閣下が生きるハイスクールな世界   作:佐竹 リン

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期末テストという名の地獄が迫っておりますので、しばらく忙しい日々が続きます…。

更新遅れる可能性大ですが、気長に待っていただけると幸いです。

ではでは、どぞ〜


停止教室のヴァンパイア
四十三話目


コカビエル襲撃事件から更に月日が流れ、新学期に心弾ませる春の季節からムシムシと暑い日が続く夏の季節に移り変わった。

つい最近進級したような気がするんだが、時の流れってやっぱ早いもんだな〜。

 

この季節になると、自分でも妙に思えるくらいテンション上がっちまうから困ったもんだ。

 

虫としての本能ってやつかもな。ほら、虫って夏になると活発化するだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

…え?どうでもいい? あ、そう。

 

じゃあ女子の方の情報でもお伝えしますね。

 

 

部長の眷属に〝騎士〟として加わったゼノヴィアがイッセーのクラスに編入し、はたまた学園の人気者の一人になったそうだ。

今ではアーシアと仲がいいのもあってか、二人合わせて〝静のアーシア 動のゼノヴィア〟と呼ばれているらしい。(松田 元浜情報)

 

 

結果、今のオカ研は……

 

・二大お姉様

・イケメン王子

・学園のマスコット

・静のアーシア 動のゼノヴィア

・おっぱいフェチ

 

 

ってな感じになっちまった。

 

オカ研=有名人になっちまうぞホント。

 

 

事件も無事に解決した事で、オレ達はまたいつも通りの部活を進めることが出来ていた。

夕方は談笑したりオカルト研究部っぽいことをしてみたり、夜になったら悪魔稼業が始まったりと、かつての様に充実した日々を過ごしていたんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そんな時、事件は起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==============

 

「うぉおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

俺、兵藤 一誠は只今全力で自転車を漕いでおります。俺を呼び出したお得意様の元へいくためだ。悪魔稼業、絶賛勤務中なり。

 

 

おいそこ! 「未だに?」とか言うな!

 

ホントならカッコよく転移していきたいよ!足元からパァァって感じで現れて「俺を呼んだか?」みたいなことやってみたいよ!インターホン押して「こんにちは」なんてやりたくねぇんだよぉぉ!!

 

 

 

……フゥ、疲れた…。

 

 

 

 

「よし、到着だ。」

 

目的地に着いて、自転車を駐輪場っぽいところに止める。悪魔でも人間のルールは守らなきゃね。

 

〔ピンポーン〕

 

「すいませ〜ん。グレモリー配下の悪魔で〜す」

 

インターホンを押し、中に向けて声をかける。

部屋の扉が開き、中から一人の男が姿を現した。

 

「よう、来たな悪魔くん。」

 

この方が今日俺を呼び出したお得意様だ。髪の色は黒髪で、多分外国の人だと思う。

木場とは違ったタイプの相当なイケメンで、どちらかというとシュウと同系統な感じだな。ワルそうな感じ。

けど着ている服なんかは完全に日本だったりする。日本が好きなのかも。

 

この人はちょっと変わったお得意様なんだ。いや俺のお得意様は大体変わっているんだけど、その中でも群を抜いていると思う。

 

何がって言うと、依頼の内容だ。

 

俺たち悪魔は俺たちを呼び出した人間、依頼人って言うんだけど、その人から頼まれた仕事を達成させることで、その分の代償となるものをゲットするんだ。そんな形で契約が結ばれる。

 

ゲームとかでも見たことあるだろ?「貴様の願いを叶えてやろう。ただし寿命の◯年分を頂くぞ」みたいな。俺たちは寿命だなんて物騒なものは取らないけどね。

 

 

 

で、話を戻すけど…。その依頼内容ってのは殆どが引越しの手伝いだとか家事の手伝いだとか、そんな感じなんだ。中にはただ単に話し相手になるだけってのもあるけどね。

 

この人の場合、大した用事でもないのに毎日毎日呼び出して来るんだよ。

例えを挙げるなら、昨日はパンを買いに行かされた。一昨日は一緒に釣りをさせられた。更にその前は……もう思い出したくもない。

 

 

そのくせ、代価としてくれるものは結構豪華だったりする。高そうな絵画だったり、宝石や金塊だったり…。部長たちもかなり驚いていた。

 

 

 

な?なんとなく変だろ?

 

 

「今日の依頼内容は何ですか?」

 

そう尋ねると、お得意様は部屋の向こうへと歩いて行った。付いて来いって事なんだろうな。

 

部屋に入ると、大きなテレビが目に入った。そのテレビの前には、テレビゲーム機が置かれている。

 

 

……これって、まさか……

 

 

「このゲームの相手してくれや」

 

 

ハッハッハ。やっぱり?

 

ゲーム機のそばに置かれているソフトのパッケージを見たところ、これは車に乗り、様々なアイテムを駆使して他プレイヤーを妨害しつつ、いろんなコースを爆走する系統のゲームみたいだ。

 

「いいっすけど…俺、こういうゲームは強いですよ?」

 

「ハハッ、なら丁度いいや。俺は逆にこういうのは初めてなんだ。手加減してくれよ?悪魔くん。」

 

こうして、俺とお得意様のゲーム対決が始まった。

 

 

一コース目は俺の圧勝。この人は慣れないコントローラーの操作に苦戦しているようだった。まぁ仕方ないよな。初めてって言ってたし。

 

二コース目は俺の快勝。少し慣れてきたのか、さっきほど差が開いていなかった。

 

三コース目はギリギリで俺の勝利。正直言って負けるかと思った。

 

 

 

 

「段々慣れてきたな…。」

 

 

 

 

四コース目は俺の完敗だった。まさかの一周差で負けた。

 

 

 

 

……嘘だろ…?俺のゲーセンで培ってきたドライビングスキルが、初めてまだ四コース目の男に負けるなんて……。

 

クソッ!このまま負けてられるか! 五コース目は絶対に勝ってやる!

 

 

「……しかし、日本というのはこういうヒマ潰しの道具に困らないからいいよな。」

 

この人が唐突に口を開いた。ちょっと静かにしていて!俺今集中しているんだから!

 

「そうは思わないか?なぁ、悪魔くん

 

 

 

 

 

 

 

……いや、赤龍帝」

 

 

 

「……え?」

 

 

思わず、ポロっとコントローラーを手放してしまった。

 

…な、なんでこの人、俺が赤龍帝だって事を知っているんだ? そんな事知ってる人間なんて、シュウ以外にいるはずが無いのに……。

 

 

「あ、あんた、何者だ……?」

 

俺の問いに、お得意様は口の端を上げ、答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は堕天使総督、アザゼルってんだ。よろしくな?」

 

 

 

 

刹那、この男の背中から十二枚の真っ黒な翼が開かれた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうでもいいが、もう二周差だぞ?」

 

「え? あ!」

 

「よし、また俺の勝ちだな。」

 

 

 

 

==============

 

「冗談じゃないわ」

 

…よっす、オレだ。八神だ。

 

とある日の夜の部室にて、我らがオカルト研究部の部長は怒っていた。

普段は時に厳しく、時に優しい人である部長があんなに怒っているのはかなり珍しい。

 

もちろんこんなに怒っているのにも、ちゃんとした理由がある。

 

 

夜になった後、皆はいつものように悪魔稼業に出かけて行ったんだ。オレと新人のゼノヴィアは最初のイッセーのようにチラシ配りを。他の皆はそれぞれ呼び出された依頼者のところへ出掛けていき、そこで頼まれた仕事をするって感じだ。

 

メンバーのほとんどが淡々と仕事を終えて帰ってくる中、同じように帰ってきたイッセーの口から重大な事実が発表された。

 

 

イッセーの依頼者であった男の正体が堕天使総督であるアザゼルだったのだ!

ついでに言えば、お得意様として何度もイッセーを呼び出していたらしい。

 

 

「いくら悪魔、天使、堕天使の三すくみのトップ会談がこの街で執り行われるとはいえ、突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入して、ましてや営業妨害までしていたなんて……!」

 

 

あとは今部長が言った通りだ。

 

人間の感覚からすれば分かりにくい事ではあるが、営業妨害だってことくらいは分かる。契約って人間と結んでこそ意味があるってもんだろ?

 

それに悪魔にも縄張り意識のようなものだってある。オレ達はその縄張りの中だけで稼業に勤めているわけだしな。

 

そこに土足で踏み込んだんだ。ただですむわけねぇよなぁ〜…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何より私のかわいいイッセーにまで手を出そうなんて万死に値するわ!」

 

 

まぁ一番の理由としてはこっちだ。

縄張り云々とか営業云々とか、そんな事より重要な問題のように扱っている。

 

最早部長も隠す気ゼロだよな。堂々と声高らかに「かわいい」宣言しちゃったぞ。イッセー隣で顔真っ赤にしてるし。

ここまであからさまだってのに、部長の気持ちに気付かねぇんだよなぁ、イッセーの奴……。

 

「きっと私のイッセーが〝赤龍帝の籠手〟を持っているから接触してきたのね…。

大丈夫よイッセー。私がイッセーを絶対に守ってあげるわ。」

 

おい、今度は〝私のイッセー〟って言ったぞ。

隠す気ゼロとかいうレベルじゃなくて、見せびらかす気満々ってやつか?

 

 

「……やっぱ、アザゼルは俺の神器を狙っているのかな。堕天使の総督なんだろう?」

 

部長に頭を撫でられながら、イッセーが不安そうに口にした。

そんなイッセーを安心させようとしているのか、ユウトがなだめるような口調で話す。

 

「確かにアザゼルは神器に造詣が深いと聞くね。有能な神器使いを集めているとも言われているし。」

 

……そういやコカビエルとの戦いの前、学園の外で怪人態に変身したオレの耳にそんな会話が聞こえてきたな。

確か、アザゼルは神器の研究に没頭している…だったか?

 

イッセーも大変だなぁ。そんな奴に目ぇつけられるとは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも大丈夫。僕がイッセーくんを守るからね。」

 

 

「……キ、キモいぞお前……。ち、近寄るな!触れるな!」

 

「そ、そんな、イッセーくん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

…………ホモぉ……

 

 

 

 

「しかし、どうしようかしら……。相手は堕天使の総督。下手に動くことも出来ないわね……」

 

ホモシーンが隣で放送されているにも関わらず、部長はただ一人難しい顔をして考え込んでいた。

 

…現状として、オレ達と堕天使って相性最悪だ。レイナーレとかコカビエルとか。

これ以上堕天使との関係を崩すわけにはいかねぇんだろうが…

 

 

 

「アザゼルは昔からああいう男だよ。」

 

 

 

……? なんだこの声……

 

 

声のした方へ視線を向けるオレ達。

 

そこには、部長と同じ紅い色の髪をしたあの男の姿があった。

 

その姿を確認するなり、眷属悪魔の全員が跪いた。

ゼノヴィアは疑問符を浮かべて首傾げているけど、新人だから仕方ねぇだろう。

 

「やぁ、我が妹よ。 ここに来るたびに思うのだが、この部屋は殺風景だな。年頃の娘たちが集まるというのに、魔法陣だらけというのはどうだろうか」

 

「お、お兄さま!?」

 

そう。そこにいたのは部長のお兄様で魔王でもあるサーゼクスさんだった。

 

「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ている。」

 

相変わらずの優しい笑みを浮かべながら、皆にかしこまらないでいいと促した。全員がそれに従い、立ち上がる。

 

「君も、久しぶりだね。」

 

「あんたも元気そうじゃねぇか。 グレイフィアさんにはきっちりしごかれたのか?」

 

「はい。二度とあの様な失敗を起こさないよう、サーゼクス様とあの担当悪魔にはきつく指導いたしました。」

 

「お、思い出させないでくれ…。あれはキツかった…。」

 

少しだけ身体をブルルッと震えさせるサーゼクスさん。

 

ハハッ、予想以上に酷い目に合わされたみてぇだな。なら良かった。

 

 

サーゼクスさんは一回だけ咳をすると、本題を切り出した。

 

「アザゼルは先日のコカビエルのようなことはしないよ。今回みたいな悪戯はするだろうけどね。

しかし、総督殿は予定より早い来日だな。」

 

「それって魔王様にも言えることじゃねぇか? 会談ってまだ先の話なんだろ?」

 

オレがそう尋ねると、一枚のプリントを取り出し、その紙面をオレに向けた。

 

 

え〜っと何々……〈授業参観のご案内〉?

 

 

「授業参観があると聞いて、私も参加しようと思ったんだ。我が妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ。」

 

あ、そういやそんなのあったな。

どうせ来る親がいねぇし、特に意識してなかったわ。

 

 

「グ、グレイフィアね? お兄さまに伝えたのは…」

 

ギクギクと、まるで油の切れたロボットのような動きをしながらグレイフィアさんに尋ねる我らが部長。

 

「はい。学園からの報告は私の元へ届きます。無論、サーゼクス様の〝女王〟でもありますので、主への報告も致しました。」

 

それに対し、全く悪びれた様子も見せずに淡々と言葉を放つグレイフィアさん。

パーフェクトメイドってのはこんな人のことを言うんだろうな。

 

「私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。 心配することはない。父上もお越しになられる。」

 

「お、お父様まで……?」

 

ヘナヘナヘナ〜っとその場に座り込む部長。

 

…もしかして、嫌なのか?

 

 

そんな事を考えていると、突然部長がハッと顔を上げた。

 

「そ、そうではありません! お兄さまは魔王なのですよ? いち悪魔を特別視されてはいけませんわ!」

 

部長は顔を若干赤くさせながらも、なんとかして思いついた言い訳を述べる。

どんだけ来てほしくねぇんだよ。

 

でも、もう無理だと思いますよ。サーゼクスさん、最初にプライベートで来てるって言ったし……。

 

 

 

 

「それに、これは仕事でもあるんだよ。実は三すくみの会談をこの学園でとり行おうと思っていてね。 会場の下見に来たんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

…………へ?

 

 

 

 

 

 

 

「ここで!? 本当に!?」

 

部長が驚きの声を上げる。

 

オレだってビックリだ!こんな人間が通っている普通の学園で、そんな大掛かりな会談が開かれるなんて想像していなかったぞ!?

 

他の部員たちも、例外なく驚いている様子だった。

 

 

「ああ。この学園とは何かしらの縁があるようだ。魔王である私とセラフォルーのそれぞれの妹と、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、デュランダル使いが所属し、コカビエルと白龍皇が襲来してきた。これは偶然では片付けられない事象だ。

この事象の中心には、やはりと言うかなんと言うか、赤龍帝がいる。」

 

サーゼクスさんがそう言ってイッセーに視線を向けた。見つめられた本人は緊張した顔つきになっている。

 

「さて、これ以上ここで難しい話をしても仕方がない。 うーむ、人間界に来たとはいえ、夜中だ。こんな時間に宿泊施設は空いているのだろうか?」

 

手をポンと叩き、小難しい話から話題を変える。

 

宿泊施設か…。確かにこの街にはいっぱいあるが、もう時間も時間だしな〜。もう受付終わっちまってる気がする。

 

 

さて、どうしたものか……。

 

 

 

 

「あ、だったら…」

 

ーーーーーーーー

 

結局、サーゼクスさんはイッセーの家で寝泊まりする事になった。

 

あそこの家は突然アーシアと部長が住み着くことになっても、あっさり受け入れることが出来るくらい広かったりする。

 

今更一人くらい泊まることになったくらいで困ったりすることはねぇだろうさ…。

 

 

「ただいま〜っと…」

 

 

……玄関からリビングに向けて声をかけるが、返事が帰ってくる訳でもなけりゃ、誰かが出迎えに来るわけでもなかった。

 

「まだ帰ってきてねぇのか? クロのやつ……。」

 

誰もいない部屋で一人呟く。

 

クロってのは、オレがこの前飼い始めた猫の名前だ。流石に名前無しだと色々不便だろうと思ってな。この前急遽つけてみた。

 

由来?定番中の定番「黒いからクロ」だ。ネーミングセンスなんざオレに求めんな。

 

 

さて、どうすっかね。クロが帰ってくるまで待っとくか、もう寝てしまうか。この前クロ用に小さな扉を作っておいたから、わざわざ玄関の扉を開けなくても入ってこれるんだが…。

 

 

 

 

 

ピーンポーン

 

 

 

 

 

「お?噂をすれば何とやらってか?」

 

 

玄関からインターホンが鳴り、てっきりクロが帰ってきたものと思ったオレは普通に扉を開ける。

 

が、扉の向こうに立っていたのはクロではなかった。

 

「やぁ」

 

「…サーゼクスさん?」

 

そこにいたのは、にこやかな顔を浮かべるサーゼクスさんだった。

ついさっきイッセーの先導のもと、イッセー宅に向かったはずなんだが…。

 

「なんであんたがここに?」

 

「どうしても君と話したいことがあってね。彼に君の住所を教えてもらったんだ」

 

「あ〜…、なら入れよ。外で話すのもアレってもんだろ?」

 

「そうだね。お邪魔させてもらおう」

 

サーゼクスさんを家に招き入れ、ソファに座らせた。

 

家に魔王なう……呟きたい……!

…けど、そんな事したら部長からは怒られるし、一般人からは変な目で見られるから我慢…。

 

 

 

 

……取り敢えず何か出そうかね。

 

 

「何か飲むか? お茶やコーヒー、ココアもあるぞ?」

 

「そうだね、お茶を頂こうかな」

 

お茶か…。この人のことだ。多分毎日あのパーフェクトメイドさんが淹れた茶を飲んでいることだろう。

ここは、オレの腕の見せ所だな!

 

いつものように、丁寧にお茶を淹れてサーゼクスさんの前に置く。オレは気分的にコーヒーだ。因みにブラックコーヒーだ。

 

サーゼクスさんがお茶に口をつけ、一言

 

「…美味い。これは君が淹れたのかい?」

 

「そうだよ。こういうの好きでな」

 

好評なら何よりだ。

 

 

 

「んで? 話ってなんだ?」

 

優雅にコーヒーを飲みながら、サーゼクスさんに話の先を促した。

 

「あぁ、後日に執り行われる会談だが、君にも参加して欲しいんだ」

 

「オレも?」

 

サーゼクスさんの言葉に素っ頓狂な声を上げる。

ちょっと意外だった。三すくみとはこれっぽっちも関係ないオレはてっきりお払い箱だろうとばかり思っていたぜ。

 

「そう。君は数少ない人間の理解者の立場にある。一応、各陣営のトップと顔を合わせておいたほうがいいと思うからね」

 

そうか…。言われてみればオレ、トップの人たちとはサーゼクスさん以外に会ったことねぇし、互いに顔を知らないってのは色々都合悪いだろうな。

 

けど、絶対退屈すると思うんだが……。

 

「それと、もう一つ頼みたいことがあるんだ」

 

「ん? もう一つ?」

 

答えを渋っていることを察したのか、サーゼクスさんは更に言葉を繋げる。

 

コーヒーを口に含み、その言葉の先を待つ…。

 

 

 

 

 

「話をしてもらいたいんだ。私たちの前に立って」

 

 

 

「ブウゥゥゥゥッ!!」

 

 

 

 

 

…含んでいたコーヒーを盛大に吹き出してしまったオレは悪くないと思う。

 

 

え? 今この人なんて言った?

私たちの前ってことは、魔王とか堕天使総督とか天使のリーダーとか、そんかお偉い人達の前に立って話をしろと?

 

 

 

い、一旦落ち着け…。まずは現状把握……。

 

 

 

話をして欲しいって言われたが、一体何について話せばいいんだ? 人間から見た三すくみの関係についてどう思いますか、って?

 

いやいや、そんな難しいこと言われても答えられねぇよ。「分かりません!」の一択だ。

 

 

じゃあ何だ、人間と悪魔、天使、堕天使の共存方法について何かいい案はありますか、ってやつか?

 

いやいや、既に共存出来てるじゃん。姿が普通の人間と大差ねぇ時点で、共存することには特に問題はないだろうさ。

 

もし今よりもっといい方法は? とか聞かれたら、「分かりません!」と答えるしかねぇし……。

 

 

 

そもそもオレは人間界の中で決して偉い立場にいるわけじゃねぇし、普通に見れば入った部活が偶々悪魔の集まりで、偶々珍しい能力を持った人間って立場に過ぎねぇはずだ。

 

 

だからオレが話せる事なんて………

 

 

 

……まさか…

 

 

 

「…君に話してもらいたいのは、あの日。リアスとライザーのレーティングゲームに現れた、あの生物についてだ。私たちもこの世界で長く生活しているが、あのような生物は見たことがない。

だが、彼は君を目の敵にしていた。君と彼らは、なんらかの形で関わりがあるのだろう?」

 

 

…やっぱその件か……。

 

しまったな。ジャラジの存在って、悪魔の皆さんには知れ渡っているんだった……。

 

 

それに関しては説明出来る。出来るんだが……

 

 

問題はこの人を始めとしたトップの人たちが、どのくらい昔から生活しているかによって話の信憑性が変わっちまうことなんだよなぁ……。

 

 

「……頼む。あの場に立って、私たちに彼らの事について教えて欲しいんだ」

 

黙っているところを見て肯定と受け止めたのか、頭を下げてまで頼んできた。それほど奴らについての情報が知りたいのか……。

 

やめてくれよ…。魔王のアンタに頭下げられちゃ、例え断りたくても断れねぇよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…分かったよ。けど、オレに分かる範囲でしか話せねぇぞ?」

 

「…それでも構わないよ。ありがとう」

 

半分ヤケクソになり、サーゼクスさんの誘いに乗った。

こりゃ、どうやって説明するかも考えておいたほうがいいかもな……。

 

 

「では、私はこれで失礼するよ。兵藤 一誠くんとも話がしたいからね。お茶、ご馳走様」

 

「…あぁ、またな」

 

サーゼクスさんは小さく笑みを浮かべ、イッセー宅に向かっていった。

 

 

 

 

……会談、か…。

 

こりゃ、面倒なことになりそうだ……。




雑談ショーwith小猫

八「新章開幕早々、面倒なことになってきたな〜」

小「先輩も前に出て話すのですね…。」

八「あぁ。あんま気がのらねぇけど、受けちまったもんは仕方ねぇさ。しっかりやらせて頂きますよっと」



小「…部長から連絡がありました。後日、部活動をプールで行うそうです…」

八「……え? プールで?」

小「……はい」
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