悪意再び    作:夢幻鎧武

7 / 24
すいません。最後を訂正しました。


第7話

 光実は取り合えず、あの謎のロックシードを解除してみようとした。だがその時だ。

 

「それを渡して頂きましょうか?…貴方方が扱っていい代物では御座いませんので」

 

 そう声をかけられ後ろを振り返ると、そこにいたのはあの目立つ白い鳥をつれた、赤いドレスの女だった。そもそも気配すら感じなかった。

 

「断る…あんたが何者かもわからないのに、これを渡せない」

 

 光実の言葉に、赤いドレスの女は深くため息をついたのち、残念そうな顔をした。

 白い鳥もどこか悲しそうなしぐさをしていた。

 

「では、どちらが勝つか勝負で決めましょう」

 

「何故わざわざ、あんたらの誘いにのらなきゃいけないんだ」

 

 その言葉を聞くや否や、白い鳥がさっと目の前に現れ、さっと光った。

 その眩しさに、光実は目をとじてしまった。その瞬間、さっきまで握りしめていた、ロックシードを鳥がくわえていた。

 

「主様、わざわざご自分で行かれなくても、わたくしがあなた様のために動きましたのに…」

 

 このままでは、取られてしまう。こうなれば、これしかない。

 

「変身」

 

 龍玄ブドウアームズに変身した光実は、直ぐ様白い鳥に向かってブドウ龍砲をはなった。

 白い鳥はくわえている影響からか、身動きが遅く簡単にあてることが出来た。

 閃光と共にその姿が見えなくなる。

 

「主様…貴様、主様をよくも」

 

「大丈夫だ。この程度自分で防げる。ローズお前は動くな」

 

 その声に、光実が眉をひそめる。

 まさか、この鳥しゃべれるのか?

 白い鳥は先ほどの攻撃を防いだようで、無傷でいる。

 ただ、さきほどのショックでロックシードを落としていた。それに気づいた龍玄が、拾い上げようとしたその時、ヘルヘイムの植物が邪魔をする。

 

「オーバーロードなのか」

 

 見ればローズという名のあの赤いドレスの目が赤く光っている。ブドウ龍砲をローズに向って構えたとき、白い鳥がさっと肩に乗り、龍玄の耳元でささやいた。

 

「これ以上やめておけ。俺達はそのような事をのぞまない。目的はこのロックシードの中にいる者だ。この世界を侵略に来たわけでも脅かしに来たわけでもない。…ローズ、お前もやめろ。最初に言ったはずだよな。俺がいいって奴以外は手を出すなとな」

 

 だが、オーバーロードの言葉をそのまま信用できない。第一、この鳥は何者だ?

 あのローズとかいう女もかなり強そうなのに、この鳥を主と仰いでいる。

 

「しかし、主様にもしものことが」

 

「こっちに何かあっても、少々怪我を負う程度だ。そもそも、人に俺は殺せないよ。…さてと、あんた。これほど実力の違いがある。あんたは賢そうだ。その辺はわかるだろ?誰も、俺達の味方をしてくれなんて頼んでない。このロックシードを渡してくれるだけでいい。他のロックシードを盗ろうというわけではない。だから変身をといてくれないか?」

 

 確かに先ほどから背筋に寒気を感じている。

 プレッシャーというやつだろうか…この鳥見かけによらず、かなり強いということだろう。

 

「とけば、あんた達が何者か聞かせてくれるのか?」

 

「何者かは、わかっているんだろ?まあいい。目的のそのロックシードの正体がなんなのかも見せよう」

 

 そう言って、白い鳥はさっとローズと呼ばれる女の肩にもどっていく。

 ローズは戻ってきた白い鳥を心配そうに見つめていた。怪我がないかどうか確認している、その様子を見ると完全に主従関係にあるのはわかった。

 

 とりあえず光実は変身をといて、謎の二人に目を向けた。

 

「教えてもらいましょうか?」

 

「まず、そこのロックシードに入っている者を説明しよう。ただ、それはあんたら人間が触っていい代物ではない。…ローズ、解放してくれ」

 

「了解です。主様」

 

 先程の戦いにおいて地面に置かれたままのロックシードを拾い上げると、ローズはさっとロックシードを解除した。

 そのロックシードからヘルヘイムの植物が流れ込んでくる。それと共にロックシードを持っているローズの手がヘルヘイムの植物で覆われていた。

 

「な・・・なんなんだ?」

 

 こんな危険なものをあの、清水とかいう男はつかわそうとしていたのか。

 そもそもこの中身はなんなんだ?

 

「落ち着きなさい。そもそも、勝手に飛び出したあなた達も悪いんです。主様もいらっしゃいますから、怒りを鎮めなさい」

 

 ヘルヘイムの植物がローズから立ち退くと、さっとその植物が人型に覆われる。

 そこに現れたのは、白髪に赤い目の少年だった。

 青いローブ風の服を身に着けているその少年は、怒りで赤い目が激しく光っている。

 

「許さない…許さない…」

 

 少年がそう言ったとともに、ヘルヘイムの植物が地面を覆っていく。

 これは…なんて力だ。

 光実の顔が引きつっていた。

 白い鳥はさっと飛び立ち、その少年の肩に乗ろうとした。

 だが、少年はさっとその爪を緑の長い爪に変化させ、鳥に攻撃を加える。

 

「ルキア、落ち着け。俺だ」

 

 白い鳥に全く耳を貸さず攻撃を仕掛けようとする。

 ローズはため息をつくと、その姿を変化させた。

 赤い薔薇のような頭に白い蝋人形のような顔。赤いバラをモチーフにした体をもつ化物だ。手には緑色の鞭のようなものが握られていた。

 さっとその鞭をルキアに向って放つ。

 だが、まかれたのは白い鳥であった。

 

「あ…主様。何を…」

 

「それはこっちのセリフだ。いいからのけてくれ」

 

 とげが刺さり、白い鳥は傷ついている。そんな動けない鳥に向って、ルキアはその爪を突き刺す。

 その目は相変わらず激しく赤く光っていた。

 

「ぐ・・・ル…キ…ア…目を…さま…せ…」

 

 そのまま白い鳥が地面へと落ちていった。

 その血で羽が赤く染まっている。

 

 その瞬間時間が止まったような感覚だ。

 ルキアも固まっている上に、ローズは声にならない叫びをあげていた。

 そもそも一瞬すぎて、何が何だか理解ができない。

 

「主様・・・」

 

 ローズがそっと近寄ろうとして瞬間、白い鳥は激しく光その姿が変化した。

 白い鎧に白い鳥の頭をもつ美しい鳥の化け物に。

 先ほどの傷も消えてなくなっている。

 その美しい黄金の瞳を、さっとルキアに向ける。

 

「ルキア、いい加減落ち着け。お前を傷つけたくはない。さあ、俺達の家に戻ろう。…なあ、ルキア」

 

 そう言って、白い鳥はそっと放心状態になっているルキアを抱きしめていた。

 

「主様、その形態はあまり…」

 

「わかっている。今の俺には負担でしかないことも…でも、ルキアのためなら俺は」

 

 抱きかかえられたルキアは泣き始めた。

 もはや、少年のその姿にもどると、ずっとその白い鳥の胸で。

 

 ただ、一番訳の分からないのは光実だ。

 今の状態を理解ができない。

 一応、この二人がやはりオーバーロードで、さらにロックシードに入っていたのもオーバーロードということはわかった。

 で、この3人は異世界からきて、この少年を取り戻すために動いているという事だけは、なんとなくわかったが…

 

「あの…そろそろ説明してもらえないか?」

 

 光実は思わず突っ込んでしまった。現状どうやら落ち着いたようだし。

 これ以上こんな訳の分からない事に正直巻き込まれたくないと思っている。

 

「ああ、そうだな。ルキア、落ち着いた?」

 

「はい…えっと、なんてお呼びすれば?」

 

「白い鳥でいい。俺は元に戻る。こっちはかなり力を浪費するからな」

 

 さっと先ほどまでの化け物から、白い鳥へと姿を戻していた。それに伴い、ローズもただの赤いドレスの女の姿へ戻っていた。

 少年もまた、先ほどまでとは違い、普通の赤い瞳をこちらに向けている。

 

「わたくしから説明を。恐らくわかっていると思いますが、主様はあなた方で言うオーバーロードという存在です。わたくしやルキアは厳密に言えば少し違いますがオーバーロードのような存在と思っていただいて大丈夫です。ここまではお分かりいただけますか?」

 

「まあ、そこはなんとなく。さっきのを見ていればわかる。…で、なんでそのルキアとか言う少年がロックシードに?」

 

 ローズが話そうとした瞬間、ルキアがさっと止めた。

 

「僕から話します。白い鳥様やローズ様は、僕たちを探しに来てくれているだけなので。…僕たち三兄弟なんですけど、兄のルクアがどうしてもこの世界に来たいと駄々をこねて、白い鳥様が止めたのを聞かず、ばれないように弟のルシアとともに、こちらの世界に来てしまったんです。僕は二人を止めるためにこちらに来たんですが、その際、訳の分からない人間に話しかけられ、ついて行くとそのまま気を失い…気付くとそのロックシードと呼ばれるものの中に閉じ込められてしまったのです。僕はその中で、ずっと人間を憎めと聞かされ、最初に近づいてきたものを殺せとそうつぶやかれ続けて…おかしくなっていました。本当に申し訳ありません。白い鳥様」

 

「いや、だから様付はやめろって。俺はそんなに偉くないしな。…それに、ルクアを止められなかったのは俺にも責任がある。だから、気にしなくていい」

 

 つまり、理由はわからないがこの少年たちが勝手にこの世界に迷いこんで、それを誰かが見つけ利用したということか。さらに、データ収集のために、このロックシードを使ったものを襲わせる…

 待てよ・・・

 ロックシードはチームブラッド、レッドホットにも配っていると清水が言っていた。

 まずいことになりそうだ。

 

「他のロックシードは、まずい連中の手の中にある。解放されたら沢芽市が」

 

「確かにな。ローズ、止めに行くぞ。…すまないが、そのロックシードを渡された連中が行きそうな場所教えてくれないか?俺達の問題だ。自分たちで解決する」

 

「別にあんた達を信用したわけじゃない。だから、僕も行く」

 

 その言葉にローズはじっと、白い鳥を見つめていた。ルキアも同じようにしている。

 やはり、この鳥がオーバーロード達をまとめているというのか…

 

「いや、あんたには他にやるべきことがあるだろう。信用するとかしないとかそう言う問題じゃない。沢芽市を本気で守りたいなら、こんなことを企んでいる連中を探し出せ。そうじゃなきゃ、もっと厄介な事になる。…心配するな。俺達がその気になれば簡単にこの世界なんて落とせる。…だが、それを望まないからこんなまどろっこしいことしてんだ。あと、もういい。すでにヘルヘイムの気配を感じ取った。その厄介なやつのどちらかがロックシードを解除したようだ。そっちは任せろ。…本当に沢芽市を守りたいなら、お前はそうしてくれ。頼む」

 

「な…あんたはなぜそんなに?関係ない世界じゃあ?」

 

「そうだよな。関係ない世界だ。…だからこそ、自分の世界の仲間が迷惑をかけるのが許せないだけだ。…じゃあな」

 

 それだけいうと、3人はさっとその姿を消し去っていた。

 何が起っているんだ?

 兄さんに電話しながら、チームブラッドがいるだろう場所へいそぐ。

 恐らくは、奴らが狙うとしたらチーム鎧武だ。

 あそこにはっていたら、またあの謎のオーバーロードにも会える。

 そもそも、僕はあの連中をまだ信用したわけではないのだから。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。