閣下が生きるハイスクールな世界   作:佐竹 リン

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十六話目

【第三者視点】

 

ドッヂボールの試合に勝って、使い魔を獲得する権利はオカルト研究部のものとなった。

 

それで今日はいよいよ使い魔を見に行く日である。

 

新人悪魔の二人は喜びの顔を浮かべ、先輩悪魔の四人はその二人の光景を優しい笑顔で見ている中、一人が明らかに不機嫌な表情をしている。

 

「なんで皆はそんな楽しそうなイベントに向かうのに、オレはチラシ配んなきゃいけないんすか〜?」

 

「仕方ないでしょ?あなたはジャンプ出来ないんだから。」

 

そう。八神は人間界に留守番を言いつけられた上に、先日同様チラシを配るように言われたのだ。

 

「納得いかないっす。チラシ配りは使い魔の仕事なんでしょう?お手伝いさんがすることじゃないと思います。」

 

「しっかり働いてもらうって言った事に元気に返事したのはあなたじゃない。」

 

「そりゃ皆がする仕事の手伝いならしっかりやりますよ?でもこれからは使い魔の仕事になるんだし、使い魔の仕事を手伝わなくても。

オレの立ち位置、皆の使い魔のパシリですか?」

 

「そこまで言うつもりは無いけど…。」

 

「止めてくださいよ。いくら何でも動物のパシリはマジ勘弁です。」

 

と、くだらないやり取りを繰り返しているのだ。

八神が必死でリアスに主張することで、最終的にはリアスが折れた。

 

「じゃあ分かったわ。あなたはこの前のようにお茶の準備でもして待っててもらえる?

なるべく早く帰るようにするから。」

 

「了解っす。」

 

その指示に対して了承の態度を示した八神を見て、リアスは朱乃に魔法陣の準備をさせる。

出来上がった魔法陣に乗り込み、ジャンプが始まろうとした。

 

「気ぃつけてなイッセー。カッケー使い魔を見つけてこいよ?」

 

「おう!任せとけ!」

 

八神が見送りの言葉をかけ、イッセーがそれに応えたのと同じタイミングでリアス達は使い魔がいる“使い魔の森”へと飛んで行った…。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

部長を説得して、何とかチラシ配りをしなくてよくなったオレは、指示された通りにお茶とお菓子を作っている。

今作ってるのは御手洗団子だ。

 

え?また団子かよって?

バカ野郎。この前のは三色団子だよ、ピンク、白、緑の。御手洗団子はタレがいい味出してる団子だ。全然違うだろ。

 

出来上がった団子を串に刺して人数分の皿に乗せる。

これでお菓子は完成だ。

あとはお茶を淹れれば、と…

 

うん?お茶っ葉が少なくなってきたな。

多分朱乃先輩が近々買いに行く予定だったんだろうな。

んじゃ、この後も時間はあるし、買いに行くとしますか〜。

 

オレは人数分のお茶を急須に準備して、いつでも湯呑みに注いで出せるようにしてから買い出しに出た。

 

考えてみりゃ、この時間に出掛けんのはチラシ配りの時くらいだったもんな〜。今すごい新鮮な気持ちだ。

 

オレは真っ暗な夜道を歩き、この街のスーパーに向かった。

しかし、改めて見るとスーパーまでの道って暗すぎねぇか?目の前が真っ暗で、すぐそこを見るのも一苦労だぞ。

仕方ねぇから射撃体になって、よく見えるようにしてから行きます……

 

 

 

 

 

!!

 

 

 

 

 

 

オレは殺気を感じ取って射撃体ではなく剛力体に変わり、硬化能力で首回りを硬くした。

 

ギィン!と甲高い音がなる。

 

オレは首に当たったものを確認するために視線を落とす。

 

 

 

 

それは、かなり鋭い鎌だった

 

 

 

 

そのことを確認したオレは、すぐにその鎌の持ち手となる方を殴る。

 

その拳は何にも当たらなかった。

けど、おかげでその殺気の正体が分かった!

 

 

 

 

 

「頭脳派のフクロウの次は、通り魔のカマキリさんかい?」

 

 

 

 

 

そこには、刀のような大きさの鎌を持ったカマキリの特性を持つグロンギ『メ・ガリマ・バ』が立っていた。

 

 

「たかがリントが私の攻撃を止めるとは…貴様、何者だ?」

 

ガリマはオレに向かってそう尋ねてきた。やれやれ、相手の実力が分かんねぇのに喧嘩売るとは、愚かなやつだ。

 

『…残念だったな、ガリマ』

 

オレはグロンギ語で話しかける。

ガリマはリント…人間が話せないはずの自分達の言葉を話した事と、名乗ってもいないはずの名前を当てられて、驚いた顔を見せる。

 

オレは少しずつ力を入れて、その姿を変える。

 

『私は、ただのリントでは無いのだよ』

 

オレの姿が完全に変わった時には既に、ヤツの顔は驚愕に満ちていた。

 

オレは剛力体に変わってから胸の石を取り、自分の剣に変える。

その剣でガリマに斬りかかるが、こいつは鎌の使い手だ。この手の武器での戦いにはそれなりに慣れてるだろう。

 

ガリマはしばらく鎌でオレの剣を受け止めていた。

その内の一発、オレがかなりの力を込めた下からの切り上げを受け流し、剣を上に飛ばした。

ガリマはそこで右回転をして勢いをつける。

 

ガラ空きになったオレの腹を狙うつもりか?甘いな!

 

オレはバックステップでガリマとの距離を開ける。

鎌がオレの腹のすぐ前を右から左へと通り過ぎていく。何とか避けきれた。

 

全力の一撃だったらしく、かなりの大振りだったからヤツに隙が生まれる。

オレは着地した足に力を込めて、一気に距離を詰める。

剣で突きを放ち、ガリマのベルトを破壊しにかかった。

 

こいつくらいの実力なら、これで終わりだろうと思っていた。

 

 

だが、ヤツは右足を振ってその剣を左に蹴り飛ばし、回し蹴りの要領で左足でオレの頭を蹴った。

 

そんな攻撃は予測できず、オレはモロにその蹴りを受けてしまった。

一瞬頭がグラついたが、なんとかグラつきがおさまった。

けど、ガリマの攻撃は終わらない。すぐに鎌を真下に振り下ろす。何とか避けたが、オレのいた場所をえぐるほどの威力があったようだ。

オレは横っ飛びでガリマの攻撃を避けたため、今のオレの位置はガリマの右側数メートル離れた場所だ。

次はどうやって仕掛けるか考えていたオレに向かって、ガリマは鎌を振った。

そんな離れた場所から攻撃しても当たるはずが…

と、思っていたが、ヤツの斬撃は驚くことに衝撃波のような形となって飛んできたのだ。所謂、飛ぶ斬撃だ。

マジかよ!『一つの平和』に出てくるゾロノアみてぇな事してきやがって!

オレは剣でその斬撃を止めたが、剣が少しだけ切れてしまった。

これじゃ使い物にならねぇな。新しいの作るか、戦い方を変えるか…。

 

『…やるな、流石はメ集団のトップだな。その位の実力はあって欲しいものだ。』

 

オレは余裕を見せつけるためにこのような発言をした。

それに返ってきたガリマの言葉は、オレを驚かせた。

 

 

『…メ集団?いつまでその話をしているつもりだ?

私はゲゲルを成功させ、新たな高みへと登りつめたのだ。』

 

 

『…何?』

 

どういう事だ?こいつのゲゲルは、確かに失敗したはずじゃあ…

 

 

『私の今の名は【ゴ・ガリマ・バ】だ。いつまでもメの名前を背負うつもりはない!

私はここで貴様を超えて、ゴの中でも頂点になる!』

 

ガリマは声高らかに宣言した。

いつの間にゴ集団の仲間入りしたんだ?とか、こいつこんなに野心家だったか?とか色々気になることは多い。

 

けどな…一つ確認するわ。

 

 

 

『…貴様、ゴの名前を取るために、何人のリントを殺した?』

 

『いきなりなんだ…覚えておらんわ、そんなもの。

過去のゲゲルの内容など覚えてはおらんし、殺したリントの数を覚えるのも、無意味というものだ。』

 

 

 

 

……やっぱりだ。コイツらは力を持っていない一般人を殺すということに対して、抵抗感も罪悪感もねぇ。

 

 

 

 

…こういうクソ野郎は大っ嫌いだ!

 

 

『そうか…ならば教えてやろう。』

 

オレは格闘体になり、力を加える。

 

『ゴ集団の頂点の力というものは、どういうものなのかを!』

 

ガリマが走り、オレの首に鎌を当てに来た。

 

オレは右から振られてきた鎌を、左手で受け止める。

その鎌をそのまま右に回転しながら後ろに引っ張ることで、ガリマは前のめりになり、オレはガリマを背にする体制になる。

右の肘でガリマの腹を肘打ちする。

正面に向き直ると、ガリマは腹を抱えながらも鎌を降り続けてきた。オレはバク転をして鎌を避けつつ、距離を開ける。

指を弾き、ガリマの顔に小規模の爆発を起こす。

目の前で起きた爆発に目がくらんだようで、ガリマは顔をしかめた。

その隙に、オレはガリマにボディーブローを叩き込む。

腹の痛みに苦しむガリマにラッシュを叩き込んでいく。

ダメージが蓄積されているガリマの顎を蹴り上げることでガリマの体を少しの間宙に浮かせ、トドメに前蹴りでガリマを蹴り飛ばす。

飛んで行ったガリマはそのまま転がっていき、しばらくせき込んでいた。

 

オレは一歩ずつガリマに近づいていく。ガリマは忌々しげにオレの方を見ている。

 

ガリマに大分近づいたところで、ガリマはもう一度鎌を振ってきた。

今度はそれを右手で掴む。

 

一瞬、赤い稲妻が走る。

 

すると、鎌は少しの形も残さずに砕け散った。

 

ガリマは切り札が粉々にされた事で、絶望感漂う表情を浮かべた。

 

『…最後に言い残すことはあるか?』

 

『……。』

 

『無いのか、それなら』

 

オレは右手をそっとガリマの頭に乗せる。

 

 

『もう楽になれ』

 

 

再び赤い稲妻が走ると、ガリマの体は糸が切れたように倒れた。

 

遺体となったガリマの体の前に立ち、オレは指を弾く。

ガリマの体が炎に包まれて少しずつ形を変えていき、最後はチリとなり風に乗って飛んでいった。

 

…何でこいつがこの世界に来たのかは気になるが、まぁブウロと同じように考えてても大丈夫だろう。

ただ、こいつがゲゲルを成功させてゴの力を手に入れたってのはどういう事だ?

死んだ筈のヤツが蘇ったってのはともかく、現実と違うことが起きてる。

これは、一度神さんに聞いてみたほうがよさそうだな…。

 

オレはそのチリを見届けた後、周りを見渡してから人間態に戻り、買い出しの続きをした…。

 

 

ーーーーーーーー

 

「グスッ…エグッ…スラ太郎ォ…。」

 

買い出しを終わらせて戻ってきたオレの目の前で、何故かイッセーがメチャクチャ泣いていた。

てか誰よスラ太郎って。とっとこ走るヤツの仲間か?

 

「なぁ、アイツ一体どうしたんだ?」

 

オレは近くにいた小猫に状況を聞いてみた。

 

「…いつもの事です。」

 

「あぁ、なるほどね。」

 

短すぎるし曖昧なのに、何故かイッセーのやらかしたことが大体読めた。

 

多分、スラ太郎ってのはこいつが見つけた使い魔候補で、能力が多分アッチ系のやつだろうな。

スラ太郎って名前から予測するに、そいつの正体はスライムか?となると、能力は服を溶かすとかだろうな。

んで、イッセーはそいつを使い魔にしようと決めていたが、女の敵であるスラ太郎は女子の皆さんと男一人から攻撃されて、お亡くなりになられた、と。

 

それで、イッセーが落ち込んで今に至るわけだな。

 

…情けなし、こんなに容易にイッセーがやらかしたであろう事を予測できるとは。

最初に「おう!任せとけ」って言って出て行ったアイツはどうしたんだ。

 

以上が、イッセー君の残念な報告です。

 

 

「アーシアの方は?お、可愛いドラゴンじゃねぇか。」

 

アーシアは使い魔を手に入れたようで、腕の中に蒼い模様をしている小さいドラゴンがいた。

オレがそのドラゴンを撫でようとした時

 

ビリバリビリッ!

 

「アイエェェ!ナンデェェェ⁉︎」

 

いきなり電気を流されました。

 

 

「ラッセーくん、おいたはいけませんよ?」

 

「♪」

 

アーシアがそのドラゴンに注意する。

お…おいたとかいうレベルじゃねぇだろ…。

しかも張本人聞いてねぇし。

 

「アーシアの使い魔は蒼雷龍【スプライトドラゴン】のラッセーよ。」

 

「部、部長…何でいきなり攻撃されたんすか……?」

 

「蒼雷龍は、他の種族のオスを警戒する傾向があるの。だからじゃない?」

 

そんな理由で…こんな経験しないといけねぇのかよ……。

 

そっからしばらく、オレはドラゴン恐怖症になりました。

 

おかげで大好きなゲームのモ◯ハンが出来ませんでした。

リオレ◯アとか、マジ怖い。

 

 

…以上が、アーシアにとってはいい報告。俺にとっては残念な報告です。

 




今回は通り魔、ガリマさんが登場しました。
なぜパワーアップしたガリマが出てきたのか、この世界にグロンギが出始めてきたのか。次回はその件で神様との会話の予定です。
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