悪意再び    作:夢幻鎧武

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 今回は城乃内が謎の宗教集団、永久の花を調べるため、ネットにのっていたイベント会場に行くという話になるため、城乃内視点となります。


番外編 城乃内潜入する

 師匠でもある凰蓮さんの後押しもあり、あいつから戦極ドライバーとドングリロックシードを受け取った俺は、永久の花という例の宗教団体サイトにかかれてあったイベントの集合場所にやってきた。

 野外音楽堂のような場所だ。

 ガンガンに、今流行りの音楽がかかり、熱気は凄まじいものとなっている。

 かなりの人数が集まっていて、男女の比率でいうと、若い女性が多い。

 やはり、DJクロス目当てのようだ。

 思いっきり、今回のイベントにDJクロスが出てくる等と書いてあった。どうやら信者だというのは本当らしい。

 まあ、インベスゲームを盛り上げるような奴だ。あの知恵の実をモチーフにしている時点で、関わりがあるのは当たり前か。

 

 そうそう、一応把握や調査のためか事前の申込が必要で、名前や住所などの項目に記入しなければこれないといったものだ。一応証明書などを見せないと入れない。おかげで、偽名とか使えなかったため、本名できている。

 あと、鞄を開けさせられビデオやレコーダーはないか、携帯はオフになっているかまで確認される。もしオンに途中でしようとすると、止めにくる始末だ。

 まあ今回、凰蓮さんが盗聴と盗撮できるように、眼鏡を改造してくれている。まあ見た目は普通の眼鏡だが、見事に記録することができるらしい。ちなみに眼鏡がアウトのときを考えて、靴にまで仕込んでいる。

 これでなんとかなりそうだ。

 

 しかし、宗教というよりはコンサートに来てる感じだ。熱気もすごいし、会場までの道の途中にグッズを販売している。俺は買わなかったが、女性はそういうのが好きらしく、訳のわからないクロスのポスターやうちわなどを、まるでアイドルの追っかけの様に買っていた。

 会場に入ると、指定の席に座らされる。と言ってもパイプ椅子に番号が書かれているという代物だ。係員が席に座らせる辺りが、コンサートとのちがい。立っていると、係員が来るというちょっと異常な感じだ。トイレの際はまるで逃げ出さないように見張るためか、係員がついていっている。

 正直薄気味悪い。まあ、だからこそ宗教団体のイベントか…

 

「レディース&ジェントルマン、今日もバッチリ決めてくれDJクロス」

 

 そのアナウンスとともに、炎があがりDJクロスがセンターのスタンドに姿を表した。

 その瞬間、待ってましたとばかりに歓声と拍手が鳴り響いていた。俺も浮くわけにいかないから、拍手だけはしている。

 

「ハロー、エブリバディ。今日は盛り上がって行こうぜ…最初の音楽は暗闇の足音チェゲラ」

 

 なんなんだ…これ。

 そもそも、暗闇の足音なんて音楽聞いたこともない。そう思っていると、突如悲鳴に似た声が観客席から上がっている。

 最初は一人だったが、その周辺が悲鳴をあげ逃げ惑っているが、その度に係員に取り押さえられる。

 

「殺される…助けて」

 

 明らかに異常だ。俺はすぐさま、その悲鳴の方に動こうとしたが、係員がやってきて席にもどるように促される。

 

「何があったんだ?皆悲鳴や助けてと叫んでいるじゃないか」

 

 そう問いただすと、係員は何食わぬ顔でただ座る様に指示している。

 こいつらの目的は?

 

「ヘイ、どうだい。実に幻想的な音楽だろう。人間の恐怖の声こそ、最高な音楽。そうは思わないかい?」 

 

 なんだと…

 人間の恐怖の声が、最高な音楽だと。最低の間違えだ。くそ、あの係員さえいなければ、行って助けることが出来るのに。

 

「この中で無事に入れたもののみ、選ばれし者だ。人間なんて所詮選ばれるべき者ととるに足りない者の二つしかない」

 

 何…そういうことか。今はその選別を行っているということか。何が一体くるんだ?

 俺はこっそり戦極ドライバーにてをかけた。

 久しぶりの変身だけど、いつでも変身できるように用意はしている。初瀬ちゃん、見ていてくれよ。

 もう、俺は初瀬ちゃんの分までいきると決めているんだから。

 

 目の前に現れたのは、ヘルヘイムの植物だ。何かの意思により操られている。

 

「やっぱり、こうなるよね。…潜入調査どころじゃないよな」

 

 本当は目立ってはいけないと、凰蓮さんにも忠告されていたけど、黙ってみてられない。昔と俺は違うんだ。俺だってヒーローにならなきゃいけないときを、わきまえている。

 

「変身」

 

 意を決してドングリロックシードをセットしてカッティングブレードを一回倒す。

 懐かしのドングリが頭上から降ってくる。

 俺はこうして、アーマードライダーグリドンに変身した。

 手に持つ、懐かしのドンカチを構えて、取り合えず近くの人達を逃がす。

 

「早く逃げて。俺が抑えている間に」

 

 流石にインベス相手なら得意だけど、繁殖してくるヘルヘイムの植物にどう対処していいか困惑しながらも、取り合えず逃がすために、カッティングブレードを1回倒し、ドンカチを構えて高速回転し攻撃を加える。

 少しだが時間を稼ぐことができる。

 そんな俺の回りを、あのスタッフが取り囲んでいる。俺はそれをなんとか、押し退けながら、一人でも多く助けようと、もがいていた。

 

「ヘイユー、君はアーマードライダーだったんだね。なんというVIPゲスト。ぜひこのステージに招待したいね」

 

 こっちはそれどころじゃない。そもそも、ドングリアームズ自体強いアームズではない。いつまでもつか、自分自身でもわからない。

 

「何がだ…こんなことなんて許されることじゃないだろ?」

 

 自らヘルヘイムを招くなんて。こいつら本当に何を考えているんだ?

 

「下らない。本当に君たちは…この世は選ばれし者のみが存在すべきだ。くだらない人間は消えるべきだ」

 

 人類の選別…そうか、こいつらはそう言う考えで動いているのか。

 なら、こんな連中と話し合えるはずがない。

 

「そんなのお前に決める権利ないだろ。なんだよそれ…選ぶのはお前だなんてありえない。はやくこんな馬鹿な真似をやめろ」

 

「聞けるわけないだろ…アーマードライダーとはいえ、所詮は人間。お前らに俺は止められない。本当にいい日になったよ。さあ、わめけ人間どもめ」

 

 そう言ってクロスの目が赤く光ったのを見た。

 こいつ…こいつ自身がオーバーロードなのか。だから人間どもめと。

 しかし、さすがに一人じゃ限界だぞ。恐らくこれを聞いている貴虎と凰蓮さんが動いてくれているだろうけど、それまでもつかどうか。

 なんせ、先ほどからヘルヘイムの浸食の速さがかなりのスピードだ。

 集まっていた観客も何人か飲まれそうになっている。

 このままいけば…

 こんなとこであきらめちゃ駄目だ。あいつらだって、ずっと戦ってきたんだ。

 俺だって、あいつほどじゃないけど前を向いていくと決めている。初瀬ちゃんにだって申し訳ない。

 だから、やってやる。

 

「オリャ」

 

 元凶を狙えばいいんだろ?

 あのステージに立って、笑いながら見ている気持ち悪い黒い仮面のあの男を…

 行ってくれ・・・・

 投げたドンカチが、DJクロス捕えたその時、クロスは笑ってヘルヘイムの植物を使って防いでいる。

 

「残念・・・力の差だよな。さあてどうする、人間」

 

 奴の笑い声があたりに響き渡る。

 その薄気味悪い笑い声が、本当に気持ち悪い。

 確かにどうすることもできないのか?

 

「助けて…」

 

 悲鳴がそこらじゅうで上がる。

 こんなことって…俺はどうしたら…

 

 そんなときだった、突如ヘルヘイムの浸食が止まったのは。

 

「なるほど、すでにお前らはオーバーロードとなっているわけか。…しかし、そう簡単にオーバーロードになれるわけはない。何をやった」

 

 配信で流れていたあの映像に映っていた白い鳥を連れた赤いドレスの女と、少年二人が姿を現していた。

 赤いドレスの女が右手を翳しているのを見ると、この女が止めているのか…

 

「ほほう、ついに会うことが出来たな。謎のオーバーロード。あんたの事をずっと探していた」

 

 クロスにそう言われた白い鳥は、鋭い目をクロスに向けている。

 

「最低だな。そこのあんた、早く人間を逃がせ。俺達がヘルヘイムの植物を止めている間に」

 

「オーバーロードだろ?襲ったりしないのか?」

 

 俺のその言葉に白い鳥は、ため息をついていた。

 

「別に興味ないためだ。今回も俺達の仲間をこいつらが連れ去っているから、どこにいるか聞きにきただけだからな。そのついでって奴だ。さあ、気が変わらないうちに早く逃がせ」

 

 確かに、信頼したわけじゃないけど、今はこの言葉に甘えるしかない。

 俺はこの間に、とにかく観客たちを逃がしていく。巻き込まれていた人もなんとか救い出すことが出来た。みたが、どうやら毒を注入されたりはしていないようだ。

 助けられた人はとにかく一目散に逃げ出す。それを取り押さえようとするスタッフを、俺が抑え込んだ。

 

「早く」

 

「やめろ…逃がしてはいかない」

 

 そう言ったスタッフたちの手が、手が銃へと変化している。

 こいつらも人間じゃないのか…

 

「なんなんだよ、もう」

 

 目も赤く光っているし、明らかにおかしくなっている。そうなれば遠慮がいらない。

 俺はドンカチを構えなおし、こいつらに攻撃を加える。

 

 ガキン

 

 そんな金属音が聞こえ、ボディーがへこんでいた。

 へこんでいるがそのスタッフの男は平気そうに立っている。持っている銃を俺に打ち込んできた。

 

「オーバーロードでもないな…機械なのか」

 

 俺はなんとかよけつつ、ドンカチで攻撃をつづけ何とか倒す。

 

 シュー

 

 という音と煙をあげ、そいつは動かなくなっていた。

 他もか?

 俺が目をやると、スタッフの何人かが逃げ出した。残りは5名。

 これくらいなら何とかなるかもしれない。

 

 そう思いドンカチを構えなおしたその時、スタッフたちはすさまじい速さで走って逃げ出していった。

 一体何があったんだ?

 さっと先ほどまでクロスとあの、白い鳥連れの赤いドレスの女たちがいたステージへと目をやった。

 そう、先ほどまであいつらはそこにいた。

 

 だが、そこには跡形もなく消えていた。

 残されたのは逃げ惑う人々、俺だけだった。

 

 結局、奴らのアジトがわからないままだな…でも、狙いはわかった。

 奴らの狙いはオーバーロードによる人類の選別。

 ただ、あいつらが元々オーバーロードなのか、それとも変化したものなのか…そこまではわからなかった。

 なぜあの謎のDJクロスが執拗に人間を襲うのか。

 まあ、わかりたくもないけど、沢芽市がとんでもないことに巻き込まれていることはわかった。

 今までの光景や会話を聞いていた、凰蓮さんと貴虎が動いているはず。一度合流したほうがよさそうだな。

 俺は全ての人を逃がすと、この惨劇のイベント会場をあとにした。

 

  

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