日常、そんな幻想郷を見ることができます。
基本的にシリーズで二人しか書きません。
ご要望がありましたらできるだけ反映します。
レミリアのことを知らない人は知ってからではないとわからない部分が多々あります。それを了解したうえでご覧ください。
ピシャーン!
雷雨がなり響く空の下で赤い...いや、紅い館が一つ。霧の湖の中心に建っており、名を『紅魔館』という。私の名前はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主である。
「紅茶をお持ちしました」
私の目の前にいるメイド服の女性は十六夜 咲夜(いざよい さくや)。紅魔館のメイドを束ねるメイド長をしている。メイド長の名に恥じないようなみのこなしは折り紙つきだ。
「いつも悪いわね」
「いえ、お嬢様が望むなら命をかえても実行いたします」
さて...今日の紅茶は?
「今日の紅茶はハーブが入っております。味よし、色よし、香りよしですよ」
紅茶が注がれているカップに顔を近づけると、ほのかにハーブの香りが鼻をさした。カップを片手で持ち、口元に運び、薄茶色の液体を喉の奥に流し込む。
「...いつもよりスッキリしてるわね」
「お気に召したでしょうか」
「うーん...美味しいけどもう一度と言われると言葉が詰まるわね」
「左様でございますか」
いつもの毎日。私は吸血鬼なので基本夜に起きる。夜に起きて、着替えて、朝食(?)を食べて、ティータイムに浸り、朝になったら眠る。こんなような毎日だ。しかし、毎日が平和な訳がない。これから語るのは少し奇妙で切ないレミリア・スカーレットの物語である。
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夜、いつものように食堂に向かう。しかし、いざ食堂の扉を開けると、フードを被り、足にまで伸びているコートを着た人物が立っていた。
「誰かしら?それに、ここが私の館だと知っているのかしら」
コートを着た人物が口を開く。声からして多分男性だろう。
「自分のことは名乗らないが二つ目の質問には答えてやろう。答えはYESだ」
「じゃあなんでここにいるのかしら」
「強いて言うなら招待にきた、かな。いや、強制だが」
コートを着た人物が指をパチンと鳴らした。その瞬間、私の足下が大きく開いた。
「覚悟しておけよ。お前は現実を直視することになる」
コートの人物の言葉が頭の中に響きわたる。そして私の意識は闇の中に誘われた。
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「...う...う~ん...」
私は寝ていたのか?それすらわからない。ぼんやりする頭をどうにか起こし、立ち上がった。
「ここは...食堂?」
私の目に飛び込んだのは白いカバーがかかっている長いテーブル。いや、白いカバーだったと言う方が正しいだろう。なぜならそのカバーは黄ばんでいたのだ。
「ここの部屋は紅魔館の食堂にそっくり...ね?」
食堂にかかっているカレンダーが目に入った。そこにはあり得ないことがかかれていた。
「...2117年...?」
おかしい。今の年は2014年だったはず。きっと誰かのイタズラだ。でも...カレンダーには特に何も変化がない。特に何も変化がないならいいのでは?と思いがちだがそれは違う。逆に変化がないことが異常なのだ。
「このカレンダーに異常がない...わざわざ103年後のカレンダーをイタズラに使うかしら?」
こんな面倒はイタズラをする輩は紅魔館にはいない。妖精メイドがたまにイタズラをするが子供染みたイタズラばかりだった。
「人気がないのも気味が悪いわね...」
外を見てみる。満天の青空...ではなく曇天だった。
「不気味ね。夜でもないのにこんなに暗くて」
とりあえず地下の図書館に向かうことに。
地下 ヴォワル図書館
ここには私の唯一の友人、パチュリー・ノーレッジがいる。血色の悪そうな顔をしているが至って健康だ。あ、喘息があるから健康じゃないや。
「パチェ?いるんでしょ?」
いつもなら「図書館では静かに」と言うが聞こえない。いないのか?
「本当に...103年後なのかしら。図書館が埃だらけ...本当に103年後なら咲夜は?」
このあと、館のあちこちを探すが咲夜どころか誰もいなかった。どこも埃だらけで原型をとどめていない部屋もあった。
「誰か...いないの...?」
一人という孤独が生まれる。
「どうやらまだ認めたくないようだね」
「誰?」
私の背後から声が聞こえた。
「ついてきなよ。今真実を明らかにしてあげるから」
「だからあなたは...!?」
...ジジ...
青い服を着た男の子だ。その子の肩が薄くなった。
「僕はここの幽霊...と言っても幽霊であり実態もある。機械でいう『ホログラム』に近い存在だね」
「幽霊?もう死んでるの?」
「うん。でも僕だけじゃあない」
男の子が歩き始めた。
「それはついてきてわかることだよ」
「...」
私はついていくことにした。この先に何が待ち受けているのかわからずに...
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歩いて数分、目の前に広がったのは墓地。103年前にはなかったものだ。
「ね...ねぇ。ここって墓地なんだけど...」
「墓地ですね」
「誰か...亡くなったの...?」
「はい。それは...」
私は何故か緊張してしまった。次にくる言葉によって私が私でなくなるようになるかもしれない。狂気にまみれてしまうかも...
「誰が...亡くなって...しまったの...?」
「...咲夜さんを筆頭に...美鈴さん、パチュリーさん、小悪魔さん、フランさんが...亡くなったのです」
私は目を見開いてしまった。そこには五体の人骨があった。
「五体...まさか皆の...」
「美鈴さんは戦死、小悪魔さんは病気により、パチュリーさんもです。フランさんは消滅、咲夜さんは...」
「咲夜は...?」
「...過労死です」
え...?過労死?それって...その瞬間、目の前が真っ暗になり私を落としたコート男が現れた。
「お前の我が儘により咲夜は死んだ」
「...嘘よ」
「俺は嘘なんてつかない。こうなることがお前でも分かっていたんだろ?」
「...違う」
「何が違うだ!咲夜はお前がこきつかったせいで死んだ!」
「...」
ついに私の目から涙が溢れてしまった。
「お前のせいだレミリア。お前と会った時点で咲夜は死んだも同然になったんだ」
「......うす...ば...?」
「あ?」
私の声は既に蚊の羽音と同じように掠れていた。
「私...は...うす...ばい...の...?」
「心ここにあらずか。それもそうか、大切な人が死んで、その理由が自分のふざけた理由だもんな。壊れないほうがおかしい」
男は薄く笑い始めた。
「ははは...お笑いだねぇ...永遠に幼き紅い月と呼ばれた王女様が身内を失っただけで戦意喪失か。立派なのは生きている年数だけか?」
「ごめ...んなさ...い...咲...夜...」
「今から過去に戻す。あとはお前の考え次第だ。咲夜を生かすも殺すもお前の考え次第だ」
真っ暗だった空間に光が戻っていく。
「頑張れよ。永遠に幼き紅い月さんよ」
私の視界は光におおいつくされた。
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「う...うん...?」
目が覚める。そこには見慣れた部屋に見慣れた色、見慣れた人物がいた。
「ど...どうしましたか!?お嬢様!」
そう、咲夜だった。珍しく焦っている。その愛らしい顔を見た途端に安心してしまう。
「お嬢様...泣いているのですか?」
私の頬は微かに濡れていた。涙だ。
「う...うう...しゃくやーー!!」
ついに私は泣き出してしまった。咲夜に抱きつき、胸に顔を埋め、泣き至った。
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結局今回の出来事は誰にも伝えなかった。咲夜や小悪魔には一週間に一度の休日を、フランには紅魔館の中だけなら出ていいと言い、美鈴には食事を与えるようにした。
「一体どうしたの?レミィにしてはおかしいわ」
「そうね...悪い夢を見たの。それを見たら孤独がくるのが怖くて...」
「ふーん...そうね。孤独は嫌だからね」
私はもう二度とあんなことが起きないように願った。自分のどんな願いよりも強く願った。それ以来あのコート男が現れることはなかった。それでいいと感じた。咲夜たちと一緒にずっと暮らしたい。これが私の願いだ。そして今日も...
「咲夜、今日の紅茶は何かしら?」
素晴らしい夜が始まる。
「次は妖夢か...七夕に祈った願いを叶えてやるぜ」
コート男は静かに笑い、消えていった。
どうだったでしょうか?
楽しんでいただけたら光栄です。
次の外伝は妖夢です。
お楽しみに...