オレ達、オカルト研究部員は、今現在山を登っております。
何故か?修行をするためだ。この山の頂上にあるグレモリー家の別荘なるものに宿泊するらしい。
学校は?公欠を取っている。なんか駒王学園の園長が悪魔と繋がりがあるとか無いとか。シトリー先輩が生徒会長であるのも関係していると見ていいだろうな。
「いや〜、まさかこんな季節に山登りする事になるとは思わなかったな!なぁ、イッセー!」
「…ハァ、ハァッ。う、うるせぇ…ハァ、ハァ…。」
オレの隣を歩くイッセー君は息切れしながらキツそうに登っている。
まぁ背中に背負っている荷物の所為なんだろうが。
「そんな程度でヒーコラ言ってたらダメだろ〜?オレだって同じくらいは持ってるわけだし。」
「お先に。」
「あ、ほらユウトに先を越されたぞ?あいつだって同じ量の荷物持ってんのに、爽やか〜な顔のまま淡々と登って行ってるし。」
「…うるせえ…ハァ…ハァ…」
「…失礼」
「おいおい、お前の倍くらいの荷物抱えた小猫にも追い抜かれたぞ?お前の限界はそんなもんか?」
「ウ、グググ!」
「そろそろオレもお前に合わせるのに疲れてきたな〜、先行っちまうぞ?」
「…ま、負けてられっかぁ!!」
「よし!いいぞ!行け!」
とまぁ、いつも通りのスタイルで頂上に向かっている。
部長と朱乃先輩はジャンプして先に行っちまったし、アーシアはノー荷物だ。本来は女性陣に荷物を持たせるのは紳士としてあってはならねぇことだが、小猫は性質的に例外だ。オレ達の中で一番の力持ちだから一番荷物が多い。
それじゃあ流石に悪いってことで、オレが申し訳程度に小猫の荷物を少しだけもらった。それでもあいつが一番多いんだけど。
「よし!頑張れイッセー!もう少しで頂上だ!」
「うおぉぉぉぉぉ!!」
多分山登り組みで一番うるさいだろうなオレ達。
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別荘につきました。
初めて見たけど、確かに修行には向いてるなここ。模擬戦を行うのに丁度良さそうな広場が別荘の目の前にあるし、他にも様々な場所にある。
ここら一帯にある山は全部自由に使えるらしいし、苦労することはねぇだろうな。
着替えを終わらせた部員が次々に別荘から出て来る。
因みに、オレ以外は学校指定のジャージだ。オレは自分専用の戦闘服、真っ黒なスーツを着ている。(ハガレン本編で、グリリンが来ていた服)この服が部屋にあった時は神さんにかなり感謝したね。
「シュウ?貴方、その服で修行するの?」
「大丈夫っすよ。案外これ動き易いんで。」
「そう、ならいいわ。先ずは実戦形式でいきましょう。祐斗とイッセー、準備して。」
「「はい!」」
部長の指示が出ると、二人はそれぞれ戦いの準備を始める。
イッセーも武器を使って戦うことを覚えて欲しいようで、イッセーもユウトも木刀で戦うらしい。
二人が向かい合ったところで模擬戦が始まったが、流れは一方的だった。
ただ刀を振り回すイッセーに対し、ユウトは的確に相手の隙を突いている。
「そうじゃない!剣だけを見るんじゃなくて、視界を広げて周囲全体を見るんだ!」
ユウトはイッセーの背後に回り込み、イッセーの刀を叩き落とす。
「…!さすが木場だ」
あ、あいつ油断しやがった。ユウトがそこを突かないわけがないよな。
「気を抜かない!」
再び刀を振り下ろすユウト。イッセーは慌てて真剣白刃取りっぽく木刀を止めようとしたが、時すでに遅し。
パコォンという音がなり、イッセーは気絶してしまった。
頭に当たったな、間違いなく。
部長は一度ため息をつくと、
「仕方ないから、イッセーは休憩ね。次はシュウとユウトでいきましょう。」
「ういっす。ユウト〜?スピード重視の槍とパワー重視の刀、どっちとやりたい?」
オレの質問に、ユウトは少し考える素振りを見せて
「槍とやってみたいかな?その手の武器の使い手を見たことがないから。」
と答える。
答えを聞いたオレは、俊敏体になってそこいらにある木の枝を触る。
木の枝は形を変えて、一本の槍になった。あ、槍といっても木で出来ているから死ぬことはねぇぞ。
そして、オレとユウトの模擬戦が始まった。
ユウトの駒は“騎士”。かなり素早い動きで相手を翻弄しつつ、剣で相手を切り刻む事を得意とするんだっけか?
近づき過ぎると得意のスピードが生かせないし、離れ過ぎると相手を切るタイミングを失う。そこで、適度な距離を保とうとする。
つまり、中距離型だな。
現に、ユウトはオレの槍が届かない辺りで高速移動を繰り返している。
隙を見つけたら、そのままの速度で斬りかかってくるだろう。
だがまだ足りないな。その手の戦法を使うのなら、まだ工夫が必要だ。
オレは目を瞑り、わずかな空気の流れを感じ取ろうとする。
右、左、前、左、後、前、右、左、前…
読めた!
オレは槍を左に振る。すると、その槍を避けるために移動方向の急転換をしたユウトが姿を現した。
オレはすかさず左手を軸にして槍を回し、ユウトに振り下ろす。
ユウトは刀で受け止めたが、それによってさっきまであった速さが完全に消える。
オレは瞬時にユウトの背後に回り、槍を突き出す。
ユウトは何とか刀で防いだみたいだが、突き出した勢いは殺せず、そのまま吹き飛んでいった。
そして、オレは高速移動でユウトの周りを走る。
さっきまでユウトがオレに対してやってきた戦法だ。スピードはオレの方が遅いんだが、ユウトの弱点を改善した走り方だ。
ユウトはオレがどこにいるのか分からないらしく、周りを見渡している。よって、隙が生まれた。
オレはすかさずその隙をつくことで、ユウトの刀を叩き落とした。
カランッて音がなり、木刀が地面を滑っていく。
「…参ったね、負けてしまったよ。」
「いんや、なかなか面白い戦い方だったぜ?
ただ、走り回っている時のルートが一定になってる。だからどんなに速く走っていても、ルートがバレてしまえば次にお前がどこにでてくるのか読めるってことだ。」
オレは槍を元のように枝に戻してから部長の元に戻る。
「…やっぱり凄いわね貴方、戦い慣れしすぎよ。」
「まぁ、ほとんど毎日命懸けでしたから。
…て、アレ?イッセーは?」
「別の修行に移ったわ。貴方はそのまま小猫とお願い。」
「…よろしくお願いします。」
小猫か…手にグローブはめてるし、大方接近戦か。
確か小猫の駒は“戦車”で、馬鹿力がつくんだよな?めっちゃシンプルと思った覚えがある。
んじゃ、剛力体で格闘か?それとも素直に格闘体でやるか…
「…紫でお願いします。」
お?珍しく小猫が要求してきたな〜。パワー勝負でやりたいって事か。
「よし分かった。容赦しねぇぞ?」
オレは剛力体で構えを取る。
…何気に剛力体で殴りあうのは初めてである。
「えい」
ドムンッ!
うぉ!毎度毎度思うことだけど、ここの人達言葉と威力が一致してねぇ!
心配だから硬化能力も追加!
オレの体が腕から順に黒く染まり、皮膚がダイアモンド並みに硬くなる。なのに、小猫のパンチは痛い。
「クソ!見かけによらねぇ力だよな!」
「…見かけによらない?」ムスッ
「アレ?どしたの小猫?急に顔をしかめちゃって」
何かボソッと呟いたと同時に顔をしかめる。不機嫌?なんで?
「…えい!」ズドン!
「ゴフォオオォォ⁉︎」
小猫のパンチはダイアモンド以上に強いそうです。
「グ…ハハッ。いいじゃねえか、その威力。嫌いじゃねえ。」
「…嫌いじゃない?」パアッ
…今度は顔が明るくなった。
でも無表情なのは変わりねぇから、何つーか…目?目が輝いたってやつだ。
「…おーい、小猫さん?」
「…なんでもないです。続けましょう。」
よく分からないまま、オレと小猫の修行は進んでいった。
特にこれといった特徴もねえ戦い方だけど、小猫の特性ではそれがあってるからよしとするか。
ーーーーーーーー
クタクタになって帰ってきたオレ達の前に出された食事に泣きそうになったのはオレだけじゃないはず。
と言うより、多分画面の向こうの皆様もそうなるであろう。
だって…だって……
「何でジャガイモと玉ねぎオンリーの食事になってんだよ!!」
「すまん!謝る!許してください!!」
食事の内容が全部ジャガイモと玉ねぎがメインだったからだ。
ジャガイモと玉ねぎのスープとか、ジャガイモと玉ねぎのサラダとか。
何でご丁寧に全部ジャガイモと玉ねぎなのか訊いてみたところ、イッセーが修行の一環として魔力で料理した結果らしい。
だったらせめて一品くらいは手で作れよ!何が悲しくてこんなにジャガイモと玉ねぎ食わなきゃいけねぇんだよ!人参と肉加えてカレー作るとかやってくれよ!
と、文句言いたかったが作ってくれたことには変わりなしだ。
黙々と消化活動を繰り返しましたよ、えぇ。
味は良かったけれども、今後しばらくはジャガイモと玉ねぎ見たくないです。
…ご馳走様でした。
「さて、イッセー?今日一日を通してどうだった?」
「俺が一番弱かったです。」
食事がひと段落したところで部長がイッセーに声をかけ、それに即答するイッセー。
…そんな自信満々に即答するなよ。
「そう、それは間違いないわ。貴方とアーシア以外は皆戦闘経験が一応あるから、感じをつかめさえすれば戦える。シュウに至ってはそのまま戦いの場に出ても問題なさそうなくらいよ。
けど、アーシアの回復もイッセーのブーステッド・ギアもかなり戦力になるわ。
だから、せめて逃げるくらいの力はつけて欲しいの。」
「「はい!」」
確かにそうだろうな。
今日の感じだと、木場も小猫も十日後までには戦えるようになってくるだろうし、朱乃先輩と部長は既に相手からも警戒されるほどの実力を持っているみたいだ。だから特に心配することはねぇだろう。
ただ、この二人に関しては…
「それじゃダメっすよ、部長。」
オレは部長と二人のやりとりに口を挟み、その場にいる誰もがオレの方を見る。
「相手からすればブーステッド・ギアも回復の力も厄介な力な訳ですから、確実に潰しに来るでしょう。
逃げるだけじゃダメなんすよ。戦場では、自分に降りかかる危険は自分で払う必要がある。
特にイッセーは、敵と戦って追い払うことができるくらいにはなってもらわないと、はっきり言って使いもんになりません。」
これは全部正しい事を言ってるつもりだ。
人数比が圧倒的に不利な状況の中で、わたわた逃げるだけの兵士ほど邪魔なものは無い。
ましてや、その兵士がかなり強い武器を持っていれば、軍の決め手が決め手として働かないから迷惑にもなる。
アーシアは回復で貢献できるからまだいいとして、戦わないブーステッド・ギアの使い手とか何で要るの?て話だ。
オレの話を聞いたイッセーとアーシアの顔は少しだけ暗い。
使えない宣言されれば仕方ねぇことではあるけど、そんなことでへこたれるようじゃ先が思いやられる。
…ま、こいつの事だ。
「…あぁ、やってやるよ。」
「聞こえねぇな?もっとおっきな声で言えよ。」
「やってやるよ!オレの敵、いや皆の敵を倒せるように、強くなってみせる!」
「よし!いいぞ!元気の良いやつは大好きだ!」
イッセーはそんなことでへこたれるような男じゃねぇよ。それが分かってたからボコボコに言わせてもらったんだ。
イッセーの様子を見た皆は微笑んでるし、アーシアも頑張ります!って顔をしてる。
そうそう、これこそオカルト研究部だ。
「さて、やる気も入ったところでお風呂にしましょうか。」
「お、お風呂ォ⁉︎」
イッセーの顔はさっきまでの勇ましさはどこかへ行ってしまい、一瞬にしていやらしさへと早変わりしてしまった。
「僕は覗かないよ?イッセーくん」
「な、木場!お前なぁ!」
木場がシレッとイッセーがやろうと考えている事を公表した。おのれ木場、やりよる。
「あら?イッセー私達のお風呂を覗きたいの?なんなら一緒に入る?」
「え⁉︎いいんですか⁉︎」
…ものっそい食いついた。何なんだよ、部長の変態発言に対し、まるでしばらく餌を与えられていなかった魚に餌と言う名の針を入れた時みたいな異常な食いつきの速さは。
イッセーの顔がどんどん赤くなっていく。
「ええ、構わないわよ?朱乃はどうする?」
「うふふ、殿方の背中を流して差し上げたいですわ。」
…この人も変態だったか。
二大お姉様なるものが、二大変態様だったとは。松田と元浜が聞いたら、泣くだろうな。
あ、泣いて喜ぶって意味ね。
イッセーの顔は真っ赤である。
「シュウくんも一緒にどうですk「丁重にお断りさせていただきます。」…残念ですわ…。」
勘弁してくれ。オレは風呂にはゆっくりつかりたい派なんだ。
そんな地獄の場所に連れて行かれて、ゆっくりできるか。
「アーシアは、愛しいイッセーなら大丈夫よね?」
アーシアは顔を真っ赤にさせてからゆっくり頷く。
まぁ、こいつはイッセーのこと好きみたいだしな。当然と言えば当然だ。
イッセーの顔は真っ赤っ赤である。
「小猫は「嫌です」あら、残念。」
…イッセーの顔が一気に青くなる。
残念、イッセーの野望は一人の正常な少女によって崩れていくのであった。
「なら、シュウは?」
「………嫌です」
今の間は気にしない。気にしないよオレは。
小猫まで変態とか思いたくないからね。
結局、女性陣だけが風呂場に入っていった。
イッセーはそこで未だに落ち込んでます。
「…こうなったら……。」
「?どうした、イッセー?」
「意地でも覗いてや」ゴン!
…イッセーは未だにうつ伏せで落ち込んでます。