閣下が生きるハイスクールな世界   作:佐竹 リン

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新学期始まって早々に台風で休校…。どうせならあと1日早くきて欲しかったです。
そしたらレポートを最終日に徹夜ですることも無かったのに…泣


三十話目

「聖剣計画?」

 

「そう。祐斗はその計画に参加させられていたの。」

 

オレとイッセーとアーシアは、部長からユウトの過去について話をしてもらっている。

 

 

 

今日の部活終了後、ユウトの過去にあった出来事を知りたかったオレは、部長に尋ねてみた。すると、部長は

 

『この後、イッセーとアーシアにもその話をするつもりなの。だから、イッセーの家に来てちょうだい。』

 

と答えてくれた。

だからオレはイッセー宅に入り、こうして三人で授業を受けているんだ。

 

 

 

話を戻そう。

 

 

部長の口から、聞いたことのない言葉が出て来た。聖剣は分かるが、聖剣計画ってなんぞ?

オレの疑問を感じ取ってくれたのか、部長はより詳しく話し始めた。

 

「そもそも、聖剣を使う事が出来る人間は限られているの。どれくらいの割合で生まれるのかは分からないけど、かなり少ないって聞いたことがあるわ。聖なる力を与えられ、超自然的な力を持つと言われているから当然ね。

でも、悪魔を敵視する教会側にとっては、聖剣使いは多く居てくれた方が良かったりするの。」

 

「聖剣が悪魔にとっての最大の弱点になるから、ですよね?」

 

イッセーの確認の言葉に、頷いて肯定の意思を見せる。

悪魔にとっての弱点は〝聖なる力〟を持つものと〝光力〟を持つものだって聞いた事がある。それでいくと、両方の属性を持っている聖剣はかなり効果があるんだろう。

 

「悪魔が触れれば身を焦がし、斬られればそのまま消滅する…。だから教会は、聖剣使いを人工的に生み出そうとした。それが聖剣計画というのよ。」

 

「そんな計画があったなんて…知りませんでした…。」

 

教会が心の支えでもあったアーシアが知らないとなると、多分裏方で極秘に行われてきた事だな。

 

「多くの人間達が聖剣を使えるように養成されたらしいんだけど、祐斗はその中の一人なの。」

 

「それで、木場は聖剣に適応したんですか?」

 

「いいえ。祐斗だけでなく、養成された人間達も、誰一人として適応出来なかった。

そこで教会側は、聖剣に適応出来なかったその人達を不良品として…」

 

「処分した、と…」

 

部長は小さく頷いた。

成る程な…コレで全てに合点がついた。ユウトは何とか処分されずに済んだものの、聖剣計画に関係した全ての教会関係者、引いては聖剣その物に対して恨みを感じるようになったって事か。

復讐…アイツが言っていた意味がようやく分かった気がする。

 

「そんな…主に使える者が、その様な事をして良いはずがありません…。」

 

アーシアは目を潤ませている。

前日の事然り、今回の事然り…信頼していた教会に何度も裏切られたんだ。当然の反応だな。

 

「教会関係者は悪魔の事を邪悪な存在としてしか見ていないけど、私には人間の悪意の方がより恐ろしく感じる事があるわ…。」

 

哀しみを帯びた表情を浮かべる部長。

 

すると、イッセーが一枚の写真を取り出した。

あの日、ユウトが見ていた写真だ。

 

「この写真を見てからなんです。木場の奴がおかしくなったのは。」

 

部長は差し出された写真を手に取り、写真に写っている聖剣をマジマジと見詰める。

暫くして、部長は顔を上げた。

 

「間違い無いわ。これは聖剣よ。まさかこの町に一本あったなんて…。前担当の悪魔が消滅させられたというのも、この剣があったからなのね…。

イッセー、シュウ。貴方達の周りに教会関係者の方はいるの?」

 

「俺の身内にはいません。」

 

「オレもっす。」

 

…まぁ、一人神さん知ってるけど。あの人は別だろ、多分。

 

「そう…なら、この写真に写ってるこの子の関係かしら…。それとも…」

 

 

それっきり暫く、部長は一人の世界に入り浸ってしまった。何やらブツブツと呟きながら考えている。

 

「あ、あの〜。部長…?」

 

イッセーが横からコソッと声を出す。

部長は顔をハッとさせ、意識をオレ達の方に向ける。

 

「ゴメンなさい。少し考え込んでしまったわ。

 

 

…そろそろ寝ましょうか。遅くなってしまったし。」

 

すると、部長は慣れた手つきでスルッと服を脱ぎ出した。

 

「ぶ!ぶぶぶぶ部長ぉ⁉︎な、何でいきなり服を脱ぎ始めてるんですか⁉︎」

 

「何でって…私が全裸じゃないと眠れないのは知っているでしょう?」

 

「それは知ってますけど!何でこの部屋で脱ぐんですか⁉︎」

 

「この部屋でイッセーと寝るからに決まってるじゃない。」

 

イッセーが必死に部長を食い止めようとするも、部長は理にかなっていない事を言いながら次々に服を脱ぐ。

 

 

「なら私も脱ぎます!私も一緒に寝ますぅぅ!」

 

アーシアも負けじと服を脱ぎ始めた。

 

「うぉぉぉい!やめろアーシア!

部長!お願いですからやめて下さい!アーシアの教育上悪いんで!」

 

必死な形相で部長の【Cast off】を止めようとする。確かにこの状況を丸く収めるには、部長を【Put on】させるしかねぇだろうが…。オレが思うに、そんな簡単には止まらねぇんじゃ…。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫よ。私達、既に毎日一緒に寝てるじゃない。」

 

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

 

 

 

へ〜、一緒に寝てたんだ〜。

 

 

 

 

 

 

……チラッ(アーシアの方を見る)

 

 

 

 

 

 

oh,絶望しきった顔してるぜ。

紫のヒビがビシビシ身体中に入るんじゃねぇの?

 

 

「そ…そんな…イッセーさん……!」

 

アーシアに「この裏切り者!」って感じの顔(まんまそうなんだけど)で見られてたじろぐイッセー。

 

オレの方を、助けを求める顔で見てくる。

 

 

「…イッセー。」

 

「な、何だよ!シュウ!」

 

期待、歓喜、感激…。そんな顔でこっちを見るのは勝手だが。

 

 

 

 

「お前がアーシアの、最後の希望になってやれ」

 

 

 

 

オレはお前を助ける気はねぇぞ。

 

 

 

 

その瞬間、イッセーの顔はさっきまでとは打って変わって絶望に満ちた物になる。

 

 

オレはサッサと荷物をまとめて

 

「それじゃ、オレはこれで帰ります。部長、アーシア、おやすみなさい。」

 

「えぇ、おやすみ。」

 

「あ、おやすみなさい、シュウさん。」

 

と、別れの挨拶も済ませてやった。

 

 

 

「裏切り者ぉぉぉぉ!!」

 

 

 

イッセーが何か叫んでるけど、聞こえないね。うん。

 

ーーーーーーーー

【第三者視点】

 

これは少しだけ前の話だ。

 

部員達と揉めるような形で別れてしまった木場は、一人で夜道を歩いていた。

正直、少しだけ後悔はしている。仲間に迷惑を掛けてしまった挙句、心配して寄って来た兵藤を突き離すような態度で接してしまったのだ。

だが、それでもやり遂げなければならない。犠牲になった仲間達の為にも、自分は戦い続ける必要があるのだ。

 

そんな事を考えている木場の目に、一つの人影が映った。

夜道のため姿がはっきりとは見えないが、着用している服から大体の予測はついた。

 

(神父…!)

 

神父だって立派な教会関係者なのだ。木場が復讐心を向ける相手でもある。

だが、だからと言って攻撃を仕掛ける訳にはいかなかった。そうすると、自分ははぐれと同様に、討伐される対象になる。それは主であるリアスに余計な迷惑を掛ける事になる。流石にそれは避けたかった。

 

だが、神父はフラフラとした足取りで歩いており、直ぐにでも倒れてしまいそうなほどであった。

 

「た…たすけ……」

 

神父が何かを呟くと同時に、神父の腹部から尖った何かが突き出される。

赤い血が舞い、神父の身体はゆっくりと倒れてしまった。

 

この神父をやったのは一体誰なのか……。考える間もなく、木場に向かって声がかけられる。

 

「やっほ。お久だねぇ、イケメン悪魔ちゃん。」

 

「フリード・セルゼン…。」

 

見たくもない奴に会ってしまった。木場は心の中で毒づく。

アーシアの一件の際、自分と小猫の二人で気絶させて以来見かけなかったため、何処かへ行ってしまったものと思っていたのである。

 

「まだこの町に滞在していたんだ。生憎、今僕は至極機嫌が悪いんだよ。」

 

「やっはー、それは奇遇ってもんですな〜。それは僕チンも一緒なんすよ。ほら、僕チョー強いんで〜、一度戦った悪魔ちゃんは即チョンパなんすよ。だから一度取り残したクズ悪魔を見ると無性に苛立つんだよぉ!!」

 

変わらない声で叫び、フリードは一本の剣を取り出した。

その剣から、何処と無く嫌なエネルギーを感じられる。

 

「あんたの魔剣と俺様の聖剣、どっちが強いか勝負といこうじゃないか。お礼なら一杯あげるよ。粉になるまで斬り刻んでやっからよぉ!」

 

飛び掛かってきたフリードに迎え討つように、木場も己の神器で二本の魔剣を創り出す。

光を喰らう魔剣と、炎も斬り裂く魔剣。どちらもライザー戦で使った魔剣であった。

互いの初撃がぶつかる。が、木場の魔剣が光を喰らう前に刀身が砕け散った。

すぐさま距離を取り、新たな魔剣を創り出す。

 

しかし、気付いた時にはフリードは木場の目前まで迫っていた。

 

振り下ろされる一撃を防ごうとするも、魔剣は再びあっさりと破壊される。

横薙ぎにされた剣を、頭を下げて間一髪で避ける。

 

もう一度距離を開けた木場は、激しい脱力感と共に、頬に燃えるような痛みを感じた。摩ってみると、指に血が滲んでいた。

どうやら避けるのが遅く、頬を少しだけ掠めてしまった様だ。

 

掠めただけでこの威力…。木場は改めて気を引き締めた。

 

「ひゃっほう!流石は聖剣、エクスカリバーちゃんだ!クソ悪魔の魔剣なんざ、全く寄せ付けもしない。流石は伝説の武器ってやつですなぁ!」

 

聖剣、エクスカリバー…。目の前に自分が最も恨んでいる代物がある。

何があっても、アレだけは破壊したい。

木場は別の魔剣を創って構える。

 

「さてっと。サッサとこの悪魔ちゃんもぶっ殺しちゃうとしますか!」

 

そう言って飛び出そうとしたフリード。しかし、突然変な音声が鳴り響き、フリードの動きが止まる。

 

「ッチェ。時間切れってわけですかい。よかったねぇーまだ生きてられるってよークソ野郎。」

 

すると、フリードは懐から何やら球体の物体を取り出した。

 

「また会った時は絶対殺してあげるんで、待っててっちょ?」

 

フリードはその球体を地面に叩きつけるように投げた。

眩しい光が周囲を覆い、木場の視界を奪い取る。

視界がハッキリとした時には、既にフリードの姿はなかった。

 

「…次は絶対に倒してやる。」

 

木場は剣を収め、また歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その上空にて、今の戦いを見届けていた異形の存在には気付かずに。

 

 

『聖剣…か。成る程、確かにこちらの世界の方が面白そうだ。』

 

顔全体を覆うように被せられているマスクの下から不敵な笑みがこぼれる。

 

奴は背中に生えている羽根を広げ、何処か遠くへと飛び去っていった…。

 

 




雑談ショー☆は今回お休みします。
今回も出てきたグロンギ…。実はこれ、とある方からのアドバイスを頂きました。ありがとうございます!

さぁ、彼は一体何者なのか⁉︎一体何を企んでいるのか⁉︎

次回は教会からの、あの二人が登場する予定です。お楽しみに!
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