リリカルなのはVS夜都賀波岐   作:天狗道の射干

133 / 153
決戦前最後の幕間、楽土血染花編は全6話程度を予定しております。
前後編が途中で挟まれたとしても、長くて8話か9話くらいで終わるでしょう。


楽土血染花編第一話 夜を呪う闇

1.

 第九十七管理外世界。全地球焦熱現象から十年が経ち、漸くに嘗ての姿を取り戻しつつあるこの大地。

 嘗ては一地方でしかなかった海鳴市は、管理局との窓口として発展し、今や世界でも有数の大都市へと変わっていた。

 

 そんな街の海沿いに作られた、巨大な空港。大型の旅客機だけではなく、次元航行船さえも収容できる施設に彼女は居た。

 

 星の海を旅する船より下りて来たのは、目も覚める程の美女。階級章が並んだ制服の上からでも、隠し切れない程に色香を滲ませる。

 そんな魔性を孕んだ美貌を僅かに歪めて、美女は一人息を吐く。息を吐くのと同時に感じるのは、如何にも拭えぬ倦怠感。溜息一つに恍惚とした表情を見せる周囲の者らの姿に、疲労を感じながらもウンザリとする女。彼女は名を、月村すずかと言った。

 

 溢れ出す魔性と色香。見目麗しさは衆目を集めるが、集う視線に宿る色はそれ一色。

 突如中空に出現した船に対して、感じる物珍しさはない。管理外世界であるこの地球でも、既に魔法の存在は周知されていた。

 

 それは管理世界の新たな指導者、クロノ・ハラオウンが民衆に対して隠し事を嫌ったが故にだ。

 ミッドチルダを中心とした全管理世界。地球を含めた全管理外世界。その全てに、知り得る全てを伝えたのだ。

 

 その全てが受け入れられた訳でもないし、混乱や動揺は多くあった。特に管理外世界の混乱具合は酷い物だった。

 魔法と言うオカルトが存在していて、世界が間もなく滅びると急に告げられたのだ。それで理解や納得が出来る様なら、それこそ気狂い染みた話であろう。

 

 それでも混乱が少なく済んだ場所はある。その内の一つが、この九十七管理外世界であろう。

 元より全地球焦熱と言う未曾有の災害と、其処に続く宇宙からの邂逅と言う異常は既に体験していたのだ。ならばSFがオカルトになるだけ、然程苦もなく飲み干せたのだ。

 

 当初は脚光を浴びた転送技術も、三月もすれば珍しさは大分薄れる。まだ慣れ切ってはいないのだろうが、それでもより珍しい方に目が向かう。

 今の地球の人々にとって次元航行船と言う技術は、息を吐くのも忘れる程の美女より珍しくはないモノなのだ。その程度に貶める事が出来た。それはある意味成果であろう。

 

 望まぬ形で管理世界の最高指導者と言う椅子を得てしまったクロノ・ハラオウンは、全次元世界の融和を胸に掲げているのだから。

 

 

(今も、皆大変なんだろうな)

 

 

 空港内を歩きながらに、此処には居ない友らを想う。新生管理局の前途は栄光に満ちているが、その道は輝き過ぎていた。

 失楽園の影響は最高評議会だけではなく、ミッドチルダの政府にも確かに傷を残していた。現政府には、次元世界を抑えるだけの力が残っていなかったのだ。

 

 それでも、彼らにはミッドチルダを運営するだけの力は残っていた。だがしかし、圧倒的なカリスマと言うモノが不足していた。

 故に、と言うべきであろうか。民衆は英雄を選んだ。民衆に選ばれた政治家たちが、未だ力を持つ資産家たちが、クロノ・ハラオウンと言う英雄に期待を掛け過ぎた。

 

 誰もが己で道を選んで欲しい。そう願うクロノとしては、不服と言うより他にない事だろう。ましてや男は、長くは生きられぬ身体である。

 それでも選ばれたからには役を果たそう。責任感が強い男はそう判断し、新たな統治機構の仕組み作りに奔走した。管理局再建と並行して、次元政府の設立にも動いているのだ。

 

 そんなクロノを中心に、管理局に残った者らは日々を忙しく過ごしている。

 月村すずかも彼らと同じくこの三ヶ月、様々な場で奮闘した。襟首に並んだ新たな階級章は、そんな努力の証であると言えるだろう。

 

 その甲斐もあって、次元世界は漸くに落ち着きを見せ始めている。だがそれでも、まだ安定していない面は多くある。

 身内人事込みとは言え、魔法医療のトップを兼任している。そんな月村すずかが管理局を外れられる程に、余裕がある状況ではなかった。

 

 それでも、そんなすずかが地球に居る事。其処には大きく分けて、二つの理由が絡み合っていた。

 その理由の一つが彼女が手にした一枚の手紙ならば、もう一つはあの襲撃の日より彼女が抱えている悩みである。

 

 

(けど、私が居ても、大して役には立てないから)

 

 

 それは無力感。あの失楽園の日に、最も役に立てなかったと言う実感。足手纏いになってしまったと言う感情だ。

 日に日に増している。日増しに積み重なる感情は、今では大きな悩みとなっていた。その懊悩に、すずかは美貌を歪ませる。

 

 誰もが必死に駆け抜けた失楽園の日に、しかしすずかは内面世界の内側で見ているだけしか出来なかった。

 同じ時に踏み出した友人たち。なのはとアリサは壁を乗り越えたと言うのに、すずかだけは戦場に立つ事さえも出来はしなかったのだ。

 

 あの日に無力を噛み締めて、その後に役に立てたかと言えばそれも別。戦場後に必要なのは、武力じゃない。

 

 傷付いた人々を癒す事は出来ただろう。だが組織の改革や部署の管理に役立てたかと言えばそうではない。

 元より、人を使う事に慣れていた訳ではない。その上、無力感と懊悩などを抱えていれば、其れこそ活躍出来ない事は道理であろう。

 

 背負わされた役割に、辣腕を振るうクロノとは違う。最強戦力として睨みを効かせられるアリサとは違う。

 カリムにヴェロッサは内外問わずに動き回り、シャッハやヴァイス達もまた己の役割をしかりと果たしている。そんな中ですずかだけが、与えられた役を重荷と感じていた。

 

 戦力としては今一つ。治療魔法師としても中途半端。管理者としては役立たず。ならば果たして、己にいったい何が出来るのか。

 自分の血筋さえも、未だ許容出来ていない。そんな底の浅い女は今も懊悩していて、そんな彼女に周囲もまた気を使った訳である。

 

 すずかは手にした手紙を見詰める。もう一つの理由であるそれは、実家からの緊急呼び出し。姉からの手紙であった。

 それを見て行くか行かぬか迷った女に、懊悩を見抜いていた皆が休暇も兼ねて行って来いと背を押した。それが今も忙しい管理局から抜けて、女が一人地球に来ている理由であった。

 

 

「……それにしても、緊急の用事って、何なんだろう」

 

 

 空港内を歩きながらに、無駄に空回りしてしまう思考を切り替える。そうして思うのは、送られた手紙の内容だ。

 内容が伏せられている手紙には、唯一言、急を要する事が起きたが故に来て欲しい。それだけの言葉が記されていた。

 

 最初は先月生まれたばかりの姪に付いての事だろうかと思ったものの、それならば内容を伏せる必要がないと考え直す。

 ならばさて、一体何が起きているのだろうか。冷静になって考えれば、何処か不穏さも感じる短文に来て良かったのかも知れないとすずかは思い直していた。

 

 今の自分に何が出来るのか、まるで分からないし自信もない。それでも、少しは出来る事もあるだろう。

 地球に残った者達よりは戦力として役に立てる。そんな自信は、ある種醜い思考なのかも知れない。そう思いながらに、すずかは空港を一歩出た。

 

 瞬間――

 

 

「わ」

 

 

 その鼻孔を、強い春の香りが通り抜ける。風と共に舞い散るのは、色取り取りの花の欠片たち。

 目に映る情景は、深緑に満ちた大地の色。星に満ちる清浄なる大気はまるで、高原に居るかの如く錯覚させた。

 

 全地球焦熱によって、自然環境は完全に崩壊した。人を除いた全ての命は、あの日確かに死滅した。

 管理局にも改善は出来ずに、死の星と化していた地球。管理局の技術を以ってしても、環境改善は遅々として進まない。

 そんな世界で命を繋いで来れたのは、食料を始めとした物資の輸入があったから。管理局の支援だけで、この十年を繋いでいたのだ。

 

 それが急に回復したのは、凡そ一月程前の事。突如地球全土で、草木や植物が芽吹いたのだ。

 荒れ果てた大地は癒えていき、草木や動植物が地に満ちていく。乾いていた空気は浄化され、世界は息吹を取り戻した。

 

 その日何が起きたのか、管理局でもまだ分かってはいない。それでもそれが、悪い事じゃないとは分かっていた。

 何せ、この景色は美しいのだ。緑溢れる大地の色が、澄んだ空気の美味なる味が、決して悪しきモノである筈がないのだから。

 

 

「本当に、綺麗。風も、都会とは思えないくらい」

 

 

 この清々しさの中では、抱えていた鬱屈さえも軽いモノに思えて来る。すずかは目を細めると、風に靡く髪を抑えて息を深く吸い込んだ。

 そして清涼な風に吹かれながら一歩を踏み出し、僅かな眩暈に蹈鞴を踏む。如何にか姿勢を正すと、そのまま彼女は歩き出す。向かうべきは、在りし日の帰るべき場所。

 

 懐かしさと目新しさ。等分に感じる街並みを見詰めながらに、制服姿の女は街を歩き進む。

 道順も並ぶ建物も既に違っているが、此処は昔に歩いた道。友と歩いた通学路を思い出しながら、月村すずかは辿り着く。

 

 山の手に構えた大きな屋敷。広大な庭と車が通れる程の道。大きな門が遮るは、海鳴で一番の大邸宅。

 月村邸。月村すずかが生まれ育った屋敷の跡地に、再建されたこの邸宅。彼女が帰るべき場所が、此処には在った。

 

 

 

 

 

2.

 実家の前に辿り着いたすずかは、ふと門の傍らに止まった黒塗りの車に目を向ける。

 停車する高級車の直ぐ傍に、並び立つのは同じ顔。そんな同じ顔の並びに一つだけ、似ても似つかぬ異物が居た。

 

 

「……安二郎、叔父さん」

 

「あ? ……なんや、嬢ちゃん。今来たんかいな」

 

 

 エーディリヒ型の戦闘人形。量産された戦闘部隊を侍らせ立つのは、ビール腹を抱えた初老の男性。

 厳つい顔にオールバックの男は、夜の一族が末席に名を連ねる男。当主である月村政二の弟である、月村安二郎その人だ。

 

 夜の一族とは思えぬ程に、美しさが感じられない冴えない容貌。その贅肉で膨れ上がった肥満の男を、すずかは訝しげに見詰める。

 この人物は裏切り者だ。すずかが物心付くより前に、氷村遊と結託して当主の座を狙った人物。そして失脚し、投獄されていた筈の男であるのだ。

 

 

「ふん。なんや言いたそうやけど、そらわても同じや。人が刑務所でおとなしゅうしとったら、急に呼び出されてこれや。ほんと堪らんわ」

 

 

 眉を顰めて、唾を吐く。そんな男は心底から、ウンザリとした顔で現状を語る。

 破産し、投獄された。傍から見れば自業自得の結果だが、本人としては不服にも程があった境遇。それさえも未だマシだったと、そう思えたのは解放されてからの扱い故にだ。

 

 彼の頭にしかなかった情報。彼に付き従った研究者たちの研究資料の隠し場所。そう言った物を必要とされて、月村安二郎は解放された。

 他ならぬ怨敵である月村忍。その判断で解放された男は反逆の意志を胸に抱きながらも、それでいて今は動けないと分かっていた。怨敵とも手を結ばねば、己が死ぬだけとは分かっていたのだ。

 

 

「せやけど、流石のわても分かっとる。今が異常事態やって事はな」

 

「……異常、事態?」

 

「なんや、聞いとらんのかいな。……ま、嬢ちゃんの立場やと、仕方ないんかもしれんがなぁ」

 

 

 全世界を包んだ炎で死に掛けて、それでも牢獄に居たからこそ助かった。そんな過去を経験した男は、しかし真面になってはいない。

 今も隙あらば当主の座を狙い、忍の殺害を企てている。そんな小物でしかない男が必要になる程に、現状は切羽詰まっていると言って良い。

 

 解放されてから現状を知った安二郎は、故に協力をせざるを得なかった。何しろ“敵”は、夜の一族をこそ狙っているのだから。

 

 

「中に入れば直ぐに分かるやろうから、今言う事でもないやろ。ほな、さっさと行けや。わてはお前らを、許した訳やないんやで」

 

 

 犯人の正体は未だ不明。分かっているのは、既に犠牲者が複数出ていると言う事実のみ。

 検閲される手紙に詳細は載せられない。それ程に忍が疑心暗鬼になっているのは、産後の肥立ちも明けてはいないからだろうか。

 

 確かな事は唯一つ。此処で手を取り合わなければ、恐らく夜の一族は滅び去ると言う事だけだ。

 

 

「夜の一族連続襲撃事件。んなもんなければ、誰がお前らなんかと組むもんか」

 

 

 吐き捨てる様に口にすると、葉巻を咥えて男は車を指で指す。運転席に座る人形が操作を行うと、後部座席の扉が開いた。

 これに乗ってさっさと行けと言う事だろう。安二郎の意図を読み解いたすずかは一つ頷くと、促されるままに車の中へと乗り込んだ。

 

 そうして、門が音を立てて開いていく。高級車の座席に揺られて、月村すずかは十年振りとなる帰宅を果たすのだった。

 

 

 

 

 

「来たか」

 

 

 屋敷に着いて、先ず彼女を迎えたのは茶髪の成人男性。数年程前に姉の結婚した、高町恭也が其処に居た。

 剣の柄に手を当てて、警戒姿勢を崩さない恭也。すずかの姿に僅か息を吐くと、鞘を強く握ったままに彼女を先導する。

 

 物々しい空気。穏やかではない態度。元より無口な男であるが、今回はそれに輪を掛けての鉄面皮。

 まるで此処が既に戦場であるかの如くに、張り詰めているその姿。安二郎より聞いた連続襲撃事件と言う言葉もあって、すずかの胸中には言いしれない不安が渦巻いていた。

 

 

「恭也さん」

 

「……悪いが、談笑をしている余裕はない。我が身の未熟を、知る故にな」

 

 

 何があるか分からない。何があっても動かなくてはならない。警戒し切ったその姿は、宛ら追い詰められた小動物。

 だがそれも無理はない。この場に居る誰もが知らぬ事実であるが、彼と彼らの“敵”との間にある断絶は肉食獣と獲物と言う差では済まない程にあるのだから。

 

 嘗ての人形兵団が語りに例えるならば、蟻と巨象だ。夜の一族とその敵の間には、それ以上の差が歴然として存在している。

 その事実に無意識ながらも気付いている、と言う訳ではあるまい。高町恭也にその様な超常的な直感などはなく、されど彼は身の丈と言う物を知っている。

 

 苦い想いを伴う敗北の記憶。魔導師に、吸血鬼に、嘗て敗れた記憶が証明しているのだ。己は決して、強くはないと。

 されど敗北は許されない。今度だけは絶対に、敗走し失う訳にはいかぬのだ。故にこそ、追い詰められた獣の如く彼は警戒を続けているのである。

 

 精神を張り詰めて、一切の余裕を斬り捨てて、無言のままに先導を続ける高町恭也。そんな彼の背中を追い掛けて、すずかは月村邸を地下へ地下へと進んでいく。

 山の手に建てられた屋敷の地下は、まるで巨大なシェルターの如く。何処までも執拗に、何処までも偏執的に、防備に防備を重ね続けた様な場所だった。

 

 恐らく、作った時は唯の悪乗りと悪趣味の産物だったのだろう。その時には、まさか必要になるとは思っても居なかったに違いない。

 それ程に山の奥深く。地下へと進み続ける階段の先、無数の鉄扉と防衛装置に守られた部屋。奥の奥の奥底に、窶れた女が横たわっていた。

 

 

「良く、来てくれたわね。すずか」

 

「お姉ちゃん」

 

 

 こけた頬に落ち窪んだ瞳。顔に色濃く浮かんだ疲労は、産後の辛さだけが理由ではあるまい。

 床の間に敷かれた布団の上、赤子を抱いた月村忍はそれでもすずかに微笑み歓迎した。心の底から、良く来てくれたと笑っていたのだ。

 

 

「一体、何があったの?」

 

 

 一見して、物理的な被害は見えない。ならばこの疲労は、精神的な物が大きいのだろう。

 そうと判断した月村すずかは、姉に向かって問い掛ける。手紙に書けない程の異常事態など、一体何が起きているのかと。

 

 そんな妹の問い掛けに、忍は一つ頷くと傍らに侍るノエルに赤子を預けて向き合う。

 逡巡は一瞬。何を言おうか戸惑ったのはほんの一刻にも満たぬ時で、ゆっくりと吐いた呼気と共に、その言葉を口にした。

 

 

「……エッシェンシュタインが、滅んだわ」

 

 

 エッシェンシュタイン家。それは西欧でも有数の、夜の一族に連なる家系。

 一族の血筋が生まれたとされる地が欧州なれば、彼の家こそが総本山とも呼べる場所。

 

 全地球焦熱。全てを燃やし尽くした災害の後も、辛うじて残っていた家系。

 人よりも死ににくいが故に、人よりも多くの一族が生き残っていた。エッシェンシュタインは、あの災害以後も明確な力を有していた家系であったのだ。

 

 それが滅んだ。その発言に、月村すずかは瞠目する。一体何があったのかと。それを問う前に続いた姉の次なる言葉に、彼女は驚愕を超えて絶句した。

 

 

「父さんと母さんも、ね。使っていた車が、谷底で見つかったそうよ。……本人は行方不明だけど、状況を考えれば絶望的ね」

 

「――っ!?」

 

 

 月村家当主。月村政二。その妻、月村飛鳥。女にとっての両親も、既に生存が絶望的だと言う言葉。

 何故だ。どうしてだ。思わず叫び出しそうになったすずかを視線で制して、月村忍は続けて語る。両親の死ですらも、続く惨劇の一部でしかないのだと。

 

 

「綺堂も、氷村も、屋敷は全焼。特に氷村に連なる家系は、酷い物だったそうよ」

 

 

 訃報は次々と流れ込んだ。不幸は次々と姿を現した。明確に、確実に、夜の一族を狙っている何者かが存在している。

 主要な家系は、既に全てが滅んでいた。僅かにでも血が流れている者らは、もう連絡さえも真面に付かない。生き延びたのは、ほんの僅かな一握り。

 

 誰が犯人かは分からない。如何なる手段で、一族を探り出せたのか分からない。分かるのは唯々、誰かが執拗なまでに夜の一族を磨り潰し続けている事だけだ。

 

 

「……さくらさんと夫の真一郎さんは、如何にか無事と言う連絡があったわ。今晩にも、こっちに来ると言ってるけど――」

 

 

 産後の肥立ちも止まない事もあって、心身共に衰弱していた月村忍。両親の死を耳にして、彼女は即座に生き残りを集める事にした。

 それでも、やはり遅きに失したのであろう。真面に連絡が取れたのは、外遊していた綺堂さくらと投獄されていた安二郎の二人だけだったのだ。

 

 

「ハッキリ言うわ。夜の一族は、もう五人しか残っていない。世界中、全て含めて、ね」

 

 

 血が薄い家系ですら滅ぼされている。まるで害虫を駆除する様に徹底的に、巣穴まで根こそぎ潰す様に偏執的に。

 もしかしたら、忍が知らない程に血の薄い家系は残っているかも知れないが、それも楽観が過ぎる考えだろう。彼女はもう、彼らの生存を諦めていた。

 

 ノエルに預けた赤子の髪を撫でる。窶れた女が願うのは、唯々我が子の安全一つ。

 月村忍。その娘、月村雫。月村安二郎と綺堂さくら。そして、月村すずか。この五人だけが、最後に残った血族だった。

 

 

「どう、して」

 

 

 震える声で口にする。呟く言葉に籠った想いは、一体如何なる種類の感情か。

 信じ難いと、信じたくはないと、だが嘘偽りで此処までする程に姉はろくでなしではない。ならばこれは真実だろう。

 

 視線で彼女達を見詰める。床に臥せた月村忍と、傍らに立つノエルとファリン。そして直ぐ傍へと、刀を手にして控える恭也。

 どうして、これ程追い詰められる迄、伝えてはくれなかったのか。問い掛ける視線に対し、ノエルは静かな口調で答えを返した。

 

 

「……最初の襲撃があったのは、一月程前だそうです」

 

 

 伝えなかったのではない。伝える事が出来なかったのだ。それは単純に、時間の不足が故に。

 この事件はまだ発生して一月にも満たない。それ程に短い時間で、余りに多くの血族がその身を散らしていたのである。

 

 

「西欧の方で、幾つかの一族が姿を消したと。原因究明に動いたエッシェンシュタイン家も、数週間程で連絡を絶ちました」

 

 

 最初に異常が起きたのは欧州にて、血が薄い者らが次から次へと連絡を絶ち始めた。

 懸念を抱いたエッシェンシュタインが調査の為に動き出し、されど彼らを挑発する様に事件は凄惨さを増していった。

 

 連絡を絶った者が、暫くすると変死体で発見される。虫食いだらけの死体となって、血肉の断片だけが晒し首の如くに並べられたのだ。

 数日とすれば理解する。一週間もあれば、相手の目論見を理解する。故にエッシェンシュタイン家は、他の血族らに警告を発した後に本腰を入れて解決に動いたのだ。

 

 

「“敵”は、夜の一族だけを狙っている。暗闇の底から底へと渡り歩く様に、影も形も掴めず。証人として残されていたのは、彼らの伴侶として生きた人々でした」

 

 

 しかし、敵は何枚も上手であった。追い駆けても追い掛けても、影すら踏めずに犠牲は増える。

 純粋な人間である伴侶は傷付けずに、されど僅かでも血族の血が流れているならば一切の容赦も呵責もなく潰された。

 

 

「“敵”は、夜の一族ならば誰であろうと逃さない。小さな子や老いた者さえ、残虐な手段で殺し尽す。生き延びた一族の伴侶たちが、そう教えてくれたわ」

 

 

 妻子を奪われ、夫を殺され、泣き叫ぶ彼らが口をそろえて呼んだ名前。

 暗いローブの下から覗くは、双頭の蛇が浮かんだ蒼い瞳。何処までも暗い憎悪に濡れた、その存在を示す言葉は唯の一つ。

 

 

「闇」

 

 

 夜の一族を憎む闇。闇夜に生きる彼らに対し牙を剥いたのは、誰もが原初の闇の化身であると感じ取る。そんな人型をした怪異であった。

 

 

「正体不明のその怪人を、彼らは口を揃えてそう呼んだの」

 

「闇は全てを奪っていく。夜の一族に連なる血が流れていると言う、それだけの理由で」

 

 

 事件の発見から、エッシェンシュタインが滅びるまでの時間が二週間。そしてそれから、闇はゆっくりと移動を始めた。

 欧州から歩を進めて、南アフリカへと。オーストラリアを経由して、南北アメリカを縦断し、アラスカ経由でロシアへと。中国インドインドネシアと、外から塗り潰す様に日本に来た。

 

 歩く道筋に血族の残骸を残しながら、忍達すら知らなかった者らの首を晒しながら、そうして闇は此処に来たのだ。

 僅か四週間。一月と言う時間で地球全土を塗り潰し、残る血族を五人にまで減らし切った。そんな闇が、彼女達を狙っているのである。それはどれ程の心労となる事だろうか。

 

 

「忍をやらせるものか。雫を奪わせるものか。決して、奪わせるものか」

 

 

 一つ一つと落ちる度、一人一人と死体が見つかる度、彼らは追い詰められていった。

 日本に住む他の者らが心配だと、確認に行った父母の訃報が届いた時に夫婦は共に腹を括った。

 

 妻は言う。娘だけでも助けたい。夫は語る。お前達を失って堪るか。その為になら、彼らは手段を選べない。

 安二郎を解放し、協力を取り付けたのもそれが故。間に合うかどうか分からなかったすずかに対し、助けを求めたのもそれが故なのだ。

 

 

「……すずかが来てくれて、本当に助かったわ」

 

 

 月村忍は窶れた顔で、心の底から笑みを浮かべる。追い詰められた彼女だが、それでも確かな安堵があった。

 この今、夜の一族に連なる者の中で、最も強い者こそ月村すずかだ。安二郎の機械乙女軍団よりも、従者や伴侶達よりも、誰より力強い助けこそがすずかであった。

 

 

「姉として、妹に頼るのは失格なのかもしれないけど――お願い。この子を守る為に、力を貸して」

 

 

 思う所はある。この危地に、或いは逃れられたかも知れない彼女を巻き込む事に何も思わぬ筈がない。

 それでも女は母として、生まれたこの子を守りたいのだ。そうと思えばこそ、月村忍は頭を下げる。闇に立ち向かってくれと、彼女は心の底から願うのだ。

 

 

「私に、何かが出来るなら」

 

 

 不安はある。言い知れない程に、不安は胸に宿っている。無力感は未だにあって、不安と交じりあって膨れ上がる。

 それでも、姉の真摯な願いに応えたいと素直に想う。母としての表情を見せる女を、月村すずかは天地が揺らごうと見捨てられはしないのだ。

 

 故にこそ、協力を約束する。そんなすずかの瞳を見詰めて、忍は安堵の言葉を漏らした。

 良かったと、微笑む姉の姿に思う。良かったと、緊張を和らげる義兄の姿に思う。彼らの力になってみせると、月村すずかは確かに誓った。

 

 

 

 

 そして、闇が来る。夜を呪う闇が、其処に来た。

 

 

 

 

 

3.

 静けさと共に、夜の帳が落ちる前。明けない夜より尚深い、原初の闇が動き出す。

 ざわざわと、ざわざわと、静かであるのに騒がしい。騒めきたつのは音ではなくて、闇を見詰めた人の心だ。

 

 それは其処にあるだけで、全てを不安に陥れる。あらゆる命を不定の狂気で壊してしまう。

 見れば、死ぬ。見たら、心が壊れる。身に纏った気配に気付いた瞬間に、胎内に揺蕩う赤子ですら発狂して自害する異形の闇。

 

 女は、己の闇を知っている。この原初の闇を、始原の存在を、どれ程に人界を狂わせてしまうか自覚がある。

 故に限界にまで抑えている。移動と共に伴う闇の圧力を最小限に、そうとも女が殺したいのは夜の一族だけなのだから。

 

 

「もう逃ゲられマせんヨ。害虫共」

 

 

 ならば逆説、夜の一族に容赦はない。苦しめ、苦しめ、苦しみ抜けと、女は怨嗟と共に意志を収束する。

 夕焼けに染まった空を暗く塗り替えながら、無限蛇の盟主は進んでいる。誰も伴う事はなく、たった一人で進んでいた。

 

 その歩みが向かう先、海鳴の地にあるは月村邸。最後に残した、血族たちが集う場所。女の獲物が集まる場所。

 もう十分に苦しんだであろう。だから死ね。もう十分に後悔しただろう。だから死ね。さあ全て滅び去れ。今宵、夜の一族はその歴史を終えるのだ。

 

 

「私は醜くナっテしまったヨ。他でもナイ、お前タチ夜の一族ノ所為デ」

 

 

 一歩歩く度に闇で空を塗り替えて、世界を闇に染めていく。その移動に合わせる形で、世界の夜が移動する。

 別に惑星の自転が狂った訳ではない。地軸が乱れていたり、時間が狂っていたり、世界がおかしくなったわけではない。

 

 唯単に、今の彼女は闇なのだ。夜は勿論、日中にも存在する影も含めて、あらゆる闇の集合体が菟弓華と言う女なのである。

 人型をした闇の化身。闇に属するあらゆる要素が、彼女にとっては手足と同じく。人の器は臓器の一つでしかなく、その闇こそが肉体となる大巨人だ。

 

 闇を引き連れ、移動する。その移動に伴って、世界から夜が失われる。夜がなくなれば、後に残るは昼ではない。

 陰陽が崩れた後には、何も残らないのだ。彼女が力を行使しながら移動するだけで、神の身体が形成を保てずに崩れていくのだ。

 

 その気になれば、女は移動するだけでこの世界を滅ぼせる。菟弓華とはそういう域の怪物で、そんな女が只管に私怨に拘っているのが現状なのだ。

 

 

「オマエタチがそう望んダのだろう? 家畜ト呼び、下等と見下シ。私を此処マデ追い詰めタ。ダカラ、お前達ハ、滅ぶべくシて、滅ブのヨ」

 

 

 無論、世界全てを滅ぼしたい訳ではない。彼女が抱いた私怨は只管に、夜の一族にだけ向けられている。

 直接の復讐相手を失ったからこそ、その一族郎党を全て滅ぼす。思考が歪んだこの女は少なくとも、血族が滅びるまでは他に対して手を出さない。

 

 だから、世界は滅びない。そんな小さな理由が無ければ、滅び去る程に天秤は傾いてしまっている。

 そんな闇が迫っている。月村邸へとゆっくりと近付くこの影を、先ず最初に認識したのは安二郎であった。

 

 

「あれが、闇か!? わてらをぼてくりまわし、好き勝手やってくれたやないかぁッ!!」

 

 

 夜が動くと言う異常を前に、月村安二郎は内心で震えながらに啖呵を切る。

 彼に与えられた役割は、第一の警戒網としてある事。敵の接近を知らせる事こそ、解放に繋がる最低条件。

 

 異常気象を視認した瞬間に、警報装置を鳴らして知らせる。そうして役を果たした後に、彼は常の如くに図に乗った。

 

 

「ええで、わてが倒してやる。んでもって、月村当主――否、夜の王はこのわてになるんやッ!!」

 

 

 誇り高い小物。プライドが高い愚者。それが月村安二郎である。彼はその身の丈に合わぬ程に、プライドが高過ぎるのだ。

 そんな彼にとって、闇は決して許せぬ存在だ。夜の一族である事を誇りの理由としている男にとって、彼女は怨敵よりも先に倒さねばならない存在であるのだ。

 

 そうとも、夜の一族こそが世界の頂点。それ以外など、その足下で震えているべき存在だ。

 故にこそ、それに反旗を翻す者など居てはならない。我らが恐怖を抱いて逃げ惑う闇などは、否定し隷属させねば許せぬのだ。

 

 

「さぁ、やれ! 人形共ッ!」

 

 

 醜く肥え太った男の言葉に、従う人形の軍勢が武器を取る。無数の銃火器が火を噴いて、闇に向かって降り注ぐ。

 無数の鉄火を前に、月村安二郎は勝利を確信する。そうとも虎の子の人形達は強力だ。一国の軍隊を相手にしても、必ず勝ると確信していた。

 

 

「で? だから、ドウしたネ?」

 

 

 されど、この女は原初の闇。この星の影と夜を全て合わせて、それでも尚足りない巨人である。

 一国の軍隊を相手に出来る程度では不足が過ぎる。少なくとも、世界中を一人で制圧出来る事くらいは最低の条件だ。

 

 鉄火の雨を握り潰し、女は蒼い瞳で見詰める。双蛇の瞳に睨まれて、それを見ていた男はしかし恐怖に震える事もない。

 震え戦く事すらもない。それは絶対の自信があるからではなく、怯え竦まぬ程の勇気がある訳でもなく、ましてや現状を理解していない訳ですらなく――

 

 

「…………」

 

 

 もう、壊れていた。

 

 

「本当に、浅イ男でスね」

 

 

 見れば発狂する。見たら死に至る。それが今の、弓華と言う女。無限蛇が盟主の力。

 一般人には被害が及ばぬ様に加減はしても、夜の一族に対してはそうではない。故に肉眼で見詰めた時点で、安二郎の魂は砕かれていたのである。

 

 それでも、弓華は軽蔑を隠さない。それは怨敵に向ける憎悪が故ではなく、人としてこの男が余りに脆弱過ぎたからだ。

 

 

「これナラ、エッシェンシュタインの赤子の方ガ、まだ少し持ちマシタよ。せめて苦しんデ死んで欲しカッタのニ、見たダケで終わりナンて――本当に、浅イ男」

 

 

 夜の一族は赤子であっても、常人よりは精神力が強いのだ。故にこそ、見た瞬間に即死されたのはこれが初めて。

 その精神が余りに脆弱で、その魂が余りに弱過ぎて、故に弓華は失望する。もっと苦しめたかったと思いながら、しかしすぐさま思考を切り替えた。

 

 

「まア、良いネ。本命は、オ前じゃないヨ」

 

 

 生きていようが死んでいようがどうでも良い。そう吐き捨てると、弓華はその手を大きく振るう。

 その動きに連動して、安二郎の影が蠢く魔獣に変わった。巨大な顎門を開いた魔は、その牙を影の主へと突き立てる。

 

 びしゃりと血潮が飛び散って、首から上が消え去った。そしてそのまま、魔獣の首は周囲に向かって猛威を振るう。

 首なし死体が大地に崩れ落ちるよりも前に、周囲に列を為していた戦乙女が砕け散る。後には何も、何一つとして残らなかった。

 

 

「月村すずか」

 

 

 睨み付ける。憎悪と共にその名を呟く。彼女の目的は、夜の一族で最強たるその女。

 スカリエッティより存在を聞いていた。氷村遊亡き後、最も夜の王に近い者であるとは知っていた。

 

 その象徴を此処に潰す。その為に、彼らを後回しにして来たのだ。その為だけに、ギリギリまで追い詰めたのだ。

 だからこそ、今になって動き出した。世界全ての闇を介して多くを知れる瞳で、認識したからこそ襲撃した。彼女の到来をこそ、女は待ち侘び続けていたのである。

 

 

「オ前を呼ぶ為ニ、此処ヲ残したヨ。ダカら、出て来ルネ。さもないと、全て押し潰しマスよ?」

 

 

 口にして、しかし女に待つ気などはない。待つのはもう飽いたのだ。故に最早待ちはしない。

 一刻も速く出て来なければ、その居城ごとに滅びるだけだ。その身に闇を纏った女は、神の力を引き出し振るった。

 

 

「Initium sapientiae cognitio sui ipsius」

 

 

 時が加速する。時間の流れが、高速で進みだす。訪れるのは、悠久の夜だ。

 神との同調によって、彼が過ごした時を全てに強要する。その時が持つ密度は、千や二千では遥かに足りない。

 

 天魔・夜刀が流れ出してからの時間の全てだ。数億年と言う歳月を、瞬きの間に経験させる。

 超高速で加速する速度に、世界そのものが付いていけない。万物は風化し、錆に覆われ自壊する。魂ですら、朽ち果てて滅び去るであろう時の地獄だ。

 

 

「Nihil difficile amanti」

 

 

 極めて限定した範囲に、一瞬だけ展開された時の加速。その僅か一秒にも満たぬ時で、月村邸が倒壊した。

 鉄は錆、土は腐り、風化して崩れ落ちていく。まるでビデオテープの早送り。何百倍も、何千倍も、何万倍も、何億倍も、加速された時に抗えるモノなどありはしない。

 

 だがしかし、彼女は不死不滅の吸血鬼。ならばこそ――

 

 

創造(ブリアー)――死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルト)ッ!!」

 

 

 時の経過であっても、直撃でないなら耐え切れる。耐え切ってみせて、此処に姿を現した。

 赤い月が浮かんだ空の下、一人立ち上がる吸血鬼。彼女を前に、原初の闇と化した女は暗く嗤う。

 

 元より殺す心算はない攻撃だ。全力で討てば、人間も巻き込んでしまうから避けていた。故にこうなって当然。寧ろ此処で死んでしまえば、興冷めが過ぎると言う物。

 氷村遊を殺せぬと知ってから、彼女を殺す為だけに生きて来たのだ。夜の一族を滅ぼす為だけに耐えて来たのだ。その怨敵に感じる憎悪の情は、最早愛と錯覚する程に濃密なのだ。

 

 

「終わらせようカ。吸血鬼」

 

 

 愛でる様に憎みながら、慈しむ様に呪いながら、優しい怨嗟の声で囁く様に語り掛ける。

 何処までも歪な女は望みの達成を前にして、満面の笑みを浮かべている。心の底から笑う笑みには、陰り以外が存在しない。何故なら彼女はもう、心の底から狂っているから。

 

 

「貴女はッ!?」

 

 

 超加速の影響を僅かに受けて、飛び出したすずかはふらつきながらも闇を睨み付ける。

 父母の仇。血族の敵。怒りと恨みの籠った誰何に、対する女は笑みを深める。そう。それで良いのだと。

 

 

「無限蛇が盟主、菟弓華。……お前達を滅ボス、女だヨ」

 

 

 闇が深まる。原初の闇が牙を剥く。夜も影も、所詮は闇の断片でしかない。明けない夜では届かない。

 死森の夜をより深い闇で一方的に塗り潰しながら、弓華は己の名を此処に示す。その瞳はやはり、憎悪と愉悦に満ちていた。

 

 

 

 

 




○今回書いてて思った事。
作者「や、やすじろぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

強敵の強敵さを伝える為の犠牲になった故・月村安二郎氏。
そんな小物でしかない彼は悲惨な扱いでしたが、味があって結構好きなキャラだったりします。





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。