IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第八十七話~模擬戦です~

さて、朝の出来事から暫く経ち、俺達は臨海学校2日目の行事を行おうとしていた。

 

旅館の近くにあるIS試験用の海岸に、生徒がずらりと並んでいる。

そして、その前には織斑千冬が立ち、後ろに上白沢先生を含む、他のクラスの先生や山田先生が控えている。

 

集合する際の服装は、当然ながらISスーツ姿なのだが、俺のISスーツはまるで何かの装束のようなものだったので、今も尚、結構見られている状態だ。

「ではこれより、専用機持ちとそうでない生徒のグループに別れ、ISの装備試験を行う。だがその前に、ボーデヴィッヒ」

「は、はい!」

 

織斑千冬に呼ばれ、ボーデヴィッヒが返事をする。

どうやら初の合宿というものに興奮していたのか、寝坊してしまったらしい。

何か、『ボーデヴィッヒは軍人である』というのを本気で忘れそうになってしまうな。

 

「ISのコア・ネットワークについて説明してみせろ」

「は、はい。ISのコアは其々が---」

 

そうして、ボーデヴィッヒは織斑千冬に言われた通り、説明を始める。

一言も言い間違えることなく言える辺り、かなり叩き込まれているようだな。まあ、それ程までにボーデヴィッヒが優秀な存在だったというのもあるのかもしれないが。

 

「ふむ、流石に優秀だな。遅刻の件はこれで見逃そう」

 

へぇ~、あの女が遅刻を見逃すなんて、意外だな。

 

「では、各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは、専用パーツの試験だ。全員、迅速に行え」

 

生徒全員が一斉に返事をする。

そして俺達専用機持ちは、訓練機を使う生徒とは少し離れた場所へと集まっていた。

 

其所には、俺、織斑ツインズ、鈴、デュノア、ボーデヴィッヒ、オルコット、簪、そして、八雲重工のパイロットが集まっていた。

そして何故か、其所には、篠ノ之も居た。

 

「全員、揃っているな。それでは、専用パーツのテストを行う」

「あの、箒は専用気持ちではない筈じゃ?」

 

説明を始めようとした織斑千冬に、鈴が待ったをかける。

 

「ああ、それについてはだな、篠ノ之も専用機持ちになるかもしれないので、此処に呼んだのだ」

 

そうしていると、岩影から紫さんと、篠ノ之束が現れた。

つーか、紫さんも来てたのか。まあ自分の企業のパイロットに専用パーツを渡したりするため、といった感じかな?

 

『『ッ!?』』

 

だが、昔からすれば完全に変わった姿で現れた篠ノ之束に、織斑家や篠ノ之箒は、一瞬ながら驚いた表情を浮かべていた。

まあ、無理もないか。昔は何処ぞのお伽噺のキャラみたいな格好で、子供っぽい人だったからな。

 

「さ、さあ、篠ノ之」

 

未だに篠ノ之束の格好が信じられないと思いながらも、我に返った織斑千冬に促され、篠ノ之箒が前に出る。

 

「久し振り、大きくなったね、箒ちゃん……………………」

「えぇ。ですがそれより、此処に来たということは、渡してくれるのですね、専用機を」

あー成る程、コイツ俺達が知らん間に専用機集ってたのか。

まあ、境遇上は必要だろうとは思っていたが、まさかこんな形で専用機を貰うところを見ることになるとはな……………………

 

「…………」

 

ふと横を見ると、簪が忌々しそうな視線を向けている。そりゃそうなるわな。

 

自分は努力したというのに織斑ツインズに邪魔されて、一時は専用機なしで三年間過ごすことになりかねない境遇に立たされていたのに、それがあっさりと、しかも篠ノ之束お手製の専用機となれば、不快感を感じる者も居るということだろう。

 

紅椿(あかつばき)と呼ばれる機体を受けとると、さっそく最適化等が行われた。

その様子を見ていると、八雲重工のパイロット達が紫さんに呼ばれたのか、何処かへと移動しているのが見えた。

俺が見ていることに気づいたのか、紫さんが此方を見ると、俺に向かって手招きしているのが見えた。

 

「(ん?俺?)」

 

俺が自分を指差すと、紫さんは手招きしながら頷く。試しに、移動を始めようとしている上白沢先生の方を向くと、先生も『来なさい』と言わんばかりに頷く。

 

そして、俺も八雲重工のパイロット達に続いて、移動した。つか、俺そちらのパイロットでも何でもないのですが?

 

 

 

 

 

「では、其々にテスト用のパッケージを読み込ませるから、順番に来て」

 

専用機持ちからも少し離れた所に移動した俺は、何やら始めようとしているのを見てボーッとしていた。

 

「で、なんで俺まで呼ばれたんですか?」

 

そう訊ねると、紫さんが近付いてきて言った。

 

「それはね、私の企業のパイロットと貴方で、模擬戦をしてもらいたいからなの」

 

そう紫さんが言うと、久々に見る銀髪と黒いリボンが見えた。魂魄さんだった。

 

「貴方の対戦相手は妖夢よ。使用ISは、レオパルトでお願いできるかしら?」

「良いですよ」

 

そう言って、俺はレオパルトを展開する。

その速度が速かったのか、全員が驚いた表情で俺を見ていた。

 

「慧音から聞いてはいたけど、やはり凄いわね………………」

紫さんはそう呟く。

 

それから少しして、俺と魂魄さんの模擬戦が始まろうとしていた。

 

『狂夜さん、今日はよろしくお願いします』

「ああ、よろしくな」

 

律儀に挨拶してきた魂魄さんに、俺も挨拶を返す。

 

「では、始め!」

 

紫さんの合図で、魂魄さんが飛び出してきた。

 

両手に刀のようなブレードを展開し、二刀流で攻めてくる。

俺は高周波ブレード《SSΩ》を右手に、《ボルテックソード》を左手に展開し、交差させて攻撃を受け止める。

 

「おらよっ!」

 

そして刀を流し、回し蹴りを喰らわせると、魂魄さんの右肩に当たる。

 

「ぐっ!?」

 

表情を歪め、少し後退するが、直ぐに体勢を立て直して攻撃してくる。

それを2本のブレードでいなし、表情に疲れの色が出始めた瞬間、俺は鍔迫り合いに持ち込み、魂魄さんを蹴り飛ばすと、次の攻撃への準備に移る。

紫さんに、魂魄さんと模擬戦するように頼まれてすぐ、思い付いた技にして、クラス対抗戦で簪にもやった技だ。

 

「はぁぁぁぁ……………………」

 

左手に展開した《ボルテックソード》を収納して、《SSΩ》に左手も添え、大きく後ろに構え、狙いを定める。

 

「はぁぁぁぁあああっ!!」

 

そして、魂魄さんが瞬時加速で突っ込んでくる。

 

「来やがれ、来やがれ……………………」

 

俺はそう呟きながら、魂魄さんを十分に引き付ける。そして、かなり近づいてきた瞬間…………!

 

「うおりゃあ!《斬撃波》!」

 

《SSΩ》を思い切り振った。

 

「きゃあっ!?」

 

思い切り振るったことで起こった衝撃波で、魂魄さんが殴られたかのように吹っ飛ばされる。

それを見ていた他のパイロット達が、驚いた表情で見ている。

「さあて、終わりだ!」

 

俺は瞬時加速で魂魄さん目掛けて突っ込むと、《SSΩ》で斬りつけ、SEを大幅に減らすと、ブレードの柄で突き飛ばす。

 

「ガハッ…………!」

 

魂魄さんが岩場に叩きつけられた直後、首に《SSΩ》を突きつけた。

 

「くっ……………………こ、降参です」

 

そう言って、魂魄さんは展開していたブレードを収納し、両手を上にあげる。

俺も《SSΩ》を収納すると、手を差し伸べた。

 

「ホラ、手ぇ貸して。引き起こすから」

「えっ……………………」

 

魂魄さんは少しの間、俺の手と自分の手を交互に見ていたが、やがて顔を少し赤くしながら、手を握った。

 

「あ、ありがとうございます」

「いやいや、気にすんなって」

 

そう言っていると、

 

「凄いわねぇ~、刀では結構実力のある、あの妖夢を圧倒するなんて」

「ん?」

 

篠ノ之束よりも若干鮮やかな、桃色のショートヘアぐらいの長さの髪の毛を揺らしながら、ほんわかした感じの女性が近づいてきた。

 

「ゆ、幽々子様!」

「へ?」

 

ゆゆこ?エライ変わった名前だな。

 

「よく頑張ったわね、妖夢」

 

そう言って、その女性は俺の方を向いて言った。

 

「はじめまして~、私は西行寺 幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)、八雲重工のパイロットの1人よ~、よろしくね~」

「あ、どうも、黄昏狂夜です…………」

 

何と無く、布仏さんとキャラが被るな、この人。

 

「ところで狂夜君、お願いがあるのだけど」

「無理です」

「……………………まだ、何も言ってないわよ?」

 

何も聞くことなく拒否すると、西行寺さんは苦笑いしながら言った。

 

「大方、『さっきの技を教えてあげて』とか言うつもりでしょう?」

「……………………ダメ?」

「うん」

「そ、そこを何とか…………ね?」

「……………………冗談ですよ、今度教えますから」

 

そうは言うが、教え方どうすれば良いんだ?

 

俺はそう思いながらレオパルトを解除し、八雲重工のテスト稼働の方を見学しようとしていたのだが……………………

 

 

「織斑先生、大変です!」

 

突如、向こうで山田先生の切迫した声が聞こえ、その後、俺達学園側の専用機持ちに召集がかかった。

 

「こりゃ、波乱の予感だな……………………」

 

旅館へと向かう専用気持ちに合流し、作戦会議のための部屋に向かいながら、俺はそう呟いた。

 

これが杞憂で終わってくれりゃ良いんだが、そんな都合の良い話、ある訳ねえよなあ…………

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