狩人達の軌跡   作:SHIPS

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本編とは全く関係のない読み切りです。


外伝・老山道程(読み切り)

 温暖期の到来間近を告げる飛竜の産声。遮るものも少ないこのセクメーア砂漠の夜は隅々までその勇ましき咆哮が轟く。Gクラス指定を受けたこの一帯でも、ことあるごとに角竜どもの激しい諍いが、どこからともなく聞こえてくる。どう猛な獣たちとは対照的に、夜空に浮かぶ一面の星の輝きを逃すまいとそのスコープで追いながら、老人は音程の狂った鼻歌を鳴らしてひとりファランクスとの決戦の時を待った。

 

「可変倍率スコープも、こん時だけは役に立つんだがのう……」

 

 望遠鏡のように持ち上げたヘビィボウガン『老山龍砲・極』の銃身を空に向けていたが、やがてその重量に耐えかねて砂上にどさっと下ろした。久しぶりの砂漠ですっかり忘れてしまっていた――満開の星空を眺めるだけでも、ここは危険を冒す価値のある土地だと言うことを。

 

 ここへ来てから既に一時間。かなりの時間を消費してしまったが、これも彼の作戦である。『ガンナーの戦いはクエスト受注前から始まっている』とは言い得て妙だ。相手にするモンスター、環境、扱うボウガン、果てはそのときの気分。できる限りのあらゆる下準備を行ってから戦いに挑むのが彼のスタイルである。

 

 彼は走るのが苦手だ。だから基本的に飛竜を自分から追うことはない。むしろひとつのエリアにとどまって、気長にそいつがやってくるのを待つ。もちろん当てずっぽうではない。モンスターの生態を熟知しているからこそのヤマというもの。そして長い観察の末、ディアブロスのお気に入りのサボテンを発見した。

 

 男は次に周囲の様子を見た。環境は至って良好だ。周囲にガレオスが回遊しているので、それは後のために駆除しておかなければならない。見通しもよく、平地は広い。おあつらえ向きに、人ひとりが隠れられそうな古代の遺跡の石柱まであるではないか。

 

「ここで決まりだな」

 

 老山龍砲を構える。ガレオスども駆除するために籠手の弾帯から通常弾を取り出そうとしてハッとした。老人は今回のクエスト内容を思い出す。

 

「角が四本……」

 

 ホットドリンクで暖まっていたはずの体が急に冷え込む。否、実際に効果が切れてしまっていたようだ。が、それよりももっと重要な点について老人は頭を悩ませなければならないのだ。

 

 ベテランのガンナーであれば、『老山龍砲・極』の性能について口をそろえてこう言う。『間違いなく歴史に残る巨砲だ』と。人間が握る武器の中では最強と言われる圧倒的な破壊力を兼ね備えた武器であるが、並のガンナーではまともに扱うこともできず、ベテランでもその使用を躊躇う。至高の一挺にして、始まりとも言われるのだが、その理由については後に語ることにしよう。

 

 それもそのはず、このボウガンは撃てる弾丸が非常に少ないのだ。なんとすべての弾丸の基本であるレベル1の弾丸に対応していない。そのあまりの大口径専用のバレルが故に、小さな通常弾レベル1や貫通弾レベル1でさえ全く機能しなくなる。ギルドストアでさえ取り扱っていないような大口径の弾丸をふんだんに使うという贅沢な一挺でもあり、またその下準備にはかなりの時間を有する。彼に言わせれば「狩りをしている時間よりも準備の時間の方が長い」とのこと。調合分の素材も持ち込んでいるにしても弾切れのリスクは他のボウガンよりもきわめて高い。

 

 ここでガレオスの駆除のために弾丸を消費するのは彼にとって痛手だ。迷いながらガンナーポーチを開いて中身を確認すると、その中の一つに目がとまった。

 

「……」

 

 

 

 老人は慣れた手つきでそれを弾倉に込めていく。重火器でも構えているかのような威圧的な音が重く砂漠に響き渡る。その音につられてか、凶賊たちも彼のことを視認すると、編隊を組んで近づいてくる。老人はスコープをのぞき込むこともなく、凶賊達のいる砂に向かって引き金を引いた。爆音とともに巨大な弾丸が砂中にのめり込むと、直後砂を巻き上げるほどの巨大な爆発が起こり、砂と共に驚いたガレオス達がバタバタと飛び出してきた。

 

「ふぅ……」

 

 すさまじい反動を受けて老人も後ろに大きく後退する。こんな代物を人間に撃たせようというのだから鉄ジジは恐ろしい。一般人であれば肩が外れるどころの騒ぎではないだろう。老山龍砲の破壊力も功を奏してか、一発撤甲榴弾レベル3を放っただけでガレオス達は恐れをなしてその場からにげるように泳いでいった。とうとうこのエリアは老人ただひとりになった。これで心置きなく『対決』ができる。

 

 どうせ反動が大きいから、ディアブロス相手には使い物にならないだろうと彼は判断した。それでも何故持ってきていたかと言えば、単純に弾切れを起こしたときのために一発でも撃てる方がいいから。最悪の状況にも備えておかなければならない。

 

 どこ吹く風で通常弾レベル2を込めていると、遠くでふたたび砂が巻き上がり、獲物があらわれた。待ち焦がれていた角竜ディアブロス。まだ繁殖期から黒色色素が抜けきっていないのか、くすんだ色をしていて、それがよりグロテスクな形相を連想させている。

 

「よしよし……」

 

 近づくために一度納銃。そしてペイントボールを片手にディアブロスに向かって走る。暴君もこちらの気配に気付き、咆哮を上げるがそれは範囲外。そして耳をふさぐことなしに悠々とペイントボールをディアブロスの足下に投げる。ピンク色の派手な煙が上がり、また強烈な独特のにおいがあたりに広がる。早速荒い息づかいと共に双角が砂上を走るがこれは楽々脇に飛び退いて交わす。

 

 老人はさっそく老山龍砲を再び取り出すと、スコープも覗かずに一発引き金を引いた。すさまじい砲撃音が響き渡り、通常弾レベル2がまっすぐとディアブロスの尻尾を裏からえぐった。

 

 ディアブロスの甲殻は非常に堅いが、弾丸の材質故か、衝撃の関係性か、詳しいことまでは分からないものの、ここが一番弾丸の通りがよいと言うことを長年の経験で知っていた。いわゆる弱点というものだ。

 

 ディアブロスが振り向いてこちらを向くまでにもう一発撃つ余裕もあったが、老人はあえてこれを見送り、次の攻撃に備えた。標的が動いていたし、尻尾を狙える角度ではなかった。できる限り弱点を狙いたい。デカイ的とはいえ、闇雲に弾丸を撃ち続ければあっという間に弾切れ。これはそういう武器だ。

 

 再び突進を横に飛び退いて交わした後、通過したディアブロスの尾に後ろから狙撃。今度は二発入った。確かな手応えを示すかのように出血が増える。やはりもう一発チャンスがありそうだったが、ここで納銃。ガンナーの装備は防御力が低い。ましてGクラスとなればあっという間にアイルーの荷車のお世話になることだろう。

 

 攻撃をかわし、一発撃ち込む。これの繰り返し。ボウガンを手にしたその日から彼の戦い方は一切変わっていない。それでも少しずつ、同僚にしか分からないような部分で彼の技術は当時とは比べものにならないほど成長していた。決してパーティを組まず、淡々とGクラスのクエストをこなしていくその老兵を、いつしかミナガルデの人間は親しみを込めて『爺(G)』と呼ぶようになった。

 

 通常弾を撃ちながらカウント。残弾数を確認しながら同じ動きの繰り返し。何十年経っても飽きることはない。老人はいささか自分に酔っていたのかもしれない。ここまで一発も外していない。調子がいいのかもしれないが、まだまだ油断は禁物。

 

 ここでディアブロスもこのままでは同じことの繰り返しと業を煮やしたのか攻撃方法を変える。先ほどよりスピードは遅いが、着実にこちらを追尾する突進がくる。察知した老人も慌てて納銃し、その後に来る強い一撃に備えた。タックルする足の隙間を縫うようにしてダイブし、間一髪のところで強打を免れる。立て続けにハンマーのような尾の一撃が振り下ろされるが、これも想定済み。これでも若い頃はここで油断してリロードをしようとして何度も食らっていたらしいが、今ではそんなヘマもしない。荒々しい角竜の猛攻をかいくぐるためになかなかリロードのタイミングがないが、ここはじっと耐えるしかない。怒り状態のディアブロスは手がつけられない。若手のハンターのような機敏な動きも、ダイナミックな反撃もできないのでじっと回避に徹する。

 

 と、しばらくしてようやく息が上がったのかディアブロスの猛攻が止まった。口からよだれを垂らして低くうめいている目先に取っ手の付いた円筒を投げる。辺り一面にまばゆい光が走り、暴君の視界をくらませた。

 

「悪く思わないでおくれ」

 

 再び構えられる老山龍砲。視界を奪われ、暴れることもできずにいるディアブロスの尾をこれでもかと銃撃する。

 

 弾丸も残り少なくなってきたその時、エリアの隅から爆音と共に砂埃が立ち上がり老人も驚いて体を跳ねた。どうやら二頭目もここのサボテンを狙ってあらわれたらしい。こちらの姿を捉え、すぐに威嚇の咆哮を上げてきたので仕方なくエリアを移動して逃げ出す。

 

 エリア移動した先は天然の洞穴。岩の隙間から差し込む陽光を明かりに、広げたのはカラの実とハリの実。これらを組み合わせることで即席の通常弾レベル2ができあがる。一発ずつ丹念に確認しながらも、これもすさまじい速さで老人は込めていく。すさまじい集中力に周りの音が消えたと思うほどに、彼の世界は彼だけのもの。頭の中で限りない数式を展開し、最高の演算と経験から一発の不良品も無くそれを作り終えると、弾帯に丁寧に弾丸をセットしていく。これで再び補充は完了。若い頃は歩きながら調合もしたが、それが原因で一度大怪我をしてから止めた。安全な場所で調合を繰り返していく内に老人の中で『これを行うと必ずうまくいく』というルーティンができあがる。いつからから無意識でそれを行うようになっていた。

 

「よしよし……」

 

 99発の通常弾を作り終えると、心地よい脳の疲労がふっとわき出る。そのまま砂に身を投げ出して老人はしばらく横になった。

 

 

 

 これまでの狩人としての人生を振り返る。すべてが充実している。アルバレストから始まり、イャンクック砲、タンクメイジ、デュエルキャスト、メテオバスター……もう40年近く同じことの繰り返しなのだが不思議とクエスト毎回毎回が新鮮さにあふれている。新しいボウガンを手にする度、そのフォルムや性能に驚き、目を輝かせ、どんな戦い方をしてやろうかと枚ルームで一日中悩む。時には実際に担いで欲しいスキルを選択し、装備を組む。千差万別な表情を見せるそのバラエティは同じクエスト、同じ相手でも大きく違う。

 

 そんな老人のハンター稼業を今度こそ締めくくる今回の挑戦に選んだのが、『老山龍砲・極』であった。数年ぶりに街に現れたG級ラオシャンロン。そんな巨大龍の素材から作られる至高の巨砲がこの世に存在すると聞いて、彼は二つ返事で復帰を決め、このクエストに参加する。

 

 手に入ったそのヘビィボウガンを見て驚愕した。唖然とした。そのスペックに恐れ、また自身の慢心を恥じた。

 

 圧倒的な弾数の少なさから迫る弾切れのリスク。圧倒的なリロードの遅さから迫る隙の大きさ。何かを補おうとスキルに求めようとすればするほど、その破壊力を生かすことができないという本末転倒さ。

 

 一晩中にらみ合いがつづき、考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 そのボウガンはすべてのヘビィガンナーの終着点であり、長い道のりの始まりであった。

 

 少ない弾薬でどうすればよいか? 弱点だけを狙えばよいのだ。

 

 反動で状態異常弾が使い物にならない? だったら使わなければいいのだ。

 

 立ち回りが難しくて運用できない? 運用できる腕を磨けばいいのだ。

 

 すべての難関を突破したとき、狩人にはじめてその栄光を手にする権利が与えられる。

 

 

 

 

 

 

「……っと、いかんいかん。ぼーっとしてしまった」

 

 慌てて時計に目をやる。さいわい夜明けまではまだ時間がある。砂漠は昼と夜とで寒暖差が激しい。昼の暑さをしのぐにはクーラードリンクが必要だが、ポーチの都合上彼はホットドリンクしか持ってきていないし、昼間に動けないとなれば相手にも休息の隙を与えてしまい大幅な時間ロスとなるだろう。

 

 だが幸いにも最初のエリアに戻ってみると、ペイントボールをつけていた方のディアブロスが一頭だけサボテンを囓っていた。

 

「よしよし、運も向いてきたな……」

 

 こんがり肉にかじりつく。水は貴重なので口をしめらすだけ。もう一度装備を確認して、食事中のディアブロスにこっそり近づいていく。かなり時間も経っていたので先にペイントボールを更新してから銃を抜く。ディアブロスは一度こちらをちらっと向いたが、気にせずそのままサボテンをむさぼっている。

 

「尻尾ばかり狙われて気がついていないんだろうが……オメェ、かなり重傷なんだぜ?」

 

 そして容赦のない通常弾の応酬。彼の言うとおり数発の通常弾が尾に直撃する。既に幾多の弾痕が付いたところへ、だめ押しの一撃。ディアブロスの尻尾の中心、そこにあった何かを貫いた瞬間ディアブロスの動きが突然硬直し、やがて横倒しにどさっと倒れ込んだ。絶命したのだ。

 

「延髄を貫くも一苦労だなぁこりゃ……Gクラスってのはこんな骨だったかのう」

 

 その後短い祈りを捧げて剥ぎ取り。重殻と重甲、そして重尾甲。しかしポーチはいっぱいなので石柱の近くで砂中に埋めておく。もう一頭を倒して調合素材をすべて弾丸にするころに取りに帰るつもりだ。時間はたくさんあるのだから焦る必要は何もない。

 

 

 

 ――時はすでに人生のロスタイムなのだと老人はそう思っていた。それなのに――

 

 

 

***

 

 

 

 丁寧に磨かれるばかりで一度も狩場の空気を吸い込んだことのないその老山龍砲を眺めていると、キングルームの呼び鈴が鳴らされる。重たい腰を上げて出迎えると、立っていたのはいかにも狩人これからが盛りという装備に身を包んだ若い女ハンター。

 

「オッサンが以前使っていたポーンのルームから、これが出てきた。もしかしたら大事なものかもしれないと思って届けに来ました」

 

 今にも破れそうな古い紙切れを丁寧に両手のひらに置くと、老人は久しぶりの女性の柔らかい手に緊張しながらそれを手にとって見た。

 

 それは老人が新人の頃、武具工房でもらったボウガンのカタログの一ページ。一度も使ったことのない老山龍砲・極のカタログである。活字で一文字ずつ押されているインクは劣化によってグチャグチャだが、それ以上にそのページを見難くしているのはペンで書かれた走り書きの数々のメモの数であった。

 

「キングルームにいるってことは今じゃかなりの手慣れなんだろ? この新人に教えてくれないか? これは一体何なんだ?」

「……今時の若いのにしては、えらく真面目じゃなお前さんは……これはのうワシの夢じゃった」

「夢?」

「うんむ。このヘビィボウガンはすべてのガンナーの終着点であり、始まりなのだ」

「ガンナーの……」

「見たところ、お前さんもガンナーじゃろう。バトルSシリーズのミナガルデ工房仕様、大切に使っておるようじゃの。その装備だと、武器は装填速度を補う必要のある……イャンクック砲か。あれは素晴らしいボウガンだ。素材の割に攻撃力も高く、毒弾と火炎弾に対応しておる。貫通弾には向いていないが、弱点を狙撃することやボウガンに合わせてスキルを整えるというガンナーの基本が身につく」

 

 一瞥して老人は応える。かつて自分のお世話になった装備だ。忘れるわけがない。そしてこの女ハンターの装備も性別こそ違ええど、弾帯のベルトや上半身の特徴的な動きやすい革製の鎧など一致している点は多い。

 

「オッサンもガンナーなのか?」

 

 老人の推理力に驚いた様子で女は尋ねる。

 

「今はもう狩りはしておらん。……懐かしいものをありがとう。お若いの」

 

 小さく頭を下げた。

 

 

 

***

 

 

 

 カタログに書かれた自分の走り書きにもう一度目を通す。

 

 そのボウガンは弾を選ぶ。店売りの安い弾丸など無用の長物。

 

 そのボウガンはスキルを選ぶ。どうしようもない反動や装填速度は補うだけ焼け石に水である。

 

 そのボウガンは使い手を選ぶ。弾丸の調合からモンスターの弱点、ありとあらゆる知識と腕を求める。

 

 そしてそのボウガンは相手を選ばない。

 

 

 

 装備品ボックスを開いて蓋の裏についた小さな装飾品入れを開く。

 

「どうしようもない反動や装填速度は補うだけ焼け石に水……」

 

 老人は『凄腕のピアス』を耳につける。ギルドマスターから授かった大切なもの。自動装填の心得と手際を身につける。

 

 次にアイテムボックスの方を開いて乾燥保存させたはじけイワシとカラの実を取り出す。

 

「店売りの安い弾丸など無用の長物……」

 

 器用な手つきではじけイワシの内臓とカラの実を組み合わせる。目を見開いてぶつぶつとつぶやきながら短時間で最適化された工程で弾丸を作り上げる。

 

 今度はハンター大全を取り出す。ページは至る箇所が書き込みでグチャグチャになり、主なモンスターの解説には付箋が大量に貼り付けられて年季が入っている。

 

「ありとあらゆる知識と腕、か……えーと弱点はどこじゃったかのう?」

 

 昔の自分が書き残したものをもう一度指でなぞり、確認する。経験が彼を後押しする。

 

「手始めにイャンクックでも行こうか……」

 

 

 

***

 

 

 

 新しい道程の始まり。この老山龍砲と共に、再び老人はこれまでの長い道のりを折返すようにクエストに向かい始めたのだ。その道程すらも終わりが近づいているのを老人は悲しくも楽しみにしていた。

 

 達成感のその先にある、これまでどのガンナーも到達しなかったその極みに、老人は立とうとしている。

 

 その功績を知ってるのは今ではごくわずかだろう。ハンターの輝きは光蟲の絶命のように一瞬だ。この長い道のりの脇では多くのハンターが挫折や非業の死を遂げているのだから。

 

 弱肉強食の世界、その老人はしかしながら流れる時間をじっくりと堪能している。そして三セット目の通常弾の調合が終わってしばらくした頃、夜明けは訪れた。

 

 朝日に照らされた、横たわる四本の角。剥ぎ取りを終えて砂の上で横たわる老人。

 

 しばらくは、ギルドの役人か、はたまたガレオスが自分の体を食いちぎるまで、こうしていよう。老人はぐったりとした体を投げ出して、その時を待った。

 

「はぁ……疲れた」

 

 老人が寝そべる砂山の奥、さらに先の山岳がわずかに動いている。老山龍が、ただ宛もなく歩いているのだろう。円環を回る星のように、誰かに決められたわけでもない永遠に終わりのない道程をのそのそと歩いている。

 

 

 それからも老人の日常はほとんど変わらない。 




 今はなきラオートの栄光的な感じで書いてみました。

 老山龍砲ってなに? 気になった方は「老山龍砲ヤバイ」で検索。

 飛竜と戦う前に釣りやら何やらで素材集めなきゃいけないなんて今じゃ考えられないですね。

 自動装填というのは一回弾を装填したら、以降弾を変えるか切れるまでリロードが不要になるというスキルです。昔はこれにブランゴZ一式を着るか訓練所限定の凄腕のピアスというのがありました。特にブランゴZはスキルが鉄板すぎて、カードゲームの「老山龍砲」のイラストにも一緒に書かれたりも。



 
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