で言った。

 

「あー、外人2人と随分お楽しみだったみたいじゃないの」

「私達という相棒が居ながら…………」

 

桜花に便乗するかのように、氷華と葛城が言葉を続ける。つーかお前等、俺の予想が正しければ、その時はペパロニやアンチョビと女子会してたよな?

 

「ブリストルさんとシグトゥーナさんが羨ましい………」

「ん?美鈴、何か言った?」

「い、いえ!何も!」

「さいですか………」

 

何やらボソボソと呟いていたような気がするが、美鈴は顔を真っ赤にしながら否定した。

 

「そ、それより!早く水着買いに行きましょうよ!」

 

話題を変えようとしているのか、鈴仙が話を切り出してきた。

 

「そ、そうですね!私達は水着を買いに来たんですからね!さあ、行きましょう!」

 

話に早苗が便乗し、鈴仙と前に立って歩き出す。

 

ヤレヤレと思いつつも、俺達は2人の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしてるうちに、俺達は水着売り場にやって来た。のだが…………

 

「なんで女性用の水着売り場に俺が居るんだよ」

 

そう。この水着売り場に来る道中、男性用の水着売り場があるのを見つけ、俺はその店に入ろうとしたのだが、美鈴と早苗に引っ張られ、この女性用水着売り場に連れてこられたのだ。

 

「いやあ~、私達ってこういった水着とかには疎いので、是非とも狂夜さんに感想を言ってもらえたら、と…………ダメですかね?」

 

そう言って、早苗が上目遣いで此方を見上げてくる。だからその上目遣い止めろ。それ昨日風呂で長谷川先生にやられたばかりなんだよ。なんて言ったら殺されかねないので、俺は黙って従うより他はなかった。

 

「はいはい、構いませんよ」

 

ヤレヤレと首を振りながら言うと、早苗は表情を明るくした。可愛いのだが、何か上手く嵌められたような気がするのは俺だけだろうか?

 

そう思いながら、俺は店内を見回した。

 

 

此処に売っている水着は、約半分は清楚系の女子が着ていそうな、大人しめの水着、残りはスポーツタイプや、大人の女性タイプだ。

実を言えば、俺自身も美鈴や鈴仙と同じく、水着とかについては疎い存在だ。

 

前世では軍人で、ほぼ戦争に行きまくったり、イワンや親父との喧嘩に明け暮れて過ごしてたし、この世界に転生してからは、転生先が転生先だったこともある上に、クソアマに見捨てられてからは、桜花と解体所で暮らしてたから、海やプール等、水着とかに触れる機会なんて殆どなかったからな。何とかそれらしい感想を言えることを祈るばかりだ。

 

「にしても見られてるなあ~………」

 

前を歩きながら、どの水着にするかを選んでいる女子陣の後ろをのんびりと歩きながら、俺は俺だけにしか聞こえないような小声で呟いた。

 

この水着売り場には、今のところ大人しそうな女性客が多く来ている。恐らくだが、女性物の水着売り場に俺みたいな男が来ているから気まずいんだろうな。

俺は取り敢えず、『お気になさらず』と意味を込めて軽く微笑みかけ、一礼した。何故か女性客が顔を真っ赤にしていたが、この際は気にしない気にしない。

 

「あ、あの………狂夜さん」

「ん?」

 

2着の水着を持った早苗が、顔を赤くしながら声をかけてきた。

 

「そ、その………今から試着するので、見てもらえませんか?」

「あいよ」

 

そうして、俺と早苗は更衣室の前にやって来た。

此処の更衣室は3つあるようで、横1列に並んでいる。

まだ俺と早苗以外に誰も居ないとなると、まだ他の皆は水着を選んでいるようだな。

 

「じゃあ、試着してきますので…………覗かないでくださいね?」

「覗かねえよ」

 

苦笑いしながら答えると、早苗は試着室に入っていった。

つーか、試着室への入り口がカーテンってどうなんよ?せめてドアとか付けろよ。

そう思いつつ、早苗の着替えが終わるまでの暇潰しがてらにスマホで遊ぼうとしていると、桜花、氷華、葛城の3人がやって来た。

 

「主、何してるの?」

「ああ、早苗が水着試着するから見てくれってな。今其所の試着室に入ってるよ。お前等は?」

「早苗と同じように、水着の試着よ♪」

 

俺の問いかけに、まだ水着を着ていないのにポーズをとっている葛城が答える。

 

「それにしても狂夜、覗こうとか思わないの?」

「アホ言うなよ葛城、それやった時点で俺の社会的抹殺は決定だっつの。それよか、後2つ空いてるから、お前等のうちの2人入れば?」

 

そう言うと、先に桜花と氷華が入っていった。そういや、桜花の奴何も喋らなかったな。顔赤くしたままで。

 

「狂夜さん………」

「ん?どうした?」

 

試着室のカーテンからひょっこりと顔を出した早苗が声をかけてきた。

 

「あの、試着終わったんですけど………」

 

ヤベッ!忘れてた!

 

「ああ、スマンスマン」

 

取り敢えず平謝りに謝ると、早苗はゆっくりと、カーテンを開いた。

 

「ど、どうですか?」

「………ほえ~……」

 

俺は思わず、感嘆の息を溢した。

 

早苗の着ている水着は、白と緑でのチェック柄で………何だっけ?えーと、ビ、ビ………まあ良いや。兎に角そんな感じの水着だ。え?表現が適当?仕方ねえじゃん。

 

「うん、スゲー似合ってるぞ。フリルが付いてるとか、お前らしくて可愛いじゃねえか」

「か、かわっ!?」

 

ん?早苗の顔が爆発したぞ?

 

「おい早苗、お前の顔真っ赤だぞ、熱でもあんのか?」

「い、いえ!あ、別の水着着てきます!」

「お、おう」

 

心配して近づくと、早苗はさらに顔を赤くしながら、物凄い勢いでカーテンを閉めた。そのカーテン、一応店のモンだから壊すなよ~?

 

「主、終わったわよ♪」

 

氷華の楽しそうな声が聞こえ、俺はそちらの方を向いた。

 

「ど、どうですか?マスター」

 

氷華は最初からカーテンを開けていたが、桜花は顔を真っ赤にしながら、早苗のようにゆっくりとカーテンを開いた。

 

「ふむ…………お前等らしいな、それ」

 

氷華のは水色で、如何にも涼しげな雰囲気を感じさせるワンピースタイプ。桜花の方は、家で着ている和服と同じ、赤地に白い花柄の模様が描かれ、形は大体が早苗のと同じだが、フリルではなく、スカートがついている。温厚な桜花とは、雰囲気がピッタリな水着だ。

 

「お前等各々のスタイルにも合ってるし、良いと思うぜ?」

「そう?なら、これにするわ」

「わ、私も………」

 

そうして2人は、再び試着室へと引っ込んだ。

 

「狂夜さん、2着目の水着を着てみたんですが………」

「はいよ」

 

そう答え、俺は早苗が入っている試着室の前に来た。

だが、未だにカーテンが開かれない。

 

「おーい早苗、どうしたんだ?」

「す、すいません。ちょっと…………心の準備が………」

「はあ………」

「狂夜、女の子には色々あるものなのよ」

 

反応に困っていると、桜花達が出てくるのを待っている葛城がそう言ってくる。てか、余計に分からなくなってきたんだが………

 

そうこうしてるうちに桜花達2人が出てきたので、葛城が試着室に入っていった。

その直ぐ後に、美鈴と鈴仙が試着室の前にやって来た。

 

「おい早苗~、後がつっかえ始めたぞ~」

「ええ!?2人来たんですか!?」

「ああ」

 

そう答えると、カーテンがモゾモゾと動く。

 

「う、うぅ………ええい!!」

 

その声と共に、カーテンが勢い良く開け放たれた。だからさあ、これ店のカーテンだから乱暴にやるなよな~。壊れたりしたらどうすんだよ?

 

「なあ早苗?どんな水着着たのかは知らんが、カーテンを乱暴に開け閉めするのは…………止めた、方が………良い………ぜ?」

 

早苗の方を向きながら、乱暴にカーテンを開け放ったり、1着目のように乱暴に閉めたりしたことを注意しようとすると、思いもよらぬ光景に言葉が途切れ途切れになった。

 

「く、黒ビキニ………」

「早苗も大胆になったわね………」

 

顔を赤くして恥ずかしがる早苗を見ながら、美鈴と鈴仙がそんな感想を溢した。

って、ビキニ?

 

「なあ美鈴、ビキニってのは?」

「え?今早苗さんが着ているタイプの水着ですが………」

 

ああ、そうだそうだ、ビキニだ!!漸く思い出した!何か昔、それっぽいのをチラッと聞いたことがあるような気がしてたんだよな~!!

 

「あの、狂夜?」

 

おっと、そんな事を考えすぎて、ついボーッとしてたぜ。

 

「ああ、スマンスマン。んで、何だっけ?」

「早苗の水着よ、水着」

 

そう言われ、俺は改めて、早苗の方を見る。

 

「うぅ………恥ずかしいです………」

 

早苗はそう言って、恥ずかしそうに体を揺らす。

他の女性客から矢鱈と視線を集めているが、当の本人は気づいていないようだ。

それにしても、さっきのと比べると、些か肌を隠す面積が少ないな。太陽光で日焼けするぞコレ。

まあ、スゲー似合ってるけど。

 

「そ、そうだな、似合ってると思うぞ。お前らしくないってのが逆に新鮮だ」

 

つーか、今更だが早苗ってスタイル良すぎだろ。美鈴や鈴仙、桜花達もそうだが。

 

「ッ!そ、そうですか?」

「ああ。さっきのと同じぐらいに似合うぜ」

「じゃあ、両方買います!!」

 

さっきの恥ずかしがってた早苗は何処へやら、早苗は嬉しそうに試着室へと引っ込んだ。

 

「にしても、あの変わりようは何だったんかねえ鈴仙………あれ?鈴仙?」

 

いつの間にか、俺の隣に居た鈴仙が居なくなっていた。おまけに美鈴も。

 

「マスター、2人なら先程、試着室に入りましたよ?」

「あ、そうなん?気づかなかったぜ」

 

そうしていると、葛城が入った試着室のカーテンが開け放たれた。

 

「きょ~うや!どう?」

 

開け放たれたカーテンから出てきた葛城が、今度こそとばかりにポーズを決める。

 

早苗や桜花が着ていたビキニタイプであることには変わりないが、肌を隠す面積はそれなりに大きい。上の方は緑、下のスカートは、美鈴の制服のようにスリットが入り、赤のラインが入った、活発な性格の葛城にはピッタリの水着だ。

 

「へえ~、お前らしさをとことん追求したような水着だな。スゲー似合ってるじゃねえか」

「フフッ♪そうでしょう?似合うの探すのに苦労したんだから。よし、これに決めたわ!」

 

そうして、葛城は試着室へと引っ込んだ。

 

「さて、残るは美鈴と鈴仙だけだな」

 

俺はそう呟き、2人が入った2つのボックスの方を見た。まだ着替えてる最中なのか?それにしては遅いな。

もしかしたら、葛城が出てきたから遠慮していたのだろうか?

 

まあ、それはないかと思いつつ、俺は声をかけておくことにした。

 

「2人共、葛城のお披露目は終わったから、後は2人だけだ。着替え終わったら出てこいよ」

 

そう言うと、2つのボックスのカーテンが一気に開け放たれた。

今更ながら思ったんだが、試着室から出る時はカーテンを勢い良く開け放つのが流行りなのか?

等と思いながらも、俺は出てきた2人に目を向けた。

 

「狂夜、どう?」

「ど、どうですか?狂夜さん」

 

鈴仙と美鈴が、少し顔を赤くしながら感想を求めてくる。

 

鈴仙の水着は、上が黄色、下が黄色と灰色のスカートがついたビキニだ。コイツの事だからもっと無難なものを選んでくるかと思ったが、以外としっかり選んでた。

美鈴の方は、無難に緑一色のビキニだった。

予想では、もっと中華風のものを選んでくるかと思ったが…………だがまあ、それはそれで、似合うと思う。

 

「ああ、2人共似合ってるぞ。スゲー可愛いと思う」

「そ、そうですか?嬉しいです」

「何か、こうやって褒められたら、嬉しいけど、少し恥ずかしいわね」

 

各々を褒めると、2人共顔を赤くしながらも、嬉しそうに微笑む。

 

「じゃあ、俺は自分の水着買ってくるから、会計済ませたらこの店の前で落ち合おうぜ」

『『ええ(はい)!』』

 

そうして、俺は一旦店を出て、男性用の水着売り場へと向かった。

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