『さあ来い!!この負け犬が!』
『て、鉄人!?いやだ!!補習室は嫌なんだぁっ!!』
『黙れ!!捕虜は全員この戦闘が終わるまで補習室で特別講義だ!終戦まで何時間かかるか分からんが、たっぷりと指導してやるからな!』
『た、頼む!!見逃してくれ!!あんな拷問耐えられる気がしない!!』
『拷問?そんなことはしない。これは立派な教育だ。補習が終わるころには趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎、といった理想的な生徒に仕立て上げてやろう。』
『お、鬼だ!!誰か、助けっ――イヤァァ――(バタン!!ガチャリ)』
廊下でそんな感じの騒ぎが聞こえる。しかし俺はそれを気にしている場合では無い。今は補充試験の最中なのである。
教室にいるのは俺と姫路、そして数人の生徒。響くのはカリカリカリ……というペンが走る音と、時折聞こえる外の喧騒だけだ。
雄二の話では、進は今のところ戦闘には参加せず、後方で支援にあたっているとの事。しっかりと試験に集中できるが……。
―――――――――数分後―――――――――
いい加減外が気になり始めた。試験もそろそろ終わっていいかな。十分得点は補充できただろう。
「先生、これ」
「はい。分かりました。少々待っててくださいね。」
先生に答案用紙を渡してしばらく待つ……
ピーンポーンパーンポーン
ん?何だ?
《連絡致します》
む?この声、クラスメイトの……たしか、須川、だったっけ?何かの作戦だろうか。
《船越先生、船越先生》
船越先生、とは数学の教師だ。現在四十五歳独身の女性教師。婚期を逃し過ぎた為か、単位を盾に生徒に交際を申し込むまでになった。むむ……これは、おそらくDクラスが立会人になってもらうために読んだ船越先生を、別の場所に呼び出し時間稼ぎをする作戦と見た。
《吉井明久君が体育館裏で》
明久、南無。俺はお前の屍を越えて突き進むよ。
《坂本雄二君が正門前で》
おや雄二まで。これは船越先生迷うだろうなぁへっへっへ
《虚井廿楽君が屋上でそれぞれ待っています》
ん?
《みんな、生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです。お好きな人をお選びください》
「須川アぁぁぁぁぁぁアアぁぁぁアぁアアアアァァァアアア!!!!!」
俺は先生から得点を補充してもらった直後、大声で叫びながら教室を飛び出した。
――――――――――――
「ァァァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
『な、何だ!?大声が向こうから……虚井!?補充試験は』
「終わった!!須川、須川は何処にいるゥゥゥゥゥゥ!!」
『お、落ち着け虚井!!須川ならさっき補習室に連れていかれた!』
「ヘッざまあないぜ。……何か落ち着いたら頭が……。」
「うっちゃーん!!助けてー!!」
「む?」
ふとその声に顔を上げると、進がDクラスの男子生徒に追いかけられていた。教師もおいかけている。まだ召喚をしていないところを見ると、召喚されるまえにご自慢の脚力で逃げ出したに違いない。
「クソッ逃げ足の速い奴だ!!だがここまでくれば逃げられないだろ!!東山先生、Dクラス門間 開闘、行きます!!サモン!!」
男子生徒が叫ぶと同時に、足元に幾何学的な魔法陣が浮かび上がり、そこからデフォルメされ、自衛隊の服を着たもう一人の男子生徒が出現した。これが、『召喚獣』である。
「逃げたら敵前逃亡、問答無用で補習室送りだぜ!!へっへっへどうするゥ!?二人同時に来てもいいぜ!!たかだかFクラスの生徒二人、俺一人で相手できる!!教科は俺の得意な化学だしな!!さあ来い!!」
「うう、うっちゃん、私の召喚獣あと8点しか点数が無いんだ……。」
「ん、了解。万全じゃないけど任せとけ。」
「アア!?一人で俺の相手するか!!俺はDクラスの門間開闘だぞ!!なめてかかったら」
「サモン」
告げると、俺の目の前に特徴的な召喚獣が現れる。俺と同じ紺色の髪をオールバックにし、斬馬刀を二本持った特攻服の俺。……だせえ。
《Dクラス 門間 開闘 VS Fクラス 虚井 廿楽
化学 108点 VS 388点 》
「え?」
「OK、上出来。」
唖然として動きを止める男子生徒。俺の召喚獣はその召喚獣にゆっくりと近付くと
「お疲れさん」
「え、Aクラスの人に間違って喧嘩吹っかけちゃった?つかAクラスの生徒がいる場所に誘導するなんて、この、卑怯者ぉぉぉぉぉぉお!!」
慌ててサバイバルナイフを持って突撃してくる男子生徒の召喚獣を、頭からかち割った。
「ほげっ……!?」
「戦死者はァ~」
どこからともなく男子生徒の背後に現れた鉄人。男子生徒の首根っこを掴むと
「補習ゥ~!!!」
「こ、この、この門間開闘がー!!!」
さらば、門構え。
「うっちゃんカッコイイよー!!」
「抱き着くな抱き着くな、声が頭に響くし暑いだろ……。」