悪意再び    作:夢幻鎧武

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第17話

 僕と兄さんはアーマードライダーのまま、先へと進む。いるのは、やはりあのスタッフや紘汰さんと同じく、機械生命体だけであった。

 もはや人ではない存在、僕達は囲まれながらも、互いの背中を守りつつ、倒していく。

 

「光実、お前は本当に強くなったな」

 

「兄さんも流石です」

 

 そう、兄さんは相変わらず強い。昔と違って戦極ドライバーでの変身なのに、敵を簡単に倒している。気がつけば囲みを突破していた。

 

「取り合えず、データなどは全て破壊した方がよさそうだな」

 

「二度とこのような事をさせないためにも、その方がいいかもしれませんね」

 

 手当たり次第ドアを開けて、突入していく。そこにあったパソコンのデータを抜き取りつつ、破壊する。その辺は、兄さんが用意してくれたプログラムの起動により、内部からだと簡単に行えた。

 ちなみに、建物の構造や置いているもの、データを見る限りこっちが研究施設のようだ。

 僕は兄さんが作業している間邪魔されないように、入り口で僕は兄さんを守る。

 やはり何体かあの機械生命体が現れたが、インベスに比べると本当に弱く感じる。倒して守りきっていた。

 

「終わった。次に行くぞ」

 

 この研究施設でオーバーロードがつくられたとすれば、その痕跡もあるはず。それは全て破壊しないといけない。そんなものを残しておいたら、紘汰さんや舞さんが行ったことが無意味になる。

 僕達の仕事は、この世界の平和を守ることだ。

 そのためにも、こんな最低な事をやっている連中のデータや研究内容を悪用されないよう処理することが重要だ。

 

 ある部屋に僕と兄さんが入ったとき、困惑した。

 そこにいた人物が、不敵な笑みを浮かべて此方をみている。

 

「チームブラッドの修羅じゃないか。何をやっている」

 

 そうだ、あの紘汰さんもどきと対峙して、勝手に負けたあの男だ。こんなところにいること自体、あり得ない。

 

「お前達はまだ気が付かないのか?この偉大なる力に。もはや、誰にも馬鹿にさせない。もう俺は一人ではない。クロス様とともに、クロス様の願いをかなえる。その力を俺は手にしているのだ」

 

 何を言っている。

 僕と兄さんは、そんな修羅を睨み付けていた。

 明らかに何か感じが変わっている。それが嫌な予感しかしなかった。

 

「何が力だ。無意味に力を求めてどうするつもりだ。まさか、まだ人類の選別などという下らない事を言っているのか?そんなこと、我々が許さない」

 

「許す許さないなんて問題じゃない。力があればなんでも許されるんだ。クロス様はそう教えてくれた」

 

 以前の修羅とは考えられない発言だ。確かに力があればということはよく聞いていたが、まるでクロスに洗脳されているかのようだ。

 

「それは本当にあんたの意思なのか?修羅」

 

 僕の問いかけに笑って返す。

 

「当たり前だ。だからこそ、オーバーロードという存在に俺はなれたのだ」

 

 その宣言と共に、さっとヘルヘイムの植物におおわれると、赤い鬼のような姿に変化する。その手には錫杖のようなものをもっていた。

 

「バカじゃないのか。人外になってしまったら、もはやこの世界では異端のものだ。なんで自らそんなものに。…選びたくないのに選んでしまったもの達だっているんだ。人間でいられたのに、なんでそんな馬鹿な選択を」 

 

 そうだ、紘汰さんや舞さんのように選びたくないのに選ばなければならなくなったのと違う。こいつは自ら人を捨てた。その意味の深さもわかってないようだ。

 

「五月蝿い。クロス様といられればそれでいい」

 

 そう言って錫杖を振るった瞬間、僕と兄さんの回りをヘルヘイムの植物が取り囲む。

 僕と兄さんは力を合わせ一ヶ所を集中攻撃して、突破する。そこに錫杖をまた修羅が振るうと炎の玉が僕達を狙ってくる。

 僕と兄さんは、それを飛んでよけた。

 そこに更にヘルヘイムの植物が巻き付く。

 体勢が悪い僕は、そのまま足を捉えられてしまった。

 

「光実」

 

 兄さんがすぐさま、その植物を斬って僕を解放する。

 

「すいません、兄さん」

 

「気を抜くな。気を抜けばこっちが殺られる」

 

 そうだ。修羅に同情の必要はない。操られたにしろ、もはやオーバーロードになってしまった上に、人類の敵に回ろうとしている。そんなものを許せない。

 だから、迷う必要はない。

 僕はそう心の中で言い聞かせ、ブドウ龍砲を修羅に向かって放つ。

 だが、錫杖でそれを簡単に防がれた。

 

「人間なんて…本当に弱いものだ。だからこそ選別しないといけないのだ」

 

 兄さんが修羅に無双セイバーで斬りかかる。

 だが錫杖で軽くうけとめると、さっと衝撃波で兄さんが吹き飛ばされた。

 

「兄さん」

 

 僕が駆け寄ろうとしたときだ、錫杖がさっと僕の目の前に…

 僕がブドウ龍砲で受け止めようとしたそのとき、突如あのルキアと白い鳥が目の前に現れ、さっとルキアが錫杖を止める。

 

「もはや、こいつで終わり。オーバーロードは全て俺達の世界へ連れていった。後は、あんたらで何とかしろよ。…さてと、今まで世話になったな。もう俺達は関わらない。だから心配するな。信用するかしないかは、まああんたらに任せる。ルキア、帰るぞ」

 

「はい。白い鳥様。…皆さん兄さんがご迷惑を。僕の弟も無事取り戻せたので、これで。それでは」

 

 そう言って、修羅をつれたまま姿を消していった。

 まるで夢でも見てたかのように、辺りが静かになる。

 

「結局何だったんでしょう?」

 

「仲間にやられた仕打ちを許せないから、自分の世界につれていって処理をするということか?よくわからないな」

 

 兄さんはそう言って、変身を解く。もはや、敵の気配は完全に消えていた。僕も同じく変身を解くと、辺りを見回す。

 もはや、僕と兄さん以外は誰もいないようだ。

 

「取り合えず、後片付けをすませ合流だな」

 

「そうですね。…後は、もう簡単ですから」

 

 僕と兄さんは必要な資料だけ抜き取り、あとは処分していった。実験室にあった、ヘルヘイムの植物やルキアの弟の組織を培養したものなどは、全て焼却。

 二度と使えないようにしていった。

 

 

 全て終えたのち、凰蓮さん達と合流した。

 あっちも、ローズというあの女とルクアという少年とその弟がオーバーロード達を連れ去ったらしい。

 だからこそ、なんか達成感がなかった。

 

「なんか、こう構えてたのにやり甲斐がなかった」

 

「坊や、それでいいじゃない。何も無いことに越したことはないわ」

 

 ザックの言葉に凰蓮さんが反論している。でも、たしかに何も無いことに越したことはない。でも、なんだか、あのオーバーロード達に全てを任せたようで、少し気が抜けてしまっていた。

 

「問題はこれからだ。…確かにオーバーロードはいなくなったかもしれない。だが、奴等の巻いた種はそう簡単には拾えない。インベスゲームもそうだ」

 

 兄さんの言う通りだ。確かに、そこからは僕達が何とかしなければならない問題だ。

 

「その辺は、僕とザックで対処します。…でも、皆に何て言えば…やっぱり紘汰さんと裕也さんは旅に出たが一番きれいですかね」

 

「難しいことね。一度再会の喜びを味わった彼らがそれで納得するか…でも、こんなことをあの子達に言うのも違うわね。やはり、それが落としどころでしょうね」

 

 ため息しかでなかった。中々受け止められないだろうな。僕としても、いまだに何だったのかわからない。こうしているだけで、また帰ってきそうな気がしてしまう。

 でも、本当はわかっていた。あれは偽物で機械生命体だったということは。でも、何だろう、このモヤモヤ感。

 紘汰さん、舞さん…

 やっぱり本当は会いたい…

 どんな形でもいいから、再会したかった。

 もう一度会えたらちゃんと言える。

 

 僕にとっても二人はずっと仲間だということを…

 姿が変わっても、例え人じゃなくなったとしても、僕にとっては変わらないと…

 




取り合えず、光実sideは終了です。
白い鳥sideで真相を明らかにしていきたいと、思います。
宜しければご覧下さい。
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