悪意再び    作:夢幻鎧武

11 / 24
第11話

 呉島家に戻ると、兄さんが机の上に戦極ドライバーとロックシードを用意していた。

 どうやって手に入れたのか、クルミ、ドングリ、ドリアンのロックシードが置いてある。

 ザックは懐かしそうにクルミロックシードを持っていた。あの時以来、ザックはドライバーもロックシードも持っていなかったからだ。

 

「これは、どうやって?」

 

「ドライバーは、光実、お前の知っている通り密かに作っておいた。ロックシードは、密かに残っている場所を見つけ出した。…戦極凌馬が密かに個人的な研究施設をつくっていてな。そこに残っていたものだ。そして、そこの資料がいくつか抜かれていることに気付いた。恐らく、いまのロックシードを作成しているのは、凌馬と関わり合った人物ということになる」

 

 戦極凌馬の極秘研究所。確かに奴なら作っていてもおかしくない。そして、その関係者となれば、ロックシードを新しく作り出せるのも理解できる。

 

「まだ、誰かまでの特定はできていないのか?」

 

 ザックの質問に、兄さんは頷いていた。さすがに、簡単に尻尾を掴ませてはくれないが、囲い自体は徐々に狭めることが出来ている。このままいけば必ずその尻尾を捕えることが出来る。

 それにだいぶ情報を手に入れることが出来た。

 整理していけば、こちらもそれ相応の準備ができるはずだ。

 

「さすがに、研究所の資料をあさってみたが、それらしい者がない。今はユグドラシルにあった資料を見返しているとこだ。まあ、その辺は任せてくれ。…それより、光実。お前も何か話があったんではないか?」

 

 そこで、兄さんにシャルモンでの事や謎の永久の花という宗教団体の事を話す。

 兄さんもすぐさまタブレットでそのサイトを開いていた。

 

「確かにこれは、知恵の実をモチーフにしているな。…しかし聞いたことがない宗教団体だ。理念は、新たなる力を手に入れ、新しき世をつくるだと…なんなんだこれは」

 

「新しき力…まさかそれがヘルヘイムの力?しかし、あんなもの人類がどうにかできる次元の者じゃあ」

 

「だよな。そうじゃなきゃ、なんで戻ってきているかわからないが、あの紘汰や舞がこの世界を出なくてもよかったしな」

 

 そう、そんな力を手に入れたがためにあの二人は…

 まあ、そのうちの紘汰さんはなぜか戻ってきているから、あとは舞さんだけだが。そもそも、なんで二人が離れているのかも分らない。

 紘汰さんが舞さんを放置するなんてありえないし。なぜ記憶がないのかも、いまだに不明だが。

 裕也さんもそうだ。

 ここ最近、本当に謎な事ばかりで頭が痛くなってくる。

 

「そうですね。…まあ、これだけじゃやはり、この宗教団体が何を狙っているのか、理解できませんからね。やはり、城乃内に任せましょう」

 

「確かにな。まあ、凰蓮がいるなら大丈夫だろう。そういえば、錠前ディーラーを狙っていると言っていたな」

 

「はい。今度こそ奴の尻尾を掴んでやろうと、ザックと共に考えていたとこですが」

 

 貴虎は残念そうに首を振っていた。

 その様子に僕はまさかというような顔で見つめた。

 

「店じまいをしたそうだ。あれ以来、ドルーパーズに顔を出していないと阪東から電話があった」

 

「そんな…じゃあ、どうすれば・・・」

 

 もはや城乃内しか頼みの綱がなくなる。

 折角策が狭まってきているのに。

 これは本当にまずい。

 

「一番の問題は、ユグドラシルの時と同じく店じまいをしたということは、次の段階に進んだという風に見て間違いないだろう。次何を仕掛けてくるのかよめないのが問題だ。これでは対処のしようがない」

 

 確かに、もはや次の段階に入るというのは凰蓮も危惧していた。

 前もって防げないのでは後手後手に回ってしまう。

 何か手はないのか・・・

 

「ヘルヘイムが関わっているのなら、お前の言っていたオーバーロードを探し出して協力を頼むしかないだろうな」

 

 それができたら苦労しない。

 兄さんらしからぬ言葉に、僕はため息をついた。

 確かに、今の状態じゃ打つ手なしなのはわかるが…

 

「そもそもどこにいるのかも、信頼していいのかもわからないんですよ。まあ、確かに彼らはヘルヘイムを探知できるようでしたけど」

 

 そう、あの時レッドホットがあのロックシードを開いたことを感じ取っていた。

 ただ、その事件以来姿を現さない。だからこそ、どこにいるのかも…

 

「お前はどう感じたんだ?一概にオーバーロードが全て悪いわけではない事は、あの二人で証明されている。先入観を捨ててお前が判断してほしい。信じる、信じないをな。お前はいろんな経験をしてきている。だからこそ、お前ならば判断できるんではないか?」

 

 確かに、僕自身とんでもないことをして人を裏切ったりもしてきた。戦極凌馬やレデュエなどをまじかで見たり、真逆の紘汰さんや舞さんのような人とも関わってきた。

 そのおかげで、人を見る目はだいぶ見についてきていた。簡単に人を信用はしないが、信用できる人というのも分かるようになってはいる。

 だが、情報が少なすぎてあのオーバーロードを信頼できるかどうかまでは、さすがに判断がつかなかった。

 

「どのみち、探すしかないですね…どこか簡単に見つかる場所や、呼び出せば出てくる場所があればいいんですけどね」

 

 その言葉に、兄さんは何か思いついたようだ。

 ハッとして僕を見ている。

 

「簡単な問題だ。奴らはどこかにクラックを開けてやってきた。ここでそれが可能なのは、ある場所しかない。もしかすれば、そこで呼びかければ現れるかもしれない」

 

「そんな場所、あるんですか?」

 

 光実がそう言ったとき、ザックもハッとしてポンと手を打った。

 どうやら兄さんと同じく、気付いたみたいだ。

 

「そうか、唯一残るヘルヘイムの亜種だったよな。あれは…」

 

 そうか…忘れていた。

 以前僕が紘汰さんに助けられたとき、急に生えてきた鎮守の森の御神木。

 ヘルヘイムの入り口にして、あれ自体ヘルヘイムが個体として独自に繁殖せずに残ったもの。

 恐らく、紘汰さんの影響で現れたのだろうけど、そうかあれならオーバーロードならば入り口としている可能性がある。

 

「すいません、忘れてましたね。…行ってみます。どのみち会って判断しない限り、わかりませんしね。ザックはビートライダーズとともに残っていてくれませんか?」

 

「いいけど、一人で大丈夫なのか?」

 

「任せてください。それに二人だと、もしオーバーロードが敵だった場合、二人とも被害を受けてしまいます。僕の身に何かあった時は兄さん、ザック…後は頼みます」

 

「なんかな、今回は城乃内にもミッチにも任せて、俺だけ何もしないっていうのもなあ」

 

「いや、ビートライダーズとして沢芽市を守る事も重要な仕事だ。光実もいないのでは、あの記憶喪失の葛葉しか守る者がいない」

 

 確かに、そこで何かが起こる可能性もある。

 僕としてもそのほうが助かる。あの、紘汰さんだけでは心もとない。

 

「わかった。確かにビートライダーズを守れるのは俺しかいないしな。…なんか、すまないなミッチ」

 

「気にしなくても、仲間なんですから。こっちは任せてください。ザックはビートライダーズをよろしくお願いします」

 

 そう、実際錠前ディーラーがいなくなってもみんなロックシードを持っていたりしている。だからこそインベスゲーム自体が終わったわけではない。

 だからこそ、ザックの存在は必要だ。

 

「私はしばらく探してみる。戦極ドライバーとロックシードは私も持っているから何かあったら言ってくれ。後光実、御神木に行く前にシャルモンの二人に渡しておいてくれ。潜入するにしろ、戦力として持っていた方がいいだろう」

 

 確かに城乃内もあるとないでは違ってくる。

 これでアーマードライダーが六人。これなら何とかなるかもしれない。

 僕は頷くと、ザックと共に呉島家をあとにした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。