閣下が生きるハイスクールな世界   作:佐竹 リン

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プロローグ

夜、とある森の中で、二人の男が向かい合う形で立っていた。

 

一人はかつて、世界の破壊者こと、ディケイドとともに世界を渡り、様々な世界を救ってきた戦士『クウガ』小野寺 ユウスケである。

 

もう一人は、以前出現した古代戦闘民族『グロンギ』の王『ン・ガミオ・ゼダ』が持つ、人間をグロンギに変える能力により、グロンギである『ゴ・ガドル・バ』になってしまった青年、八神 柊である。

 

八神は、グロンギになってしまった後しばらくは、他のグロンギ同様、殺人ゲーム『ゲゲル』を進めてきていた。しかし、ユウスケと戦う中で、人間としての理性を取り戻し、その後はゲゲルを進めているグロンギを倒すために、クウガとともに戦ってきた。

そして先日、ガドルを抜かした中での最後のグロンギ『ゴ・ジャーザ・ギ』を倒したのである。

 

そして、八神はユウスケに、最後のグロンギである自分を倒すように頼んだのである。ユウスケは最初こそ反対していたが、八神が人間の理性を失い、再びゲゲルを始めてしまうかもしれない。そして、グロンギのいない、本当に平和な世界になって欲しいと説得したことで、ユウスケは承諾したのである。

 

「さぁ、始めてくれ、ユウスケ」

 

八神はそう言うと、体に力を入れた。すると八神は人間の姿からガドルの姿に変わった。

 

「……あぁ、分かった。」

 

ユウスケは腰に手をかざし、クウガになるためのベルト『アークル』を出し、右手を左前に、左手は右腰にそえた。そして右手を右に、左手は左にスライドさせ、叫んだ。

 

「変身!」

 

右手を左腰に一気に運び、右手と左手でアークルの左腰部にあるスイッチを押した。すると、ユウスケの体は勇ましい音とともに、クウガに変身した。

 

(あぁ…ようやく、終わるんだな…)

 

八神は心の中でそう呟いた。

 

「さぁ!来い!クウガ‼︎」

 

ガドルの叫びとともに、腰を低く構えたクウガ。

何度も隣で見てきた、必殺技の体制だ。

クウガの足元には、炎がまとっている。

クウガはガドルに向かって走り出した。

ガドルとは少し離れた位置で飛び上がる。

 

「はあぁぁぁぁ‼︎」

 

気迫がこもった叫びとともに、クウガの必殺キック『マイティキック』が炸裂した。

そのキックは、ガドルの胸元に命中し、ガドルを数メートル飛ばした。

ガドルの胸元に封印の紋章が現れ、そこから少しずつ亀裂が走り、腹部にあるベルトに向かっている。

 

(あぁ…痛ぇな……。体にヒビ入り始めてるから、当然か…。)

 

意識が朦朧とし始めているガドルは、クウガを見る。

クウガは、ガドルの姿をどこか悲しげな様子で見ていた。

 

(なんだよ…そんな雰囲気出すなよ……。仕方ないやつだ…)

 

ガドルは、ゆっくりと右手を上げた。

親指を立て、他の指は曲げる。

『サムズアップ』だった。

それは、一緒に戦う約束をした時に、初めて合わせた合図のようなものだった。

 

(後は任せたぞ……ユウスケ…

 

オレたちが愛した世界を……。)

 

クウガはそれを見て、サムズアップを返した。

仮面の下からでも、表情を引き締めているのが分かる。

 

その様子を見届けたガドルは、爆発とともに、絶命した……。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

「はずだったんだがなぁ〜?」

 

オッス。オレはついさっきまで怪人、ゴ・ガドル・バをやっていました。八神 柊と言うもんです。

気軽にシュウとでも呼んでください。

オレの記憶が確かなら、友人であり、ライバルでもあったユウスケのキックを受けて、オレは死んだと思うんだ。

いや、そのはずなんだ。

 

けど…オレは今、明らかに変な場所にいる。

 

死後の世界。生まれて初めて見たんだが、イメージでは何つーか、ふよっとした魂なるものになり、善者なら天国、悪者なら地獄に送られるってとこだと思ってた。

ところがどっこい、オレはしっかりと体があり、真っ白な空間に一人で座ってたんだ。

 

どーなってんだ?コリャ?

 

誰か丁寧かつ分かりやすい説明を頼む。

 

とか思ってると、いきなり目の前が

パアァァァァって感じで明るくなった。

えっと、なんかリアクションしたがいいかもね。

 

「うわ!ま、まぶし〜ぞ!」

 

「変な演技はしなくてもいいですよ。八神 柊さん。」

 

…何だよ、オレが一生懸命演技してるってのに、そんなひどい返しをするなんてよ。

貴様!何者だ!

 

「そんなに振っても、私はボケませんからね。

私はあなた達の世界で言うならば、神様です。」

 

……なんかつれねぇなこいつ。

人の心を読むのは神様だからってやつか。

だったらオレが何を期待してたか分かるだろ。

“通りすがりの◯◯だ!覚えておけ!”って言ってくれたっていいじゃないか、ケチ。

 

「丁重にお断りします。」

 

はいはい、そーですか。んで?神様がオレに何の用?

 

「それに関しては今から説明しますが、とりあえず声に出してください。心読まれるからって喋らなくていいわけじゃないでしょう。」

 

「別にいいだろ、そんなこと。その方が楽だし早いし」

 

「心読むのは私が結構疲れるんですよ。体力とか魔力とかいろいろ使うから。」

 

…そーなの?知らんかったわ〜。

なんかもっと単純なもんかと思ってた。頭の上にボンヤリ見えるとか。

 

「それで、貴方をここに呼んだ理由ですが、貴方には別世界に転生してもらいます。」

 

「……はい?」

 

 

 

神様説明中、少々お待ちください…

 

 

 

「まぁ、転生についてのシステムとか、特典とは何かとか、そういうのは分かった。」

 

「そういうの、とは?」

 

「あれよ、なしてオレが転生しなきゃいけねぇんだって話。

別に間違って殺しましたとか、神様を助けたからとか、そんなんじゃねぇんだろ?」

 

「それについてはこれから説明するつもりです。」

 

あ、そーなのね。んじゃ、よろしく

 

「本来なら、あなたの世界にガミオが現れることはありませんでした。」

 

「本来なら?どういう事だよ。」

 

「小野寺さんから大体は聞いているようですので割愛しますが、いわばガミオは、世界の崩壊の中で生まれた、イレギュラーの存在なのです。」

 

そーいえば、ユウスケもそんなこと言ってた。あの世界は崩壊しかけていたとか、ディケイドがその世界を結果として救ったとか。正直驚かされたことばかりだったな。

 

「そして、ガミオによってあの世界の住人たちはグロンギになり、強制的に殺人行為を行うことになった。単純に殺人行為をしてきたのなら地獄行きですが、これは本来の運命とは異なります。

よってガミオによってグロンギにされた人たちは、地獄行きではなく転生しています。

とは言え、特典なし前世の記憶なしで転生させるだけなので、輪廻通りの流れになるだけですが。」

 

なるほどな、てことはオレも地獄行きにはならねぇんだな。

 

よかった〜。オレそれだけがずっと心配だったんだよな〜。地獄とかマジ勘弁して欲しいんです。怖いもん

 

「あなたの場合は特別です。」

 

 

 

……はい?

 

え、なに、どういうこと?

まさかやってきた事がデカすぎだから勘弁できませんってやつ?

一度気分を上げるだけ上げさせといてブチ落とすとか、最悪だよ!

ウゾダドンドコドーン!

 

「特典つきで、という意味で特別なんです。ご安心ください。」

 

……はい?

 

「あなただけは他のグロンギとは違い、人間の心を取り戻すことができた。その上、悪を排除する動きができた。ですので、三つの特典、前世の記憶つきで転生させることができます。」

 

「な、なるほどね…安心したよ…。」

 

そういう事か、理解したよ。本当にホッとしたよ。

 

「ただ、グロンギの姿はそのまま引き継がれます。他の人たちは記憶を失ってるので大丈夫ですが、あなたは記憶を引き継ぐので。」

 

「…マジで言ってんのか?」

 

「ええ、マジもマジです。貴方たち、グロンギに姿を変えてしまった人々は、その後も本質はグロンギのままになってしまうんです。なんせ体内に魔石が埋め込まれてますから。ですが姿を変えようとしなければ人間の姿のままですし、問題ないでしょう?」

 

「あぁ…いやまあ、そりゃ分かったけど…」

 

…あの姿は引き継がれるのかよ。正直嫌な思い出しかねぇし、出来れば無くなって欲しいものなんだが…まあ仕方ねぇか。

 

「ところで、どんな特典でもつけれるのか?」

 

「いえ、ある程度は制限があります。こちらとしても世界を崩壊させる恐れがある力はかなり不都合なので。」

 

げ、マジかよ。まぁ、オレが考えてる特典は大丈夫だろ。そこまでドチートなの付けたくないし。

 

「それでは、つけたい特典を教えてください。」

 

「んじゃ、一つ目。人間態でもしっかり戦えるようにしてくれ。」

 

「それは全然構いませんよ。それでは、人間態でも戦える運動能力をつけときます。」

 

「んじゃ、ついでに人間態で格闘体、俊敏体、射撃体、剛力体と分けることができるようにしてくれ。」

 

「わかりました。それでは、その四つの形態と、戦いの力を持たない通常体を加えておきますね。

それぞれの形態への変換はかなりやりやすいはずです。すぐに変われますよ。」

 

「サンキュー。じゃあ二つ目なんだが、錬金術が欲しいんだ。」

 

鋼の錬金術師、かなりハマったんだよなぁ〜!

だってかっけぇじゃん!手を合わせて地面叩くだけで槍が出てきたりすんだぜ⁉︎

 

「ガドルの力があるから、武器とかは作るのに全く不自由はないでしょうが…まぁ、いいでしょう。

手合わせ錬成、指パッチンでの発火、他にはどんなのがあります?」

 

「スカーの解体、グリードの硬化能力だ!」

 

…ぶっちゃけ、硬化能力は錬成じゃねぇが、原理としてはいけるだろ。

エドもそれっぽいこと言ってたし。

それに、オレはハガレンのなかでグリードが一番好きだったんだよ。

グリリンとか、サイコーだったなぁ〜。

 

「じゃあ、折角ですし、格闘体の時は焔系と解体の錬成、俊敏体の時は水系の錬成、射撃体の時は風系の錬成、剛力体の時は大地系の錬成と硬化能力の威力が上がる設定をつけますね。」

 

「通常体の時はどうなんだ?」

 

「普通ですね。運動能力も錬金術も、ズのグロンギを簡単に倒せるくらいです。」

 

……それって、戦う力を持ってないと言えんのか?

 

「ちなみに、人間態での格闘、俊敏、射撃、剛力体の時はメのグロンギ相手を、グロンギ態ではゴのグロンギ相手を簡単にできます。」

 

へ、へぇ〜。なかなかの力になっちまったな、こりゃ。

ある程度なら無双できんじゃね?

 

「それでは、三つ目はどうします?」

 

あ、そうだったそうだった。忘れるとこだったぜ。

実は、この三つ目な一番大事なことなんだよな…

 

「三つ目は、それなりに長い人生が送ることができる体。それが欲しい。前世は短すぎたからな」

 

「そうですか。それでは、老化することがない体を与えます。つまり、寿命が無くなりますね。殺された場合以外では死にません。」

 

そんなのもらっていいのか?ありがてぇけども。

しかし、こんだけ貰ったってことは、確実になんかあぶねぇ世界に送られるんだろうな。予想できるぜ。

 

神様は俺から離れたところに歩き、門を開いた。その門は、眩しい光を発している。多分あれが、新たな世界への門ってやつだな。

 

「では、以上の特典をあなたに与え、あなたには新たな人生を迎えてもらいます。

くれぐれも前世のように、悔いの残った人生になさらないように…」

 

「あぁ、ありがとな!神様」

 

「えぇ、失礼します。」

 

オレは勢いよく、門の中に飛び込んだ。新しい世界が待っている。新たな冒険に心を弾ませ……て………。

 

 

 

ヒュオオォォォォォ

 

 

 

wow!地面が!地面がねぇ!

 

まさか!あの野郎!

 

オレは勢いよく後ろを振り向く。すると…

 

 

 

爽やかな顔で手を振る神様がいた…

 

 

 

 

「ふっざけんなあぁぁぁ!」

 

叫びながらオレは新しい世界に入ったのだ……

 

 

 

______________

 




ども!作者です!
これが僕の処女作になるから、かなり心配ですが、色々と教えてくださると助かります!

主人公をガドルにしたのは、単純に2番目に好きな怪人だからです。
1番好きなのはダグバですが、それだと強すぎるかな?と思ったんです。

クウガはこのシーンでしか出ません!すいません!

それでは、こんな小説ですが、よろしくお願いします‼︎
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