悪意再び    作:夢幻鎧武

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第6話

 ドルーパーズに行くと、オーナーの阪東がくいっと首を奥に向ける。

 錠前ディーラーがいつものように奥にいると指示したのだろう。光実は頷くとそのまま錠前ディーラーのもとへ歩いていく。

 

 銀縁の丸メガネをかけ、髪を七三に分けているスーツ姿の男が、どっしりと座っている。傍らには、ロックシードなどが入っているだろう、キャリーケースを傍らに置いている。

 名前は清水と名乗っているが、本名かどうかもわからない。なんせ、なんどか後をつけたことがあるが、いつも巻かれていた。

 

「珍しいお客様ですね。貴方はロックシードに興味がなかったのではありませんか?呉島光実君」

 

 優しい口調でそう話しかけているが、その視線はそれとは対照的に実に冷たいものだった。

 慣れている光実はその視線を気にも留めず、さっと、その清水の前に座り、清水にわざと笑いかけた。

 

「僕にあのロックシード譲ってくれませんか?」

 

 丁重にそう頼む様子に、清水は苦笑している。そりゃそうだ。

 一度、激しく口論になったこともある。その際、確かにロックシードには興味ない。それを制作するのもばらまくのもやめろと忠告したことがあった。

 

「あれほどロックシードは必要ないなどと言っていたのに、ころっと変わりますね。…いいでしょう。ただし」

 

 そう言って清水は電卓でなにやら打ち込んでいく。ああでもない、こうでもないなどと言いながら。

 かなり吹っかけられるという事か。

 

「う~ん、この辺が適当ですかね」

 

 そう言って見せられた額に驚愕した。間違えなく売る気ない金額だ。

 確かにそれほどお金に困る生活はしていないが、こんな大金はさすがに払えない。

 

「足元みられたようですね」

 

「いえ、これにはそれほどの価値のあるロックシードだという事です。…まあ、インベスゲームを面白くするために、すでにチームブラッドとチームレッドホットには渡しています」

 

 チームレッドホットとは、その昔曽野村という男がリーダーをやっていて、インベス騒ぎに乗じて宝石店をインベスに強盗させるという、犯罪に手を染めた連中だ。

 今また復活し、またよからぬことをしているらしい。

 両方ともならず者の集まりのような、そんなチームだ。

 

「鎧武には渡せないと…」

 

「渡せない訳ではないですね。私共としては、インベスゲームが盛り上がるのなら、幾らでも力をお貸しします。ただ、貴方の目的がそうでないのなら、お渡し出来ない…それだけのことです」

 

 なるほど、調べられたら困るとかそういうことか?やはり、普通のロックシードではないということだな。

 

「勿論、鎧武のためです。最近、チームブラッドがうちのチーム狙っているので。少しでも戦力を増やしたいんですよ」

 

「あなた方はアーマードライダーが二人いるんです。必要ないのでは?」

 

 こいつ、わざとだな。…ここで冷静さをかいたら僕の負けだ。

 

「僕も紘汰さんもあくまで用心棒です。鎧武を一度抜けた身ですから、この先ずっとというわけにも。だからこそ、そのロックシードを必要としているんです」

 

「これがアーマードライダーに変身するためでなく、この中にいるインベスが重要とよくわかりましたね」

 

 そうなのか?

 そこは知らなかったけど、なるほど…

 変身用ではなく、インベスを呼び出すためのもの? ここに何が入っているんだ?

 

「なんとなく、そうじゃないかと…だから、ロックシード渡していただけませんか?」

 

 清水はニヤリと笑っていた。

 まあ、僕たちをモルモットにしてとか考えているのは、目に見えてわかっている。

 

「そうですね。…では鎧武へお渡ししましょう。ただ、扱いはかなり難しいのですけど」

 

 難しい?

 何処かでやってみるしかないか…しかし、なんなんだ?さっきとは掌を返した態度は。

 

「分かりました。それでは…」

 

 こないだ失敗したが、後をつけてみるか。

 恐らく、何処かの研究所にいくはずだ。

 そこさえ分かれば、今後行動がしやすい。

 ドルーパーズを出る前に、阪東さんへ清水が出たら教えてもらうように頼んだ。阪東さんも、光実の頼みだからこそ、すぐに受け入れた。

 まあ、あまりあの錠前ディーラーにもインベスゲームにもいい思いを持っていないためだろう。

 

 

 暫く、ドルーパーズの出入り口近くで身を隠していると、バイブが震えた。音を鳴らすとばれるので、わざとバイブにしていた。

 それと同時に、キャリーを引いた清水が姿を現す。

 

 光実はそっと後をつけていく。一応、こっそりと追跡装置をばれないようにキャリーにつけたが…見つからないといいが。

 清水はつけられているのを気付かず、そのまま歩いていく。その行き先は、どんどん狭い路地に入っていく。

 身を隠しながらなので、時々見失ってしまう。

 そうやって、暫くつけていたとき、光実は驚愕して立ち尽くした。

 少し目を離したときに、姿を消したのだ。

 文字通りだ。

 他に通路もなく、行き止まりである。出入り口もない。

 

「こんなことって…なんなんだ?あの錠前ディーラーは?」

 

 もはや理解できない。さっと携帯をとりだし位置を確認してみたが、気づかれたらしく目の前に追跡装置は落ちていた。

 やはり一筋縄ではいかない。どうするか… 

 

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