呉島家に戻ってきた光実は、ザックも呼んでいた。
今日はたまたま兄である貴虎が、休みだったため今家にいる。
貴虎は新聞を見ながら、ダイニングテーブルの目の前にいるザックと話をしていた。
「どうしたんだ?俺まで呼ぶなんて」
「ここにいるメンバーにしか相談できないことが起こっているんです」
ザックは首を捻っていた。
まあ、ザックも自分のバロンがあのブラッドに狙われているため、ここで悠長にしたくないのはわかる。でも、これはここのメンバーに相談しとかないといけない。
「どういうことだ、光実。何があった?」
「兄さん、ザック。ありえないことが僕の目の前で起こったんです。…紘汰さんと裕也さんがチーム鎧武に戻ったんです」
その一言に一同は固まっていた。
葛葉紘汰がどうなったのか、角居裕也のことについてもこの二人は知っている。
だからこそ、そのありえない現状に光実と同じく、ただ驚いている。
「はあ?何言ってんだ。見間違いじゃないのか?」
「鎧武メンバー全員、見たんです。それに嘘だと思うのなら、いま鎧武のガレージにいるはず。自分の目で確かめてみたらいいじゃないか」
ザックの言葉に光実はむきになって言い返してしまった。本当は言葉だけじゃ信じられないザックの気持ちもわかっているが、今は光実自身に余裕がない。
そんな状況を察してか、貴虎は思わず深いため息をついていた。
まあ、貴虎としては今の光実が嘘は言わないのをわかっているからだろう。信用はするが、頭が痛い。
そう、今あの謎のインベスゲームでさえ頭が痛いのに、さらにそんなありえないことが起こっているのだから仕方ないだろう。まだ、ロックシードを配っている連中についても、調べがついていないと聞いている。
「何が起こっているんだ、沢芽市で。しかし、そいつは本当に葛葉紘汰と角居裕也だったのか?」
まあ、さすがに手放しで本物だとは、さすがの僕も言えなかった。
だが、今回はあれを見てしまったから…
「鎧武のベルトをしていたので…それに、まだインベスゲームが行われていた頃の記憶まではあったので。ただ、それ以降の記憶はないみたいですけど」
鎧武のベルトという言葉に、ザックと貴虎は互いに顔を見合わせた。
「なんだよ…ほんと、素直に喜んでいいかわからないな。そもそも、体はどうなんだ?」
「オーバーロードかそうじゃないのか、今のところわかりません。誰が何の目的であの二人を…そこもわからないので」
「そうか…まあ、俺も注意しておく。どうせ、チームブラッドの件もあるからな」
ザックはチームバロンのリーダーとして、メンバーを守っている。光実も今までは鎧武を守るだけで手一杯だった。
「そうだな…それぞれ連絡は取り合おう。何か異変があったら、ここにいるメンバーとシャルモンのあの二人に頼むのが一番だな」
「ああ…そうだな。元アーマードライダー達だけにとどめておこう。さて、俺はそろそろ戻る。こうしている間にも、ブラッドの連中が来るかもしれないからな」
「そうですね。僕も、ちょっと探りを入れてみます。気分的に今はガレージに戻りにくいので」
下手な事をいえないあの空間は、僕にとって苦痛になっていた。本当は何も隠さずいれればいのだが、皆のためにも隠さないといけない。
「あんまり思いつめるな。光実。…前と違い、私やザックを頼るといい」
「そうだぜ、ミッチ。確かに黙っておくの苦痛だろうけど、ここでならいくらでも話していいんだからな」
「ザック…兄さん。本当にありがとう。大丈夫です。僕も、もうあの頃の僕じゃないので」
そう、あれから僕は今の答えにたどり着いた。
僕たちがヒーローになるという、その答えに。