「ただいまー」
アルジェントを送り、兵藤と別れてオレは今家に帰り着いた。
今は夜の七時ぐらいだ。後は晩飯食って風呂入って寝るくらいか?
んじゃ、さっさとすることやって寝るとしますか!
その時だった。
いきなり家の片隅から灰色のオーロラが現れた。
何が起こっているのか最初こそ分からなかったが、ある風景を思い出した。
オレが前世でグロンギになってしまったあの日の風景である。
一体、何が起こるんだ…?
すると、中からは見慣れた姿をした何者かが現れた。
「ブウロ…⁉︎」
そう、フクロウの性質を持ったグロンギ『ゴ・ブウロ・グ』がそこに立っていた。
オレはブウロというグロンギをよく知っている。前世では、オレと同じ『ゴ集団』にいて、空から人間を襲うゲゲルをやっていた。
最期は、クウガによって撃ち殺されたはずだが、今こうして目の前にいる。
ブウロは少しの間辺りを見回していたが、オレの姿を見て、こう言った。
「リント…。ゲゲルボ ザジレス!」
この言葉!グロンギが戦闘態勢に入った証拠だ!
「ゲゲルを始める」って言いやがったってことは、オレがゲゲルの標的になってんのか⁉︎
ブウロはオレの両手を掴み、そのままオレを壁に押し当てた。
拘束しようってんのか?バカが、空飛んでるから肉弾戦とかやった事ねぇくせに!
オレはまだ自由であった足でブウロを蹴り飛ばす。少し後ずさるブウロ。
だが、その間にオレは体に力を入れて、ガドルの姿に変わった。
ゴ・ガドル・バ、格闘体である。
「ガドル⁉︎」
驚きの表情を見せるブウロ。
今さら気づいたところで、もう遅ぇよ!相手を殺すときには殺される覚悟くらい持っとけ!
オレはブウロに向かって走り出し、肩を掴んで押し込んでいく。
そのまま窓の近くまで押し込み、ブウロを殴り飛ばす形で外に押し出す。
窓は割れたが、まぁ仕方ねぇ。
庭に転げていくブウロ、オレはそいつに向かって飛び、追撃のパンチを叩き込もうとした。
しかし、ブウロは横に転がる形でそれをかわし、体制を整える。
ブウロは羽を広げて、空に飛び上がる。
そして、どこからか取り出した吹き矢を口に咥え、何回か息を吹きかける。
小さい矢が数本凄い勢いでオレの元に飛んでくる。
オレはそれを全て躱すことができたが、その間にブウロは少し高めの位置にまで上昇してしまっていた。
さて、どうするか…。
あいつはかなり頭がいい。恐らく、オレが射撃体になるのを待ってやがるな。
射撃体は感覚器官が跳ね上がるから、遠くの敵を撃ち抜くのには向いている。まさにブウロみてぇなヤツを撃ち抜くためにあるような形態だが、その分痛みもかなり感じる。
あいつの射撃の腕前なら、あの距離ならオレが射撃体になったと同時に、確実に攻撃を当ててくるだろう。
かと言って俊敏体で飛び上がれば、それこそ格好の餌食だ。
飛んでる状態じゃ、何もできねぇもんな。
だからオレは何もできないでいる。それがヤツの考えだろう。
まぁ、残念ながらオレはお前の予想の上をいくぜ?
オレは右手を中指と親指をくっつけた形で突き出す。
何がしたいのか理解できていないらしく、ブウロはこちらの様子を伺っている。
オレは指に力を込めて、思いっきり弾く。いわゆる、『指パッチン』である。
そうする事で、小さい火花が散る。その小さい火花は、徐々に大きさがデカくなって、ブウロに向かって一直線に進む。
そして、ブウロにたどり着いたと同時に、火花はかなり大きな爆発を起こした。
格闘体で威力が上がる『焔の錬金術』だ。
「グオォォ‼︎」
あいつは突然の爆発に対応できず、真っ逆さまに落ちてきた。
今がチャンスだ!
オレはブウロにトドメをさすために、走り出した。
だが、ブウロは再び吹き矢を咥え、オレに向けて吹き矢を放った。
オレは間一髪で避けたが、その間にブウロは姿を消してしまった。
チッ、まさかまだ吹き矢を撃てる元気があったとはな。考えが足りなかった。
オレはすぐに射撃体に変わり、辺りを見回す。
すると、オレとはかなり離れた距離を飛行しているブウロが見えた。
こっから撃ち抜くのには距離がありすぎる。
仕方ねぇ、こうなりゃオレもあいつを見失わねぇように追跡するか。
放置していると、人間を襲う可能性があるからな。
オレは俊敏体に変わって飛び上がる。
もちろん、ブウロがいるところは分かる。一度見つけりゃ問題ねぇ。
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追跡すること数分、オレはどっかの廃工場の近くでブウロに追いついた。
ダメージが多かったらしく、どんどん距離を縮めることができた。
射撃体に変わったオレは、ブウロの羽根に向けてボウガンの引き金を引いた。
すると、ボウガンの矢は見事にブウロの羽根を打ち抜き、あいつを落下させる。
もうあいつはこれと言った移動手段を無くしたことになる。あとはノンビリ歩いていっても間に合うだろう。
まぁ、一応急ぎますとも。もし落とした先に人間がいたら大変ですもの。
まぁ、こんなボロい工場にいるヤツとか、そうそういねぇっしょ
「ウギャアアァァァァ!!!」
……ウソだろ⁉︎
何でそんな都合悪く人がいるんだよ!
オレはダッシュで廃工場に向かっていった……。
ーーーーーーーーーー
【第三者視点】
これは、八神がブウロを追っていた時の話。
この廃工場には、リアスと朱乃、木場と小猫、そして兵藤が来ていた。
何故なら、魔界からはぐれ悪魔であるバイザーの討伐依頼が来ており、その依頼を達成するためである。
バイザーの実力は大したものではなく、悪魔になってまだ日も浅い兵藤に戦い方を教えながらでも十分戦うことができた。
今、バイザーはリアスの前に意気消沈して倒れている。
「何か言い残すことはあるかしら?」
「……殺せ」
「そう、なら…」
そう言って、バイザーにトドメを刺そうとした時だった。
ドガァァァン!
突然天井から、何者かが落ちてきたのである。それもかなりの勢いで。
いきなりの出来事に、混乱する一同。
その何者かは、体は羽毛に包まれており、背中には一対の大きな翼が生えていた。
よく見ると、その翼は何かに撃ち抜かれたように穴が開いていた。
「こ、こいつは…」
「…悪魔、なのでしょうか……。」
「あ、あらあら…。」
「何なんだよ、こいつ…。」
誰もがその何者かを不思議な目で見ている中、リアスだけが別のことを考えていた。
(この感じ…あの時のあいつと同じものだわ!)
そう、かつて公園で会ったあの怪人である。
この者とその怪人、雰囲気がかなり似ていると感じたのだ。
「ブゴ…!ガドル…ボゾギデジャス!」
あの時と同じ、理解不能の言葉である。
こいつもあの怪人の仲間と考えてもいいのかもしれない。
そして、彼はダメージを負ったバイザーを見て、こう言った
「ビザラ…、チョグド ジョバダダ」
バイザーに近づく何者か。何をするのか、最初は理解できなかったが、すぐに分かってしまった。
彼は、口の部分を大きく開けて、バイザーを食らい始めた。
「ウギャアアァァァァ!!!」
余りにも残酷な光景が広がる。
兵藤以外はそれほどでもなかったのか、精々顔を歪める程度だったが、兵藤はとても耐えられず、胃の中のものを吐き出してしまった。
もはや怪人と呼べる者はバイザーをすっかり平らげてしまった。
「ガドバ ガギヅサ ロボゾゲバ…!」
またもや意味不明な言葉を吐いたが、何をするつもりなのかは分かった。
今度は私たちを殺そうとしている!
危険を直感で感じたリアスは、全員に叫ぶ
「祐斗と小猫!そして朱乃はこいつを全力で攻撃して!!イッセー!あなたは逃げなさい!!」
木場と小猫と朱乃は、すでに同じ考えを持っていたらしく、リアスの指示と同時に攻撃を始める。
しかし、兵藤は自分だけ逃げたくはないのか、出入り口の辺りで困惑している。
「早く!このままだと全員が!!」
そこまで叫ぶと、何かが殴られたような音が三回分聞こえた。
そう、怪人が一瞬で三人を同時に殴ったのだ。
「ラズザ ボギヅサ ザ」
そう言って、怪人は足元の三人を見た。
今度は爪をむける怪人。焦りを感じたリアスは、自分の魔力を怪人に放つ。
しかし、怪人はまるで何も興味がないような顔をして、そのまま三人を殺そうとした。
その時だった。
大地がまるで生きているかのように激しく揺れ始め、怪人をふらつかせる。
その後すぐに突風が起こり、怪人を吹き飛ばす。
何かがかなり速い動きでリアス達の横を駆け抜けたと思えば、三人がいつの間にか先ほどの位置にいなくなる。
何が起こっているのか、全く分からない二人。
すると、後ろから声がした。
「オレの大切な仲間たちに、何してくれてんだ化け物!!」
そこには、昼間の普通のオカルト研究部員、八神 柊が、三人を抱えて立っていた。
ーーーーーーーーーー
オレはブウロが落ちたと思われる場所まで一直線の道を走っていた。
さて、何も起こってねぇといいんだが、すでに殺されたとか勘弁してくれよ?
ケガした体でも何人か人間を殺せば、何故か知らんが復活するんだよアイツ。
だんだん中がはっきり見えてきた。
よかった、まだ殺されてはいねぇみてぇだな…
……って、え⁉︎
何で木場と塔城と姫島先輩がアイツの足元で倒れてんだ⁉︎
てか、よく見るとあの後ろ姿はグレモリー先輩と兵藤じゃねぇか⁉︎
何であの人たちが狙われてんだよ!てか何であんたらここにいるんだよ!
考えてる時間もねぇ!もうブウロのヤツもほとんど死にそうになってるはずだ!
注意しなきゃなんねぇのはグロンギ態でやると、先輩たちにも被害が及ぶ可能性大だから、人間態でやるしかねぇってことだ!
不安が少しあるが、仕方ねぇ!!
オレはすぐに人間態に変わる。
まずは三人をアイツから引き剥がす必要がある。
そのために最初に剛力体に変わり、手を合わせて地面を叩く。すると、あの廃工場の中だけ地面がうごめいて、ブウロがふらついた。
直後、射撃体になって手を合わせ、前に突き出す。すると、風の勢いがどんどん強くなり、まっすぐブウロの方に向かい、ブウロを吹き飛ばす。
すぐに俊敏体に変わり、ダッシュで三人を一斉に拾う。
こうして、何とか三人を助け出すことができた。結構ギリギリではあったけど、なんとかなるもんだな。
さて…!あいつはやってはいけねぇ事をしたわけだ!!
「オレの大切な仲間たちに、何してくれてんだ化け物!!」
じっくり後悔させてやるよ!!
オレは剛力体に変わって走り出す。
ブウロも迎え撃つように肉弾戦を仕掛けてきた。
なるほど、普通の人間なら勝てると踏んだのか。あいにくだけど、オレは普通の人間じゃねぇんだ!
走り出す直前に、ちょいと失敬したそこら辺のパイプを剣に変える。
まさかパイプが剣に変わるとは思っていなかったらしく、ブウロに隙ができたので、そこを突かせてもらった。
ひるんだブウロの腹に、思いっきり蹴りを入れる。しばらくめり込ませ、そのまま吹き飛ばす。
ブウロが立ち上がって、今度は吹き矢を撃ってきた。オレは剣を縦にもち、飛んできた矢を右へ左へと受け流しながら一歩一歩ブウロに近づく。
焦りを感じているのであろうブウロは、より多くの矢を飛ばしてきたが、落ち着いて対処すれば何てことはない。
ある程度近づけたところでオレは駆け出し、吹き矢の筒を切った。
自分の武器である物がなくなったブウロは、戦う術がもうないだろう。
ブウロが最後のあがきでオレを蹴っ飛ばす。オレはそれをわざと食らってブウロとの距離を開けた。
飛ばされている途中、さりげなく手を合わせておいたので、オレはそのまま両手を地面に着く。
すると、地面が盛り上がってブウロを囲む、ドーム状の物が出来上がった。
オレの正面には、そのドームに少しだけ小さい窓がある。
オレは中のグロンギに向かって声をかける。
「その中がどーなってるか、よく分かってねぇと思うから教えてやる。その中は、お前周辺の水素と酸素を集めてある。まぁ、水素と酸素の密度がかなり高いことになっているんだが…。」
オレはここで少しだけ間を空ける。
次の言葉を聞いたこいつは、どんな反応するかな?
オレは格闘体にかわって、こう声をかけた。
「そんな中に火を投入しちまったら、どうなるか分かるか?」
言ってる意味がわかったのか、ブウロは急に慌てだした。ま、もう遅ぇよ。
オレはさっきと同じように、指を鳴らす。
小さい火花が起こり、真っ直ぐにドームの中に入る…。
「直火で焼いた焼き鳥の出来上がりだな♪」
中からかなり大きな音がして、炎が燃え上がった…。
バイザーって、ほとんど獣っぽいのかな?ってことで、ご飯になりました。
あと、何人か人間を殺せば云々は完全にオリ設定です。
敵役グロンギをブウロにした理由は、とりあえず空飛んでる敵にしたかったのですが、ゴオマもバヂスもなんか違う気がしたからです。