悪意再び    作:夢幻鎧武

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第8話

 兄である貴虎に電話をかけ、今まであった出来事を話した後、光実は鎧武のガレージにやってきていた。

 鎧武のガレージでは、普通に紘汰や裕也、それにラットたちが思い思いの場所に座っている。

 

「あれ、ミッチどうしたんだ?」

 

 ガレージの入り口を開けた僕に、紘汰さんがそう話しかけてきた。

 皆もじっと見つめている。

 

「いえ、ブラッドの連中ここに来ませんでした?」

 

「いや、来てないよ。奴ら恐れをなしてこないんじゃないか?」

 

 ラットの言葉に光実は、そんなはずはないと少し考えていた。

 そもそも、奴らはこの鎧武を一番目の敵にしている。

 となれば、あれはレッドホットが使ったということか?

 

「そうですか。ならよかったんですけど」

 

 なんでこんなに居心地が悪いんだ?

 昔と違って、誰も裏切ってないのに…

 僕はとりあえず空いている席座った。裕也さんが、さっと水を僕に持ってきてくれる。

 

「あのさ、ミッチに聞きたかったんだけどな」

 

 なんだろう改まって。

 裕也さんは僕の前に座ってじっと見つめてくる。

 

「なんですか?」

 

「ほら、軽く皆に話聞いたんだけど、沢芽市って大変な事になってたんだよな」

 

「ええ、ヘルヘイムが浸食してきて。それがどうかしたんですか?」

 

 大体の事はここにいるメンバーに聞いたんじゃないのか?

 

「それで、なんでヘルヘイムだっけ?その浸食が収まったんだ?誰に聞いてもわからなくて。バロンの戒斗がおかしくなって、そして紘汰と舞がいなくなったと聞いたんだけど」

 

「その通りですが、僕もどうしてヘルヘイムが消滅したのかまでは…すいません」

 

 黙っておかないと。これ以上先の事は。

 僕は最後にオーバーロード化した紘汰さんにあっている。だからこそ、全て知っているんだけど。

 

「そうだよな。紘汰、やっぱり思い出せないよな」

 

 ブランコに座っていた紘汰さんが、悩んでいる。

 まあ、思い出さないほうが幸せな事もある。さっきから水を飲んだり、食べ物を食べたりしているところを見る限り、オーバーロード化していないようだ。

 

「思い出せない。何より舞の事が気になるんだけどな」

 

 そうやってブランコをこいでいる紘汰さんを見て、何とも言えない。

 言ったほうがいいんだろうか…でも、そもそも舞さんがどこにいるかなんて僕にもわからない。

 紘汰さんが戻ってきたということは、舞さんにも何かがあったと考えるべきだろうが…

 

 

 その時だ、テレビにDJクロスの生配信が映し出される。

 

『ヘイ、沢芽シティーのみんな元気にしてたかい?今日はなんとあのロックシードを、レッドバロンが使ったって言うんだから、おどろきだ。さあ、その様子をチェゲラ」

 

 そう言ったのち、映し出されたのはレッドバロンの曽野村だ。

 曽野村がロックシードを解除したその時、ヘルヘイムの植物が巻き付いていく。

 

「な・・・なんだ・・・これ。助けてくれよ…ぎゃあ」

 

 右手に何重にもヘルヘイムの植物が巻き付き一向に離れない。曽野村は必死で暴れている。

 それと共に、白髪に赤い目の少年が現れた。

 さっきいたルキアという少年よりは背の高いその少年は、じっと赤い目を光らせている。

 

「くだんねえ…何がこの世界を守りたい。最低な世界じゃないか」

 

 少年はルキアと違い、そう吐き捨てるとさっと右手を翳している。意識をもったままやっている。

 自分の意志ということか…最悪だな。

 

「た…たすけてくれ。…頼むよ」

 

「下らねえって言っただろ?誰が人間なんか助けるか。…そもそも、俺を閉じ込めた連中のなかまなんだろ?許す分けねえよ」

 

 そう言って赤い目を光らせると、どんどん曽野村の体に巻き付いていく。

 そこに、あの白い鳥とローズ、ルキアが姿を現した。

 

「やめて兄さん」

 

「ちっ…あんたも来たのか。で、鳥とでも呼べばいいのか?」

 

 明らかに白い鳥に反応している。

 

「ああ、鳥でもいいから、さっさとそこにいる奴のヘルヘイムの植物外してやれ」

 

「いくらあんたに言われても、外せないね」

 

 その一言に、ルキアがため息をつくと、そっと曽野村に近づいていくヘルヘイムの植物に手を翳す。

 すると、スルスルとヘルヘイムの植物が引いて行った。

 

「毒は注入されてません。早く逃げたほうがいいですよ…しかし、兄さん。白い鳥様の言葉すら聞かないなんて」

 

「だから、その呼び名はやめてくれ…ルクア、今回の件帰ってからな。言っとくが、さすがに許さないからな。…あとそこのお前、あんまそういうことばっかりやってると、俺達が相手になるが」

 

 レッドホット達はすぐに逃げ去っていく。

 それと共にその映像は終わっていた。

 

『さあさあ、あいつらは一体何者だったんだ?これからも目が離せないぜ』

 

 それを見ていた一同が、驚愕している。

 

「あれって、オーバーロードとかいう連中じゃあ」

 

 ラットの言葉に、メンバーがさすがに動揺している。みんなレデュエやロシュオの事を知っているからだろう。

 

「オーバーロードってなんなんだ?」

 

 そうか、そこまで話はしてなかったのか…

 紘汰さんと裕也さんは訳が分からず互いに顔を見合わせている。

 

「インベスでありながら、知識や言葉、武器を扱う存在。正確にはヘルヘイムの環境下に適応し、新たなる進化をもたらしたもの。駆門戒斗が最後そうなってました」

 

「それって、とんでもない化け物ってことじゃないか。…あんな連中を野放しにしてるなんて、大丈夫なのか?俺は行ってくる」

 

「待ってください、紘汰さん」

 

 みんなが止めたが、紘汰さんはそのままガレージを出ていく。

 僕と裕也さんはすぐさま紘汰さんを追いかけて行った。

 みんなはとりあえず、鎧武のガレージに残ってもらったが…

 

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