悪意再び    作:夢幻鎧武

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第13話

 光実はシャルモンの二人にドライバーとロックシードを渡した後、御神木のある鎮守の森にやってきていた。

 あれからしばらくたっていた。最初は御神木だけの空き地だったが、今では森に囲まれている。

 その昔高司神社にあった、鎮守の森のように…

 

 今回の目的は、あの謎のオーバーロードに会いに来た。

 とは言っても、いきなりいるはずがない。やはり、姿すら見えない。

 

「話を聞きたい。白い鳥、出てきてくれ」

 

 その叫びに応じてなのか、はたまた予測通りここを通り道にしているためか、白い鳥をつれたローズ、さらに少年が二人現れた。あのとき争っていたみたいだが、どうやら落ち着いたようだ。

 ルキアは、相変わらず白い鳥を気にしていたが、ルクアとかいうルキアより少し背の高い少年は、何やら不服そうにしているが…

 

「良いとこに目をつけたよな…確かにここは避けては通れない場所だ。…で、俺達に何か話があるのか?」

 

 白い鳥がじっとその目を僕に向けてくる。そこからの気迫がやはりただの鳥じゃないことを、感じさせていた。だから僕も負けじとじっと見返した。

 

「あんた達なら、奴等がヘルヘイムの植物を繁殖している場所を感知できる筈ですよね…教えてくれ」

 

 単刀直入に用件をいうと、白い鳥のため息がここまで聞こえてきた。

 

「教えるもなにも、知りたいのはこっちだ。…気づいているだろうが、あと一人俺達の仲間が捕まっている。捕捉できてたら、既に行って救出している。どういう力を使ってか、捕捉出来ないようにされている。とはいえ、どんな技を使っても地上で起こっていたら、俺は捕捉できている。つまり、相手は地下にいるということ。そこまでは俺達も把握できている」

 

 地下にいるとしても、場所の特定は難しい…。

 ただ、やろうと思えば一個ずつしらみ潰しに調べるという方法もあるけど、気が遠くなりそう。

 

「あんた達は、自分の仲間を見つけたら帰るんですよね。その言葉に嘘は?」

 

「信じろと言っても、俺達は異世界のそれもオーバーロードのようなもの。…まあ、あんた達にとっては異質な存在。信じないのもわかるから、信じてもらおうだなんて思ってもいない。ただ、どんなことがあっても、俺達は必要以上の者とは戦わない。…こんなことのために、ここに来たのか?」

 

 白い鳥がじっとこちらを見つめている。確かに、敵が地下にいるとしか、分かっていない。こんなために、わざわざここで待ったりしない。引き出せる情報は全て引き出す。

 

「信じる信じないというのは別ですが、あなた方の理念は分かりました。それで、自分の仲間を救うために頑張っている、あなた方を応援したいのですが。この世界の特に沢芽市のことについては、僕達の知識が上です。情報もそれ相応のものを持っています」

 

「なるほど取引ですか…主様はこういうのは不得意なので、わたくしがお答えしましょう。 確かに我等は異世界のもので、沢芽市でしたっけ?ここの知識はあなた方より劣ります。しかし、主様を危険に晒すわけにもいけません。あなた方がわたくし達を信頼してない以上、どこかで命を狙ってくる可能性も否定できない。そのような状態での協力はありえません」

 

 ローズの言葉に、正直困っていた。まあそう考えるのが普通だろう。

 

「ローズ…言いすぎだ。確かに俺達の事を認めてもらおうとも、慣れ合うつもりもない。お前たちと俺は別な存在。相容れない存在であることは俺自身わかっている。それに命を狙われることくらいな。異質な存在って忌み嫌うからな。情報共有、ある程度なら了承した。それでいいか…それで他に知りたい情報でもあるのか?」

 

「あいつらは何故、ロックシードに一人だけ封じ込めなかったのか。その辺の理由の想像は・・・」

 

「ルシアのことか。恐らく、あいつを研究対象として見たんだろうな。ヘルヘイムの力を手に入れようとでもおもってんじゃないか?ルシアは特殊な存在。その辺に気付いたのなら、ルシアを手放さないのも分かる」

 

「特殊な存在?ただのオーバーロードじゃないのか?」

 

 そういえばオーバーロードのようなものと形容していた。つまり違う存在なのか?

 

「難しいとこだよな。以前の記憶は彼らにはない。だが言語や道具もつかえヘルヘイムの力も操ることが出来る。個性もあるから似たような存在と言っている。詳しくは言えないけど、奴らからしたら良い研究材料としてみるなら最高の素材となるんだろう」

 

 そう言っている白い鳥の目が怒りからなのか、激しく光ったように見える。少年たちもその表情から怒りが読み取ることが出来た。

 ローズというあの女はじっと白い鳥を見つめたままで、表情一つ変えていないが。

 

「ヘルヘイムの力なんて簡単に扱えるのか?」

 

 僕の独り言に、白い鳥がふっと笑っている。

 

「そんな簡単に扱えれたら、苦労してないだろう。…ヘルヘイムの力を手に入れようとすれば、それ相応の代償は受ける。それすら気にしないなら別だろうけど…まあ、奴らはまともじゃないというのはわかる。まともなら、こんな力に好き好んで手を出したりしない」

 

「ですよね…じゃあ、もしかしたら奴らの狙いは…でもそれは…」

 

 その言葉に、白い鳥ではなくローズがふふっと笑っている。まるで、人間を馬鹿にした表情を見せていた。

 

「いるのね。そういう奴って。…この世界でそれを手に入れれば排斥される存在になるだけ。それでも力を追い求めてしまう。…ほんと、人間って悲しい存在ね」

 

 そう言っているのに、ローズの顔は笑っている。人間ではない存在だからこそ馬鹿にしているとしか思えない。あきれているの間違いか?

 だが、白い鳥は悲しそうな顔を見せていた。そこが、どこかこのローズたちと白い鳥の違いに見えた。

 

「それでも、僕は守ります。…それが僕にできることだから。ありがとうございました。またわからないことがあれば来ます」

 

「まってくれ、こっちも聞きたい。どんな人間が関わっている。…それも分かっていないのか?」

 

「それを聞いてどうするんです?貴方たちに言ってもわからないことでは?」

 

「ヒントくらいにはなる。俺達も本気で仲間を探している。だからこそだ」

 

 言ってわかるのか?それくらいこの世界の知識を身に着けているという事なのか?…まあ、こっちも少しは情報を渡さないと、今後情報をくれないかもしれない。

 

「一応、かつてこの世界にヘルヘイムの浸食があった際にその研究をしていた戦極凌馬という男にかかわり合った研究者と、謎の宗教団体永久の花。さらに、錠前ディーラーとなぞのDJクロスという男あたりが関わってる」

 

「なんか厄介そうだな」

 

 わかっているのかわかっていないのか、よくわからない答えが返ってくる。

 しかし、何かを隠しているが、敵の狙いはやはりヘルヘイムの力ということが分かった。そして、アジトは地下にある。

 研究施設らしいものの地下にある。

 

「主様、感じましたか?」

 

「ああ、またヘルヘイムの浸食?行ってみる価値はありそうだな。…すまないが俺達はこれで」

 

 そう言って、さっと姿を消していた。

 しかし、またヘルヘイムの浸食?何がおこっているんだ…

 そんなに簡単に起こせるとは、その少年を操っているという事か?

 しかし城乃内は大丈夫なのか心配になってきた。とりあえず、ザックと合流すべきか…。兄さんに連絡を終えたらさっそく連絡しよう。

 

 

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