バカと低血圧とポジティブとテストと召喚獣   作:虚っさん

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Fクラスの戦力と宣戦布告

第三問 以下の英文を訳しなさい

[This is the bookshelf that my grandmother had used regularly]

 

姫路 瑞希の答え

『これは私の祖母が愛用していた本棚です』

教師のコメント

正解です。きちんと勉強していますね。

 

虚井 廿楽の答え

『これは私の祖母が愛用してた本棚です』

教師のコメント

その通りですね。真面目に答えれば当たるのですからこれからも真剣に。

 

土屋 康太の答え

『これは』

教師のコメント

訳せたのはThisだけですか

 

道前 進の答え

『これは私の祖父が使用していた本屋です』

教師のコメント

頑張っているのは分かりますが色々違いますね。

 

吉井 明久の答え

『☆●◆▽¬♪※×』

教師のコメント

できれば地球上の言語で。

――――――――――――――――――――――――――――

『Aクラス……無理だ!!勝てる訳が無い!!』

『ぶっちゃけ女子が補充されればそれでいいや』

『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』

『姫路さんがいたら何もいらない』

 

だから誰だよさっきから変な発言してる奴

しかし、皆の諦めムードは当然の事。誰が見ても、FクラスとAクラスの実力の差は歴然なのだから。

 

試験召喚戦争

この文月学園を文月学園たらしめているシステムである。

この学園の試験では、点数の制限が設けられていない。一時間という時間内であれば、どれだけの問題を解いても構わないし、どれだけの得点をたたき出しても問題ないのである。

そして、化学とオカルト、偶然の三つの要素が奇跡的に上手い事なんやかんやあって生まれた『試験召喚システム』と呼ばれるシステム。これにより、当人のテストの得点に合わせた能力を持つ『召喚獣』を呼び出す事が出来るのだ。そして、このシステムを使い、クラス単位で行われる戦闘……それが『試験召喚戦争』である。

で、ここで問題になるのが、試験召喚システムにおいて最重要となる『点数』の要素だ。俺達が所属するFクラスは、学年最下位の頭脳の持ち主の集まり。対してAクラスは、学年最上位の頭脳を持つ生徒の集まり。根本的に性能が桁違いなのである。

 

「そんなことはない。必ず勝てる。いや、俺が勝たせてみせる」

 

しかし雄二は、ざわざわと騒がしいクラスメイト達へ自信満々に言い放った。

 

『何馬鹿な事言ってんだ』

『できるわけないだろ』

『姫路さんprpr』

『何の根拠があってそんなことを』

 

そろそろ怒るぞさっきから。

しかし、このままでは試召戦争を仕掛ける事に反対する奴が多いぞ。さあどうする雄二。

ニヤニヤと雄二を見る俺。そんな俺へガンを飛ばす雄二。さっきから姫路と一緒に自主勉強に励んでいる進……いやほんと、熱心な事で。

 

「根拠ならある。このクラスには、試召戦争を勝てるだけの要素が揃っている。」

 

ほう。言うじゃないか。っておい明久お前までなんで『何言ってんだコイツ』的表情を浮かべてるんだ

ざわつくクラスメイト達を尻目に、雄二は再び口を開く。

 

「それを今から説明してやる。」

 

ニタリ、と笑顔を浮かべる。キッモ。

 

「おい康太。なに必死になって姫路のスカートを覗こうとしてる。こっちこい。」

「……!?(ブンブン)」

「は、はわっ」

 

声をかけられ、畳にすりつけていた頬を話して慌てて両手を振り否定の意志を表明する康太と呼ばれた生徒。

姫路がスカートを抑えて後ろに下がると、若干悲しそうな表情を浮かべながらも渋々教壇に上がる。

……後で色を聞くか

 

「うっちゃん?」

「なんでございましょ」

「ふらちなこと考えてたでしょ。」

「いえ別に」

 

冷や汗を隠しながら教壇を見つめ続ける

 

「土屋康太。こいつがあの有名な、『ムッツリーニ』だ。」

「…………!!!(ブンブンブンブン)」

 

ムッツリーニ……男子生徒に畏怖と畏敬を。女子生徒には軽蔑を以て挙げられる名前。まあようするにスケベ野郎である。

 

『ムッツリーニ……だと……!?』

『ヤツが、あのムッツリーニ!?』

『見ろ、あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ』

『ムッツリの名に恥じない動き……間違いない、ヤツが……!!』

 

いよいよ変人じみてきたなこいつら

 

「次に姫路。まあ説明不要だな。お前らも十分知っている筈の超実力者だ。」

「へ!?わ、私ですか!?」

 

正当派、純粋に戦力になる姫路。間違いないな。

 

『おお、確かに姫路さんがいれば……!!』

『姫路さんがいれば百人力だな……!!』

『ハアハア』

『Aクラスのスパイじゃないなら、これほど頼りになる人もいないしな!』

 

だから誰ださっきから。

 

「そして、姫路ほどじゃあないが、十分Aクラス級の頭脳の奴もいる。虚井、こっちこい。」

「……そっち行くの?」

「こっち来い。士気上げるためだ。」

「……チッ」

 

仕方なく立ち上がり前にでる。

 

「こいつは虚井廿楽。知ってる奴は知ってるだろう。過去一度のみだが、姫路に次いで学年三位の成績を叩きだしたことがある男だ。」

『虚井……!?知ってる!!俺知ってるぞ!!』

『確か幻の学年一位……だったっけ?』

『てことは実質学力Aクラス上位級がここまで二人いるって事か!?』

『やっぱりうっちゃんは最高だね!!』

『進ちゃん可愛いよ進ちゃん』

 

ブッチイ

 

「さっきから誰だ姫路だの進だの女子の事ばっかグダグダ言ってる奴。名乗り出ろそしたら俺が直々に刑を執行してや……!!」

「まあ落ち着け」

 

ガッシと雄二が俺を羽交い絞めにする。クソッ離せ、これじゃあ粛清出来ないじゃあないか。

 

「うっちゃんどうどーう!!」

「……フー……うん。もう大丈夫だ離せ。」

 

雄二に解放され、席に戻る。

 

「更に、演劇部のホープ、木下秀吉だっている。」

「む、ワシか?」

 

唐突に名前を呼ばれ、驚いたように顔をあげる秀吉。秀吉は学力面はアレだが、別方面で有名だ。演劇部のホープ、というのもその一つ。

 

「勿論、俺だって全力を尽くす」

 

お、おう

 

『確かになんだかやってくれそうな雰囲気だ……!!』

『坂本って、小学生の時は神童とか呼ばれてなかったか?』

『てことは実力Aクラス級が三人もいるのか!?』

 

一気に士気が上昇していく教室。

 

「それに、吉井明久だっている」

 

一気に士気が下降していく教室。

 

「ちょっと雄二!!どうしてそこで僕の名前を呼ぶのさ!?全くそんな必要はないよね!!」

『誰だ?』

『お前知ってる?』

『シラネ』

「ほら!!折角上がりかけてた士気に翳りが見えちゃってるよ!!てか僕は至って普通の生徒なんだから普通の扱いを」

「普通……フッ」

「何故そこで鼻で笑うの廿楽君!!」

 

明久は色々と普通では無い生徒だ。それなのに『普通の生徒』なんて言ったから思わず笑っちゃったんだよ。

 

「そうか、知らないようなら教えてやる。コイツの肩書は《観察処分者》だ。」

 

ドヤ顔で告げる雄二。

 

『……それって馬鹿の代名詞じゃなかったっけ?』

「ち、違うよ!!ちょっとお茶目な男子高校生につけられる愛称で」

「よくしってるじゃないか。その通り、馬鹿の代名詞だ。」

「肯定するなバカ雄二!!」

 

《観察処分者》

この文月学園で学生生活を送る上で、ちょいと問題がある生徒に与えられる称号で、色々とペナルティが課されたり、ありがたくないオプションが与えられたりする。まあ要するに先ほど誰かが言った通り『馬鹿の代名詞』である。

 

「あのーそれって結局どういう感じなの?」

 

進が聞いてくる。

 

「まあ道前とかは知らないだろうな。教えてやる。要するにまあ、教師の雑用係だな。」

 

その通り。観察処分者は、特例として物に触る事が出来る特殊な召喚獣を召喚する事が出来て、それを使って力仕事などの教師の雑用をやらされるのである。

 

「え、それって凄いじゃん!!明久君凄いね!!私も観察処分者になりたーい!!」

「え」

「え?」

「進……憧れるようなものじゃあないぞ。」

 

雑用係が憧れられるという奇妙な現象が発生しているのだが

 

「いや、観察処分者は良い事はないぞ!?例えばその召喚獣だがな、物に触れる代わりに、召喚獣が受けたダメージも召喚者にフィードバックするんだ!!」

 

予想外の事態に慌てて説明する雄二。俺も一瞬凄い困惑したよ。

 

『てことはおいそれと召喚出来ない奴が一人いるってわけか』

 

その通りである。

 

「えー、痛いの嫌だからやっぱり観察処分者になりたくなーい。」

「進、何でもかんでも興味持つのは色々と危ないぞ……。」

 

たまに進の将来が凄く心配になる……。

 

「まあ気にするな。どうせこいつはいてもいなくても大して影響は無い。」

「ねえそこは僕をフォローする台詞を言うところだよね?」

「まあ馬鹿と鋏は使いようって言うからな。俺が上手く使ってやる。例えば囮とかな」

「ねえそれって結局僕は直接的な戦力じゃあないって事だよね」

 

まあ、正直明久は正面切って戦える能力じゃあないしな。囮とかで使うのはいい使い方だろう。

 

「まあとにかく、このクラスには十分戦力が揃っているって事だ。まずは手始めに、Dクラスを陥落させる!!俺達の実力を見せつけてやるためにな。」

 

ドン、と教卓を叩く雄二。

 

「皆、この境遇は大いに不満だろう!!」

『当然だ!!』

「ならば全員ペンを取れ!!出陣の準備だ!!」

『おおーっ!!』

「俺達に必要なのはちゃぶ台ではない!!Aクラスのシステムデスクだ!」

『うおおおおおおおおおお!!!!』

 

流石に、雄二の演説というかこういうのは士気を上げるには一番だな。

 

「楽しみだねうっちゃん!!」

「まあ、安心しろ。お前の事は守ってやるからさ。」

「あ、でもうっちゃんまずは補充試験だよね」

「……うん。」

「頑張って!!」

「……はい。」

 

チッ。そういえば俺はテスト用紙を白紙で提出する致命的なミスのせいで0点だった……戦争が始まったら急いで点数を補充する『補充試験』を受けなければ。

 

「明久、お前にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう。」

「……下位クラスの宣戦布告の使者って大体酷い目に合うよね。」

「大丈夫だ明久。俺を信じろ。」

「その真剣なまなざし……信じていいんだね雄二。」

「ああ。安心して宣戦布告して来い。」

「うん!!分かった僕行ってくるよ!!」

 

そう言って教室から出ていく明久。

その姿を見ながら俺は

 

「南無」

 

両手を合わせて祈りを送った。

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