悪意再び    作:夢幻鎧武

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白い鳥side
第18話


 白き鳥は、ローズと共に沢芽市に来ていた。

 ローズ、それは自分が進化させたものであるが、勝手に人を主とよんでついてくる、すこし迷惑な存在だ。

 もう慣れてきてはいるが…

 

「なんで、お前まで来るんだ?俺一人で十分だと言っておいただろ?」

 

「主様、それは聞けませんわ。わたくしは主様をお守りするための存在です。ですので無駄ですわ」

 

 その言葉に白い鳥は深いため息をついていた。

 今は結界をはって、普通の人間には自分たちの姿は見えない。

 見えたら異様なものとしかとらえられないだろう。なんせ、白い鳥にやけに目立つ赤いドレスをきた女だからな

 とはいえ、結界は全ての人間に聞くわけじゃない。戦極ドライバーを持つ者には見えてしまうらしい。

 そもそも姿を見せた時に目立つ、このローズを連れてこの世界に戻っては来たくなかった。

 出来るだけ戻ってこないようにしていたんだけどな…

 

「だから、主様はやめてくれ。白い鳥でも鳥でもいいからさ。…なんか、俺その呼び方苦手なんだよな」

 

 どの姿をしても、そう呼んでくる。ほんと正直迷惑だ。

 そんなに俺は偉くもないし、まあ人とは違う生物になってるが、そんな風に呼ばれようと思ってなっているわけじゃない。あの状況を打開するために仕方なく手に入れた力だ。まあ、後悔はしていなけどな。

 あ、話がそれていっている。まあ、俺としては普通に呼んでほしいんだ。

 

「何故ですか?貴方様はもはや神に等しい者。わたくしたちの救済者にして、わたくしたちの希望です。それともビルスのように、貴方様のことを陛下と呼べばよろしいですか?」

 

 絶対、わざと言ってるこいつ。

 ビルスもまた、ローズと同じ存在。まあ、あっちの世界で今は俺の本体とともに、あっちの世界を守っているが…

 このビルス、わざとらしく人を陛下というわりには、俺を馬鹿にしてくる。

 まあ、そもそも陛下だなんて呼んでもほしくないけど。

 今回だって、本当は本体で戻ってこようとしたのに、

『陛下は陛下なのだ。自分の世界に侵入者がやってきているのに、平気で戻るのか?そもそも、ばれる行動を自分でするなんて、馬鹿じゃないのか?』

 なんてあの薄情な顔で言われて、俺は顔をひきつらせながらしかたなく、分身でこっちにくる羽目になった。本と勘弁してほしいよ。

 まあ分身といっても、オーバーロードとしての力とあの力を少しなら使うことが出来る。ただ、こっちのこの身に何かあったら本体も傷ついてしまう。それに核にあれを使ってるため、本体の戦力も減ってしまっているという難点があるが…でもどうせ、ビルスに戦わせもらえないから、関係ないっちゃないけどな。本当は俺も戦いたいんだけど、今は本体はぼっと事の成り行きを見ている。

 はあ…こういうのはほんと、苦手だ…

 

「たく…お前といい、ビルスといい、なんでそんな性格なんだ?もう勘弁してくれよ」

 

 確かに進化させたのは俺とあいつだけど、どういう性格になるかなんてふたを開けてみなきゃわからない。

 個性も生かそうというのが失敗だったのか?

 

「それは、ほめていただいたのでしょうか?…主様がそもそも騙されやすいうえに、勝手に色々巻き込まれるのでお守りするために、人を疑うようにしているだけです。主様が信用しやすいのが問題かと。だからこそ、ビルスなんぞに、ああやって言いくるめられるのですよ」

 

 ぐさぐさっと胸に刺さってくる。当っているから何も言い返せない。

 

「なんか…ほんとに悲しくなってきた。俺ってそんなに…」

 

 わざとらしく羽で泣きまねをしていたら、ローズは冷たい目を向けてきた。

 なんか、いつもこんな感じだよな。

 

「はい、騙されやすいです。そこは自覚してください」

 

 やっぱり、意地でもこいつをあの世界に置いてきたらよかった。

 クラックはこいつも使えるけど、俺がどこにいつかまでは捕捉できないだろうしな…

 あ、でも、こいつならこの世界で暴れて、どうしようもなくして俺を呼び出し、後始末を俺にさせるとかやりかねないな。やっぱり、一緒にいるしかないのか…正直憂鬱だ。

 そもそもひどい言われようだが、今回の件は、あのいたずら大好きな少年ルクアのせいであって、俺のせいでも俺が巻き込まれたわけでもない。

 いや、巻き込まれているのか…まあ、実際救出のためにこうやって沢芽市に戻ってきているんだから事実上巻き込まれている。

 なんか考えているだけで、頭が痛くなってきた。…もう考えるのはよそう…

 

「自覚してるよ。…でも、疑ったりすれば悲しいだけじゃないか。それに、騙すということは俺にそれだけの価値があるってことだしな。さてと、いらない話はいいからさ、探そう。早く片付けないとまたあの、ビルスに何言われるか」

 

「確かにそうですね。最近ビルスの奴、何をあんなにカリカリしているのかわかりません。ビルスが主様への当り様はひどいですからね。一度ガツンとやってみてはどうでしょうか?」

 

 まあ、頭きた時はさすがに言い返している。でもガツンって。

 俺がやったらシャレじゃ済まされない。

 

「まあ、あれはあれで、あの世界の事を考えてだしさ…だからもう、この話はよそう」

 

 どんどん自分がへこんでいっている。なんせ、噂のビルスは本体と今いるしな。分身の行動も、本体は把握しているから、すっごく気まずくなっているのが想像できる。

 まあ確かに最近ビルスの奴、何をカリカリしてるんだか?

 ・・・って、考えたら頭痛くなるからやめよう。

 

 そんな時だ、声をかけられたのは…

 

「ちょっと待って、君は一体…」

 

 さっと振り向くと、見慣れた顔がそこにあった。

 まあ、俺が何者かまでは気付いてないだろうけど。

 なんせ白い鳥なんて、絶対こんな姿気が付きもしないだろう。

 しかし、ミッチ。相変わらず勘が鋭いな。

 これなら本当に沢芽市の事、任せて大丈夫そうだ。まあ、俺にとってミッチは、今でも仲間だから。

 ちゃんと戻ってきていたら、挨拶でもするんだろうけど、こんな姿だし、なにより俺は分身。

 ここは逃げるが勝ちか。

 

「行くぞ。今はまだ知られるには早い」

 

 ローズにこっそり耳打ちすると、俺はその力を使って姿を消し去った。

 いくらローズでもそんな技使えない。まあ、分身とはいえ、俺はあの力の欠片だ。普通のオーバーロードよりは上だ。戦闘力はどうかまではやったことないからわからないが…

 

 しかし、ミッチ気付いてくれよ。この事件の真相に。

 これは、思った以上に厄介な事件になっている。

 そもそも異常だろ。もはや必要のないはずのインベスゲームが流行っている上に、殺伐としている。

 これじゃまるで、あの頃の沢芽市のようだ。こんなの俺が望んでないことは、ミッチならわかっているはずだ。

 本当は俺自身がこれたら、ちゃんと味方できるんだけど…ごめんな。俺はもう、皆と普通に会えないから。

 

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