リリカルなのはVS夜都賀波岐   作:天狗道の射干

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今回は少し糖度高めの話。リインとの戦いはまだです。


副題 ユーノの今。それぞれの事情。
   アリサとすずかの力。新たに進む為に何が必要か。
   忘れられない刹那を作ろう。



闇の残夢編第二話 変わる日常

1.

 それは海鳴の闇の底で蠢いている。

 醜悪な肉塊に包まれて、夢見る女は唯一人、愛い、愛いと呟き続けている。

 

 

「……ああ」

 

 

 女がそう零した瞬間に、肉塊の一つが悲鳴を上げるかのように収縮して潰れた。

 

 元よりその肉塊を支える力が女には残っていない。その肉塊は内に閉じ込められた人の命を削って成り立っている。

 故に、必然として時間が経過すれば肉塊は崩れ落ちる。中身が尽きればそれは潰れる。

 

 

「良かった。貴女は救われたのですね」

 

 

 それを福音と受け取り女は笑みを浮かべる。

 幸福な夢の中で命を終えた人間を、素晴らしいと夜天は見送った。

 

 

「ああ、けれど減ってしまった。主が逝ってしまった。……もっと、もっと、次の主を救わなくては」

 

 

 銀髪の女は壊れている。どうしようもなく終わっている。

 あれから一月が経ったのに、彼女を囲む肉塊は変じていない。増えてもいない。壊れる矢先に女が継ぎ足し増やすから、増える度に嘗ての肉塊が潰れるから。

 

 定数を保ったまま、海鳴の底で女は狂い続ける。

 断片である己を支える事すら出来ぬ女が肉塊と共に消え失せるのは、そう遠い未来の話ではない。

 

 

 

 

 

2.

 管理局地上本部。そこに置いて“本局”と称される部署からの帰り、ユーノは深い溜息を吐いた。

 

 食堂の椅子に腰掛けて、最近は毎日利用している栄養ドリンクの蓋を開けると一気に飲み干す。

 目の下に出来た隈は消えない。体に残った疲労は消えない。それでも、僅かな達成感がその身に宿っていた。

 

 

「漸く、これでスタートラインだ」

 

 

 先程、本局勤めの事務官より渡された書状を見る。

 それは簡易ではあったが、最高評議会の証印が押された辞令。ユーノ・スクライアを無限書庫の室長へと正式に任命する書類であった。

 

 

「まだ、僕一人しかいない部署だけど。……これで漸く、動き出せる」

 

 

 この一月、無限書庫に入り浸っていた。休まずに書庫内の確認。資料の整頓。仕様の効率化などを行ってきた。

 これまでの無限書庫は何処に何が、どれだけあるかすら分かってはいなかった。それをユーノは、一月で全てに目を通したのだ。

 

 日本の国会図書館ですら蔵書数は4000万を超える。一国の書籍数だけでもそれ程なのに、複数の次元世界を管理する管理局の蔵書数がどれ程になるか。気が遠くなるような反復作業を、ユーノは確かに終わらせた。

 

 関連する世界事に並び変え、使用頻度の高くなるであろう情報は電子データ化して使いやすくし、重要度の高い書類は専用の区画を作って其処に配した。

 魔法は世界を殺してしまう。故に極力使わなくても大丈夫なように、それでいて素早く必要な情報を抜き出せるように、無限書庫を根本から作り変えた。

 

 一月だ。唯の民間人から、伝手を使って局員となり、無限書庫を立て直す。

 一月でそれだけの事を成し遂げ、ユーノは正式に管理局から無限書庫の司書長となる事を任命されたのだ。

 

 連日連夜続く徹夜や軽作業による疲労。

 これを超える疲れは、嘗て高町家に居た頃に体験しているが、その時は治癒魔法の助けを借りていた。

 

 世界の真実を知った今、そんな事に魔法は使えない。使用するのは本当に必要な時、最小限で済ませるべきだ。

 だからこうして、安売りの栄養ドリンク漬けになると言う、中年のサラリーマンのような草臥れた姿を晒している。

 

 

「……次は、運用部、か」

 

 

 こうして一部署を運営する権限を得た。後は名に実が届くように、人手を持って来れば良い。

 無限書庫と言う、今は全く知名度のない場所。窓際と言って良い場所に来てくれる局員が居るかは分からない。

 

 仮に来てくれる者が居ても、前線に配属される事から逃げて来るような者ではいけない。魔法至上に傾倒し過ぎる者でもいけない。

 いざという時に、万が一の時に、この無限書庫を基点として流れを変えるのだ。それだけの勢力とする事を望むのだから、所属する者は厳選しなくてはならない。

 

 人事を一手に引き受ける運用部のトップ。レティ・ロウラン提督とは知り合いだ。

 その伝手を使って、何とか探してみる心算だが、さてそのように都合の良い人が居るかどうか。

 

 

「それでも、やらないとね」

 

 

 妥協は出来ない。今は一人も見つからなくとも、ジェイル・スカリエッティに頼んでウーノ型の戦闘機人を何人か回してもらえば人手不足は解消できる。だから、妥協だけはしてはならない。

 

 空になった空き瓶を塵箱に放り込むと、ユーノは運用部に向かう為に立ち上がる。

 

 

「って、あれ?」

 

 

 そこで、食堂の片隅。観葉植物の影に隠れている不審者を見つけた。

 

 

「……何やってんですか、クイントさん」

 

「っ!? ちょ、黙ってて! 今、良いとこなんだから」

 

「って、ちょ!?」

 

 

 目の前の光景に集中していたクイント・ナカジマは、ユーノを慌てて抱き込むと自らと同じく観葉植物の影に隠した。

 頭を無理矢理に抑え付けられながら、ユーノも視線を上げてクイントの見詰める先を確認する。

 

 

「ゼストさんに。メガーヌさん?」

 

 

 顰め面を何時もより険しくして悩み込むゼストと、そんな彼と共に一冊の雑誌に目を通しているメガーヌ。

 自身を押し潰しているクイントが「そこだ、やれ」とか小声で野次を飛ばしている姿に、「何だ出歯亀か」とユーノは呆れの籠った溜息を吐いた。

 

 

「……本当に、多種多様な物だな。だが、あの子はまだ幼いのに、こんな生物を近付けて良い物なのか」

 

「あら? 情操教育の為にも、ペットを飼おうと思っていると言ったのは貴方でしょう?」

 

 

 クイントに押し倒されているユーノの耳に、特に興味もない会話が届く。

 手に取った雑誌はミッドチルダにある総合ペットショップの発行している物らしく、多くの魔法生物の写真と特徴、そして値段が載っていた。

 

 

「うむ。まだ先の話だがな。忙しくなるだろうから、普段は俺も共に居てやれん。安全の為にも知能の高い魔法生物が良いとは思っているが、……しかし、竜種はな。危険ではないのか」

 

「キャロちゃんはアルザスの子でしょう? なら、竜召喚の適正もあるだろうし、丁度良いわよ。……それに、卵から孵した竜は育ての親に懐くわ。これとかどうかしら?」

 

 

 メガーヌが指で指し示すは10メートル程の体躯を持った白銀の翼竜の写真。その威容から、戦力としても期待が出来よう。

 竜種の中でも翼竜は凶暴でもなく、封印魔法によって平時は小さくなれる事を思えば飼育は然程難しくもない。

 

 

「むっ、翼竜タイプか。……悪くはないのだが、長距離移動出来てしまうのがな。小さい内から行動範囲が広がると、迷子になった時や家出された際に探し難いのではないだろうか」

 

「……今からそんな心配してどうするのよ」

 

 

 まだ乳児だろうに、と溜息を吐くメガーヌ。

 普段の質実剛健と言った印象が慣れない子育て故に見られなくなっているゼストの姿に、溜息を吐きつつも普段とはまた違った情も感じていた。

 

 

「ね、良い雰囲気でしょ、あの二人」

 

 

 出歯亀しているクイントは、その二人の遣り取りを見ながらそう小声で口にした。

 

 

「隊長が子育て初めてから二人は良く一緒に居るのよね。……内で子育て経験あるのはメガーヌだけだし、男手一つだと色々分からない事もあるだろうから、まあそんな感じで急接近って訳」

 

「……はぁ」

 

「メガーヌは以前に男で失敗してるから。……隊長なら男としても信用出来るし、友達としてはくっついてくれると嬉しい訳よ」

 

「……なら、出歯亀とかしない方が良いんじゃ」

 

「それじゃ面白、げふんげふん。……あれよ、変な事しないように見張ってるのよ」

 

 

 そんな遣り取りをされているとは気付かずに、話し合いを終えたゼストとメガーヌは食堂を後にする。

 結局進展はなしか、と舌打ちしているクイント。その姿に、やっぱり唯の出歯亀じゃないかとユーノは今日何度目か分からぬ溜息を吐いた。

 

 出歯亀対象が去った後、クイントは近くの椅子へと腰掛けながら口にする。

 

 

「いやー、やっぱり良いわね、ああいうの。……私も子育てとかしてみようかしら」

 

「……産めば良いんじゃないですか」

 

 

 無理矢理抑え付けられていたユーノは、寝不足の苛立ちもあってか体を伸ばしながら投げやりに口にする。

 そんな言葉に、クイントは何とも言い難い表情を浮かべて言った。

 

 

「そうしたいけど、産めないのよね」

 

「え?」

 

 

 余りにもあっさりとした言葉に、ユーノは一瞬唖然とする。

 そんな彼に子宮のある辺りに手を当てながら、クイントは言葉を続けた。

 

 

「あー。返しの風って奴? それがさ、胎に来ちゃってんのよ。私の場合」

 

 

 返しの風。歪みを使い過ぎた者に訪れる反作用。制御出来ない程に膨れ上がった魔力汚染は、人体機能を制限する。

 クイント・ナカジマの場合は、それが真っ先に子を為すと言う機能に響いた。戦う力の代償に、彼女は血を残す事は出来なくなっていたのだ。

 

 

「……すみません」

 

「いや、そんな気にする事じゃないわよ。ヤルことヤッても出来ないってのは、結構都合良いって思う時もあるし、別に今何か困ってる訳でもないし」

 

 

 ユーノの謝罪に、気にしてないとクイントは返す。

 だが、本当にそうであるのか、と思う。愛する者との子を為せない。出産機能を奪われた女は、本当に気にしていないのか、と。

 

 

「ま、そんな訳で子育てってのに、ちょーち憧れたりもする訳。……ま、面倒そうだから今は良いけど。その内、養子でも引き取ろうかしらね」

 

 

 ユーノは思う。先程のゼストとメガーヌの会話を覗き見ていたのは、そんな理由もあったからなのだろうか。

 子を産めぬ女は子育てに対する憧れを持ち、されど心配を掛けたくない彼女は真っ向から聞く訳ではなく、こうして遠回しにそれを見聞きしていたのではないか。

 

 

「……しっかし、隊長も隊長よね。折角、良い空気になってるんだから、こうガバーッと獣になっても良いでしょうに」

 

「公共の場で獣にならないで下さい。……他の方々が迷惑です」

 

(この人、結局、出歯亀趣味なだけか)

 

 

 クイントの発言に突っ込みながら、ユーノはそう思って頭を抱える。何だか疲れがどっと出て来た。

 

 

「って、随分疲れてるわねー。……何、もしかして一度も休んでないの?」

 

「あー、まぁ」

 

「……普通、一月休みなしってないわよ。週休や個休を入れないと運用部が煩いだろうし。シフトとか、誰が作ってんのよ」

 

「……一応、自分で。僕も部門長扱いですから、他に作ってくれる人居ませんし、人員が一人の内は、全体会議のような外せない日を除いて、来たい時に来てれば良いと」

 

 

 期日さえ守って結果を出せばそれで良い。今のユーノの立場はその様な物であり、それは公務員と言うよりは自営業者に近い生活だ。

 本来、彼に与えられた期間は半年程。それまでに時間を見ながら無限書庫を立て直して、通常業務可能な状態に持っていくのが彼の仕事であった。

 

 半年の内にやる事は三つ。

 無限書庫の立て直しと、司書として働く者らの採用人事。そしてそんな彼らを運用する為のシフトやマニュアル等の書類を作成して、上層部へ提出する事だ。

 

 本来、全く形になっていない部署を動かす為に必要な期間は、半年でも短い。

 

 一つの事柄を二ヶ月。或いはもう少し時間を掛けて、上手く進めていく事を求められていたというのに、ユーノはたった一ヶ月と言う半分以下の時間でその内の一つをやり遂げてしまった。二ヶ月でも終わらせるのが難しい仕事を、だ。

 

 その為に、休日を返上して、睡眠も満足に取らずに居る。

 根が真面目な少年だ。責任に重圧を感じているのだろう。期日までにしっかり終わらせねば、と焦っているのは分からなくもない。

 

 だが、上がそんな調子でどうしようと言うのか、クイントは呆れの籠った口調で口にする。

 

 

「部署が動く前にそんな風になってどうすんのよ」

 

 

 正式な辞令が出されるまでは、人事を行う事が出来ない。人を使う事が出来なかった。

 正式な辞令を得るのには、無限書庫を運用出来る状態に持っていく必要があった。だからこそ、ユーノは先に無限書庫の立て直しに当たっていた。

 

 だが、それを一人でやった事。それが失敗だったのだとクイントは諭す。

 

 まず彼がやるべきは蔵書の確認と、実際にどのように運用していくかの計画書を作り出す事だった。書庫をどのような形にするか、書物の整頓はどう行っていくか。

 それだけを確認した上で、どうするのかを運用部を通して上に上げていれば、それが認められるだけのしっかりとした物であったら、それだけで正式な辞令は下されていただろう。

 

 その後で、彼は人事を通して人手を集めるべきだった。集めた人に指示を出して書庫の立て直しを行いながら、同時進行で必要な文書を制作していく。それが最も効率的な行動だっただろう。

 だが、ユーノは立て直しの全てを一人でやりきってしまった。なまじ優秀だからこそ、一人で抱え込んでも出来てしまったのだ。

 

 

「……上が休まないと下も休み辛い物よ。弱小の部署とは言え責任者になるんだから、どしんと鷹揚に構えて人を使う事を覚えなさい」

 

「……人の、扱い方、か」

 

 

 そんな先人の教えを、幼い少年は素直に受け止める。

 

 

「ま、とにかく。アンタは一度休みなさい。……アンタが無茶やったお蔭で、まだ時間は余ってるでしょう?」

 

「……けど、人事の方が」

 

「それこそ、よ。仕事ってのは、アンタ一人で回ってるんじゃないの。向こうも人を見繕わないといけないんだから、アンタ一人がそんなに急いでも、向こうも対応出来るとは限らないわ」

 

 

 ユーノの行動はハイペースに過ぎる。その優秀さに物を言わせた行動だ。

 普通は蔵書確認が一月では終わらない。計画書段階でも一度や二度は躓くだろう。慣れない子供なのだから、と、最初の準備に二ヶ月以上は掛かる試算で運用部側も動いている。

 

 だから、こうも早く辞令を下されるとは向こうも想定していないだろう。今、行っても、無駄に時間が掛かるだけなのだ。

 

 

「だから、休み明けに向かうと連絡だけ入れといて、暫く休暇を取りなさい。……どうせ部下が出来たらまた忙しくなるんだから、しっかりと休めるのは今の内よ」

 

 

 最低でも一週間くらいは休んでおけ。そう語るクイントに、ユーノは頷きを返す。

 気が急いていたのは確かだ。これから忙しいのも確かだ。彼女の言は一々真っ当なのだから、それに従うのは道理だろうと判断する。

 

 

「……けど、休暇か」

 

 

 ずっと働いてきた。若くしてワーカーホリックの気がある少年は、何をしようかと思い悩む。

 睡眠は足りていない。一日二日はしっかりと休むべきだろう。だが、それにした所で、一週間は長過ぎる。

 

 

「と、悩んでる感じね。……そんなユーノにはこれを上げるわ」

 

「……チケット、ですか?」

 

 

 少年の戸惑いをあっさりと見抜いたクイントは、ポケットから一枚のチケットを取り出す。

 鷹笛プレイランドペア招待券と書かれたそれを手渡されたユーノは、どこのチケットであろうかと首を捻る。

 

 

「それ、第九十七管理外世界にある遊園地のチケットよ」

 

「地球の、ですか?」

 

「そ、海鳴に近いから管理局の支援も届きやすくてね。……小規模ながら運営再開したから、招待券が届いたのよ。地球出身者やその血を引く人向けにね」

 

 

 ミッドチルダにも地球出身者は少なくない。

 他ならぬクイントの夫、ゲンヤ・ナカジマもまたミッドチルダに帰化した日本人の末裔だ。

 

 

「んで、受け取ったのは良いんだけど、内のは忙しくて休暇取れないっぽいのよね。……一人で行くのも何だし、アンタに上げるわ。……気になる子、居るんでしょう? 高町なのはだっけ? その子でも誘って行きなさい」

 

「…………」

 

「って、あら?」

 

 

 言われて、ユーノは静かにチケットを見詰める。見詰めたまま、考え込む。

 

 気になる子と揶揄えば、煮え切らない少年は顔を真っ赤にして恥ずかしがる。

 そんな事をクロノから聞いていたクイントは、予想外の反応に目を丸くする。

 

 

「……そうですね。そろそろ、僕も自分の気持ちに結論を付けないと」

 

 

 何度も言われていた。何度も伝えられていた。想いは伝えられる内に伝えておけ、と。

 

 これから先、自分は忙しくなる。管理局に所属する事になるなのはも同じく。寧ろ前線を行く事になる彼女は、命の保障すらない分自分より大変だ。

 二人揃って居られる事態などはもうないかも知れない。ならばしっかりと考えて、この感情に答えを出さなくてはいけないのだろう。

 

 手帳を開いて予定を確認する。そこに記されている。高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかの三名がこのミッドチルダを訪れる日程。

 少女達が正式に局員となるのは、年度が変わってから。彼女らの家族による抵抗により、少女達には数ヶ月の猶予が与えられていた。

 

 次に来るのは、入局前に行われる能力測定の日だ。

 その為に彼女達は航行船に乗り、数日程掛けてこちらに来る。

 予定日は明後日。測定が終了後に地球へと一度戻る事を思えば、今休暇に入るのは都合が良い。

 

 この想いが恋であるのか違うのか、それを知る為に、これはきっと丁度良い機会なのだろう。

 

 

「ありがとうございます。クイントさん」

 

「あ、ええ。……頑張んなさい。男の子」

 

 

 その反応に戸惑っていたクイントは、しかしユーノの目を見てその覚悟を読み取ると、その背を押すような言葉を伝えた。

 少年はチケットを片手に、少女を誘おうと決める。その最中に、自身の想いを見極める為に。

 

 

 

 

 

3.

 管理局地上本部にある訓練場。その中に二人の少女が立っていた。

 

 金髪の少女。アリサ・バニングス。紫髪の少女。月村すずか。

 奴奈比売に力持つ魂を与えられた後、魔力を多少であるが使えるようになった少女達は、その身をバリアジャケットに包んでいる。

 

 剣型デバイス“フレイムアイズ”を両手に握るアリサは、赤を基調としたバリアジャケットに身を包む。

 魔法が世界を殺す事を知るが故に、彼女が使う魔法は防護服のみ。剣型デバイスは完全に唯の剣としてしか使われない。

 

 その横に侍るすずかが手に取るは、グローブ型のデバイス“スノーホワイト”。後方支援型の高性能デバイスであり、様々な魔法を使えるのだが、すずかもまたそれを使う事はない。

 彼女もまたアリサ同様、その身を守る青を基調としたバリアジャケット以外の魔法を使用する心算はなかった。

 

 

〈では、本日最終プログラムである能力測定を行います。これより射出される標的に対し、その異能を発動してください〉

 

 

 そんな電子音と共に、少女達の前に二つの機械が飛び出した。

 楕円形の形をした青色の機械。中央に位置するカメラが少女達を捉える。その名はガジェット。

 強力なAMFを発生させるそれは、スカリエッティが戯れに生み出した異能判定用の標的だ。

 AMFの影響を受けない歪みの性能を知る為には丁度良い。故にこうした異能の測定ではガジェットを標的とする事が一般的であった。

 

 

「はっ! 安直なデザインよね! 纏めて焼き落としてあげるわ!!」

 

 

 飛び出したガジェットに向かうは金髪の少女だ。勝気な少女は一目散に、それらガジェットに向けて炎の弾丸を放つ。

 紅蓮炎上。管理局によってそう名付けられた異能は、アリサの体躯よりも巨大な炎を作り上げ、撃ち放つ。

 

 それは弾丸とは言えない。最早砲弾と呼ぶべきであろう。

 その力の元となった列車砲の主砲と同等。全長3.6メートルと言う巨大な炎は周囲を熱しながら飛翔する。

 

 轟と音を立てて空気を焼くその砲撃を、しかしガジェットはひらりと躱した。

 

 

「んなっ!?」

 

 

 作り手の性格の悪さが滲み出るガジェット。管理局より潤沢な資金を与えられているスカリエッティは、暇潰しがてらに幾度も改修を加えている。その結果出来上がった標的は、何故か無駄に高性能であった。

 

 熱感知と弾道予測により襲い来る砲弾を完全に読み切り、重力制御によって無理なく回避する。

 その直後、空中にモニターを映し出すと「絶対当たると思っていた攻撃が外れて、今どんな気持ち? ねぇ、どんな気持ち?」と妙に腹の立つ文章を表示していた。

 

 

「っ! あったまきた!!」

 

 

 そんな安い挑発に釣られたアリサは、二発、三発と続けて砲撃を放つ。今度は外さない。絶対に当ててやると狙いを付ける。

 だが、その連続攻撃すらも外される。僅かに制御された軌道は、しかしガジェットに届かない。

 

 その連続攻撃を易々と躱すガジェットは「見える!」「当たらなければ、どうと言う事はない」と挑発するような文章を表示している。

 ガジェットに顔があったならば、間違いなく笑っていただろう。そう感じたアリサは、額に血管を浮かせながら攻撃をより苛烈にした。

 

 当たらない攻撃と、繰り返される挑発にアリサがキーと奇声を上げている中、横に立つすずかは目を閉じたまま、何かをする訳でもなく立ち尽していた。

 

 何もしない訳ではない。何もしたくない訳ではない。目を瞑り、力を引き出そうとしている少女はしかし、その力を振るえない。

 目を閉じる度に浮かぶ白貌の姿。内に宿る彼が、己に対する協力を拒絶しているように感じられる。月村すずかを嫌悪している想いが伝わって来る。

 

 

「っ! 私の中に居るなら! 力を貸してよ!!」

 

 

 絶えず送られてくる拒絶の念に、苛立ったすずかはそう口にする。そんな彼女の言葉に、白貌の吸血鬼はにぃと悪い笑みを浮かべると。

 

 

――良いぜ、じゃあ、無駄に苦しめや。

 

「っ!?」

 

 

 途端。すずかの体より発せられるは暗き力。他者に不吉を齎し、守るべき者こそを吸い殺した呪われし力。

 二大凶殺。後にそう呼ばれる事になる、全てを簒奪する力が狙う標的は、最も近くに居る少女。

 

 

「待って!?」

 

 

 だが止まらない。だが抑えられない。

 膨れ上がった負の瘴気は、誰よりも傍でガジェットに炎弾を放ち続けているアリサへと纏わり付き、その運気を簒奪した。

 

 

「って、何よこれー!?」

 

 

 放とうとしていた砲弾が膨れ上がる。

 運悪く炎弾の制御に失敗したアリサは、運悪くその力を暴走させて、運悪くすずか共々巻き添えとなる。

 

 

「ぎゃー!」

 

「きゃー!?」

 

 

 二人の少女の悲鳴と共に、赤き炎が爆発する。

 吹き飛んでいく二人の少女達の姿を、魔改造されたガジェットが撮影しながらザマァと罵っていた。

 

 

 

 

 

 能力測定を終えたアリサとすずかは、控室に戻って来ていた。

 支給されたばかりの管理局の制服に身を通す二人は、疲れた顔で時間を潰す。そんな彼女らの元に、検査結果を纏めた資料を手に一人の女性が近付いてきた。

 

 

「お疲れさま。良く頑張ってくれたわね」

 

 

 紫の髪に青い制服を着た眼鏡姿の女性。レティ・ロウラン提督はそう労いの言葉を掛ける。

 人事を担当する運用部のトップである女性が出張る辺りに、管理局がどれ程彼女達に期待しているかが伝わって来るであろう。

 

 

「最後のあれ、何なのよ」

 

 

 ぐたりと横になったアリサが口にするのは、最後まで自分達を馬鹿にしていたガジェットへの文句だ。

 そんな聞き慣れた愚痴にレティは乾いた笑みを浮かべながら、励ましの言葉を掛ける。

 

 

「あれは、まぁ、オーバーSの魔導師でも中々攻撃が当たらない標的だから、そんなに気にしない方が良いわよ」

 

「……なんでそんなのが標的なのよ。ってかアレの製作者は誰よ」

 

 

 物怖じしないその物言いに苦笑を浮かべつつ、レティは自分も嘗て通った道だとガジェットへの不満に内心で同意する。

 

 スカリエッティ曰く「別に全部躱す標的が居ても良いんじゃないかね? 当たらなければ修理費が安く済むし、それに当てるだけの実力が備わるなら良い訓練にもなる」との事だが、あの変人は確実に愉快犯であり、あのガジェットは趣味の産物だったのだろうとレティは推測していた。

 

 

「……ごめんなさい。私が力を制御出来ないから」

 

 

 そんな風に愚痴を零すアリサとは逆に、縮こまって謝罪しているのがすずかだった。

 彼女は自分の力がアリサの足を引っ張ってしまった事を悔いている。同じ様に力を得た少女が自由に発動出来るようになっている中、安定した発動も制御も出来ない自分に自己嫌悪を感じていた。

 

 

「気にする必要はないわ。これはあくまで現状の測定であって、試験とかではないもの」

 

「……はい」

 

 

 レティはそう励ますが、すずかが吹っ切れているようには見えない。内向的な少女なのだろう。鬱屈した物を溜め込んでしまうタイプである。そうレティは判断する。

 己の失敗を悔やむすずか。上手くいかない現実に苛立つアリサ。歪み者ではない自分では彼女達に碌なアドバイスも出来ない。故に、その専門家がこの場に来ているのは、都合が良いと言えるであろう。

 

 

「散々な目にあったようだな」

 

「……誰よ、アンタ」

 

 

 赤と白の装束に身を包んだ黒髪の女。レティに続いて控え室に入って来た女性に対して、アリサは憮然と誰何する。

 

 

「バニングスさん!」

 

「良い。誰か分からぬのは当然であるし、名乗りを上げぬこちらの方が非礼であろう」

 

 

 お偉いさんへの非礼に対しレティが慌てるが、それを片手で制し女は名を名乗る。

 

 

「御門顕明だ。……御門一門の長を務めているよ」

 

「げっ」

 

 

 重役への自分の対応を自覚して顔を引き攣らせて少女は、慌てて立ち上がると口にする。

 

 

「失礼しました。私はアリサ・バニングス。御門殿の御噂はかねがね伺っております」

 

 

 咄嗟に表情を変えて、特大の猫を被る。

 その若さに反して、仕草が胴に入っているのは生まれと育ちが故か。

 

 

「ふむ。……地球出身なのに、もう噂を聞いているのかね」

 

「……ええ、こちらに来てから何度か。御門殿はこちらでは名が通っていらっしゃいますから」

 

 

 重箱の隅を突くような返し。その言葉を語る時、目が笑っている事からこちらを揶揄っているのであろう。

 それが分かって、アリサは笑みを浮かべた口元を引き攣らせる。

 

 

「名は知るが顔は知らぬか。名を口にするまで、反応がなかったという事は、そう言う意味であろう?」

 

「……申し訳ございません。何分、こちらに来て浅いもので」

 

「ふむ。そうか。……しかし、敬語が似合わん娘よな。先ほどの姿の方が似合っていたぞ。そら、このがじぇっととやらが記録しておる、爆発している姿の方がな」

 

「っ! 誰が好きで爆発するかぁぁぁっ!」

 

 

 顕明が手にしたガジェットに映し出される光景を揶揄し、我慢できなくなったアリサは爆発の映像と同じく感情を爆発させた。

 

 

「うむ。そちらの方が良いな。……以後、私に対して敬語を使う必要はないぞ」

 

「ああ、もう! 公式の場以外で、誰がアンタなんかに敬語を使うもんですか!!」

 

 

 ガルルと唸り声を上げる金髪の少女に、かんらと笑って女は返す。

 その実直な有り様と打てば響くという反応に、あの人が好む訳だと確信を得ながら。

 

 

「それで、アンタ、何しに来たのよ」

 

「……ふむ。お前達三人に一つ、あどばいすをしておこうと思ってな」

 

「アドバイス?」

 

「うむ」

 

 

 扇子を片手にそう語る女に、アリサは訝しげな顔をする。

 そんな彼女に応と返した後、御門顕明はここに居る筈の三人目を探して目を移す。

 

 

「……今日は高町なのはも来ていると言う話だったが、ふむ、どこかな」

 

「ああ、なのはなら、あそこよ」

 

 

 アリサが指差す先、控室の隅には茶髪の少女が座っていた。

 両手で持ったチケットを手に、朱に染まった顔をにへらと緩ませる少女。

 

 そんな色惚けた姿にさしもの顕明も動揺を露わにする。

 

 

「あれは、一体?」

 

「……朝からああよ。あいつにデートに誘われてからずっと、ね」

 

「ユーノ・スクライア。許すまじ」

 

 

 呆れて口を開くアリサと、二大凶殺の瘴気を漏らしているすずか。

 

 あんな色惚けた状態でも、なのはは最高の成績を残していた。標的である魔改造ガジェットを全機撃墜していた。

 故にこそ、あの状態のなのはにも負けたからこそ、アリサは余計に苛立っていたのだろう。

 

 

「で、あれにも何か助言すんの?」

 

「……その心算であったがな。流石に色恋は分からん。他の事を口にして、浸っている所に水を差すのも無粋であろうしな。今はお前達だけにしよう」

 

 

 年齢の割に色恋沙汰には余り縁のなかった顕明は、色惚けた少女から視線を移すとアリサとすずかを見詰める。

 

 

「さて、お前達へのあどばいすだが、まあ話しは簡単だ。その異能に対する事だよ。互いに、何が足りないかは分かっていよう」

 

「制御力、ですか?」

 

「狙って当たらないなら、その辺が足りてないって事よね」

 

 

 顕明の言葉に、すずかとアリサがそれぞれ答える。

 アリサは自分には砲撃を命中させるだけの制御力が、すずかは己の異能を制御するだけの力が足りてないのだと答える。

 

 そんな少女達の解答に、しかし顕明は否と答えた。

 

 

「否。違うよ。……お前達に足りないのは制御力ではない。ある意味で言えば、それ以前の話である」

 

 

 顕明はその扇子でアリサを指し示す。

 そして口にするのは金髪の少女に不足している物への指摘だ。

 

 

「ばにんぐす。其方には思い切りが足りておらぬ。制御しよう等とは考えるな、当てよう等とは考えるな。……そんな物は、後から幾らでも付いて来る」

 

 

 狩猟の魔王の力を借り受けた少女がその力を真に引き出せれば、狙って当てるなどと言う作業は不要となる。

 それは真実、必中の魔弾。焦熱世界が持つ力は、あらゆる回避を無意味とするのだから、そも狙おう等と思う事が無駄である。

 

 

「故に其方は感情を爆発させよ。渇望を強くせよ。力を強く、意志を強く、唯強くある事を心掛けよ」

 

 

 故に必要なのは想いの強さ。相性の悪さを、内に宿した魔王の聖遺物との不適合を覆すだけの意志の強さがアリサには必要となっているのだ。

 

 

「想いを、強く」

 

 

 少女はその言葉を刻み込むように反芻する。

 己に必要な物。あの友達に追い付く為に必要な物。それを確かに自覚した。

 

 

「そして、月村の場合だが」

 

 

 その扇子をすずかへと向ける。

 道がはっきりと分かっているアリサに対して、こちらの少女は些か面倒だと思いながらも、御門顕明は助言を伝える。

 

 

「其方は、己を好きになる努力をせよ」

 

「え?」

 

 

 その言葉は月村すずかにとっては予想外であった。

 てっきりアリサのように、強い意思を持てと言われるように感じていた。

 或いは力を制する為に、何等かの特訓を課されるのかとも考えていた。

 

 だが御門顕明が語るのは、認識を変えろという言葉であった。

 

 

「其方とその力の相性は最良だ。暴走状態とは言え、あれ程力を発揮できたのはそれ故だ。……故に足を引っ張っているのは其方の内面。自己嫌悪の情と、男に対する拒絶の情。それが其方の成長を妨げておる」

 

「…………」

 

 

 生まれに対する嫌悪。自身に対する嫌悪。そして男性全てに対する嫌悪。

 その感情に反発して、彼女の中にいる白貌は拒絶の意思を示している。その感情を拭えぬ限り、月村すずかの成長は妨げられる。

 

 

「そんなに、己の出生が忌まわしいか?」

 

「……」

 

 

 そんな言葉、問われるまでもない。

 今でも悍ましいと思っている。何が夜の一族か。

 

 

「そんなに、男と言う生き物は度し難いか?」

 

「……」

 

 

 すずかにとっての男の象徴は、あの氷村遊だ。

 友を嬲り、夜の一族としての醜悪さを示した怪物。ああ、何と悍ましい。

 

 対して女性の象徴である友達は、こんな自分を受け入れてくれた。

 故にこそ、すずかは男を嫌悪する。すずかは同性にこそ、心を寄せるのだ。

 

 

「今すぐに、それを治せと言っても無理であろう。……だがな、その情が拭えぬ限り、お主は先へは進めんぞ」

 

「……なら、どうすれば良いんですか!」

 

 

 その言葉は、どこか悲痛が籠っていた。

 どうにかせねばと思っても、刻まれたトラウマは消せない。己に対する嫌悪も、男に対する拒絶も、そのどちらもが揺るがせない。

 

 だからこそ、真っ当に成長すればそれで良いアリサと異なり、この少女は面倒なのだと呟く。

 せめて二種類の感情。そのどちらかだけでも多少改善できれば、安定して力も扱えるようになるのであるが。

 

 

「……ふむ」

 

 

 そこでふと、良案を思い付いた御門顕明は、三人の少女を見ると口を開いた。

 

 

「月村すずか。其方がするべき事は――」

 

 

 

 

 

4.

 海鳴市沿岸を走るユナイデット・レールウェイズ。

 その沿線にある遊園地の最寄り駅でユーノは、時計をちらちらと確認しながら一人の少女を待っていた。

 

 現在の日本においては最大の都市となった海鳴市。その周辺は首都移転計画によって、最優先で復興が行われている。

 何れはこの街に日本国の政庁などが集中していくのであろう。京都。東京。そして海鳴。首都が変わる。歴史の転換点に日本はあるのかも知れない。

 

 共に航行船で地球へと戻ってきたなのはとは、一度海鳴自然公園で分かれている。

 女の子には色々と準備がある。待ち合わせをした方がデートらしい。そんなクイントの助言に従い、彼はこうして待ち合わせの約束をしていた。

 

 今更ながらに緊張しながら、空いた時間にクイントが用意してくれたマニュアル本に目を通す。

 彼女が直筆したそれは、いざという時に助けになる筈だと渡された物。その際、目がにやけていたのが気に掛ったが、取り合えず確認して置こうと目を通す。

 

 一般的なデートコース。お勧めのデートスポットなどが並ぶ中、少年はふと緊急時対応と書かれた項目に目を向けて、その頁を開いた。

 

 その頁には、こう記されている。

 

Q.もしも彼女が切なそうな目で見詰めてきたら?

A.そこがチャンスだ! 押し倒せ!

 

 

「出来るか!?」

 

 

 僕らの年齢を考えろよ、とユーノはマニュアル本を天高く放り投げる。

 そうして、役に立たない助言書を放り棄てたユーノは、駅から出て来るその少女を見つけた。

 

 

 

 袖の長い赤い服。その上から白の上着を着ている。ミニスカートとニーソックスを履いている茶色の髪の少女。

 珍しく気合が入っているのであろう。指の爪に薄くピンクのマニキュア。髪には赤いリボン。胸元には銀色の首飾りが輝いている。

 

 

「御免ね。待った?」

 

 

 にっこりと太陽の如き笑みを浮かべる少女。その微笑みにユーノは暫し見惚れて言葉を失った。

 

 

(ああ、そうだ。……僕はこの笑顔に――)

 

 

 その姿に見惚れて、その輝きに目を奪われて、その太陽の様な表情に確かな想いを自覚した。

 

 

「いいや、僕も色々と見て回っていたからね。今、来た所さ」

 

 

 そんな風に言葉を返して、エスコートの為に右手を差し出す。

 その手を握り返す小さな掌の確かな温かさに、ユーノは優しい笑みを零す。

 

 

「さあ、行こうか」

 

「うん!」

 

 

 今日と言う日を、忘れられない物にしよう。

 何時かの未来で、素晴らしい刹那であったと語れるように。

 

 

 

 幼い子供達のデートが始まる。

 

 

 

 

 

 




リインは己を支える魔力すら残っていないので、肉塊を増やす度に消耗しています。

夢を見せ続ける魔力と、肉塊を維持し続ける魔力と、万仙陣を使う魔力を消費しているのに、収入が肉塊に捕えた人の命だけなので、放っておけば飲み干した人々と共に勝手に消えます。


次回はデート回、からの事態の深刻化。前半と後半で両極端な話になると思います。


以下、オリ能力詳細
【名称】紅蓮炎上
【使用者】アリサ・バニングス
【効果】内にある狩猟の魔王の魂から引き出した炎弾を放つ異能。列車砲と言う魔王の聖遺物から引き出された力は、大口径の砲弾として顕現する。
 本来は必中の能力を持つが、アリサと列車砲の相性が最悪である為、今の彼女では其処までの力を引き出せてはいない。


【名称】二大凶殺
【使用者】月村すずか
【効果】内にある白貌の吸血鬼の魂より引き出した簒奪の瘴気を放つ異能。奪うは他者の運気。更に強く意識すれば生命や魔力すら奪い去る。
 すずかと吸血鬼の力の根源である闇の賜物との相性は最良であり、故にすずかは自己の制御を遥かに超えた力を引き出してしまう。
 これを改善する為には、彼女自身が内にある自己嫌悪や男性嫌悪の情を解消し、吸血鬼と協力し合えるようになる必要がある。



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