アイチ inハイスクールD×D   作:厨二王子

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最終日

 合宿九日目の夜、僕は夜中目を覚ますと、トイレに行くために廊下に出た。すると、廊下の窓の外からイッセーくんと部長の姿が見える。でも、なんか話し掛けずらい雰囲気があったので、気にせずトイレに向かうことにした。

 

「はぁ。ここ本当に広いな、迷いそうだ」

 

「あら、アイチくん。こんな所でどうしたんですか?」

 

「朱乃先輩……」

 

 トイレから出て少し経つと、後ろから朱乃先輩に声を掛けられた。

 

「ちょっと、トイレに」

 

「そうですか。そうだ、部屋に着くまで少しお話しませんか?」

 

「えっ」

 

 こうして、朱乃先輩と部屋に着くまで、お話することになった。

 

 

 

「今回の婚約者の件はやっぱり、部長が大きな家ということが関係しているんですか?」

 

「はい。あの時ライザーも言ってましたが、悪魔は古い血筋をとても大切にしています。さらに部長のお兄様が魔王なのも関係しているんでしょう」

 

「魔王……ですか」

 

 魔王までいるのか。いや、うすうす感じていたけど。

 

「部長は他に兄弟はいないんですか?」

 

「ええ。ただ、部長のお兄様には一人の息子がいるんですけど、まだ幼くて」

 

「そうですか……」

 

 僕は朱乃先輩から話を聞いて、静かに頷いた。どうやら、悪魔社会は複雑らしい。

 

「政略結婚ではなく、恋愛して自分が愛した人と結婚したい」

 

「えっ」

 

「それがリアスの夢だそうです」

 

「なら、その夢を叶えさせるためにも、次のゲームは勝たないといけませんね」

 

「はい。なので、しっかり応援していてくださいね」

 

「もちろんです」

 

 僕と朱乃先輩はここで二人、笑い合う。すると、朱乃先輩がこんなことを質問してくる。

 

「アイチくんも何か夢があったりしますか?」

 

「僕……ですか?」

 

「ええ。別に何か目標でもいいですよ」

 

 僕は朱乃先輩の突然の質問に戸惑う。夢……いや、目標か……。

 

「どうしても、会いたい人がいるんです」

 

「……」

 

「その人は今までずっと僕の側にいて、支えてくれていたんです。でも、いなくなってしまって……」

 

「だから、会いたい……ですか」

 

「はい、信じてるんです。絶対会えるって、だからそのために全てを……」

 

「アイチくん……」

 

 朱乃先輩は僕の話を聞くと、少し暗い顔になる。そして、小さく呟いた。

 

「アイチくんはもし私がリアスと同じような状況になれば、助けてくれますか?」

 

 朱乃先輩はいつものような笑顔ではなく、真面目な顔で聞いてくる。僕はそんな朱乃先輩を不思議に思いつつも、当たり前のように答えた。

 

「もちろんです」

 

「あらあら、ありがとうございます。頼りにしてますわ」

 

 朱乃先輩は僕の答えを聞くと、暗い顔からうって変わり、いつもの笑顔に戻る。すると、ついに僕の部屋の前に着いた。

 

「朱乃先輩、ではここで」

 

「はい。明日も頑張りましょうね」

 

 僕は朱乃先輩の後ろ姿を見つつ、自分の部屋に入って行った。

 

 

 

 次の日である合宿最後日、目の前では木場くんとイッセーくんが向かい合っている。これから、イッセーくんの合宿の成果を確認するらしい。

 

「行くよ、イッセーくん」

 

「おう。行くぜ、赤龍帝の籠手!」

 

『Boost!』

 

 イッセーくんが声を上げると、イッセーくんの神器から二分間機械音が鳴り響く。その数計十二回。

 

『Explosion!』

 

 倍加が終了した。

 

「はっ」

 

 イッセーくんが木場くんに殴りかかった。しかし、木場くんは華麗に剣でさばくので、なかなかどちらも一撃が入らないので勝負は拮抗する。

 すると、部長が一誠に声を掛けた。

 

「一誠、佑斗に魔力弾を」

 

「はい、部長。くらえ!」

 

 一誠は部長の声を聞くと、木場くんに向かって魔力弾を放つ。すると、木場くんは魔力弾を避けて、その魔力弾は木場くんの後方にある山を消し飛ばした。

 

「おぉー!」

 

「すごいね……」

 

「安心しなさい、一誠。あなたはしっかり強くなっているわ」

 

「はい、部長」

 

 イッセーくんは部長の声を聞き、嬉しそうな顔をした。

 

「じゃあ、最後に木場くんとアイチくんの模擬戦でしめましょうか」

 

「分かりました」

 

「今度は僕の番だね」

 

  僕は自分の神器を発動させて、グレード1のユニットにライドする。

 

「ライド」

 

 僕は前回と同じく、 『友誼の騎士 ケイ』の姿に変わる。

 

「行きます!」

 

 僕は力強い声と共に、木場くんに斬り込んだ。

 

 

 

「はっ!」

 

「せっ!」

 

 僕と木場くんの素早い斬り合いが続く。周りの皆はそんな斬り合いに声が出ないようだ。僕はただ斬り合っているだけではなく、木場くんの隙を探してゆく。さらにそれだけではなく、それと同時にユニットと一つになるような感覚が強くなってきているような気がした。

 そして……

 

「なっ……」

 

「そこ!」

 

 木場くんの剣が浮いた。僕はその隙を見逃さず強く踏み込む。その時何故か木場くんが一瞬、止まったような気がした。木場くんは一瞬止まるも、直ぐに体を反転し避けようとする。

 すると、部長の大きな声が響いた。

 

「そこまで!」

 

「「……」」

 

 僕と木場くんはお互いに動きを止める。木場くんは魔剣を消して、僕はライドを解いた。

 

「とてもいい勝負だったわ。特にアイチ、前より動きが格段に良くなったわね。本題の佑斗も動きが良くなっているし」

 

「いやー、すごかったよ」

 

「ありがとうございます」

 

 僕は部長と木場くんに感謝の言葉を送った。

 

「さて、皆帰る支度をして頂戴。明日はレーティングゲームの当日。絶対勝つわよ!」

 

『おー!』

 

 この時、僕らオカルト研究部の心は一つになった。

 

 

 

 そして次の日の夜であるレーティングゲーム当日。僕たちオカルト研究部は皆、お馴染みの部室に集まっている。もうすぐレーティングゲームが始まるので皆は緊張している。しかも、ゲームに参加しない筈の僕で緊張しているありさまだ。すると、突然目の前に魔法陣が現れ、一人の男が現れた。その人が現れたのを見ると僕とイッセーくん、アーシアさん以外は皆膝をついた。その人は紅髪の男性……もしかして。

 

「あなたは?」

 

「この方は部長のお兄さんであり、魔王であらせられます」

 

「魔王!……って、部長のお兄さんが!」

 

「……」

 

 僕は事前に知っていたんで驚かなかったが、一誠とアーシアは初めて知って驚いた。

 

「お兄様、何でここに……」

 

「いや、試合前のリアスたちにエールを送っておこうと思ってね。それと……」

 

 部長のお兄さん……いや、魔王が僕と一誠の方を向いた。

 

「今代の赤龍帝と妹の部活に参加した人間というのも気になっていてね。では改めて、私はサーゼクスルシファー、よろしく」

 

「兵藤一誠です!」

 

「先導アイチです……」

 

 僕は弱めだが、イッセーくんは直立不動で大声で挨拶をした。イッセーくん、力入り過ぎじゃあ……。

 

「なるほど。……このゲーム立場上は肩入れできないが、一兄としては応援しているよ。それと……」

 

「えっ……僕?」

 

 サーゼクスさんが周りに向かって言うと、今度は僕の方に向いて言った。

 

「今回は君を観戦室に案内しようとも思って来たんだ。ここではレーティングゲームを見ることはできないからね」

 

「いいんですか……僕なんかが?」

 

「構わないよ。君も人間とはいえ、オカルト研究部の一員だ。見る権利はある」

 

「分かりました」

 

 僕がサーゼクスさんに返事をすると、試合会場に移動するための魔法陣が出現した。

 

「行ってくるわね、アイチ」

 

「しっかり、見ておけよ!」

 

「うふふ、しっかり応援しておいてくださいね」

 

「……頑張ります」

 

「行ってくるよ」

 

「はっはい、頑張ってきます」

 

 皆が一人一人、僕に言葉を告げてくる。僕はそんな皆に一言送った。

 

「皆、勝ってね。応援してるから!」

 

 皆はそんな僕の言葉を聞くと、ガッツポーズして魔法陣の中に入って行った。

 

「では、私たちも行こうか」

 

「はい!」

 

 僕も皆を見送ると、サーゼクスさんと共に観戦室へと向かった。

 

 

 

「ここは?」

 

「着いたよ」

 

 まばゆい光りの中で目を開けると、あっという間に観戦室に着いたようだ。そこはとても広い空間で色々な人……いや、悪魔がいた。

 

「君の席はそこだよ」

 

「はっ、はい!」

 

 僕は思わず緊張して、変な声を出してしまう。そして、つい周りをキョロキョロしてしまう。

 

「では、アイチくん。私は向こうの席なので、後で試合が終わった後に」

 

「はい。ここまで案内してくれて、ありがとうございました」

 

 サーゼクスさんは僕に一言告げると、向こうの集団の方に向かって行った。僕はサーゼクスさんが向こうに行ったのを確認すると、試合の状況を映すであろうモニターを静かに見つめる。

 すると、誰かが僕に声を掛けてきた。

 

「先導アイチくんですね」

 

「あなたは……」

 

 僕はその人の顔を見て思い出す。確か生徒会長の……。

 

「初めましてソーナ・シトリーです」

 

「あれ?」

 

「ああ、向こうでは支取蒼那という名前ですが、気軽にソーナで構いませんよ」

 

「どうも……よろしく、ソーナさん」

 

「ええ、こちらこそ」

 

 僕とソーナさんはお互いに握手をした。次にソーナさんはこんな話をしてきた。

 

「ところで、この試合。どちらが勝つと思いますか?」

 

「えっ、それはもちろん、部長たちじゃ……」

 

「本当にそう思ってますか?」

 

 ソーナさんが核心を突くような言葉を告げてくる。

 

「それは……」

 

『それではリアスグレモリー眷属対ライザーフェニックス眷属のレーティングゲームを始めます』

 

 僕が戸惑いの声を出す寸前、グレイフィアさんからのレーティングゲーム開始の合図が告げられた。

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