城乃内が潜入、光実がオーバーロードに会っている間の話になってます。
ザックはチームバロンに戻り、とりあえずチームブラッドがこないか様子を見ながら、ステージでパフォーマンスをしていた。
観客もそこそこ集まってきている。
とはいっても、中にはここでインベスゲームが行われないか期待している連中もいるようだ。昔のように純粋にダンスを楽しんでいる観客は少なくなってきている。それもこれも、またインベスゲームが流行ってきたせいだ。
でも、一人でも観客がいるなら、パフォーマンスを見せなければならない。それが俺達の存在意義だ。
そんな時だ、チームブラッドなんて問題じゃない、最悪な事態が起る。
大量なインベスがこちらに向ってきた。
「なんなんだこれ…まるで、あの時みたいじゃないか」
「ペコ、皆を頼む。俺がインベス達を食い止めてる間に。…あと、紘汰にも連絡してくれないか」
「わかった。ザック、気をつけろよ」
何なんだ…
もうこの世界の理由なき悪意は終わったのに…なぜまたこんなことに。
でも、もう決めている。皆をまもるため俺は…
「変身」
ポーズの後クルミロックシードをセットする。懐かしのクルミが頭上にある。
カットすると、クルミが降ってきて俺はアーマードライダーナックルへ変身した。
「俺がいる限り、この世界を好きにはさせない」
俺はクルミボンバーでインベスを殴りつけていく。
このインベス達は意志のないものなのか?
何か、操られているように動いているように見える。まさか、誰かがロックシードで操って?
戦いながらあたりを見るが、さすがにわからない。
とにかく、守りながら戦っていると走ってくる足音が聞こえてくる。
さっとみると、そこにはチーム鎧武のメンバーがいた。
「やばそうだな。俺も手伝う。…裕也達は皆を逃がしてくれ」
「ああ、任せろ紘汰。そっちは頼む」
これで何とかなりそうだ。
紘汰は変身するとおれの傍までやってきた。
「手分けしよう。そっちは任せる」
「ああ、こっちは任せろ。なんかお前とこうやって、また戦える日が来るなんてな」
そうだ。あの頃はよく一緒に戦っていた。沢芽市を守るために。
「昔、一緒に戦っていたのか?やっぱり、思い出せない」
そういやあ、記憶がないんだった。でも、こいつが葛葉紘汰であることには変わりない。
なんか、こうして一緒に戦えるだけで安心する。
それも、やっぱり強い。先ほどから大橙丸と無双セイバーで斬りこんでいっている。
俺も負けてられない。
カッティングブレードを3回倒し、クルミ状のエネルギーを飛ばしてインベスを倒す。
とはいってもまだまだいる。
紘汰はさすがだな、必殺技でかなり倒していた。
「こいつらどこから湧いてんだ?」
「わからない。ただ、操られているのと自然発生したインベスより弱い。恐らく、ロックシードで操ってるやつがいる」
その話に紘汰は頷いた。
「つまり、そいつを見つけない限り終わらないってことか?」
「それか、ロックシードっていったって、限度はある。そんだけ倒すかのどちらかしかない」
そう、出せるのに限度があるだろう。紘汰と二人で5体は倒している。残りがあと5体。
「確かに探し出すより、そっちの方がはやそうだ。俺はそういうほうが得意だしな」
「変わってないな。…ああ、俺もそっちの方が楽だな。やろうぜ」
なんでこんなに安心するのかわからない。やはり紘汰なのだからか?
本当にこいつは強い。
こうしてまたずっといられるのは、本当になんかこう…嬉しい。
なんかそんなこと言ったら、紘汰が調子のりそうだから言わないが、やっぱり心底帰ってきてほしいと思っているのは変わりない。
大体、鎧武の連中を見ればわかる。裕也と紘汰がいるだけで、まとまりも表情も変わっていた。
俺達はそれぞれインベスを倒す。
やはり思った通りだ。
もうインベスは出てこない。やはりロックシードで操って襲わせたという事か。
こんな事する連中と言えば、チームブラッドか?
「終わったな。しかし、なんだったんだ?」
変身をといた紘汰がそう話しかけてきた。
「どっかのチームが狙ってきたってパターンのようだ。すまない。助かった」
「嫌、覚えてないけど仲間なんだろ?なら守るのが当たり前だ」
ほんと紘汰らしいか…こいつは何も変わっちゃいないな。
「周り身に行ったけど、誰が操ってたのかわからなかった」
「そっか。皆は?」
「逃がしておいた。…恨み買われているから、わかるけど…それかチームブラッドか?」
その名に、紘汰が首を横に振った。
「それはないんじゃないか。あいつら、ばらばらになってたし、修羅だっけ、あいつにそんな気力があるかどうか、怪しいとこだと思うけどな」
「そうか…じゃあ、別のチームか」
どっちにしろ、また狙われるのは目に見えてわかっている。しかし、ただでさえ問題が起こっているのに、インベスゲームで狙われるのも考慮しないといけないのはかなり痛い。
「よかったら合同でどうだ?今問題がおこっているんだろ?こっちには紘汰もいる。その方が、なんかあった時に動きやすくないか?鎧武はOKだけど、バロンのメンバー次第だろうけど」
裕也の言葉はありがたかった。だが、恨みを買っているのはバロンがいままでしたことが問題あってのことで、鎧武に迷惑をかけるわけには。
「ペコ、お前は?」
「多分ザックと同じ意見。俺達の問題だし。…それにバロンとして踊りを見せたいと思えるようになったんだ。だから…ごめん」
「ペコと同意見。これ以上、お前たちに迷惑はかけられないしな。ほんとうにすまない」
裕也は笑っている。
「そっか、まあ困ったことがあれば頼ってくれ」
「裕也じゃないけど、俺もいつでも助けるから。…それよりさあ、ついでに聞いていいか?」
紘汰が改まってそう聞いてくる。
まあ、こいつになら話せるけど。
「沢芽市のヘルヘイムの浸食はなんで終わったんだ?」
「それは…ほら、気付いたら終わってて俺も知らないんだよな」
はぐらかしたほうがよさそうだ。まさか直接聞いてこられるとは思ってもみなかった。
「そもそもミッチの様子も変なんだ。なんか隠しているようで。だから、教えてくれ。なんで、俺が沢芽市にいなくなったのか知っているなら…そしたら、俺さあ思い出せるかもしれない。舞の事も…」
そうか。舞も本来は一緒にいるはずなのに紘汰の傍にいない。気になるのも分かる。
しかし、どう話したらいいんだ?
ミッチが話せないというのも分かるけど、紘汰もこのままじゃいけないしな…
でも、話せない…どうやって言ったらいいんだ?
お前はすでにオーバーロードになってるなんて。だから自らこの世界を出て行ったなんて、言えるはずない。
ああ・・・何も知らないほうがいっそ楽だったかもな。
「ごめん、俺ってチームバロンだし。その辺までは知らないんだ…」
こんな誤魔化し方でいいのか、正直自分でも不安だ。
誰かがいつか教えなきゃいけないんだろうけど、それは今じゃなくてもいいはずだ。
「そうだよな…変なこと聞いてごめん」
やっぱり妙な空気になっている。本当は全て知っているのに、嘘をつくのがこんなにつらいこととは。
それでも、こいつを守れるなら…でも、このままでいいのか?いつかわかっちまうんだよな。ずっとこのままじゃいられないんだろうな。それもわかっているけど…このままいられるなら、それを俺は望んでしまう。
それは、俺だけじゃない。皆もか…
「ちょうどよかった、みんな揃ってたんですね」
ミッチが真剣な顔つきでこちらにやってきた。
隣には城乃内もいる。
別々の行動をしていた二人が一緒にいるなんて、何かあったということか…
でも、おかげで空気が一変した。そこは本当に助かった。
「奴らの狙いがわかった。このままじゃ、また沢芽市はまた危機を迎える」
城乃内の説明が俺達を驚愕させる。
これは本当に、紘汰に頼るしかないかもしれない。ただ、ミッチはそれをさせたくないんだろうな。
でも、これは…
俺は正直困惑してしまった。