この小説の内容についてでは無いのでストーリーの確変などには気にしないでください。
「うんうん、似合ってるじゃない。」
「そうでしょうか……?」
「そんなに謙遜しないの。もっと自分に自信を持ちなさい。」
「は、はぁ。」
私は満面の笑みで対応されている事に不信感を覚えながらそう対応しました。別に何かした訳でも無いのですが……何故ですかね。
「さてさて、それじゃあ外の彼に見せに行きましょう。」
「は、はい……ってえっ!?ちょっと待って下さい!こ、こここここの格好で外に出るのですか!?」
私は自然の流れでそんな事を言われたのですが驚いて踏み止まりました。
「一体何を驚いているのかしら?」
店の方も私が大声を出した為か驚いて私の事を見て言いました。
「えっ……その、人がいっぱいいる……じゃないですか……」
私は発したはいい物の消え入りそうで、途中から聞こえてなかったかもしれなかったような声を出しました
。
「何を今更言っているの?ここに来たのだし折角なんだから似合ってるかくらい聞くべきなんじゃないの?」
「それは……そうなんですけど。」
彼女の言う事は最もで言い返せないんですけど……それでも何故か心の準備が出来てなくて……と私がどうしようかと決めあぐねている間に彼女は私の腕を引っ張って外へと連れ出しました。
現実という物は無慈悲です……
「あ、妖夢さん。着替えてきたんだ。」
私が周りの目を気にしながら外へ出るとすぐに中村さんは声をかけてくれました。
「えっ……は、はい。変じゃないですかね?」
「んー?全然変じゃないよ。鏡見てみ。」
私がそう尋ねると彼は首を傾げた後店の中にある鏡を指さしました。
「これが私……。」
鏡を見てみるとそこにはいつもとはまた別の姿をした私が写っていました。そこにいる私はいつも幻想郷で身につけていた服ともこちらの世界で着ていたワンピースという物とも違った雰囲気を持っていた事に気が付きました。
「幽々子様……」
不意に私は自分の立ち位置に気が付き悩まされました。
「妖夢さん?」
すると長い間鏡を見ていたせいか中村さんに声をかけられました。
「は、はい。何でしょう?」
「浴衣はこれでいいかな?」
「えっ?え、えぇこれでお願いします。」
咄嗟だったので余り上手く返せたとは思いませんでしたが彼はトコトコと歩いて店内へと進み会計を済ませようとしました。
「お待たせ、それじゃあ帰ろうか。」
「少し時間がかかったみたいですがどうしたんですか?」
何分かかったか正確には分かりませんでしたが会計が終えた後直ぐに来た訳では無いように見えました。すると彼は手に持っていた袋を私の胸あたりにまで上げて言いました。
「それは、用意した浴衣は妖夢さんの分だけでは無いって事だよ。」
「成程……」
彼の最もな発言を聞いて歩き出してから私はあることに気がつきました。
「あの中村さん……私この格好で帰るんですか?」
「…………じゃあ行こうか。」
「私は騙されませんよ!荷物はその大きな袋の中でしょう!」
「逃ぃげるんだよぉー!」
「待って下さい!!」
そう言って私が手を伸ばすと彼はあっさりと捕まり、少し残念そうな顔をした後に袋を渡しました。
「油断もスキも無いですね……」
私は執拗に追いかけてくる鳥天狗の事を思い出しながら再び店へと入って行きました。
「……それで奴は魂魄の事を送った後すぐに帰ったって事か。」
「は、はい。」
「ったく……明日本気で殴る。」
(中村さんご愁傷様です。)
私が帰ると九十九さんは片手に木刀を持ちながら迎えてくれました。何事かと思いましたが中村さんがいない事に気がつくと木刀を壁に立てかけて鍵を閉めた後部屋の奥へと戻っていきました。そしてその後今日あった出来事を説明していました。
「勝手に祭りに行くって決めやがって……あぁ面倒臭い。」
それは朝に話を聞いていれば……と思いましたがこらえました。
「でもどうしてお祭りが嫌なんですか?」
私が率直に思った事を尋ねると彼はこう言いました。
「人混みが嫌だ。」
「は、はぁ。」
「分かってるよ、行くには行くって……今回だけはな。」
折角奴が自費で出したんだからしゃあねぇよな。そう呟くと彼は溜息を吐きつつ壁に寄りかかりました。そう言えば中村さんはどれ程のお金を持ってるんですかね。そこに関しては全て任せているので何も言えませんが……もしかしたら相当な無理をしているのでは無いでしょうか?
「あぁ、そうだ魂魄
一つ言おうと思っていた事があったんだが……。」
「はい?」
そして祭り当日。俺はある意味この日を楽しみにしていた。
「おーいお凛々、妖夢さんも。」
「中村さんこんばんは。」
「おう。」
二人で待ち合わせの公園で待っていると奴が少し駆け足でやってきた。
「待ちくたびれたわ。」
「あれ?お凛々そんな事言うなんて珍しいね。」
それはそうだ。俺だって祭りを楽しみにしていた訳じゃない。
俺が楽しみにしていたのは……
「まぁよくも魂魄のと同時に俺のも買ってきたな?浴衣何て高ぇ物を自分でも着やしないのに買ったよなぁ。」
「……あ、あぁー。」
奴は今の一言で察したらしく苦笑いを浮かべながらジリジリと距離を取っている。
「俺が人混み嫌なの知っててなおかつこの姿にさせるとはな……。」
「いやぁお凛々も真面目でいいことだねぇ、あっ勿論似合ってるよ?」
「まぁ今回は祭りだという事だからな……しょうがない。」
「えっ、それはつまり?」
あまり見ることの無いきょとんとした奴の顔を見た後俺はこう告げた。
「特大サービスの強さで延髄切りを実演してやろう。」
「えっ、ちょお凛々?流石にプロレス技を生身の人間にやるなんて悪魔の所業をするは「ガスッ」ぎぃやぁぁ!!今なんか釈迦が見えたんですけどぉ!」
「大丈夫だお前は神道だろう。」
「いやいや!家柄だけは仏教派生の曹洞宗ですけど!?」
「それは初耳だな。」
俺はぎゃあぎゃあと喚いてる奴にガスガスとチョップを放った。そういや曹洞宗って真言宗からの派生だと知ってたけど仏教だったか?後で調べておこう。
「ちょ、ちょっと何時もより過激じゃない?」
奴はそう言いながらひょいひょいと避けていく。まぁ避けているとはいえど掠めたり避け切れなかったものがちょいちょいと当たってはいた。
「ギ、ギブギブ。お凛々容赦なさ過ぎ……。」
そして暫くしてこてりと地面に座り、ゼイゼイと息を切らした。
「公園とはいえ公衆の面前で座るなよ。」
来てそうそう疲れた奴の事が少し哀れに思ったため俺は奴の手を掴んで引き上げた。
「どうもどうも……にしてもお凛々は今回優しくない?気のせい?」
「そりゃ一人痛い行動とってる奴がいたら少しは気の毒とか哀れだと思うわ。」
「お、おう。そんじゃまぁ行こうか。」
奴はいきなりの言葉にたじろいだのか何か言葉を返そうともせず歩き出した。
まぁいい、俺は楽しんでくれりゃいいさ。
二人がな
………………
私はとても気まずい雰囲気を感じながら二人のやり取りを見ていました。何でそうなっているかというと昨日、九十九さんが私に言った言葉のせいです。
魂魄、お前好きな人とかいないか?いないんなら……
純と付き合ってやれよ。
私はその言葉を聞いて驚きの表情を露わにしました。いきなりそんな事を言われても困りますし何故九十九さんがそういう事を言ってくるのかが分かりませんでした。しかし彼はこう続けました。
前にも言ったがお前は花穂と似ている。それでいて奴はあいつの事が好きだった。多分今の奴は魂魄の事が好きなんだろう。ほぼ毎日来てお前と絡んでるあたりそうなんだと思う。俺はあいつを殺してしまった要因の一つを担ってると思う。あいつは俺が不幸にしてしまったが奴は……奴だけでも幸せになってもらいたいんだ。
私は彼は血が出る程、唇を噛み締めているのに気が付きました。そして彼の願いを、思いを理解しました。
でも私は何時かこの地を去ってしまう……
それだけでなく私が一緒にいたいと思う人は…………
そんな感情が頭をぐるぐる回って脳内を支配していきます。
本当……どうするのが正解なんでしょうねぇ…………
私がふと気がついた時に彼らはいつも通り、傍から見れば仲のいいとは言えない様な掛け合いをしていました。