「俺に彼女ができました〜♪(俺解釈)」
「…………。」
よう、みんな。一つだけ言わせてくれ、兵藤がとうとう狂ったんだ。
だって、あれだぜ?登校中に会って、いきなり夢に見たのかゲームの中の話かどうかは知らないが、現実では絶対にない事を言ってのけやがった。
よし、普通に考えよう。
あんな変態君に彼女ができたとしたら、その女の子は自分の体を見ず知らずの男に見られても平気っていう物好きか、自分の体を見られることがまずいってことを理解していないバカのどちらかだと思うんだ。
しかし、普通に考えてそのどちらの女もこの世にいないはず。
みんなもそう思うだろ?
よし、結論が出たな。
とりあえずオレは黙って兵藤に近づいた。
「な、なんだよ…どうしたんダフッ⁉︎」
そして思いっきり引っ叩いてみた。
「な、何するんだよ!シュウ!」
「目ぇ覚めたか?現実に戻ってきたか?まだだって言うんならもう一発いくが」
そう、こいつを現実に戻すためにはとりあえず引っ叩くのがいい気がしたんだ。
「いや待て!お前あれだろ?信じてないんだろ?」
まだ言ってやがる。こうなったら往復ビンタやっとくか、だったらさすがに目が覚めるだろ。
オレは今から叩きますって雰囲気出しながら兵藤に近づく。
「わ〜っ!待て!待ってくれ!」
兵藤が必死に命乞いしてくる。許せ、お前の目を覚ますためだ。
「ほら!向こうから来る子だ!本物なんだよ!頼むから見てくれ!」
とうとう幻覚まで見え始めてきたのか、仕方ない。もう強行手段だな。
オレは右手を思いっきり後ろに下げて兵藤の左の頬にむかって手を突き出そうとした。
そこで、後ろから声がした。
「おはよう、イッセー君」
振り向くと、それはそれは可愛らしい女の子が立っていた。
イッセー君って言ったってことは、兵藤の知り合いか、でも見た事のない制服だ。
てことは、まさか…兵藤が言っていたことは……
……本当だったのか?
「な?言っただろ?本当の事なんダフォ⁉︎」
とりあえずムカついたからそのまま殴っといた。
「イッセー君⁉︎ちょっと、何てことするんですか!」
兵藤の彼女と思われる女性が抗議の声を上げてくる。
悪りぃな、ムカついたんだ。なんて言えねぇからとりあえず無視しとくか。
「兵藤、お前どんな手段使ったんだ?まさか脅迫か?そこまでするのはさすがに引くぞオレは。」
「待て!そんな事はしてないぞ!実は昨日」
変態説明中
「お前が告られた、ねぇ……。」
今の話を大体まとめると、昨日学校が終わった後一人で帰っていた兵藤に、その女の子が後ろから声をかけてきた。
最初は伝言か何かかな?とか思ってたが、話を聞いたら自分に用事があるって分かった。
改めて話を聞いてみると、その女の子から告られたって事らしい。
「そう、いくらシュウが信じなくてもこれは事実だからな。」
だってほんとに信じらんねぇもん。
普通に考えて、変態に恋する乙女とかいるか?ってやつだ。
オレは兵藤の隣にいる彼女、天野 夕麻を見る。
兵藤からオレの紹介はあったけど、なんかまだ警戒してるな。まぁいいだろ。
見た感じは普通だな。一般的に言うと美少女ってやつだ。
綺麗に伸ばした黒髪、完ペキって言っていいのか分かんねぇけど、スタイルもルックスもいい。兵藤なら間違いなく好みな女だな。
「まぁ、良かったんじゃねぇか?おめでとさん。」
「あ…あぁ、ありがとな。シュウ。」
その後、学校に向かっていく途中で、松田と元浜にも会った。
二人揃って会ったと同時に、まるで落雷でも当たったかのような顔をした。
すれ違いざまに兵藤が二人に何かを囁いて、より二人は沈んだ。
ほんとに面白いなコイツら。
ーーーーーーーーーー
「実は、さっき相談できなかったんだけどよ……。」
天野と別れ、それぞれの教室に入ったオレたちだが、その後すぐに兵藤がオレを呼び出した。
最初はオレも警戒してたよ。まさか、覗きのための手助けをしろとか言い出すのかと思ったからな。
まぁ、こいつもさすがにそこまで人としての道から外れてはいないみたいだ。安心したぜ。
「今度の日曜日、夕麻ちゃんとデートに行くんだけどさ、いいデートスポットとか、知らねえか?」
「知るわけねぇだろ、なんでそんなことをオレに聞くんだよ。そういう事こそ、松田とか元浜に聞けよ。」
自慢じゃねぇが、オレは前世も今世彼女ができた試しがない。
てか、女に抵抗感じてるんだよな、オレ…。
「いや、あいつらに相談したら怒られそうだろ?」
「……それもそうだな。」
頭から抜けてたが、あいつらはバリバリの非リアだっけ。
そんな奴らに、デートスポットどこがいい?とか聞きに行くのはバカのすることだな。
それでこいつはオレに頼ってきたわけか……。
しっかし、オレもデートにオススメの店とか知らねぇんだよな〜。
大体デートって、どこに行くもんなんだ?既にそっから分かんねぇや。
あ、そうだ。
「お前はどこに行きたいんだよ?」
「え、俺?」
「そう、お前」
大体のヒントをこいつから得るとしよう。
こいつが行きてぇところで、オレのオススメの店を紹介する。それがいいな。
「う〜ん、やっぱケーキ屋とか行きたいな。後は服を見に行ったり、ゲーセンとかで遊んだり。」
「なるほど、いいんじゃねぇか?
そのプランだったら、いい店を知ってるよ。」
まずはケーキ屋って言ったな。
オレが知ってるケーキ屋で、マジオスのやつを一つ紹介してやる。
「まずはシャルモンっていうケーキ屋だな。あそこは店員こそ変わってるやつが多いけど、ケーキの味は最高だぜ。」
「ほほう、『シャルモン』ね…。」
結構熱心に書いている兵藤。
初めての彼女だからな、幸せにしてやりたいんだろうな……。
こりゃ、アドバイスのオレも気が抜けねぇや。
「あとはな…………」
アドバイス中です、少々お待ちください…。
「こんなもんかな?オレが知ってる店は全部紹介したぜ?」
「サンキュー!十分だ‼︎」
オレが言ったアドバイスを全部書いた兵藤は大喜びで自分の教室に戻っていった。
失敗しなけりゃいいんだが…
ーーーーーーーーーー
兵藤がデートって言ってた休みの日、オレは特にすることが無くてダラダラしてた。兵藤の様子見も考えたが、彼女とのデートに水を差すほどオレは外道じゃない。
ヒマだーヒマだー。そうだ、テレビでも見よう。
そんな感じでテレビ見たり本読んだりしてたら、あっという間に夕方になった。
この時間だったら、多分兵藤は最後の目的地、公園にいるんだろうな。
いい雰囲気になってたらお笑いだぜ。
とか、ふざけていたが……
公園の方で、空が歪み始めたのを見つけた。
なんかかなり嫌な予感がする。
オレは家のベランダに飛び出し、射撃体人間ver.になった。
公園の方を見ると、胸に槍が刺さっている兵藤と、天野がいた。
だが、天野は朝に見た時とは違い、露出度の高い服を着て、背中からは黒い鳥のような羽が生えていた。
何にせよ、天野が兵藤を殺そうとしていることには変わりなしか!
オレは俊敏体人間ver.になって公園に飛んだ。
オレは急いで公園に向かった。幸か不幸か、オレの家から公園までは特に大きな建物がないから、屋根伝いに飛んでいけばまっすぐ行くこともできるし、公園の様子がなんとなく見える。
公園の中がはっきりと見えるようになった時、オレは焦りを感じずにはいられなかった。
おそらく止めを刺そうとしている。
このままじゃ間に合わねぇ!
これ以上友達を失いたくねぇってのに!
オレは全力で兵藤の元に向かうが、天野が別の槍を作り出したのが見えた。
こうなったら、もうやるしかねぇ!
考えてる暇もねぇ!
オレは覚悟を決めて、全身に力を込めた…
ーーーーーーーーーー
時はほんの少し遡る…
「ハァッ!ハァッ!ハァッ!」
兵藤 一誠は、胸に刺さった光の槍のダメージに苦しんでいた。
腹からは大量の血が流れ、地面を赤く染めている。
そんな一誠の元に、カツカツと足音が近づく。
「ゴメンね、あなたは私たちにとって危険な因子だったから、早めに始末させてもらったわ。恨むなら、その身体に神器を宿らせた神を恨んでちょうだいね。」
さっきまで一誠と一緒にデートしていた天野 夕麻の声がする。
神器?神?一体何を言ってるんだ?一誠は朦朧とする意識の中で考えていた。しかし、答えが出るはずもなく、どんどんと視界が暗くなる。
(マジかよ…高校二年生で死ぬのかよ……まだ人生の半分も暮らしてねぇってのに……。訳の分かんねぇまま彼女に刺されて死ぬなんて、勘弁してくれよ…)
頭の中に、ふといろんな人の顔が浮かんでくる。
自分を育ててきた両親。毎日覗き行動をしてきた悪友の松田と元浜。 部屋の様々な場所に隠してあるエッチな本やビデオの女優たち。
そして、小さい頃からずっと一緒だった八神。
(皆に、まだ何も言えてねぇのに…。てか、隠した本とか、死んだ後に見つかるのは、カッコ悪いな…。)
最後まで、相変わらずの男であった。
「さて、何時までも苦しいままなのも嫌でしょう。もう止めを刺してあげるわ。」
夕麻はそう言って、手に一本の光の槍を作り出した。
一誠に刺さっている槍よりも太く鋭い槍だ。
(どうせ死ぬなら、あの紅い髪をした美少女の腕の中で死にたかったな…)
夕麻はその槍を投げた。
槍は、まっすぐに一誠が倒れている場所に向かっている。
(…さよなら……皆…)
心の中で呟き、一誠はそっと目を閉じた。
最期に感じる痛みに備えて……。
ガキンッ!
……しかし、いつまで経っても、痛みを感じることが無かった。
自分の体が、最初にやられた傷以外では異常がないことに驚いていた。
そんなときだった…。
「あ、あなた、何者⁉︎」
夕麻の焦った声が聞こえた。
不思議に思った一誠は、そっと目を開けて、夕麻の方を見た。
すると、一誠と夕麻の間に、人ではない、何かが立っていた。
全身が硬い甲穀で覆われ、腰には鉛のような色のベルト。
そして頭に生えた一本の角が凄まじい威圧を放っている。
まさに、怪人と言える姿をしていた
。
「ビガラ…!」
その怪人は、奇妙な言葉を放ち、夕麻に向かっていった。
「!来るな、化け物‼︎」
夕麻は急に現れた謎の怪人に向け、大量の槍を投げた。
しかし、怪人の目が青くなったかと思うと、彼は恐ろしく速い動きで槍を避けていった。
ある物は下をくぐり、ある物は飛び越え、右に左に弾き、ついに全ての槍を躱してしまった。
怪人は胸部にある石を一つ外す。
すると、ただの石だったはずのそれは、怪人の手に触れたと同時に形を変え、長く鋭い槍になった。
夕麻も、急ぎ槍を生成し、怪人が振り下ろす槍を受け止めた。
しかし、力そのものは怪人のほうが強いらしく、徐々に夕麻が押し負け始めた。
「クッ……!何なのよ!あんたは!」
「…………。」
怪人は夕麻の問いに無言で返し、槍に力を込めた。
「…ビガラ ザベザ ババサズ ボソグ」
そう呟くと同時に、怪人は槍に込めていた力を抜いた。
怪人からの攻撃に耐えるために力を入れていた夕麻は、押される力が急に無くなったため、少しだけ体制が前になった。
その隙を見逃すことなく、怪人は槍を振り上げて夕麻を吹き飛ばす。
数メートル離れ、夕麻は激しく呼吸しながら相手の様子を見ようとした。
怪人は追いかけてはこなかったが、両手を合わせ、左手を夕麻に向け突き出した。
すると、突然夕麻の顔の周りが水に覆われた。
「ガボッ…ゴボボ…」
呼吸ができないでいる夕麻は、必死にもがいているが、顔をふさいでいるのが水のため、手で外そうとしても手が水に沈むだけである。
もがく夕麻の元に、一歩、また一歩と近づく怪人。
もちろん、手にはさっき作ったばかりの槍が握られている。
夕麻の目の前に着いたその怪人は、槍の先を夕麻に向けた。
「ギベ‼︎」
そう叫び、槍を思いっきり夕麻に突き出した。
槍が当たったところから、小規模の爆発が起き、砂煙が辺りの視界を濁す。
砂煙がおさまると、怪人が突き出した槍の先には、夕麻はいなかった。
怪人はすぐさま周りを見回す。
すると、少し離れた位置に、夕麻の仲間と思われる男が夕麻を担いでいるのが見えた。
いつの間にか、夕麻の顔をふさいでいた水も無くなっている。
「ビガグバ…!」
怪人の目が緑になり、手に持っていた槍はボウガンに変わっている。
ボウガンの先をまっすぐに夕麻に向ける。
そして、怪人は指を引き金にかけて、今にも発砲しようとしていた時に、そいつは現れた。
「あなた、何者?悪魔ではなさそうだけど…。」
怪人は引き金から指を外し、ゆっくりと後ろを振り向く。
そこには、学園中の憧れの的、リアス・グレモリーが立っていた。
突然夕麻の顔が水に覆われた理由が分からないという人のために少し説明。
彼は空気中の水素と酸素を結合させて水を生成したのです。
ハガレンの原作で、大佐が水を水素と酸素に分解しているシーンがありましたよね?
その逆です。
ついに戦闘描写を書きましたが、かなり難しいですね。
一瞬のシーンだけど、かなり考えました。