IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第八十五話~手抜きとカオスなお話です~

「あのぉー、紫園さん?」

「何ですか?」

「いや、『何ですか?』ではなくてですね、何してるんですか?」

「膝枕、ですが」

 

さて、昼の楽しい海での遊びも終わり、旅館に戻ってきた俺達は、更衣室で水着から制服に着替え直し、其々の部屋に戻って休んでいた。

それから入浴の時間となり、女子勢は大浴場に、俺達男子は部屋にある風呂に入ることになっている。

俺の部屋にある風呂も、普段家にあるような風呂と何ら変わりないのではないかと思っていたのだが、何故か露天風呂だった。

まあ、豪華と言えば豪華なので、思いっきり満喫させてもらった。

 

それから、何やらこの旅館には、風呂の後は浴衣を着なければならないという決まりがあるらしく、脱衣室に置かれていた浴衣を着て、部屋に出てきたのだが、それから夕食までの暇潰しに寝転んでいると、俺が畳の床に頭を置こうとした時に、紫園さんが滑り込むように入ってきて、今現在俺は、紫園さんに膝枕されているという状況に居る。

 

「あの………何故こんな事を?」

 

そう聞くと、紫園さんは少し頬を膨らませ、拗ねたような態度で言った。

 

「別に………………ただ海で女の子達に囲まれていた貴方に嫉妬なんて、していませんよ?」

 

嫉妬ってオイ………………

 

と言うか、口ではそう言っているが、顔は『嫉妬してます』と書かれているかのように、柔らかそうな頬が膨らんでいる。

ふーむ、何とかして機嫌を直してもらいたいのだが、何すりゃ良いんだ?

 

「あのー、紫園さん、そろそろ機嫌直していただけませんかねぇ?」

「つーん」

 

駄目だコリャ、聞いてくれねえ。

………………………仕方ない。

 

「後で、俺に出来る事なら何でも1つ、言うことを聞きますから」

「(ピクッ!)………………本当ですね?」

 

お、食い付いてきた。

 

「勿論ですよ。男に二言はありません」

「そうですか………………では、夕食が終わったら1つ、お願いを聞いてもらうとしましょう」

「りょーかいです」

 

そうして俺は、漸く機嫌を直した紫園さんと共に宴会場へと向かった。

てか、アンタも来るんですね………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっス兄貴!さっきぶり~!」

「よお、ペパロニ。お前は何時も元気だよな」

「それがアタシのアイデンティティだからな!」

 

宴会場に向かう途中、俺達はペパロニに会った。どうやらコイツも、今から宴会場に向かおうとしていたらしい。

アンチョビが居ない理由は、アンチョビは正座が苦手らしく、テーブル席を取るために先に行ってしまったんだそうだ。

 

「そういや兄貴、なんで従業員さんと一緒に居るんだ?宴会場じゃあ、さっき準備が終わったばっか的な雰囲気だから、まだ何人か残ってるってのに」

「それについては、また今度説明してやるよ。取り敢えず行こうぜ」

「へーい」

 

そうして俺達は、ペパロニを交えて宴会場へと向かった。

 

「あ、そうだ!兄貴、一緒に座ろうぜ!宴会場行ったら恐らく、兄貴の隣争奪戦が勃発しちまうしさ」

「何だよその変な争奪戦は?」

 

そんな会話を交わしつつ、宴会場に到着した。

 

 

 

 

 

 

宴会場に着くと、紫園さんは他の従業員さん達の所へと行き、俺は一番端の席を取った。その隣にペパロニが座る。

何やら『端を封鎖しておけば良かった』等の声が聞こえるが、この際気にしないことにしよう。

俺の右隣にペパロニが座り、その正面に遅れて来た美鈴や早苗が座る。

そうして雑談しているうちに、夕食の時間となった。

 

それにしても、その料理が刺身や小鍋、山菜やお新香とか、少なくとも学生で出るようなモンじゃねえな。

 

「いただきます」

 

そう言って箸を取り、料理を口に入れる。

 

うん、美味い。

 

周りを見てみると、それは他の生徒も同じだったらしく、皆が料理の美味さに感動している。

後で美味かったと紫園さんに伝えておくか。

 

「兄貴、コレ美味ぇなあ!」

「ペパロニ、女の子がそんな口調で喋っちゃいけません」

「でも、本当に美味しいですね」

「ええ。宴会の時並みの美味しさです」

「なあ早苗、八雲重工では宴会とかやんのか?」

「え、ええ」

ペパロニの質問に、早苗は焦りながら答えた。

恐らくその宴会ってのは、かなり前に紫さんに聞いた、幻想郷とやらでの行事なのだろう。

 

そんな会話を交わしつつ、俺は料理を楽しんだ。

 

 

 

「(うぅーっ、きょーちゃんめ~、あんなに他の女の子と楽しそうにして~!)」

「(私も同じクラスだったらなあ………)」

 

 

何やら、あちこちから妙な視線を感じるのだが………………気にしないことに………出来んわな………

 

 

 

 

 

「ふいーっ、夕飯美味かったな~」

「それは何よりです、狂夜様」

「あ、紫園さん。帰ってたんですね」

 

夕食を終え、部屋に戻ってくると、其所には既に紫園さんが居た。

その様子だと、結構前から部屋に来ていたみたいだが、さっきは何しに、つーか何処に行ってたんだ?もしかして、業と遠回りして戻ってきてからずっと待ってたのか?………………考えすぎかな?

 

まあ、それはそれとして………

 

「紫園さん、何やらご機嫌ですね」

「ええ♪少し、やってみたかった事があるので、それを試す良い機会だと思いまして」

 

紫園さんは嬉しそうに言うが、俺としては不安だ。何されるか知れたもんじゃねえ。

 

「ち、因みに………………『やってみたかった事』とは?」

「そ、それはですね………」

 

紫園さんは言うのが恥ずかしいのか、顔を赤くして、時折此方を向いては、視線を逸らしたりしていた。

やがて覚悟を決めたのか、言おうとした時………………ッ!

 

「俺、参上!」

「親父!?」

 

突然、我が父親、レーヴェ・ポルシェが瞬間移動でやって来た。

 

「何しに来たんだよ!?」

「いやいや、何か面白そうだったからさあ、からかいがてらに来てみた。明日の朝も行くからな~」

「オイ待てやコラァ!」

 

俺が止める暇もなく、親父は帰っていった。

 

「畜生、アレが初代《ドイツの覇王神帝》かよ………あ、すみませんね紫園さん、さっきのウチの親なんですよ」

「お父様………でしたか。今度ご挨拶に伺います」

「何の!?」

 

そんな会話を交わしているうちに消灯時間となり、俺達は寝ることにした。

 

 

 

 

 

余談だが、紫園さんが言っていた『やってみたかった事』は添い寝だったようで、俺は一晩中抱きつかれていた。

それで起きてみたら、何故か耳がベタベタに濡れていたのだが………………俺、何されたんだっけ?

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