「ううぅ……どうしよ。何だか緊張してきたよ。」
「なぁ……一つ聞いていいか?」
「どうしよう……どうしよう……。噛まないで言えるかなぁ?」
「おい……落ち着けよ。」
「ううううぅ……人生でこんなにドキドキしたのは初めてだよぉ……」
「聞けよ。いいから俺の話を聞けよ。三分だけでいいから。」
「うわぁ……はうあぁ……どうしようどうしよう……。」
「…………。」
「もしふられたりしても、このまま友達でいてくれるかなぁ……うわぁ、近づかないでくれとか言われたらやだなぁ。私死んじゃうかも。」
「いや、アイツはそういう奴じゃないだろ。」
「そんな事くらい知ってるよ!バーカ!!」
「何だと!んな事言うなら俺は帰るぞ!!」
「帰ればいいじゃん。何でいるの!?イミワカンナイ!」
「はぁ!?慰めろって言ってたじゃんか!」
「それは家に帰ってからでいいの!!」
「知らねぇよ!そんなに嫌だったら来るなって言えよ!大体何時間待ってると思ってんだ!!」
「知らないよ!大体二時間十六分くらいでしょ!?」
「何でジャストに当てる事が出来るんだよ!」
「何でって私だからとしか言いようがないや。というかその程度で音を上げるとか、弱っちいね。」
「アイツはジャニ◯ズかよ。」
「勿論私にとってはジ◯ニーズみたいな物……いやそれ以上よ!」
ジ◯ニーズに謝れ!と俺はその時強く思ったが何か言われても更に口論が続くと面倒だったのでそこで会話が途絶えた。さっきも言ったが二時間近く待ってたから部活行ってもよかったかもしれなかった。後の祭りとはこの事だ。
そんなこんなで奴の帰り道に通る道沿いにある公園で奴を待っていた。最初は何事も無く待っていたが時間が経つにつれ俺はまだかとイライラし、花穂はドキドキで興奮してくるという意味分からん兄妹の姿がその公園にはあった。
「あぁー純くんまだかなぁ。」
「あれ?やっぱり凛に花穂だ。何してんの?」
そんな二人の後ろに待っていた人物が不意に声をかけてきた。
「うおっ!?純、お前いつから?」
「うわぁ!?純くんいつからいたの?」
「いや……今さっきからだけどさ。」
二人は突然の彼の出現にびっくりしたけど奴もびっくりしてたな。俺達が全く同じような反応したのか、何でいきなりそんな事を聞いてくるのかでびっくりしてたのかは知らないけどな。すると花穂は顔を一気に赤くしていった。
「あ、あ、あ、あぁあの!!純様!!?」
「えっ?あっはい。何でございましょうか?」
突然叫ぶ様な声でしかも花穂は仰々しく奴に問いかけたため、奴もそんな態度を取ってきた。反射的によくもそんな事を……と思っていたが、それはともかく花穂の事を見守っていた。
「あの…………純くん。次の土曜日とか遊べない?いや……そうじゃなくて、いやあってるんだけど間違ってて……でもいや、うーんと……えぇぇっと……。」
「……?あぁ、悪いけど土曜日は部活なんだ。だから三人で遊びにはいけない。」
「え……いや!そうじゃなくて!!いやでもそうなのかな?いやでもいや!いや!違うの違う!」
「違う……?何が?」
「いや……その……純くんのバカー!!」
「えぇぇ……?」
花穂は頭がオーバーヒートして弾けたのかそのまま走り去っていった。方や奴は顔を顰めて何やらブツブツと呟いていた。いやいきなりバカって言われても分かんねぇよ、と思いながら花穂を追う形で家へと帰った。
「どうしよ……。もう純くんと目を合わせれないぃ……。」
「落ち着けよ。俺が何とか言ってやるからさ。」
「お願い。お兄様。」
肩を叩くと頭を僅かに傾かせて敬意を込めた様な声を一切発さずに言った。
「ボケて返せるくらいならまだまだ元気ありそうだな。」
俺は少しイラッとして花穂のほっぺたをつねった。
「おにひちゃんのいびわふ。」
「何言ってんのか全然分からんね。」
俺はほっぺたから手を離すと花穂はぷくりとほっぺたを膨らませた後、俺から顔を背けた。
ピンポーン
そんな時、家にインターホンの音が響いた。
「はい。えっ……?あ、はい。いつもお世話になってます。はい。はい、少々お待ちください。」
来客からの会話が終わると伯母さんは俺達のほうに向かって言った。
「花穂、貴女にお客様よ。」
「客?こんな時間に誰よ。」
「純くんよ。わざわざ話があるって訪ねてきたのよ?」
「「純(純くん)!!?」」
俺達は顔を見合わせた後、すぐに立ち上がって玄関へと向かって走った。
ドアを開けるとそこには何食わぬ顔して立っている奴の姿があった。
「純!どうしたんだよ、こんな時間に?」
「んー?あぁ、ちょっと用事を思い出してね。」
俺の突然の問いかけに奴は何も動じることも無く淡々と答えた。
「用事って……?」
花穂は心無しか声を震わせて言った。まぁ彼女の足が震えてたからそのせいだと思ったのだが。
「花穂、僕は少し変わりたい。何も言えないでいるのが辛い。だからこの場ではっきりと言いたい。
僕は君が好きだ。だから付き合って下さい。」
「「えっ……!?」」
俺達は唐突な彼の文字通りの告白に呆気に取られた。
「ど、どうして?いきなりどうしたの……?」
「いきなりどうしたって言われてもね……。僕は昔から花穂のことが好きだった。君の笑顔が好きだった。だから君の為になると思った事、君と一緒に過ごす時間が長く欲しかった。昔は繋がってるって実感出来る事だけでよかった。
でも今はそれだけじゃ満足になれない。常に近くにいる事を感じたい。我侭だけど恋人になりたいってそう思える様になってきた。」
俺はいつもより少し興奮気味だがしっかりと花穂を見据えていた奴の真意を初めて知った。その時に何で俺達と大した話もしなかったのにずっと近くにいたのかをようやく理解した。クラスが違っても学年が違っても関わってきて、今までよく我を出さないでいたなと今更ながら思ったな。
「純くん……。」
「……カッコつかないし、似合わないよな。」
奴は自身を自嘲気味に嘲笑った。すると花穂は一筋の涙を流した。
「花穂?」
「私……純くんにいつも迷惑かけてた。困った時はいつも頼りっぱなしで、面倒がられてたのかと思ってた……。今日だって訳も分からずに走り去っちゃったから嫌われちゃったのかと思ってた……。」
「花穂……。」
俺は花穂の悲しみも知っていた。いつもは早い段階で立ち直り、何事も無かったの様に振る舞うのに今回はそれをする気力も無かったのだ。彼女は溢れてくる涙を手で払いながら続けて言った。
「だ、だがら……わたし、すっごくすっっっごぐうれしい……。わたしはむじょうけんでこうていされたことをものすごく……じっかんできたよぉ。」
鼻をずるずると言わせながら言う彼女に奴はハンカチを渡した。
「ありがとう……相変わらず優しいね。純くんは。」
「……たまたまだよ。」
「ふふっ。素直じゃない所も好きだよ。」
「……僕はそういうストレートな言葉に慣れてないんだよ。」
そう言って奴は花穂に優しく抱きしめた。
「ツンデレだもんね。純くんは……。」
彼女もまた奴を抱きつき、顔を胸に埋める形となった。
「よかったな、二人共……。」
俺は柱の影からその様子を見ながら、これまで不自然に感じられた奴の行動に一つ一つの意味があったと思うと奴の不器用さを滑稽に思い、自然とにやけていた。
こうして花穂と純は晴れて恋人同士になれましたとさ。
「はぁ……そんな事があったんですか。」
何というか中村さんは苦労人なのですね。あのように振る舞ってるのは他人にその苦労がバレない様にですかね?相変わらず謎が多い様に感じます。
「さて、魂魄。今から話の結末を話すとしよう。」
花穂がどうなったかを
そしてどうして俺達の性格は正反対となったのかを……な
彼はそういうと前に話していたとはまた違う雰囲気を見せながら話を再開しました。
作者もこんな甘い物語を体験したい……です。