閣下が生きるハイスクールな世界   作:佐竹 リン

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今回は完全に説明回です。
いないはずのグロンギが、パワーアップして出現した理由とは一体なんなのか⁉︎


十七話目

部活動が解散して、各自それぞれの帰路に着くと、オレは急ぎ足で自宅に向かった。

今日あった不可解な出来事について、神と相談しようと思うんだ。

 

家に帰り着いたオレは真っ直ぐに布団につき、心の中で神さんを呼びながら目を閉じる。

 

 

 

しばらくの浮遊感が感じられ、おさまった頃にはオレはすでに天界に到着していた。

 

「そろそろ来る頃だと思っていましたよ、八神さん。」

 

オレの後ろから声がかけられ、振り向く。そこには神さんが不愉快そうな顔を浮かべて立っていた。

 

「あなたの世界で起きたことはすでに確認しています。

何故グロンギがあの世界に訪れたのか、そして二体目のグロンギはあなたの記憶と違うのは何故か。それが聞きたいのでしょう?」

 

「あぁ、流石は神さんだな。

んで?何かわかってんのか?」

 

「ええ、必要な情報は全て調べ上げてきました。」

 

そう言うと、神さんは指をパチンと鳴らす。

すると周りの風景がガラリと変わり、まるで宇宙にでもいるような雰囲気になった。

 

「まず、最初のグロンギ。ゴ・ブウロ・グについてですが、大体はあなたが想像していることで間違いはありません。」

 

大体は?てことは、何かが違うのか?

 

「あなたはブウロが出てきた理由について、あなたと同じようにどこか別の世界に転生したブウロが、何かしらの理由でグロンギの本能に縛られてしまい、かつてのようにゲゲルを行う生物に逆戻りした。

そして、何かしらの方法で世界を超えてやって来てしまった。と考えたんでしょう?」

 

オレは頷き、肯定の意思を示す。

 

「実はそれ、少し違うんです。」

 

「違う?一体何が。」

 

「それについて説明する前に、先に二体目も説明しましょう。」

 

神さんはいつの間にか手に持っている資料を見ながら説明を続ける。

 

 

「二体目のメ・ガリマ・バ。改めゴ・ガリマ・バは、あなたが知っているガリマとは別人です。」

 

「……どういう事だ?」

 

「彼女は、あなたが以前いた世界とは違う世界から来ました。」

 

 

……よく言ってる意味がわかんない。

オレは今そんな顔をしていると思う。だって本当にわかんないもん。

 

その様子を見て、神さんは不自然に付いているスイッチを押す。

すると、宇宙のような空間の中に地球のような球体がいくつか出てきた。

そして、さらに説明を加えた。

 

 

「無数に存在する世界には、物語に沿った名前が与えられています。

あなたが以前いた世界、グロンギと戦士クウガが戦う世界は『クウガの世界』と呼ばれていますし、現在の世界は、悪魔が存在する高校を舞台とする物語なので『ハイスクールD×Dの世界』と呼ばれています。」

 

「オレが住んでる世界にそんな名前があったんだな。知らなかった…。」

 

「ですが、クウガの世界もハイスクールD×Dの世界も、一つだけではありません。」

 

「悪い、そこがよく分からねぇんだが」

 

オレは神さんの説明にストップをかけた。

オレが住んでいる世界が一つではないって、実感わかねぇし。

 

 

「それならば、ハイスクールD×Dの世界を例に挙げましょうか。

この物語の大筋はさっき述べた通りなのですが、その大筋には様々な分岐点が存在しており、その分岐点の数だけ同じ名前の世界が存在するんです。

あなたが今いる世界とは別に、兵藤 一誠が殺されずに平穏な日々を暮らす世界や、アーシア・アルジェントと出会わない世界。

更に言うならば、神器“赤龍帝の籠手”が別の人間に宿っている世界や、兵藤 一誠の性格が真面目である世界も一応存在しています。」

 

へぇ〜、イッセーが真面目な世界、ねぇ…。そんなのあるんだな。

…実に興味深いなそれ。是非とも真面目なイッセー君見てみたい。

 

「それはクウガの世界についても同様です。クウガが様々な敵を乗り越えて最後の敵を倒す世界や、グロンギの誰かと協力する世界など、数え切れないほどあるんですよ。」

 

二番目の世界は、大方オレが前にいた世界のことだろうな。

てか最後の敵ってことは、ンの名前を持ったグロンギだろ?そいつを一人で倒せるやつとかいるんだな〜。

 

「話を戻しましょうか。では、ガリマはどのクウガの世界から来たのか?

それについては、すでに結論は出ています。」

 

マジかよ⁉︎仕事早すぎるだろ!

さすが神って言われるだけのことはあるな〜。

 

「んで?どの世界からやって来たんだ?」

 

 

「それは、〝クウガがズ集団との戦いの最中にグロンギに負けた〟世界です。」

 

 

……………………は?

 

 

「いやいやいや⁉︎そんなはずがねぇだろ!

いくら何でもズ集団に負けるってことは」

 

「クウガにも様々な人間がいますから、あなたがよく知る人物とは全く違う愚かなクウガもいるんですよ。

例えば、真っ先にンの名前を持ったグロンギに戦いに行くような人とかね。」

 

…そんな事ってあるのか?

それってRPGで言うと、スライムしか倒せねぇ勇者が魔王に挑戦しに行くようなもんだろ?

 

「クウガが負けてしまえば、人間をゲゲルから守ることができる人物がいなくなり、結果多くのグロンギが力をつけてきた。

よって、ガリマはメ集団からゴ集団へと昇格したのです。」

 

「なるほどな…。あいつが妙に強くなっていたのはそのためか。」

 

オレは神さんの説明に納得して、相槌を打つ。

てか、そうなったらその世界もう終わりだろ。人類滅亡まであと何日?っていうカウントダウンが始まってもおかしくねぇな。

 

 

「次に、何故この世界にやって来たのかについてですね。」

 

神さんがオレの思考を遮るように咳払いをしてから話し始める。

そう、何よりそれが重要だった。

 

「実はそのクウガの世界と、あなたがいるハイスクールD×Dの世界が徐々に近づいてきてるんです。」

 

すると、オレが今いる世界を表す地球と、崩壊直前のクウガの世界を表す地球がだんだんと近づいてきた。

 

「世界観が違う別々の世界同士が近づくという現象は稀にあることでして、放っておいてもいずれ離れていくものなのです。

しかし、離れるまではそれぞれの世界からもう片方の世界に移動してしまう事もあるんですよ。

もちろん移動してしまった人を見つければ、元の世界に返すために我々も動くのですが、中にはそのまま移動先の世界で暮らそうとする者もいるんですよ。

それこそグロンギのように、もう一つの世界でゲゲルを働こうとする場合とかね。

その現象によって、ブウロもガリマもやって来てしまった。という訳です。」

 

「…つまり、その世界が離れてしまうまでは、グロンギがこっちに来ることもあるって事か?」

 

「そうなります。そこで、厄介な事を押し付けてしまうのですが…」

 

「分かってる、みなまで言うな!」

 

オレは神さんの言葉を遮って叫ぶ。

 

「それまで、こっちの世界に渡ってきたグロンギを倒せってんだろ? 任せといてくれよ」

 

オレがそう言うと、神さんは安堵の表情を見せた。

 

「助かります。あの世界は私達が責任を持って物語を再構築していくので、その為にもあなたの世界とあの世界を離さなければならない。

あなたがあなたの世界に入り込んだグロンギを倒し、世界の距離が離れさえすれば、すぐにでも実行しますので、ご安心ください。」

 

そうか、それなら安心……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、再構築って何?」

 

「それに関しては企業秘密です。

ざっくり言えば、グロンギがいない平和な世界にしてしまう事です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

クイッ ガコンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

神さんが何時の間にか横に垂れ落ちてきた紐を引く。

 

すると、嫌な音とともにオレの真下の地面が開いた。

 

「そろそろ、起床の時間です。

先程頼んだこと、どうかよろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

 

 

 

「ウソダアアァァァァァ!!!」

 

 

 

 

オレはなぜかまたもや超スカイダイビングをする羽目になった…。

 

 

 

ーーーーーーーー

【第三者視点】

 

「…さて、どうしたものですかね?」

 

八神を送り届けた(落とした)神は、問題のクウガの世界を表す地球に手をかざす。

 

手をその地球にかざすと、その世界で起こっている出来事を見ることができるのだ。

 

地球の上にボンヤリと映像が映し出される。

 

そこには、黄金のベルトを巻いたグロンギと、鉛のような色のベルトを巻いたグロンギがいた。

 

その光景は、雪山の中で行われた最後のゲゲル『ザギバスゲゲル』の様子であった。

 

たった今、決着が着いたようだ。

 

黄金のベルトを巻いていたグロンギが、ゆっくりと倒れていく。

 

勝者となったグロンギは、倒れたグロンギに近寄り、ベルトを受け継いだ。

 

ここに、新たなグロンギの王が誕生した。

 

その様子を見届けた神は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…正義感溢れる青年も、別世界では醜いものですね……。」

 

 

 

 

 

 

 

そのグロンギには、頭に一本の小さいツノが生えていた…。

 

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