〝オレ〟〝ムサシ〟〝ニュートン〟〝エジソン〟
…宮本武蔵が来るとは。てっきり織田信長とか戦国大名が来ると思っていました笑。
意外ではありましたが、最強の剣士だから納得です。
強化フォームとか最強フォームとかはどうなるんだろう…。
あの後、何とか部長を引き剥がして話を聞いてみたんだが…その内容には中々驚かされたぜ。
部長曰く、あの二人は教会から派遣されてきた聖剣使いであり、とある任務の都合でこの町に来たって事らしい。んで、この町の管理悪魔である部長と、任務上で必要な交渉を交わすために話をしようと思って学園を訪れて来たそうだが、丁度部長がいなかった為に代わりで生徒会長さんが応対したとか。
会長さんからその事を伝えられた部長が念の為と思って二人の位置を捜したところ、二人揃ってイッセーの家にいる事が分かり、もしかするとイッセーとアーシアが襲われているかもしれないって考えたらしい。だからあんなに慌ててたんだな…。
「詳しい話は明日の放課後、部室でする事になってるわ。部員の皆を集める必要がありそうね…。」
そう言う部長の顔は少し暗かった。
当然の事だろうな、部員全員って事は必然的にユウトも含まれる。聖剣使いに対しても恨みを持っているであろうユウトがその場に着くというのは、かなり心配だもんな。
多分…いや、絶対面倒事が起きると見た。
今日はそこでイッセー達と別れ、オレは自分の家へ帰ったってとこだ。玄関の前に立ち、家の鍵を開け、扉を開けて中に入ろうとした時、
「ニャン♪」
と、後ろから鳴き声が聞こえた。後ろを振り向くと、オレが飼い始めたあの猫がチョコンと座っていた。
「よぉ、おかえり。」
オレは少ししゃがんで猫の頭を撫でる。気持ち良さそうにしながら撫でられている猫の顔をモロに見てしまった。
…何なんだ、この非常に愛くるしい動物は。
「ま、取り敢えず入ろうぜ。」
「ニャア」
…毎度毎度、何故にコイツはオレの言葉が分かるようにしっかり反応するんだ?問いかけているオレ自身が言えた事じゃねぇが、正直反応が返ってくるとは思わなかったぞ。
家に入っていつもの様に料理を作り、猫の前にはキャットフード(今日の朝買ってきた)を置く。
テーブルについてチャッチャと飯を食っていると、オレは猫の様子がおかしい事に気付いた。
全くキャットフードに口をつけようとしねぇんだ。昨日はスゲェ食欲で、出した食材を全部食っちまったってのに、今日は一体どうしたんだ?
…あ、まさか
「コレ、嫌いか?」
猫は申し訳無さそうにゆっくり頷く。申し訳無さそうにとか、そんな事猫が出来るわけ〜っていうツッコミは聞かねぇぞ。コイツなら余裕で出来そうだ。
まぁ、問題は全く無い。キャットフードを余り好まない奴もいるって事は既に調べていたからな。念の為と思って、他の食材も買って来ている。
て事で、オレは買って来た食材を猫の前に置いた。昨日の感じだと、基本的に何でも食べるようだから、今日の分も良さげな物を選んでおいた。
今度は猫もしっかり食べ始めた。コレでよし。
食事を終えたオレは、無我夢中で飯を食べている猫を眺める事にした。
真っ黒な毛に包まれた身体、スラッと伸びた手足、綺麗な形の尻尾…見れば見るほど可愛らしい。
…コイツがいればそれでいいとまで思えるようになっちまった。は〜…和むわ〜。
飯を食べ終わった猫は、トテトテと布団に向かっていき、中に潜り込むように入って眠ってしまった。
…何とも自由気儘な方ですこと。
しかし、猫を飼うからには金を稼ぐ必要があるな。オレ一人の生活費はあるが、猫の分はねぇ。
…近くにバイト募集しているレストランがあったな。行ってみるか。
さて、オレもそろそろ寝るか〜。明日はもっと面倒な事になるだろうしな〜。
オレも自分の布団を敷いて、さっさと眠りについた。
ーーーーーーーー
て事で迎えました。次の日の放課後でござんす。
え?飛び過ぎ?いやいや、仕方ないんですわ。授業を受けているだけのつまらん光景とか、興味ないっしょ?
まぁ前置きはさておき…オレは今か〜な〜り〜困っております。
目の前の客用のソファに座っていらっしゃるのは、昨日イッセーの家に乗り込んで来られたイリナと…あと一人。要するに、聖剣使いだ。
こちら側のサイドにはグレモリー眷属の皆様が横一列に並んで立っております。あ、部長は聖剣使いに向かい合う形で座っているけどな。
それだけなら全く問題無ぇんだが…
ユウトがおっそろしいオーラを漏らしながら聖剣使いの二人を睨んでいるんだ。
確かに教会関係者の奴らがいるんだから仕方ねぇんだろうが…。流石にコイツらは関係ねぇだろうし、恨みを向けても仕方ねぇだろ。お陰で部室全体の空気が重いぜ。
…それから、実はもう一個、個人的に困った事が…
『先日、カトリック教会、プロテスタント教会、正教会側に保管されていた聖剣、エクスカリバーが奪われました。』
言語でござる。
ったく…今度は何語だよ!
日本に派遣されんだったら、日本語ぐらい話せるようになってから来いよ!
何で外国から日本に来た連中は、どいつもこいつもロクに日本語も勉強しねぇで来るんだよ!日本人は外国語をある程度勉強してから行くんだぞ!多分!
と、青髪の女に言ってやりたい。
ココにいる殆どは日本語がベースなんだ。ところがコイツ一人が日本語話せねぇ上に持って来て、皆は外国語でも対応する事が出来るようになっている。
その為、青髪の女が話す事が出来る言語で会話する事になったんだが…。
やめて欲しい。隣にいる小猫が簡単に訳してくれてはいるが、何とも情けない。恥ずかしい。皆酷いぜ、自分達だけ翻訳コンニャクみてぇな能力持ってるからと言って、凡人のオレをそっちのけにするなんてよ。
…仕方ねぇ、あの手を使うか。
「小猫。今の言葉も翻訳頼むわ。出来れば一言一句間違いなく。」
「はい。今のは…」
小猫はさっきイリナが言っていたことを全部丁寧に教えてくれた。流石だぜ。
…成る程な。さっきの文でその様な意味になるってことは…コレが主語でココにアレを持って来て…。
『エクスカリバーって、二本もあるんですか?』
『聖剣エクスカリバーそのものは存在していないの。
ゴメンなさい、私の下僕に悪魔に成り立ての子がいるし、人間もいるの。エクスカリバーの説明込みで話を進めてもいいかしら?』
『それは構わないが…その人間は聞き取れているのか?先程からずっと口を開いていないが…。』
『大丈夫よ。下僕の一人に翻訳をするように指示しているから。』
以上の会話も全部小猫に翻訳してもらった。
ほほう、成る程。この会話でそうなるのであればココはこうしてああして…。
よし、理解した。
『ありがとな小猫、もう大丈夫だ。この言語も覚えた。』
皆がギョッとした顔でこっちを見ている。まぁ、ついさっきまで後輩に訳を頼んでいた人間が、あの短時間で母国語でない言葉をペラペラ話し始めたんだから当然の反応だろ。
『覚えた…だと?そんな簡単に覚える事が出来るとは思えないが…。』
『適当な一文とその訳を聞いたら、文法とかを解析して覚えるだけで終わる。お前らの言葉は簡単すぎるぜ。』
コレはオレの、グロンギ達の特殊能力の一つ、非常に高い学習能力だ。
オレが元いた世界でも、グロンギには自分たちの言語がある。グロンギ語とでも名付けようか。オレが変身している状態で、意識せずに話せるあの言葉だ。だから仲間達との会話では基本的にグギグギ言っている。
だが、人間に対して話をする時にまで、その言葉で話すわけにはいかなくなる。グギグギ言っても伝わらねぇだろ?
そこでグロンギ達は、この学習能力をフル活用して、活動範囲内の現代人達の言葉を話す事が出来るようになった。
オレは元々人間だから人語は最初から理解できるんだが、その能力はしっかりついてきた。
オレは今、その能力をちょいと使って学習したんだ。ある程度の文法、単語を抑えることが出来りゃあ問題ねぇからな。
…その能力があっても、苦手なもんは苦手なんだけどよ。
『頭がいいとは聞いていたけど…。流石に無茶苦茶よ。』
『天才と呼んで下さい。それで?エクスカリバーってのは何で複数本あるんだ?』
『あ、えーっとね。エクスカリバーは大昔の戦争で破壊されたの。』
話題が完全に脱線しちまったため、オレは部長の突っ込みを華麗にスルーして強引に話を戻した。
『破壊されたエクスカリバーはバラバラになってしまったんだけど、一つ一つの欠片を集めてエクスカリバーの複製品として錬金術を使って創り出したの。』
『今はこの様な姿さ。』
青髪の少女が傍に置いてあったデカい何かの布をとる。
すると、布に巻きつかれていたと思われる一本の大きな剣が姿を現した。
…すげぇな、しっかりと精錬されていやがる。ただの剣として使っても十分な破壊力を持っていそうだ。
悪魔である皆さんが顰めっ面をしているのを見るに、恐らく聖の力も凄まじいんだろう。
『〝破壊の聖剣〟【エクスカリバー・デストラクション】と言う。七つに別れた剣の一つ一つには、それぞれ名前が与えられているんだ。これはカトリックが管理している。』
破壊…か。その名の通り、凄え破壊力を持っていそうだ。
今度はイリナが腕に巻いてあった布を解き始めた。
すると不思議な事に、布はまるで生きている様に動き出し、日本刀の様な形になった。
『私のは〝擬態の聖剣〟【エクスカリバー・ミミック】と言うの。形を自由に変えられるから、どんな相手にも対応できるわ。他のエクスカリバーもそれぞれ固有の能力があるの。これはプロテスタント側が保持してるわ。』
もはや何でもありじゃねぇか。聞いたことねぇぞ形を変える剣だなんて。
『イリナ。わざわざ悪魔にエクスカリバーの能力を話す必要はないだろう?』
『ゼノヴィア。交渉を上手く成立させるためには信頼関係を築く事は必須よ?それなりに手の内を明かさないと、互いの事を信頼できるとは思えないわ。それに、私の聖剣の能力を教えたところで、ここにいる人たちに遅れはとらないわ。』
イリナが胸を張って言い放つ。対した自信ですこと。やっぱり昔から変わってねぇや。
…さて、そこで殺気を発しちゃってるイケメン君は何をするつもりなんだか。今にも飛びかかって行きそうな顔をしている。
いざとなったら、力尽くで抑えてやるしかねぇが…出来れば穏便に済ませたい。
そんな様子でいるユウトと違い、我らが部長は変わらない構えでいらっしゃった。
『…それで?奪われたエクスカリバーと私達のこの町に、一体何の関係があるのかしら?』
おそらくこの場にいた部員全員が思っているであろう疑問を、部長が代表する様な形で尋ねた。
『簡単に言えば、奪っていった連中がこの地に潜伏しているようなんだ。』
それを聞いた部長はハァと溜息を吐く。
…考えてみりゃ、この町には色々と事件が豊富だな。堕天使の件やグロンギの件。そして今回のエクスカリバーの件だ。事件を裏で操る何者かがいたとしても、納得してしまうほど多い。
『ついでに、奪った連中の指導者も発覚している。〝神の子を見張る者〟の一人。コカビエルだ。』
部室の中に、ピリッと緊張した空気が流れた。
〝神の子を見張る者〟…確か、堕天使組織の幹部だったか?堕天使総督の下に就く、多くの実力者達…。
その上、コカビエルってのは大昔の戦争から生き延びてきた超実力者らしい。
『私達が今回この地に派遣されたのは、その奪われたエクスカリバーを取り戻す…。出来なくとも、破壊するためだ。』
成る程、またもやこの町で大規模な戦いが起きるって事なのね。
堕天使の幹部…。そんな奴を相手にするとなれば、それ相応の準備を要する事になる。実力差がある相手と戦うなら、戦力は多い方がいい。
協力求めるって事かも知れねぇな。
『私達がこの場に来たのは、一つ注文するためだ。私達と堕天使のエクスカリバー争奪の戦いに、この町を縄張りとする悪魔が一切介入しない事。
…つまり、今回の事件に関わらない様に、と言うためだ。』
…何だって?
『…ちょっと確認していいか?』
つい口を挟んでしまった。その場にいる全員分の視線が向けられる。
『教会側の奴らは見たところお前らぐらいみてぇだが…、まさか二人だけで戦うつもりか?』
『あぁ、そういう事だ。』
随分アッサリ答えてくれました。
冷静に考えてみたが、無謀すぎる。目の前の二人は確かに聖剣使いであったりすることから考えてかなりの手練れだと思う。だが、到底堕天使幹部には勝てねぇだろう。
この世界に来て大分過ごしたんだ。これでも大体のパワーバランスは把握しているつもりだ。
『…死にに行く様なもんじゃねぇか?』
『そうでしょうね。とっくに覚悟は出来てるわ。それが主の…神の意思だから。』
『私もイリナと同意見だが、出来れば死にたくは無いな…。』
コイツら自身も、相手との実力差がかなりある事は承知済みらしい。一瞬たりとも動揺を見せなかったから、覚悟も決まってるんだろう。
……だが…。
『…アホらし。そんな見た事もねぇ奴の為に命を投げ出すとか、馬鹿のすることとしか思えねぇがな。』
『まぁ、主を信仰していない人間ならば、そう思うのも仕方ないか。』
『シュウも信仰を始めると分かるわよ。主の言葉に間違いは無いって。』
『生憎だが、そんな嘘くせぇ宗教に入るつもりはサラサラ無い。』
正直、コイツらの頭が理解できねぇ。そんな事に覚悟を決めるとか、無駄だとしか思えねぇからな。
まして、実物の神を知ってるからな。この世界にとっての神はアイツじゃねぇみたいだが。
『…私は魔王の妹、グレモリーの名を持つ者として宣言するわ。何があっても、堕天使と手を組むような事は絶対にしない。』
部長があの言葉の裏に隠された意味を読んだのか、ハッキリとした声で宣言した。
今回、わざわざ聖剣使いの奴らがここに来たのは牽制のためであろうってのは、この場にいる殆どが察しているだろうよ。
エクスカリバーは悪魔にとって邪魔でしかないものだ。大方、オレ達が堕天使と手を組んで、エクスカリバーを天使側に渡らせない様にする事が十分あり得ると読んだってとこか。
『その言葉を聞いて安心したよ。それじゃ、そろそろお暇させてもらおうか。』
『そうね、行きましょう。』
安堵の表情を見せた二人はソファから立ち上がり、部室から外に出る扉へと向かって行った。
このまま何事もなく、帰って欲しいんだが…。
ゼノヴィアがアーシアを一目見て言った。
『兵藤 一誠の家に行った時に、もしやとは思ったが…。まさか、〝聖女〟と呼ばれていた〝魔女〟アーシアが悪魔に成り下がっていたとはね。』
その瞬間、アーシアは目を大きく見開く。アーシアにとって、自分の事を聖女、魔女と呼ばれるのは最も嫌なことだろう。イッセーからアーシアの過去を聞いたから大体分かる。
『あれ?本当だ。魔女と呼ばれる事になってしまった子よね。元気にしてる?』
イリナがいつもの調子で同調した。
アーシアは視線を下に向け、明らかな動揺を見せていた。
『どうやら…まだ信仰は続けているみたいだね。私はそう言ったことの匂いに敏感でね、何と無くだが分かるんだよ。』
『…捨てられないだけです。ずっと、信じていたものですから…。』
ゼノヴィアから哀れみのような視線を向けられたアーシアはスカートをギュッと摘み、震えながらも必死に応えた。
すると、ゼノヴィアがおもむろに聖剣を取り出し、アーシアを見ながら言い放つ。
『なら、今ここで私達に神の名の下に斬られるといい。悪魔に成り下がったとしても、主はきっと君にも慈悲を与えて下さるだろう。』
一歩一歩とアーシアに近づいて行くゼノヴィア。
『…ふざけんな。』
イッセーがアーシアを守るように二人の間に立つ。顔からして、かなり怒っているなコイツ。
『お前らが勝手に聖女とか仕立て上げておいて!今度は勝手に魔女呼ばわりかよ!そんなのおかしいだろ!!』
心の中の怒りを全部さらけ出し、かなりデカイ怒声をあげている。
『アーシアの苦しみを!優しさを!ちっとも理解しようとしなかったくせに何が神様だ!!アーシアが助けを求めた時に何もしなかったじゃねえか!!』
『それは彼女の信仰が足りなかったのだろう。主は全てを愛する。それでも何も起こらないということは、そういう事だ。
…一体君はアーシア・アルジェントの何なんだ?』
『家族で!仲間で!友達だ!!だからアーシアは俺が守る!お前らがアーシアに手を出そうってんなら、俺はお前ら全員を敵に回してやる!!』
イッセーは神器を発動させて、臨戦態勢をとる。
オイオイ、面倒な事を起こしてくれるなよ…。
『…一端の悪魔に過ぎない存在で、そんな大口を立てることが出来るとはな。教育不足もいいところだ。』
敵意を向けられたゼノヴィアも、イッセーのそれと同じぐらいの敵意を露わにした。
慌てて部長が立ち上がり、イッセーを止めようとした。
『イッセー、おやめなさ…』
が、その制止を途切らす様に別の声が掛けられる。
『丁度いい。僕も相手をしよう。』
ユウトだ。さっきと変わらない負の感情を曝け出しながらゼノヴィアを睨みつけている。
『…君は?』
『君達の先輩だよ。失敗作らしいけどね。』
ユウトも自身の神器を発動させ、部室中に魔剣を創り出した。
あちらこちらから、身震いする程の殺意が感じとられる…。
ったく…どいつもこいつも……
雑談ショーwithイリナ
八「全く、イッセーもユウトもゼノヴィアって奴も熱くなりすぎなんだよ。面倒な事にしてくれやがって。」
イ「次は私達とイッセー君達の模擬戦になるわ。神の名の下に、絶対負けないんだから!」
八「ハハッ。かと言って消滅までしねぇでくれよ?」
イ「わかってるわよ。峰打ちにしておくわ。」
八「…それでも大ダメージだろ。寸止めにしてやってくれ。」