IS~宿命の砲火~『出来損ないと呼ばれしドイツの帝王』(更新停止中)   作:弐式水戦

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第八話~パワーアップと、非常識への第一歩~

「さて、今日は遂に、あのエンジンの載せ換えdayだぜ!」

「おお、何かヤル気満々だねえ、狂夜君」

「ソリャそうですよ、主任さん。なんせ、あのマイバッハエンジンを、我が愛車に載せる日が来たんですからね!」

 

さてさて、《チャラ男三人衆をぶっ潰せ!知らん女の子救出大作戦》から一夜明けた今、俺は解体所にて、兎に角興奮していた。

何故かって?ムフフフフ…………実はだねえ、昔から主任さんと協力しながら作ってきた、ゴールドウィングでも使えるように改造したマイバッハエンジンが完成し、今日はその載せ換えdayだからだ!いやあ、長かったなあ~。この日をどれだけ待ちわびていたことか!

 

「じゃあ、早速載せ換えようか」

「はい!」

 

さあ、楽しみだなあ!

 

 

 

~約5時間後~

 

 

 

「か~んせ~い!」

「イェェェェェェイッ!!!」

 

俺と主任さんが喜んでいる前では、マイバッハエンジンに載せ換えた我が愛車が鎮座している。外観は改造前と大して変わらないが、エンジンのサイドに『マイバッハ』と書かれている。カッケー!

 

「せっかくだから狂夜君、エンジンかけてみたらどうだい?」

「おー、良いですねえ、ソレ。早速やりましょう!」

 

そう言うと、俺はゴールドウィングに跨がり、イグニッションキーを差し込み、時計回りに回す。カチッ!という音と共に、小さなモニターにゴールドウィングのエンブレムマークが映し出される。

後は、クラッチを操作するだけとなった。だが、いざ始めようとすると、かなり緊張するんだな、コレ。今だって、クラッチを操作しようとしている手が震えているし。

だが、エンジンをかけるって決めたんだ。

 

「さあ、押すぞ!」

 

そうして俺は、ゴールドウィングのクラッチを操作した。

ギュルギュルとエンジンが動き出し、次の瞬間には、物凄い爆音を撒き散らした。

我が愛車に載せた、このマイバッハエンジンは600馬力を誇る。そんなエンジンを載せたゴールドウィングは、軽く怪物と化したというわけだ。

後輪を挟むように伸びる二本のマフラーからは、白い煙がもくもくと吐き出されており、以前のエンジンとは比べ物にならんぐらいにまで成り果てた。

 

「いやあ、あの時と姿は変わらないとは言え、化け物じみた怪物になってしまったね。エンジンすら動かなかったあの時からしたら、こんな展開は考えつかなかっただろうに」

 

腕を組みながら、主任さんはウンウンと頷いている。ソレには俺も同感だ。初めてコイツを見たときは、ただ単に錆びてボロボロになったバイクとしか見えなかったが、それが今となっては、錆びたボディは変わらずとも、ちゃんと自走出来るぐらいに回復し、さらにはマイバッハエンジンによってパワーアップするまでに成り果てた。

 

「じゃあ、軽く馴らしてきます」

「はいよ、行ってらっしゃい」

 

そうして俺は、パワーアップした相棒に跨がり、町のあちこちを走り回り、約2時間程馴らし走行をしてから解体所へと戻った。

にしても、今日は中3ぐらいの学生を矢鱈と見かけたなあ。

「主任さーん、ただいま戻りました~」

 

解体所の中に入り、プレハブ小屋に舞い戻った俺は、主任さんに声を掛けた。主任さんは此方を向くと、何故かラジオを持って近づいてきた。

 

「ああ、おかえり狂夜君。良い時間帯に帰ってきたね」

「どうかしたんですか?」

 

俺が聞くと、主任さんは答える代わりに、ラジオを置かれていたドラム缶の上に置いた。

 

「実はね、面白い放送が流れたんだよ。ちょうどカセットにその放送を録ったから、バイク置いて聞きにおいでよ。桜花ちゃんもつれておいでね」

「はーい」

俺はそう返事を返し、ゴールドウィングを何時もの場所に置く。それから、留守番させていた桜花を呼び、主任さんが居る場所へと戻った。

 

「よし、全員揃ったね。では、流すよ」

 

そう言って、主任さんはラジオのスイッチを押した。

 

『………した。繰り返します。今日未明、全高等学校共通試験会場にて、世界初の男性IS適合者が、二人発見されました』

 

あー、思い出した。そう言えば今日って、受験の日だったな。通りで馴らし走行してる最中に、駅や道路で中3ぐらいの学生を矢鱈と見かけた訳だ。

つか、二人も見つかったんか、ある意味ビックリだぜ。一人見つかるだけでも大ニュースだってのに、二人も見つかるなんて誰が予想しただろうな。

 

そう考えてる間にも、放送は続く。

 

『その二人の名は、織斑一夏君と、その双子の弟、織斑秋彦君。彼等は藍越学園(あいえつがくえん)の試験会場に向かう途中に道に迷い、偶然入った部屋に置かれていたISに触れた時、ISを起動させたとのことです。この事を受け、IS学園は勿論の事、日本政府やIS委員会、各国の政府は、二人をIS学園に入学させる方針を取ると共に、全世界の二十代までの男性を対象とした適性検査を、5日後に行う方針を取り…………(カチッ!)』

 

「…………とまあ、こんな感じかな。どう?」

「まさか、彼奴等が動かしたなんてな……………まあ、何だかんだ言っても、篠ノ之束とコネがあるから薄々感づいてはいましたが……………本当になるなんてね」

 

俺はそう答えた。

それにしても、あの愚弟共め、俺が織斑春馬だった頃から矢鱈と色々なことに巻き込んで、ソレで何かミスったら濡れ衣を着せた上に、まだこんなことに巻き込むってのかよ、ふざけんなよクソガキ共が。

 

そうして、怒りのあまりに『将校の気位』を発動させ、全身から赤いオーラを撒き散らしていると、俺の怒りが沸き上がっているのを察したのか、桜花が俺の手を握った。

 

「マスター、落ち着いてください。此処で怒っても、どうにもなりません」

「桜花ちゃんの言う通りだよ、狂夜君。君があの一家に見捨てられたから怒るのは分かるけど、今は怒りを抑えるんだ。良いね?」

 

そう二人に言われ、俺は我に返る。

確かに二人の言う通りだ。今此処で怒りまくっても何の解決にもならねえ。だとしたら、現実を受け入れるしかねえか。

 

「そうですね、主任さん。桜花もすまねえな」

 

俺はそう言って、桜花の頭を撫でる。

「まあ、取り敢えずは休んでいよう。それが良いよ」

 

そう言って、主任さんは帰っていった。

 

俺と桜花は、そのまま小屋へと入った。

 

 

 

 

「申し訳ありません、マスター。私がISのコア人格として、マスターと居たばかりに、こんな事態に………」

 

小屋に入り、居間で寛いでいると、唐突に桜花が頭を下げて言った。

 

「いや、お前が気にする必要はねえよ。悪いのはISが女にしか扱えないのを知ってながら何もしねえ篠ノ之束と、動かしやがったあのガキ共のせいだ……………ったく、なんであの愚弟共は、俺の平穏な生活を邪魔したがるのかねえ……………」

 

俺はそう言って、盛大に溜め息をついた。ソレを見て顔を伏せる桜花の頭を優しく撫で、桜花を抱き寄せた。

 

「なあ、桜花。もし俺がIS学園にぶちこまれる結果になったら、お前はついてきてくれるか?」

 

俺が問いかけると、桜花は顔を上げ、何時もの笑みを浮かべながら言った。

 

「勿論ですよ。それに、既に私は、貴方だけの専用機ですから」

 

そうかそうかと頷き、その日一日中、俺と桜花はのんびりと過ごした。

 

 

 

そして5日後、俺達は男性抜き打ち検査当日《運命の日》を迎えた。

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