悪意再び    作:夢幻鎧武

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第10話

 シャルモンにやってくると、城乃内秀保が接客をしていた。

 相変わらず、人気の高いこの店は、ほとんどの席が客で埋まっていた。

 城乃内は僕とザックはわざと、目立たない奥の席に案内さする。恐らく何かあったと気付いたんだろう。

 

「凰蓮さん呼んでくる。その顔はなんか起ってるということだろ?」

 

「頼む」

 

 ザックがそういうと、そそくさとはけていく。

 僕とザックは暇だったので、周りの客を見つめていた。

 女性客の何人かは、DJクロスのトレードマークである黒い仮面がかたどられたキーホルダーをつけている。

 最近、あの謎のDJクロスの人気が高く、ある意味心酔している人が増えている。

 

「あの声がいいよね…安らぐって感じ」

 

「わかる」

 

 女子大生らしい二人の会話に、正直僕とザックはうんざりしていた。ああやってインベスゲームを囃し立てられるだけで迷惑な話だ。鎧武のメンバーやバロンも、ただダンスを踊ってパフォーマンスを見せれる場を守りたいだけなのに、インベスゲームのためにビートライダーズが存在している感じになっている。

 

「あと、永久の花という宗教団体知っている?」

 

「ああ、ネットで今流行ってるやつ?なんかその教祖がカッコいいってよく聞くけど」

 

「そうそう、その宗教にDJクロスは入ってるって聞いたよ。なんかクロス様に会いに、何人か入信したとか」

 

「へえ…クロスってそうなんだ」

 

 あとはとりとめない会話をしている。

 しかし、今の話は僕もザックも初耳だった。

 

「永久の花ってなんだ?」

 

 ザックにそう聞かれたが、僕自身初耳だ。

 

「さあ、宗教団体って言ってましたね。僕も今初めて聞いた。…永久の花か。ちょっと調べてみる」

 

 すぐさまスマホで、調べていく。するとすぐさまその永久の花なるものにたどり着いた。

 そのページを開くと、黒いページに白い花が咲き、その上に黄金のリンゴが宙を浮いている、そんなトップページに嫌な予感がしていた。

 

「これは、まさかあの果実を…」

 

 そう言って僕が見せたトップページに、ザックは目を見開いて頷いていた。

 

「ああ、知恵の実。この宗教団体怪しいな」

 

 わざわざ知恵の実を表に置いているなんて、明らかに怪しい。

 

「どうしたの坊や達」

 

 少し不機嫌そうに、僕たちの前に現れたのは凰蓮ピエールアルフォンゾ。そうこの店のオーナーにしてパティシエ。何より元傭兵にしてアーマードライダーだった男。

 戦闘に関しては僕たちよりも知識がある。

 

「配信については知っているのか?」

 

「ウィ。もちろんよ。あんだけ話題になっているとさすがにね。それで、どうしたの?」

 

 僕はザックとともに頷いて、今まで起ったことをすべて話す。さすがに凰蓮も驚いていた。

 

「葛葉と角居裕也なら、この店にこないだ来ていた。チーム鎧武のメンバーで。正直驚いたけど、昔のあいつその者だったな。…しかし、厄介だな。自らヘルヘイムを呼び込もうとする連中がいるなんて」

 

「やっとここまで平和に戻ってきたのに、蒸し返すなんてありえないことだわね」

 

 そう、やっとここまで戻ってきた。復興にはかなりの時間がかかっている。特に兄さんはずっと頑張っていた。

そこへまた沢芽市に危機が訪れたら…考えるだけで恐ろしい。

 

「問題はその永久の花。潜入する必要がありそうだな」

 

 城乃内がくいっと眼鏡を上げた。

 バシン

 凰蓮が後頭部からお盆で殴り、城乃内が倒れている。

 

「そんなの坊やにいちいち説明されなくても、わかっているわよ。そもそも、誰が潜入するの?ザックと光実は顔が割れている。やるのは坊やしか残ってないわね」

 

「え…えええええ。俺はさすがに」

 

 城乃内の言葉に、3人そろってため息をつく。

 確かに凰蓮のいう通り、城乃内が適任だが当人がこれでは期待できない。

 

「やはり僕が上手く潜入するしかなさそうですね」

 

 この中で言っちゃ悪いが、僕がそういうことに慣れている。ただ、呉島貴虎の弟だということが相手にとってネックになるだろうが。

 

「坊やの場合、メロンの君のことがあるから難しいわね。潜入だとすぐにばれてしまうわ。…やはり坊や、ここで男を見せるのよ」

 

「いや、凰蓮さん…確かに、守らなきゃならないのも、誰かがやらないとういけないのもわかるんですけど、俺にできるかどうか」

 

 そう言っている城乃内の方を凰蓮はポンと叩いていた。そこには師弟関係で今まで頑張ってきた二人の絆を見た気がする。

 

「しっかりなさい。貴方は昔と違って成長したんでしょ?だったら、行ってきなさい。ワテクシは坊やを信じている」

 

「凰蓮さん…わかりました。俺やってみます」

 

「盗聴器などはワテクシに任せて。…他の坊や達は、そのロックシードが実験だったとすれば失敗に終わっているから、新たな手で出てくると思われるわ。そこを見張っといたほうがいいと思うわよ」

 

「それか、そろそろインベスゲームを新たなステージにするか…どちらにしろ、確かに動向を見守っていた方がよさそうですね。兄さんも探ってくれているので」

 

「だよな・・・もう一度、その錠前ディーラー探ってみるか。今度は二人掛りで」

 

 確かに一人だったからこそ、見逃したところはある。ただ、煙のように姿を消したのは本当にきがかりではあるが。

 

「そうですね。今度こそ尻尾を掴みましょう。追跡装置がだめだったから、新たな手を考えたほうがよさそうですが」

 

「そんな安易なものだから、きづかれたのよ。レシィ、任せなさい。ワテクシを誰だと思ってるの」

 

 そう言って胸をはっている。本当に仲間になってくれると心強い。

 

「お願いします」

 

「また、できたら連絡するわね。さあ、他のお客様の迷惑になるから、そろそろ出てくれないかしら」

 

 確かにこれ以上この二人の邪魔をするのも申し訳ない。

 僕とザックはシャルモンをあとにした。

 

 その帰り道、僕の携帯がなる。

 

「兄さんだ…なんだろう?」

 

 僕はすぐに電話をとると、兄さんがいそいだ様子で話しかけてくる。

 

『まず、戦極ドライバーを4台、なんとか用意ができた。家に取りに来てくれ』

 

「わかりました。…その様子だと他にも何かあったみたいですね。僕たちも色々と情報が手に入ったので、家で合流しましょう」

 

『ああ…そのほうがよさそうだ。光実、待っている』

 

 その電話が終わると、僕はザックにその話をし二人そろって呉島家に急いだ。

 

 こちらも徐々に敵の尻尾を掴み始めた。だがその敵もまた新たに動き出そうとしている。

 奴らの真意は一体。こんだけ沢芽市を混乱の渦に巻き込んでいるんだ、とんでもないことを計画しているに違いない。

 

 

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