八月の某日
俺は少し鬱になる様なイベントを迎えていた。
誕生日
他の奴らはプレゼントだのケーキだの様々な事をするだろう。
俺は他の奴らがそれで満足していればそれでいいと思うし他人が幸福だろうが正直どうでもいい。
俺が嫌なのは……
「なぁなぁお凛々。今年は米にしようか?」
「…………。」
「去年はケーキじゃなかったからケーキなんかどうだ?」
「どうせライスケーキでも考えてるんだろ。」
「おぉすげぇ。よく分かったね。もしかして俺関する検定でもあだだだだだ!!痛い痛い痛い!!」
変な事を企画してくる奴がいるんだよ……。
因みに魂魄は今修行をしているらしい。剣が無いからと言って俺の木刀を使っている。走って、素振りして、また走ってと物凄い量の運動をしていたので凄く驚いた。
「あだだだだ!そろそろ離してお凛々!!」
「ん?あぁ悪い。」
俺は奴の腕から手を離すと水を飲もうと思い立ち上がった。
「ってぇ……全くお凛々は素直じゃないんだから。」
冷蔵庫へと進もうとした俺の足は気がつくと奴を蹴り飛ばしていた。
まぁ今年は何かあっても彼女がいるから幾分かマシになることを期待しよう。
その後、俺は帰ってきた魂魄を加えてどうでもいい話した後に午後一番からあるバイトに行くための準備をし始めた。深窓の令嬢なんて何処にもいないから二次元だけなのかなぁーとかどうでもいいだろ。
まぁ、そんなこんなのやりとりの後、俺はバイトへとでかけた。
がちゃり
という音が部屋に響いた後、私は押し入れの隅っこに隠していたある箱を取り出しました。蓋を開けると中は夏にも関わらずひんやりとした空気が淡く広がりました。私はその中にあった様々な物の様子や匂いを嗅ぎました。
「ほ、本当に腐ってなどいないのですね?」
私は私の暮らしていた世界では無い、驚きの物の効力の審議を彼に確かめました。
「大丈夫だって、妖夢さんが見た感じ何も無いんでしょ?」
「そ、そうですが……。」
私は私の不安な心を彼のもっともな発言で無理やり押さえ込みました。
「それにしても驚きです。中村さんの持ってきたこの箱と中に入れた氷には……。」
私はその箱の中に入れた氷をしげしげと手に取って見ていました。その氷は袋の中に入っていて、殆どが液体化しながらも、それから発する冷気は見事に箱の中から微塵にも出しませんでした。
「氷じゃなくて保冷剤ね。中身は水じゃないから氷じゃない気が……まぁそれはともかく中の食材を冷蔵庫に移そうか。」
「えぇ、早速取り掛かりましょう。」
それから私達は食材を黙々と冷蔵庫へと移し始めました。
私達はこの日の前日にある事に気が付きました。
彼がバイトから帰ってくる時間帯にご飯を作れている確証がないという事でした。
昼食、食材の買い物、家の中の装飾するための物を買って帰ってくるのを最短で三時程かかります。腕によりをかけて複雑な料理を作るのに五時近く、彼は元々、今日にバイトのシフトなる物が入っていなく急遽呼ばれたそうです。そのため短時間で終わるらしく、早ければ四時に帰るという話を聞きました。
彼がバイトへと出掛けてからすぐに行っても遠いデパートに行くのには時間がそれなりにかかります。それに時間を取られて準備が終わりきらないまま帰ってきてしまったら計画は台無しとはいかなくても大成功とも言いきれません。
そこで中村さんが思いついたのは事前に食材を買っておくというものでした。
しかしただ買って冷蔵庫に置いておくとバレてしまいますし、非常に量が多いので彼に家から持ってきてもらうのも問題があります。そこで中村さんは家にあったクーラーボックスという中の冷気が漏れにくいという物を持ってきてもらいました。それは氷やアイスをなるべくそのままの状態で維持しておくというものでした。しかしそれだけでは溶けてしまうので中に保冷剤というとても凍りやすく何度も使えるという物を大量に入れ、彼がシャワーやトイレに行っている間に保冷剤を交換しながら中に布団がある押し入れの隅っこに三四個程置いていました。
それが上手く行き、何とか九十九さんにバレないように用意することが出来ました。
「妖夢さん、これはどこに置くの?」
「えぇ、それはこちらでお願いします。」
少し後に私達は食材の整理をし終わりました。
その後、私は彼に簡単な昼食を振る舞って夕食の仕込みを開始し始めました。中村さんは早いと言っていましたが、気持ちが抑えれませんでした。彼の喜ぶ姿が見たくて……。
午後三時なると彼は少し出掛けてくると言って出ていきました。彼にも準備をする事があるらしく留守番をする事になりました。私は下準備から本格的に作る事にしました。
私は最近、変な気持ちが芽生えます。
幽々子様といる時みたいに楽しい日々。
この時間がずっと続けばいいのにと思ってきます。
でもそれでいいんでしょうか?
それが正しい事なんでしょうか?
私には……分かりません。
私は九十九さんと……一緒に「妖夢!!」ひゃぁい!!」
私が振り向いた先には彼が立っていましたが私は驚きのあまり彼へと倒れ込んでしまいました。
「その手にあるのはなんだ……。」
「え?いやケーキだよケーキ。」
俺は家に帰る途中に奴と会った。大体、バイクを乗ってきていなかったから今日はどうしたのかと思ったがそれより目に行く物があった。
「ふーん……まぁそういう事にしておこう。」
奴の手に持っている物だ。
奴は様々な物を箱に入れて贈ってきた。去年は水、一昨年はびっくり箱、今年は何なのか検討もつかないが片手で軽々持っていて、それ程大きくないサイズの箱という事は水みたく重いものでも大きい物でもないだろう。
「それで魂魄は?」
もう一つ気になる事があった。彼女の事だ。
「さぁ?お凛々が教えていれはなんか用意くらいしてるだろうね。」
奴は教えたとも教えてないとも言わなかった。因みに俺は彼女に言っていない。実のところ今日、奴に誕生日の話をされるまでは忘れていたのだった。まぁ急に用意を出来るなんて思わなかったため宛にせず奴の持っている箱の中身を想像しながら扉の前まで来て鍵を差して回した。
カチャリという音とともに俺達は部屋へと入った。
「ただいまー。」
「お前の家じゃないだろ。」
「夏休み中は俺の家みたいなものになってるけどね。」
奴は靴を並べると俺に手に持ってた箱を渡してきた。俺はそれを持つと奴はそそくさとトイレに入っていった。……まぁいいか。溜め息をついた後、リビングに入ると彼女が目をつぶって座っていた。口元が頻りに動いていたから寝ている訳では無いだろう。
「ただいま。」
俺は彼女へと声をかけたが返事が無い。
「おーい、おーい。帰ったぞ。」
もしかして寝ているのだろうか?不思議に思い肩を揺さぶって、名前で呼んでみることにしてみた。俺は彼女の耳元で話しかける為にしゃがみこんでから彼女の名前を呼んだ。
「妖夢!!」ひゃぁい!!」
俺が彼女の名前をそれなりに大きな声で呼ぶと彼女はその声に驚いたのか急に声を上げた。そして体制を崩し、間もなくこちらへと倒れ込んできた。
俺も彼女の急に出した大声に驚いたためバランスを取れていなかった。そのため彼女を受け止める事も、押し返す事も出来ずにそのまま倒れ込んでしまった。
「あ、あ、あっ……あの!」
「落ち着け、取り敢えず落ち着け。深呼吸だ。」
「は、はい!」
すぅーはぁー、すぅーはぁーと彼女はその体制のまま深呼吸を始めた。
それがいけなかったのだった。
「へい!お凛々。驚いたー?」
神のいたずらか奴がトイレから出て見た最初の光景はそんな異形なものだった。
「あ……うん。なんかごめん。」
奴は再びトイレの中へと入っていった。
歴史は繰り返されるものだと俺は初めて知った。
今回は誤字が多い気が……