閣下が生きるハイスクールな世界   作:佐竹 リン

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今回のMovie大戦の敵役、『レオナルド・ダ・ヴィンチ』の声が、まさかのケンドーコバヤシさんとは…。しかもちゃんとラスボスやってるし…。なんか色々驚かされた今日この頃です。

ではでは、どぞ〜


四十一話目

【第三者視点】

 

エクスカリバーを破壊し、フリードを斬り伏せる事に成功した木場は天を仰ぎ、聖魔剣を掴む腕により強く力を込める。

目標の一つを達成した彼の心は、感無量という感情よりも、目標を失った事に対する喪失感に満ちていた。

 

 

「せ、聖魔剣…だと?あり得ない。反発し合うはずの二つの力が混ざり合うなど、ある筈がないのだ…。」

 

一方、木場が発動させた〝双覇の聖魔剣〟に驚きを隠せないでいたバルパーは、一人難しい顔をして聖魔剣の可能性について考え込んでいた。

 

「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらおう。」

 

木場は聖魔剣をバルパーに向け、今にも斬りかかろうとする体制に入っていた。

 

「……そうか!分かったぞ!聖と魔、それらを司る存在の均衡が大きく崩れているとするならば説明がつく!つまり、魔王だけではなく神も_____」

 

 

そこまで口を開いたバルパーの胸を、鋭い光の槍が貫いた。

バルパーは口から血を吐き、そのまま地面に突っ伏した。

 

最早確認するまでもない。バルパーはたった今、殺された_____。

 

「バルパー。お前は優秀だったよ。そこまで思考が至るとはな…。だが、俺はお前がいなくても別にいい。最初から一人でやれる。」

 

嘲笑を浮かべながら空に浮かぶコカビエル。

今の彼の台詞から、ここにいる全員は同じ結論に達した。

 

バルパーを殺したのはコカビエルだ、と……。

 

 

「……ククク…ハハハハ! カァーハッハッハッハッハッ!」

 

 

コカビエルは笑いながら高度を下ろし、グラウンドに足をつける。

 

 

「赤龍帝、もう限界まで力を溜めたのではないか?」

 

コカビエルが言うとほぼ同時に、兵藤の左手にある〝赤龍帝の籠手〟が激しく輝き始めた。

最大まで倍加し終えた…。この輝きは、その事を意味している。

 

不敵な笑みを浮かべ、彼は口を開く。

 

「ならば、それを誰かに譲渡しろ。」

 

「私達にチャンスを与えようというの!?ふざけないで!!」

 

「ふざけないで?ふざけているのは貴様らの方だ。貴様ら程度の力で、俺を倒せると思っているのか?」

 

激昂したリアスを睨みつけるコカビエル。

その眼光は彼女らの身体を一気に射抜き、恐怖を感じさせた。

 

古くから聖書に記されている堕天使の重圧は、はっきり言って先日のフェニックスのそれとは比べ物にならなかった。

 

「…イッセー」

 

リアスが呟くと、今まで後ろに下がっていた兵藤が前に出る。

 

そして左手の〝赤龍帝の籠手〟を構え、叫んだ。

 

 

「ブーステッド・ギア! ギフト!」

 

【transfer!!】

 

 

赤龍帝の籠手から音声が鳴り、倍加していた分の力がリアスに譲渡され、彼女を覆う紅い魔力のオーラが一気に膨れ上がった。

 

ただでさえ“滅殺姫”と呼ばれている彼女に譲渡の力が加わり、眷属達は一目見ただけで塵一つ残ることなく消し飛ばされてしまうのでは…とまで思ってしまうほどであった。

 

 

しかし、コカビエルは……笑っていた。

 

 

「フハハハハハ!!いいぞ!その魔力の波!もう少しで魔王クラスの魔力だぞ、リアス・グレモリー!

お前も兄に負けず劣らずの才を持っているようだな!」

 

心から嬉しそうな笑みを浮かべているその表情は、コカビエルの戦に対する喜びを素直に表していた。

 

「けし飛べぇぇぇぇぇ!!」

 

リアスが渾身の力を込め、最大級の滅びの魔力を撃ち放った。

グラウンドを削りながら、彼女の魔力は真っ直ぐコカビエルに向かっていく。

 

「面白い!実に面白いぞ!」

 

コカビエルは両手を前に突き出し、リアスの魔力に迎え撃った。

真っ正面から彼女の魔力を受け止めるコカビエル……。

 

「ぬゥゥゥゥゥゥゥゥん!!」

 

そして、彼女の魔力は徐々に勢いを失い、とうとう上空に軌道を変えられてしまった。

その光景に全員が旋律する。

 

しかし、コカビエルも流石に無傷では済まなかったようであった。

身に纏うローブが所々破れ、手からは血を流している。

 

一方のリアスも、今の攻撃で疲労が溜まったのか、肩で息をしていた。

 

もう一度兵藤が全開まで倍加したところで、彼女に譲渡する事は出来ないだろう。

 

残された手は、朱乃、木場、ゼノヴィア、小猫の内の誰かに譲渡する。或いは自分自身を強化するかのどちらかである。

 

しかし、どれも決定打に欠ける事は一目瞭然。彼らは暫くの間膠着していた。

 

 

そして、一気に朱乃が仕掛ける。

 

 

「雷よ!」

 

彼女はコカビエルに向けて、魔力がこもった雷を落とす。

先程の雷とは違い、攻撃的な雷であった。

 

しかし、彼女の雷はコカビエルの黒き翼の羽ばたきで打ち消されてしまった。

 

「俺の邪魔をするか、バラキエルの力を宿すものよ!」

 

「私をあの者と一緒にするなッ!」

 

コカビエルの挑発のような口調に対し、珍しく声を荒げる朱乃。

 

“バラキエル”…コカビエルと同じ、堕天使の幹部の一人で、“雷光”の異名を持つ雷の使い手だ。

単純な戦闘力では、堕天使の総督であるアザゼルに匹敵するとまで言われている。

 

 

「まさか悪魔に堕ちていたとはな!本当に愉快な眷属を持っているな、リアス・グレモリーよ!

赤龍帝、聖剣計画の生き残り、バラキエルの娘!

ハハハ!お前も兄に負けず劣らずのゲテモノ好きのようだ!」

 

「兄の、我らが魔王への暴言は許さない!そして何よりも、私の下僕への侮辱は万死に値するわッ!」

 

「ならば滅ぼしてみろ!魔王の妹!紅髪の滅殺姫よ!お前が対峙しているのは、貴様らにとって長年の宿敵!これを好機として見なければ、お前の程度が知れるというものだ!」

 

コカビエルはリアスの怒りを鼻で笑い、挑戦的な発言をする。

 

それと同時に、眷属達は一気に仕掛けた。

 

最初に仕掛けたのはゼノヴィア。彼女は手に持っていたデュランダルでコカビエルに斬りかかる。

 

迎え撃つように、コカビエルは片手に光の剣を創り出した。

 

 

ギィン!という金属音が鳴り響く。

 

 

「フン!デュランダルか!一度壊れたエクスカリバーとは違い、こちらの輝きは本物だ!しかぁし!」

 

「なっ…!」

 

コカビエルがもう片方の手から波動を放ち、ゼノヴィアを宙に浮かせる。

 

そして無防備となった彼女の腹部に蹴りを入れた。

 

「ぐっ!」

 

「所詮は使い手次第だ!娘!お前ではまだデュランダルは使いこなせんよ!

先代の使い手は、それはそれは常軌を逸するほどの強さだったぞ!」

 

ゼノヴィアは空中で体勢を立て直し、地面にうまく着地すると、再びコカビエルに斬りかかっていった。

 

今度は木場も合わせ、同時に斬りかかる。

 

「コカビエル!僕の聖魔剣であなたを滅ぼす!もう誰も失うわけにはいかないんだ!」

 

「ほう!聖剣と聖魔剣の同時攻撃か!おもしろい、来い!それくらいでなければ俺は倒せんぞッ!」

 

コカビエルは剣を持っていなかった手に二本目の光剣を創り、二人の剣戟を捌いていく。

魔力だけでなく、剣の技量でもコカビエルのほうが上のようだ。

 

「そこ!」

 

コカビエルの後方から小猫が殴りかかるが…

 

「甘いわ!」

 

黒い翼が刃物と化し、小猫を容赦なく斬り刻んだ。

小猫は地面に叩きつけられ、体から鮮血を噴き出す。

 

「小猫ちゃん!」

 

「よそ見をするとは余裕だな!」

 

小猫の方に注意を向けたことで、木場に出来た一瞬の隙を突くコカビエル。

 

木場はギリギリのところでコカビエルの光の剣を受け止めたが…

 

「なっ!?」

 

ビキッ!と音を立て、聖魔剣にひびが入った。

剣の堅強さは持ち主の意志次第。

つまり、持ち主の集中力が一瞬でも途切れれば、その間だけ硬度が減少してしまうのだ。

 

「はぁ!」

 

コカビエルは全身から衝撃波を放ち、祐斗とゼノヴィアをあっさり吹き飛ばしてしまう。

 

肩で息をしながら体制を整える中で、一同は改めて実力の差を思い知っていた。

 

しかし、弱気になっている場合ではない。

この戦いに勝てなかった彼らに待っているのは“死”

 

それが死の戦い。すなわち“死戦”なのだ。

 

 

地面に倒れる小猫のもとに一誠とアーシアが駆け寄り、アーシアが神器を発動させる。

 

少しずつ、小猫の傷が癒えていった。

 

これで一命は取り止められるだろう。

 

「まだだ!聖魔剣よ!」

 

再び立ち上がった木場は、コカビエルの周囲に多数の聖魔剣を創り出した。

これで相手の動きを制限できる。

 

あとは一気に攻めたてるのみ……。そう思いたかった。

 

「これで囲ったつもりか?甘いな!聖魔剣使い!」

 

不敵な笑みを浮かべたコカビエルは、十枚の黒翼を刃へと変え、周囲の剣の刀身を全て砕いた。

 

刃の破片が飛び散る中を潜り抜け、木場が斬りかかるが、コカビエルは聖魔剣を右手の人差し指と中指だけで受け止めてしまった。

 

「やはりこんなものか」

 

コカビエルは溜息をついた。

 

受け止められた聖魔剣はぴくりとも動かせないでいる。

 

木場は二本目の聖魔剣を創り出して振るうが、それも右手の時と同じように左手の二本の指で挟まれる。

 

そして最後に、木場は口に三本目の聖魔剣を創造して噛み締め、勢いよく首を振った。

 

その攻撃は流石に想定外だったのか、コカビエルは後方に飛び退いた。

 

若干木場の斬撃の方が早かったのか、コカビエルの頬に一本の薄い切り口がついていた。

 

「……なるほど、油断大敵という奴か。ならば……!」

 

コカビエルは腕をバッ!と天に掲げた。

 

すると、上空に戦いが始まった時のと同じくらいの大きさの槍が現れた。

 

「これで決めるとしよう!」

 

勢いよく腕を振り下ろすと、その槍が真っ直ぐに眷属達の元へと飛んでいき……

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォ!!!

 

 

 

 

 

 

凄まじく大きな爆発を巻き起こした。

 

 

 

 

 

静かな闇夜の空気に爆音と悲鳴が響き渡る。

 

 

 

爆発によって発生した土煙が晴れた時には、後ろに下がっていたアーシアを除く全員が倒れ伏せていた。

 

「こんなものか…」

 

その姿を見て、コカビエルは退屈そうに嘆息を漏らした。

 

 

「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、おまえたち神の信者と悪魔はよく戦う」

 

突然のコカビエルの発言に、全員が眉を顰めた。

 

「…どういう…こと?」

 

怪訝そうな口調でリアスが訊くと、コカビエルは盛大な高笑いをあげた。

 

まるで、無知な者をあざ笑うかのように。

 

「フハハ!フハハハハハハハハハッ!そうだった、そうだったな!お前たち下々まであれの真相は語られてなかったな!

事のついでだ、教えてやろう!先の三つ巴の戦争で四大悪魔だけでなく…

 

 

 

 

神も死んだのさ!」

 

 

『_____ッ!?』

 

その言葉に全員が耳を疑った。

 

「知らなくて当然だ。神が死んだなど、誰に言える?人間は神がいなくては、心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ?

我ら堕天使、悪魔さえも下々に真実を伝えるわけにはいかなかった。神が死んだという情報が、どこから漏れるか分かったものじゃないからな。

三大勢力の中でもこの真相を知るのはトップと一部の者たちだけだ。先程、バルパーが気づいたようだがな…。」

 

全員が信じられない様子で固まっていた。

この事実は、それ程までに衝撃的だったのだ……。

 

「…ウソだ。…ウソだ…」

 

「…主は、いないのですか?…では、私たちに与えられる愛は…」

 

ゼノヴィアとアーシアが、二人して絶望した顔に変わる。

今まで信じてきた、大切だった存在が否定されたのだ。そうなってしまうのも致し方ないだろう。

 

「そうだ。神の守護、慈愛などなくて当然なんだよ。神はすでにいないのだからな。

ミカエルはよくやっているよ。神の代わりに天使と人間をまとめているのだからな。ただ、そこの聖魔剣の小僧が聖魔剣を創り出せるのも、聖と魔のバランスを司る神と魔王がいないからこその現象なのだがな。」

 

コカビエルの言葉を聞き、ついにアーシアがその場で崩れ落ちてしまった。

 

「アーシア!アーシア、しっかりしろ!」

 

兵藤が必死に彼女の名を呼び続けるが、当の本人は小刻みに震えているだけであった。

 

「正直、もう大きな戦争など故意にでも起こさない限り、再び起こることはない。それだけ他のどの勢力も先の戦争で泣きを見たという事だろう。

戦争の元凶でもあった神と魔王が死んだ以上、継続は無意味だと判断しやがった。おまけにアザゼルの野郎も、戦争で部下のほとんどを亡くしたせいか『二度目の戦争はない』などと腑抜けた宣言をしやがった。

一度振り上げた拳を下ろすだと?ふざけるなッ!あのまま続けていれば、俺たちが勝っていたかもしれないのだ!それを奴は、奴はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_______下らん」

 

突如、コカビエルの演説を断ち切るように、第三者の声が発せられた。

 

 

「ここは私が住んでいる町だ。貴様の勝手な都合で崩壊などされては困る。」

 

声の持ち主を探し、コカビエルは校庭を見回した。

そして、校門とは別の方角の暗闇から一つの人影が歩いて来ているのを見つけた。

 

よく目を凝らすと、その人影は人間のそれとは大きく異なっているのが分かる。

 

校庭を照らす光によって徐々にその姿がはっきりと映り始める…。

 

そこに立っていたのは、先程ガベリとの戦いを終わらせたばかりの男、ゴ・ガドル・バであった。

 

 

「…何者だお前は」

 

「この町に住む…珍生物だ……」

 

彼は虚しそうに一言だけ答えた。

その様子を見て、一部の眷属達の頭に「あ、気にしてたんだ」という文章が浮かんだのは言うまでもないだろう。

 

ガドルは倒れている眷属達に視線を送ると、少しだけ顔を顰めた。

 

 

「…よくもここまでやってくれたものだ」

 

 

誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟く。

 

ガドルは真っ直ぐに木場の元へ近づき、彼の目の前で立ち止まった。

その場でしゃがみ込み、木場の顔を眺める。

 

そして、一瞬だけ嬉しそうな様子を見せた。

 

「…いい目をするようになったな、少年」

 

「…あ、貴方は……」

 

「今は口を開くな、取り敢えず回復に専念した方が良い。

傷の治療を頼みたいのだが、あの金髪の少女は…今は無理そうだな。

致し方ない。このまま自然に回復するのを待て。

後は私に任せるといい。この町は住み心地がいいのだ。あの輩の思い通りにさせるつもりはない」

 

そう言って彼は足を伸ばし、立ち上がった。

顔をコカビエルに向け、応戦体制をとる。

 

「…一応断っておくが、私は個人的な理由で奴と戦うのだ。貴様らの事情がどういったものかは知らんが、それならば何も悪影響を与えることはないだろう。」

 

目はコカビエルに向けたまま、恐らくリアスに向かってコソッと呟く。

ガドルの中身である八神は、悪魔と堕天使の間にある難しい関係を一応は理解しているため、念のために伝えておいたのだろう。

 

彼は返事を聞くこともなく、コカビエルの元へ歩み寄っていく。

 

「俺と戦うだと?お前が俺に勝って止めるとでもいうのか?

お前がどこの誰なのかは知らんが、人間界でヌクヌクと静かに過ごしているような奴が、この俺に勝てるとは思えんぞ?」

 

「……貴様にいい諺を教えてやろう」

 

余裕そうな顔で笑みを浮かべるコカビエルに、ガドルは鋭い視線を向けた。

 

その目の色が青から紫に変わる。

 

 

「『井の中の蛙 大海を知らず』…貴様のような者にピッタリな諺だ。

世界は広い。貴様より強い奴など、そこら中にいる。油断していると痛い目を見るぞ?」

 

「……ほぅ、言うじゃないか」

 

彼の挑発的な物言いに、コカビエルは怒りを見せた。

 

コカビエルは手に光の剣を創って握り、ガドルは胸の石を一つちぎって己が剣に変える。

 

それぞれが自分の獲物を手に取ると、ガドルが一気に走り出した。

コカビエルの元に辿り着くと同時に、互いの獲物を振り下ろす。

 

それぞれの獲物がぶつかり合い、キリキリと音を立てながら均衡した状態に入る。

所謂、鍔迫り合いであった。

 

「あそこまで自信満々に言ってくれたんだ。あいつらよりも楽しませてくれるんだろうな?」

 

「…さぁ、どうだろうな」

 

そう言ってガドルは鍔迫り合いの状態から一転。剣を持つ手に力を込め、コカビエルの剣を弾いた。

その勢いのまま横薙ぎに剣を振る。

 

コカビエルはその一撃を受け止めようと、光の剣を縦に構えたが……

 

 

 

ガドルの剣はバギィン!と光の剣を粉砕してしまった。

 

 

その剣先は止まることなくコカビエルの胸元へ伸びていったが、ギリギリのところで後ろに飛んだため、斬られることはなかった。

 

 

「……この!!」

 

次に彼は両手に剣を創り出した。

剣を手に持ち、ガドルに向かって飛びかかる。

 

ガドルの一本の剣、コカビエルの二本の剣が幾度もぶつかり合い、校庭中に金属音が鳴り響く。

 

「…フンッ!」

 

そしてガドルは一本の剣をうまく操り、二本の剣を同時に絡ませることに成功。力一杯に振り下ろし、コカビエルの手から剣を離させた。

 

カランカランッと音を立て、コカビエルが掴んでいた二本の剣が地面を滑る。

 

ガドルは剣を地面に突き刺し、軸にするように回転。驚いた顔をするコカビエルに向けて蹴りを放ち、吹き飛ばした。

 

ドザザッと地面を転がるコカビエルを一瞥し、ガドルは溜息混じりに口を開く。

 

「二本使ってもこの程度か。私が知ってる者の中には、もっと上手い二刀流の使い手がいたぞ?」

 

「っ…調子に乗るな!!」

 

憤慨したコカビエルは声を荒げ、片手を空に掲げた。

すると、一本一本は細いが、無数の光の槍が空に現れる。その切っ先の全てがガドルに向けられていた。

 

「…これは…」

 

「さぁ、防いでみるがいい。お前がその一本の剣でどこまで耐えられるか、見せてもらおうじゃないか!」

 

 

コカビエルの手が降ろされると、空に浮かぶ光の槍が一気に放たれた。

 

ガドルは一本の剣で飛んできた槍を打ち落としていく。

幸い彼の後ろには校庭が広がるだけであったので、彼に向かって飛んできた槍を弾くだけの作業だった。

 

だが、やはりその全てを防ぐ事は難しいようで、時々は身を屈めたりする事で当たりそうな槍を躱している。

 

「…ならば!」

 

流石に一本では捌ききれないと判断したのか、片方の手で槍の大群を弾きつつ、もう一方の手を胸の石に伸ばす……

 

 

 

「そこだ!!」

 

だが、その事をコカビエルは見逃さなかった。

 

他のどの槍よりも速く、太い槍が投擲される。

 

「なっ!…クッ!」

 

すんでのところで躱すことが出来たが、その際に腕を石から離してしまった。

 

「フハハ! やはりな! お前はその石を取らなければ剣を作ることが出来ないのだろう? ならばするべき事は簡単だ! その石を取らさせなければいい!」

 

コカビエルは高笑いをあげた。

 

彼の言っていることは間違いではない。確かに石を取らなければ、ガドルは剣を創り出す事が出来ない。

もし地面が硬い物質で作られていれば、神器の能力で武器にすることもできるが、生憎今は土の地面。武器にしたところで、その威力は知れている。

 

「後はお前が、この槍の大群にやられていくのを見届けるだけだ」

 

コカビエルの後ろから更に多くの槍が出現。再びガドルの元へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

「……ならば、やり方を変えるとしよう」

 

 

ガドルがそう呟くと、目の色が更なる変化を遂げた。

 

「あれ?」

 

そこで兵藤が疑問の声を漏らす。

 

「どうしたの?イッセー」

 

「いや…あいつの目が……あんな色になるなんて事あったかな?って思って……」

 

そう。今の彼の目は赤でもなければ青でも緑でも紫でもない。

金色であった。

 

 

「ハァァァ……」

 

 

そして、彼の身体を包み込むように電流が迸り、姿が変わり始めていった。

 

すると、彼が持っていた剣にも変化が現れる。

 

大元の形は変わっていないが、金色の装飾がかかったようになり、刀身が輝きを放っていた。

 

“電撃体”…彼はその形態に姿を変えたのだ。

 

 

「…姿が変わったくらいで、この状況が何か変わるわけでもあるまい」

 

余裕の笑みを崩さないコカビエル。

 

 

だが、その次の瞬間には、彼の顔が驚きに染まることになった。

 

 

フッ

 

 

まずは一瞬、彼の姿が視界から消える。

 

「な! ど、どこに……!?」

 

 

 

ズガガガガガガガッ!!

 

 

 

そう思った頃には、全ての槍が一本残らず叩き壊されたのだ。

 

 

唖然とした顔を浮かべるコカビエルと眷属達。

 

 

そして、コカビエルが気づいた時にはガドルが目前まで迫ってきていた。

 

慌てて光の剣を創り出すも、ガドルの手によってあっさりと砕かれてしまう。

 

無防備となったコカビエルの胴体に、ガドルは思いっきり剣を振り下ろした。

 

ズバンッ!と嫌な音とともにコカビエルの肉が裂かれ、彼の鮮血が吹き出た。

 

「グァァ!!」

 

悲痛の叫びをあげた彼の腹部をガドルはすかさず殴り飛ばす。

 

コカビエルは腹を抑え、苦しそうに蹲っている。

 

「…ク、クソッ!!」

 

そして翼を広げ、空に飛び上がった。

空からの攻撃には対応できないのでは…そう思っての行動かもしれない。

 

だが、すでにガドルは校庭から姿を消しており……

 

 

 

 

コカビエルの背後を取っていた。

 

「なっ!?」

 

「まずはその羽、貰うぞ」

 

ガドルは無表情に、持っていた剣を振り下ろす……

 

 

 

 

 

 

ザシュッ!

 

 

 

 

 

「_________!!」

 

 

翼をもがれたコカビエルは、声にならない悲鳴をあげながらそのまま不時着、ドスンッ!と地面に倒れ伏せた。

 

一方のガドルはスタっと着地している。

 

「お、俺は…戦争を始めるのだ……。戦争に勝って、俺が世界を支配するのだ……!」

 

フラフラとした足付きで、必死に立ち上がろうとするコカビエル。

 

「…哀れだな」

 

そのコカビエルの様子に、ガドルは哀れみの視線を向けていた。

 

「そんな事をしたところで、得られるのは単なる自己満足だけだ。貴様が望んだ通りの結末など決して起こりはしない……。

それにも気が付かない時点で、貴様には世界を統べる器などない」

 

彼はそこで剣を捨てた。

カランッと音と共に、剣が地面に倒れる。

 

「せめて…私が終わらせてやる」

 

「貴様ぁぁぁぁぁ!!」

 

 

自暴自棄になったコカビエルは、両手に何本目かの剣を掴んで叫ぶ。

 

 

 

ガドルは両腕の脇を締め、走り出した。

 

一歩一歩踏み出すごとに、バチッと電気が流れているのが分かる。

 

そしてコカビエルの数メートル先の辺りで勢いよく飛び上がる。

 

両足を前に突き出し、回転を加えながら、彼は電撃を伴った蹴りを繰り出した!

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

その蹴りはコカビエルの胸に命中、彼を学園の壁まで蹴り飛ばした。

 

ズドォン!と音を立て、コカビエルが学園の壁に激突。そのまま壁を突き破ってしまった。

 

ガラガラガラッと大きな音を立て、学園の一部が崩れ落ちていく。

 

 

 

しかし、蹴り飛ばされたコカビエルの身体は、もう再び起き上がることはなかった。

 

 

堕天使の幹部が打ち倒され、街の平和が守られた瞬間だった……。

 

 




雑談ショーwith兵藤

八「これで戦いも終わり、か……」

兵「あぁ、色々あったけど、何とか皆無事で終わってよかったよ。」

八「色々といえば、まだ次回もすったもんだあるらしいな。お前のライバルキャラとか出てきたりするってさ。」

兵「ラ、ライバルキャラ!? そんな奴いるのかよ……」

八「強い、冷血、エロくない、その他諸々__成る程、主人公とは正反対。正にライバルキャラと言える人材だな。」

兵「あれ?色々と馬鹿にされた気分……」
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